やまなしなひび-Diary SIDE-

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バトル漫画における「敵をどう用意するのか」問題

 最近Twitterで話題にして考えてみたこと。
 漫画だけでなく、アニメでも映画でもゲームでも小説でもそうなのですが。

 “バトル漫画”というジャンルは、バトルを恒常的に行わなければなりません。しかし、現実に生きている私達はそう頻繁に「バトル」を行ったりはしませんよね。少なくとも日本で生きている大多数の人間はそうです。敵を倒したらまた敵が出てくるなんてことは現実ではあまり行われません。


 しかし、“バトル漫画”を描くためには「バトル」を用意しなければなりません。
 私達が生きている現実ではあまり見かけない「敵」をどう用意するのか、がバトル漫画にとっては大事なことなんです。



◆ 「現実(現在)ではない世界」を舞台にする
 恐らく一番多いのはコレ。
 『ドラゴンクエスト』では街を一歩でも出るとモンスターに襲われるし、『ドラゴンボール』ではレッドリボン軍が民間人相手に平気で発砲するし、『ワンピース』では悪者に支配されている街なんかが普通に出てきますし、『進撃の巨人』は壁から外に出ると巨人に食われてしまいます。

 言ってしまえば「嘘の世界」です。「嘘の世界」だからこそ制限なく次から次へと「敵」を登場させられるし、その「敵」を主人公達がぶっ倒してしまっても「めでたしめでたし」で済ませられるんです。


 アレは「遠い未来の話」ですが、『機動戦士ガンダム』なんかも「現実ではない世界」の話ですよね。宇宙も含めた世界規模での戦争が起こっていて、主人公達もその戦争に巻き込まれていきます。言ってしまえば「架空の戦争」を起こして、「敵」を倒さないと自分が殺されてしまうなんてシチュエーションに追い込んでいるワケです。



 「時代劇」なんかも、「過去の話」ではありますが「現在ではない世界」ですよね。
 例えば『バガボンド』の中には「コイツを殺せば俺の名が上がる」みたいな価値観があって次から次へと「敵」と戦いますけど、現在の私達があんなことをやったら即刻指名手配→逮捕→マスコミで実名報道→卒業文集が晒されて同級生や近所の人にインタビューで、名が上がるどころか晒し者になってしまいます。


 「現実(現在)ではない世界」は私達の世界とは違う死生観・倫理観であるが故に、次から次へと「敵」が出てきても構わないし、バトル漫画では王道ではありますね。



◆ 「私達が生きている現実の世界」に「非現実的な敵」を出す
 「妖怪退治」系のバトル漫画です。

 作品世界に生きている大多数の人間は私達と同じような現実の世界に生きていますが、実は私達一般人は知らない「敵」がこの世界には存在していて、主人公達がその「敵」と戦うという――――この「敵」というのは様々で、『化物語』では怪異だし、『まどか☆マギカ』では魔女だし、『幽☆遊☆白書』では初期は妖怪→後半は霊能力に目覚めた人間でした。

 今季始まったアニメで言えば『境界の彼方』なんかがそうですね。妖夢を倒してお金を稼ごう。この手の作品はアニメだと相当多いので、自分が観測出来ていないだけで他にもありそう。


 広義で言えば、「超能力バトル」系の漫画も当てはまりますよね。
 『ジョジョ』の4部は、私達と同じような世界に生きている私達と同じような高校生達が主人公ですが、あの町にはスタンド使いがそこら中にいる―――という。



 こうした作品は「私達が生きている現実の世界」ですから、世界観の説明をしなくてもイイというメリットがあります。
 また、こうした作品は何故だか「敵と戦っていることは一般人にはバレてはいけない」という不文律があって、その何故だか分からない「バレちゃいけない」という緊迫感も魅力の一つかも知れません。




◆ 「現実の世界に生きている主人公」が「非現実的世界」に行く
 これが元々Twitterで話していた元ネタだったりします。
 『ログホライズン』のように「ゲームの世界から抜け出せなくなってしまう」という話は昔からあるよね―――という話から、あれは言ってしまえば“異世界召還モノ”というジャンルなんですよねと言われて膝を打ちました。


 “私達と同じように生きている人が、「非現実的世界」に行ってしまう”というのは一大ジャンルです。
 恐らく世界中の童話でもある話ですよね、『浦島太郎』とか『不思議の国のアリス』とか。ライトノベルでも定番のジャンルだと思いますし(『ゼロの使い魔』とか)、アニメでは『魔神英雄伝ワタル』とか『ダンバイン』とかもそうですね。
 「ゲームの世界に入ってしまう小説・アニメ」とは逆に「漫画の世界に入ってしまうゲーム」には『ファミコンジャンプ』とかがありますし、主人公=自分と思わせやすいゲームには多いんじゃないかと思うのですが……思いつくのが『ファミコンジャンプ』しかないので実際にはそんなにないのかな(笑)


 「現実(現在)ではない世界」だからモンスターもいるし、戦争とか起こるし、そこでのイザコザも起こってしまうし、突飛なことが起こっても「現実じゃないし」と言い張れる――――という点では最初にあげた“「現実(現在)ではない世界」を舞台にする”のと一緒なんですが、主人公が私達と同じような死生観・倫理観を持っていることで「現実(現在)ではない世界」だけど読者が没入しやすいというメリットがあるのです。
 


◆ 「現実の世界」を舞台にする
 この記事の冒頭で「日本で生きている大多数の人間は頻繁にバトルを行ったりはしない」―――と書きましたが、裏を返せば「中にはバトルを頻繁に行っている人もいる」ということですし、そういう人達を描いたジャンルもありますよね。


 例えば、ヤンキー漫画
 『バガボンド』の「アイツを倒せば俺の名が上がる」みたいな価値観で生きている人達なので、生きている世界は私達と同じなのに、違う倫理観で生きている人達を主人公にすることで「バトル」が必然として描かれるし、「敵」も次から次へと出てきても違和感がないという。


 こういうアウトローな「バトル」でなければ、格闘技漫画も「バトル」を頻繁に行うと言えますよね。柔道とかボクシングとか、真っ当な部活動として青春しながら「敵」を次から次へと倒したりも出来ます。
 『ストリートファイターII』とかもここに入るんですかね。一応、アレは確か何かの大会という設定だったと思いますし。なんでアイツら、路上で戦っているんだ……?


 後は、刑事モノとか。
 「バトルか?」というと微妙ですけど、次から次へと現れる「犯人」をやっつけて逮捕するという意味では、往年の刑事ドラマなんかは立派に「バトル」なんじゃないかと思います。





 ざっと思いつくものを挙げてみましたが、当然これには当てはまらないもの―――というか、複数が組み合わさっている作品もあります。

 例えば『とある科学の超電磁砲』は「超能力を開発している学園都市」という「現実(現在)ではない世界」が舞台ではありますが、あそこに生きているキャラは超能力開発をしている以外は普通の人間で「私達が生きている現実の世界」と大差ないよねと思わなくもないですし。
 今季始まった『ガンダムビルドファイターズ』なんかも「ガンプラバトル」という大会があるという点では「現実(現在)ではない世界」ですけど、それ以外は「私達が生きている現実の世界」とほとんど一緒です。



 記事を書いていて思ったことですが、バトル漫画において「敵をどう用意するのか」は確かに重要なんですけど、それと同じくらい如何にして読者・視聴者・プレイヤーに「自分の生きている世界と地続きの世界なのか」を実感させるのも重要なのかなと思いました。

 それこそ「亀を助けたら竜宮城に行っていた」という話が出来た頃から、物語は「自分の生きている世界と地続きの不思議な世界がある」と見せてきたのですもんね。


 「バトル」という非現実的な出来事を、如何に現実的に見せるか―――思った以上に深い話なのかなと。

| 漫画読み雑記 | 17:54 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

この分類法、バトル漫画に限らず射程広そうですね。
例えば「多数の女の子に男主人公が囲まれてる作品」も
まあ似たように4類型に分けられそうです

…と考えてみて思ったのですが、バトル漫画って必ず
多数の敵と戦い続けなければならんのでしょうかね?
バトル→結末として敵に勝つ→死、再起不能、ザコ化
→新たな敵というのはまあ基本ですけども。
バガボンドなんかはその辺テーマでもありますよねたぶん。

毎日筋トレしてるとむしろ体に悪い、みたいに
戦い続けてると弱くなるバトル漫画とか
致命傷にならないままひたすら同じやつと戦い続けるとか
戦わずして勝つのが最良、実際にバトルするやつは二流
な世界観のバトル漫画とか
そういうのがあっても面白いかもしれませんねw

| shimole | 2013/10/13 21:43 | URL |

それより弱い奴から順番に出てくる方が実は問題ですw
実際にバトル展開を行うと、現在の実力より遥かに強い奴に壊されて終了ですねw
主人公は「バランス」に守られています。

| 児斗玉文章 | 2013/10/14 06:07 | URL |

現実を舞台にするバトルの最大の難点は現実とファンタジーのラインですよね。
これに触れて漫画として違和感を持たれてしまったらあっという間に冷めてしまうし。しかもそのラインは絵柄や構成で全然変わってくるためこれと言った基準が無いし。

私的にはめだかボックスという漫画の3巻あたりはまさしく違和感のオンパレードでした。完璧超人とはいえただの人間が学校の校舎を人力で引っ張るとか…。でもやりようによってはなんの違和感もなくなるわけですから、マンガって面白いなあと思います。

| ああああ | 2013/10/15 19:31 | URL |

最近のバトル系の構図で個人的に面白いなと思ってるのが
「ワンパンマン」と、小説だけど「ニンジャスレイヤー」です。
いずれもあっさり倒される初期の敵達が、後になって話が進んでいくと、
実は相当な実力者だったんじゃ…と思わせる設定の妙があります。
それでいて熱く、面白い!

強い敵から出てくるバトル漫画は今後地味にトレンドになっていきそうな気がします。

|   | 2013/10/16 20:10 | URL |

敵と戦う舞台を用意したら、次は敵が何故戦うかが必要になりそうですね。
やはり誰かと誰かが戦うのには何らかの理由がないと読者も納得出来ないので。動機別に分けるとしたら大体こんな感じでしょうか?
1怪物タイプ 特に理由もなく、動物のように本能的に襲ってくる
2悪役タイプ 敵には何らかの目的があり、それを邪魔する相手と戦う
3競技タイプ 戦いそのものに意味があり、両者とも合意の上で戦う

| taida | 2013/10/22 23:39 | URL |















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