やまなしなひび-Diary SIDE-

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「終わってしまう寂しさ」が好きだったんだ

 今週の伊集院光さんのラジオ『深夜の馬鹿力』で、「自分が今までずっと思っていたんだけど上手く言語化出来なかった」ことを伊集院さんが話されていました。


 私は「ラジオで喋られたことを文字に起こすこと」があまり好きではないんです。
 “ニュアンス”とか“話の流れ”が文字を読むだけでは伝わらないので……ラジオで聴いた時は「自虐的な笑い話」だったものが、ネット上で文字に起こされて「社会への提言」と受け取られて、それがTwitterでガンガン拡散されていて驚くみたいなことも結構あるんですよ。

 伊集院さんのラジオでもゲームについて「笑い話」とか「しょーもない愚痴」を喋ったものが、ネット上では「ぶった斬った」とか「批判した」とかで拡散されて。「伊集院は任天堂のやることなすこと否定するアンチ任天堂だ」とか言っている人までいて。



 ちゃんと「誉めているところ」も拡散されないと、ネット上では「批判」ばかりで溢れてしまうな……と思ったので、私も文字起こしをしようと思います。読みやすいようにところどころ言い回しなどは整理しています。また「文字に起こす」ということは「私の主張」も加わるということは、御容赦くださいな。


<以下、文字起こし>
 『ゼルダの伝説』の『神々のトライフォース2』っていう3DSのやつを終わったんですけど。やってて終わったんですけど。

 つくづく思ったのは、「短い」んだやっぱり。

 割と…謎解きの温度が相当イイんです、相変わらず相当良くて。
 ちょっとこう詰まるワケです。ちょっと詰まって「うわ、これもう…どうしたらイイんだよ」みたいな。それでいて自分のマズさを棚に上げて、「どうせアレでしょ?これ、ネットとか攻略本とかで調べてみた結果、そんなの分かるワケねえじゃん!みたいなことになるんだよね、こういうヤツね。」

 <中略>

 (と文句を言っていると……)それで、なんか不意なところで急に出来る。
 そん時に普通(のゲーム)はさっき愚痴愚痴言っていたみたいな「こんなの分かるわけねえ」って、攻略本見たりネット見たり人に聞いて出来たとしても「それ、どうやって分かればイイわけ!?」みたいなのが多いワケですよ。
 でも、やっぱり『ゼルダ』の良いところは「なるほどね」っていう(笑)。こっち側のさっきまでの怒りはどこへやら。「なるほどね。あーそっかそっか。そういう道具を確かにもらっていた」みたいなカンジがすげーバランス良くて。

 でも、そのバランスのものを散りばめていっても(ボリュームに)限界はあるワケ。
 かなり自由度も高いんだけど、限界はあって。終わっちゃってみると「わー、割と早く終わっちゃったな。もっとやりたかったな」とは思う。だから、多分……『ゼルダ』の『神々のトライフォース2』をやった人は、「えらい早く終わっちゃったなー!」と思う人はいるかも知れない。
 そのために2周目みたいなヤツの「更にハードモードみたいなのが遊べますよ」ってのもあるんだけど、俺はそういうのはあんまりやる気がないタイプなので。

 まぁ……終わっちゃったから。構成(作家)の渡辺くんに「ゼルダ面白かったからやれば!」みたいな(笑)。小3かよ、俺達(笑)。

 <中略>

 それでつくづく思うのは……これは俺が今の時代のオジサンだからかも知れないけど。
 今「やりこみ要素」とかいっぱい用意してくれたり、ネットとかでどんどん新しい追加コンテンツが出来たりしてさ。「終わらないゲーム」ってあるじゃん、「延々と終わらないゲーム」ってあるじゃん。アレを俺は求めていないなって。

 やっぱり「終わった……」っていう、あの「終わった時の寂しさ」と……「あー、もう『ゼルダ』の謎がもうコレ以上は用意されていないっていう寂しさ」と、「終わったっていう充実感」のあの混ぜこぜになったヤツが俺は好きなんだなっていう。

 もちろん無理難題として「早く『(神々のトライフォース)3』が出て欲しい」とか思うし、「もっとやりたい」とか思うんだけど……だからと言って長くやるための「やりこみ要素」みたいな、「こういうやりこみ要素を用意してますよ」みたいなゲームを俺が欲しいかっていうと俺は全然別に欲しくはないし。「やりこめ」って言われて「やりこむか!」みたいなところがずっとあるから……

 『ゼルダ』の「短さ」みたいのが久々に、「ちゃんと解けた」「ちゃんと終わりまで行けた」っていう。

 <中略>

 まぁ、でもやりましたよ久々に。久々に「あー、解いたなー」っていう。
 あー、でも今のちびっ子諸君には「短い」「ヌルイ」って方に思っちゃうのかなぁ……でも、(「短い」のも)面白いと思うんだけどねー。

</ここまで>
※ 「読んで分かりやすい」ように、言い回しをところどころで変えたり。カッコ書きで捕捉を加えたりしています。


 この話……「今度のゼルダは短い」の部分だけ切り取って拡散されたら、「また伊集院が任天堂を批判したぞ!」って反応する人がいそうなので。しっかり「短い」からこそ「もっと遊びたい」し、それが「好き」なんだと伝わるように、長い引用になってしまいましたが文字起こしをさせていただきました。



 私は伊集院さんより一回り以上年下ですけど、恐ろしいほど「激しく同意」という話でした。「これは俺がオジサンだから思うんだろうなー」というところまで含めて、私も全く同じことを思っていました(笑)。思ってはいたけど上手く言葉に出来ませんでした。

 「終わってしまう寂しさ」こそが『ゼルダ』の魅力で。
 でも、「終わらないゲーム」が今のゲーム市場では人気なんです。




 ニンテンドー3DSで国内300万本以上を売り上げているソフトは『ポケモン』『どうぶつの森』『モンハン』の3つですが、どれも「何百時間」と遊び続けられるゲームですよね。一応目安となるクリアはあるけれど、クリア後も遊べる要素が満載というか「クリア後こそが本番」みたいなゲームですよね。

 かつては「終わってしまう寂しさ」の代表だった『ドラクエ』シリーズも、『9』『10』と「クリア後こそが本番」と長く遊べるゲームになっていきました。
 『ドラクエ10』はオンラインゲームですけど、そもそもソーシャルゲーム含めたオンラインゲームというのは「長く遊ばせる」ビジネスモデルですから、『パズドラ』だって『艦これ』だって「延々と終わらないゲーム」で、今でもずっと続けている人も多いですよね。

 対戦重視のゲームはオフラインでもオンラインでも対戦相手がいる限りずっと遊べるゲームですし、最近では『Newマリオ』ですら「お題モード」や「コインの枚数を競う」といった「やりこみ要素」を充実させていますよね。



 いつの間にか……「クリアした!!ハイ、終わり!!」ってゲームは、少なくなっていると思うのです。

 そんな中、『ゼルダの伝説』は「クリアした!!ハイ、終わり!!」ってゲームです。
 クリア後のやりこみ要素みたいなものはあまりありません。『神々のトライフォース2』には初代から引き続く「ハートのかけら」探しはありますし、今回はすれちがい通信でやってくる他のプレイヤーとの戦いという要素もあるのですが。それでも全部やっても30時間はかからない程度です。だから「短い」という評判は自分のタイムラインでも目にしました。

 「クリア後のやりこみ要素」や「クリアまでの時間が長くなる」傾向は、元々は「中古対策」だったのだと思いますし、そのため「悪いのは中古ゲーム屋だ!」と言う人もいるんですけど……
 『ピクミン3』や『神トラ2』に対しての「短い」という評判を聞くと、ユーザー側にも「せっかく何千円も出してパッケージソフトを買うのだから100時間くらいは遊べる要素を用意して欲しい」みたいな需要が強いのかなぁと思うのです。


 
○ 「ゲームを終える」覚悟
 実を言うと……私は『神々のトライフォース2』を「短い」とは思わなかったんですね。
 3DSの『思い出きろく帳』を見たところ、2年前にプレイしたDSの『夢幻の砂時計』と同じようなクリア時間でしたから(『神トラ2』が21時間で『夢幻』が22時間)。2Dのゼルダを作るとこれくらいがボリュームの限界なんじゃないかなと思いますし、自分はこのクリア時間でも大満足で終えました。


 むしろ伊集院さんが仰ったことを感じたのは、その後に遊んだスーファミリメイク版の『ドラゴンクエストII』でした。
 あの頃のゲームはそれが当然だったのですけど、『ドラクエII』は「ラスボスを倒してエンディング」以上のことはないんです。ラスボス以上に強い敵は出てきませんし、クリア後に集めるアイテムもありません。ひたすらレベル上げかレアアイテムを敵がドロップするのを待つくらいしかやることはないんです。

 だから、最後の戦いに向かうのは寂しかったです。
 この戦いが終われば、この旅は終わります。このゲームを起動することはもうなくなるし、この世界とも、この育ててきたキャラクター達ともお別れです。ハーゴンをぶっ叩いている時の気分はもう「卒業証書授与!」の気分ですよ。
 辛いこともあった、大変なこともあった、でも今になって思い出すのは楽しかった思い出と「もっとこの学校にいたかったな」という想いだけなんです―――と涙ぐみながらハーゴンをボッコボコにやっつけているという(笑)。



 漫画やアニメが好きな人の中には「敢えて最終巻は読まないようにしている」とか「敢えて最終話は観ないようにしている」という人もいます。それを観てしまえばもうその作品世界の「続き」はなくなる。でも、観なければまだその作品世界は「続いている」と思えるから――――

 ゲームの場合は更に踏み込んで、「自ら能動的にラスボスを倒す」ことで作品が終わりを迎えるのです。なので、昔は「最後のダンジョンの前まで行ったけどもったいなくてクリアしていない」という人や、「ラスボスを倒しに行く前にひたすらレベル上げをしている」という人もいました。
 「終わり」を延長させる行為―――「終わってしまう」ことが寂しいから、敢えて終わらせないという考え方。それこそ『ゼルダの伝説 夢をみる島』なんかはこの気持ちを見事にゲームで表現したゲームだと思いますし、最近自分がプレイした『ラビラビ外伝』なんかも「ゲームを遊ぶこと」と「ストーリー」が見事にマッチしたゲームだったと思います。



 私はそれが好きだったんです。
 「終わってしまう寂しさ」と、「終わらせてしまう葛藤」と、「ちゃんと終わってくれる達成感」と―――全部含めて「それでもラスボスを倒して世界を救おう」とするのが好きだったのです。「ラスボスを倒したらもうこの世界でやることはないんだ……」と分かってて、それでもラスボスを倒すのが好きだったんです。



 「終わらないゲーム」や「長く遊べるゲーム」が人気あるのは分かります。
 同じような価格でゲームを買うのなら、20時間で終わるゲームよりも200時間遊べるゲームの方がコストパフォーマンスが10倍ですからね。そういう話は以前書きましたっけ。中古に出回りにくいし、貸し借りもしづらいから、新品がよく売れるという好循環もあるのでしょう。

 “「クリアだけなら20時間」「やりこみ要素をやると100時間以上」なら、短く遊びたい人も長く遊びたい人も満足でしょ?”というのも分かります。というか、半年前に書きました。


 でも、それじゃ「終わってしまう寂しさ」は味わえないんです……
 「ラスボスを倒してもまだやることがある」なら全然寂しくないし、「膨大なやりこみ要素」が用意されるとそれを極める前に飽きて辞めてしまう――――「終わらないゲーム」や「長く遊べるゲーム」は最後は飽きて辞めてしまいがちなのです。「終わってしまう寂しさ」も「終わらせてしまう葛藤」も「ちゃんと終わってくれる達成感」も、それでは感じられないんです。

 なのでまー、私はバーチャルコンソール等で「やりこみ要素」のない頃の昔のゲームを次から次へと遊んでいったりしているのかも知れないですね。「最近のゲームは面白くない」という話には異を唱えたいけれど、プレイ時間の点ではやっぱり「昔のゲーム」と「今のゲーム」では変わったと思いますし。





 こういう記事を書くと……「うっせーよ。老害は黙れ」って言われちゃうのだろうし、今の主流じゃないことは分かっています。伊集院さんが「これは俺が今の時代のオジサンだからかも知れないけど。」と前置きをしたのも分かるんです。ゲームって俺のようなオッサンに向けて作るものでもないだろうし。
 だから、「終わらないゲーム」や「長く遊べるゲーム」は作らないでくれって話ではないんです。私は好きではないけれど、それを求めている人が大多数なのだからそういう人に向けて作られるのは当然だと思います。


 でも、だからこそ……『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』のように20時間で「クリアした!!ハイ、終わり!!」と終わってしまうゲームが出たのなら、「俺のようなオッサンのためにありがとう!!」と言わなきゃならんし。プレイ時間が短くても2Dゼルダを出してくれたことに感謝したいし、今後も出し続けて欲しいと応援していくのです。


| ゲーム雑記 | 17:56 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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| | 2014/01/25 18:34 | |

自由時間と金銭感覚で丁度いいゲームって変わってきますからねえ
企業都合とはなかなか相容れない

| ああああ | 2014/01/25 21:53 | URL |

切り取って拡散する人がその気になれば
カップラーメンの値段間違えただけでも
一国の総理大臣をやめさせる事だってできるのだから恐いものです
マスメディアしかりネットメディアしかり

| ああああ | 2014/01/26 07:21 | URL |

神々のトライフォース

こんにちは!

伊集院さんの話と、やまなしなひびーさんの話の、両方に共感しました!
ゲームにも、
「やった!ついに終わった!」という感覚を持ちたいと、いつも思っています。
映画を観終わった後のような、
「これで、この作品は卒業したんだ。」という気分が大好きです。
涙を流して喜べるようなエンディングが欲しいと、
いつも思っています。

場合によっては、少し時間がたてば、
「もう一度同じものをプレイしたい!」
と思えるような作品を望んでいて、
まだやってはいないものの、神々のトライフォース2もきっとおもしろいのだろうなぁと思いました。
機会があればやってみたいと思います。
(と、思いながら、ドラクエ10と並行して、いまだにドラクエ1を再プレイしている自分がいたりします。^^;)

| かえさる | 2014/01/26 08:07 | URL |

終わってしまうのが寂しいゲームに出会えると嬉しいですよね。とても参考になりました。

| ああああ | 2014/01/26 16:02 | URL |

やり込み要素があると確かにそのゲームは中古に流れにくいですが、
別の新作を買わなくなるので売上にプラスとも言いがたいですね。

ピクミン3や神トラ2はエンディング見るだけなら短いですが、
スコア競ったり何度もやり直せば遊べるゲームなので、
それで十分じゃないかと思います。

| ああああ | 2014/01/26 18:15 | URL |















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