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「原作通り」を再現するアニメと、「原作とは違う物語」を描くアニメ

※ 今日の記事は、なるべくネタバレしたくないけれど「具体的なネタバレをしないと伝わらない箇所」も多いので……ネタバレ箇所は文字色を隠すことにしました。ネタバレ部分は読みたい人だけ反転させて読んでください。


 1年前、このブログに「アニメの後に原作を読むススメ」という記事を書きました。
 原作至上主義者の自分は、原作→アニメの順に観ると「カットされた台詞」とか「原作とちがう展開」とか「読み言葉と書き言葉のちがいによるテンポの差」とかが気になって文句を言ってしまうのです。しかし、アニメ→原作の順に読むと「元々はこうだったものをああ再構成したのか」とか「アニメではよく分からなかったけど原作ではここが伏線になっていたのか」と後から分かるので面白い―――という記事でした。


 さて、そこから1年が経ちまして。
 この1年間で私は実際に「アニメが面白かったから原作も読んでみよう」と、『とある科学の超電磁砲』『銀の匙』『のんのんびより』『境界の彼方』『いなり、こんこん、恋いろは。』『未確認で進行形』の原作を読みました。
 ただし、あくまで「アニメ→原作」の順に読みたいので、2期があることを期待して読んだのはアニメになった巻まで――――『とある科学の超電磁砲』は7巻まで、『銀の匙』は9巻まで、『のんのんびより』は最新刊6巻まで、『境界の彼方』は1巻まで、『いなり、こんこん、恋いろは。』は5巻まで、『未確認で進行形』は最新刊5巻までしか読んでいませんが(※1)

(※1:ちょうど都合よく巻の区切りがイイことばかりでないので、アニメになっていないエピソードを読んでしまうこともあるんですけどね。『のんのんびより』の6巻なんかはアニメになったエピソードは1話だけでしたし)



 んで、今更なんですけど……
 一言に漫画や小説が原作のアニメと言っても、「原作通りの物語に進むアニメ」「原作とは違った物語が描かれるアニメ」があるんだなと思いました。


 『のんのんびより』のアニメは、割と「原作を忠実に再現しているアニメ」でした。
 第1話と最終話に“アニメとしての区切り”をカンジさせる描写がありましたし(以下ネタバレ:第1話で桜まで歩くシーンや、最終話で蛍が「ここに来て良かった」と言うシーンはアニメオリジナルのシーン)、ところどころにエピソードを強化する描写が足されていたりもするのだけど……
 基本的には「細かいギャグも含めて原作通りに再現したエピソード」を、並び替えて再構築している―――というアニメ化だったんですね。

 「この場面は原作では○○と××しかいなかったけど、アニメでは△△が加わっている」みたいなことはやらなかったんですね。例えば『未確認で進行形』では原作では2巻のラストまで出てこない末続このはが、アニメでは序盤から顔を出している―――みたいなことがありましたし、他のアニメでもよくあることだと思うのですが。『のんのんびより』ではこういうことは行われませんでした。
 アニメを観た際の自分は、第4話で夏休みにひかげが帰ってくるのに、その後れんげとほのかちゃんの話には全く絡まないことがすごく不思議だったのですが……原作だとあの話は別々の二つのエピソードなんですよね。だから、ほのかちゃんの話にはひかげは登場しないという。




 対照的に「原作とは違った物語が描かれるアニメ」だったのは『境界の彼方』でした。
 京アニにとってKAエスマ文庫の小説は「原作」ではなくて「原案」である――――という揶揄をどこかで見たことがありますが、それも分かるくらい原作とは全くちがうストーリー展開でした。どのくらいちがうかと言うと、一応原作通りに進んでいるなと言えるのは「第1話のAパート」までで、それ以降はほぼオリジナル展開でした。

 というか、栗山さんの設定も、秋人の設定も、美月の設定も、原作から大きく改変していますし……妖夢を倒して妖夢石を換金するという設定もアニメオリジナルですし。ビックリするくらいの別物でした。
 特に栗山さんは原作だと最初から凄腕の戦士なのですが、アニメでは妖夢を倒したことがない上にトラウマ持ちという最弱キャラに変わっていたので……原作ファンはアニメの栗山さんをどう思ったのだろうと私気になります。


 それでも「原作の魅力は会話劇」というアニメスタッフのインタビュー通り、原作の会話劇をアニメでは全くちがうシチュエーションで使ったりしていて。「アニメ→原作」の順に観ると「元はこんなシーンの台詞だったのかよ!」と驚けるので、アニメを好きだった人にも原作は結構オススメですが。

(関連:『境界の彼方』アニメでキャラを好きになった人達へ、原作小説その他のススメ




 この記事のサンプルとして面白そうなのは『とある科学の超電磁砲』でした。
 というか、『とある科学の超電磁砲』の原作を読んだ半年前にこの記事を考えたと言いますか……『とある科学の超電磁砲』のアニメは1期が「原作とは違った物語が描かれるアニメ」で、2期が「原作を忠実に再現しているアニメ」だったのです。

 『とある科学の超電磁砲』のアニメ1期が放送された2009年の段階だと、原作はシスターズ編の途中だったため、アニメでシスターズ編を描くことは出来ませんでした。なので、アニメ前半の1~12話で原作1~3巻に該当するレベルアッパー編を描き、アニメ後半の13~24話はアニメオリジナルエピソードを描くことになったのですが……
 アニメオリジナルエピソードになる後半を「表主人公:美琴/裏主人公:佐天さん」の物語にするために、原作のある前半のレベルアッパー編もところどころ改変されているんですね。銀行強盗とのバトルなんか、原作では美琴と黒子と初春の3人しかいないのですが、アニメでは佐天さんも含めた4人が遭遇して、アレが佐天さんの物語のスタートになっているという。


 なので2期もそういうカンジになるんだろうなーと思いきや……2期はアニメ1~16話が原作4~7巻のシスターズ編になるのですが割と「原作のまま」なんですね。
 一応、アニメ1期を受けて「ただ黙って待つ黒子や初春や佐天さん」の描写が足されてはいるのですが、本編『とある魔術の禁書目録』との矛盾を起こせないので、メインのストーリーラインは原作から大きく変えることも出来ず。17話以降のアニメオリジナルエピソードも、その後始末のような印象は正直受けました。

(関連記事:1期と2期は別物だった。アニメ『とある科学の超電磁砲S』感想


 ちょっとついでに語っておきたいこと。
 前の記事で「原作が連載中の漫画のアニメ化だと、アニメの中で伏線が回収されずに終わってしまう」ということを書きましたが、『とある科学の超電磁砲』のアニメ1期は“伏線をまるごとカット”しているのです。
 原作ではレベルアッパー編→シスターズ編という順番なので、レベルアッパー編のラストにシスターズ編の伏線が張られるのですが(以下ネタバレ:レベルアッパーのアイディアはシスターズのミサカネットワークからヒントを得たと木山先生が言うシーンが、アニメではなくなっている。それと、初春がレベルアッパーのワクチンを学園都市中に流している際に、原作ではアイテムの4人の台詞があるのだけど、アニメでは一瞬映るだけで台詞はなくなっている)、アニメ1期では前述した通りシスターズ編を描けなかったのでシスターズ編の伏線をカットしているのです。

 2期があるか分からないアニメ化の場合、「思わせぶりな伏線を張って終わる」のではなく、こうやって「回収できない伏線はカットする」方が自分はイイんじゃないかと思います。まぁ……残している作品も「気になる人は2期のためにブルーレイ買ってね」ということではなく、ストーリー上どうしても残さなくてはいけないから残しているだけだと思うんですけど。





 閑話休題。
 『とある科学の超電磁砲』1期のように「原作とは違った物語が描かれるアニメ」の方が自分はアニメとして好きだなと思っていて、例えば『けいおん!』の1期なんかも「原作とはちがう少女達の成長物語」として再構築されたアニメだからこそ大好きだったのですが――――

 1期が「原作とちがった展開」をしてしまったせいで、2期が「1期と矛盾した展開」になってしまうことがあるんですよね。『とある科学の超電磁砲』の2期でも、『けいおん!!』の2期でも、それを思いました。
(以下ネタバレ:『超電磁砲』の1期最終回で「自分一人ではできないことも仲間とならできる!」と言っていた美琴が、2期のシスターズ編では「これは私だけの問題」と一人で戦ってボロボロになってしまうとか。『けいおん!』1期では花火などを使って「この輝きは一瞬の輝き」「いつかはみんな離れ離れになる」と見せていたのに、2期のラストでは「みんなで一緒の大学に行く」という結末になってしまうとか


 制作会社も製作委員会も出版社も原作者もファンも、「アニメがヒットしたら2期」を期待していると思うのですが。「原作とは違った物語が描かれるアニメ」として1期がヒットしてしまった場合、2期を描く際にこんな落とし穴があるという。
 『境界の彼方』くらいぶっとんで最初から原作無視で進んでいる場合、2期で原作との矛盾なんか気にしないと思いますけど(笑)。




 そう考えると……残りの3つ『銀の匙』『いなり、こんこん、恋いろは。』『未確認で進行形』は、「原作を忠実に再現しているアニメ」でありつつ、終盤の山場はオリジナル展開やオリジナルの構成にすることで「アニメとしてきっちりまとめる」作品になっていたと思いました。

 『銀の匙』は原作を読んでみて「アニメは思った以上に原作そのままなんだなぁ……」と思ったのですが、1クール目も2クール目も終盤は“盛り上がるところ”を作るためにエピソードの順番を変えていました。
(以下ネタバレ:御影が家族に夢を打ち明けるシーン、原作では時系列通りなのですが、アニメではその部分を後回しにして八軒が実家に帰る際に回想するという構成になっています。八軒のおかげで御影は一歩踏み出せたのだけど、そんな彼女を見て八軒は父との対峙に一歩を踏み出せた、という流れになっている


 『いなり、こんこん、恋いろは。』は、原作が元々ものすごく密度の高い漫画なのに、コミックス5冊分をアニメ10話に押し込めなくてならないので……カットされたエピソードがものすごく多いんですよね。
 特に、クラスの男子どもが「墨染さん」と「墨染さん以外」を区別している描写とかホント丁寧で(笑)。アニメだと尺の問題でカットされてしまった分、いなりと墨染さんの関係が描ききれていなかったなぁと思わなくもないんですね。だから、みんな!原作を読むんだ!!というのは置いといて……

 こちらも最終話に山場を持ってくるため、起こっている出来事は一緒なのですが展開を多少変えていました。(以下ネタバレ:原作ではいなりが神通力を返すと決めた時点で、天照様がうか様のところまでいなりをワープさせている。アニメではいなりが天岩戸まで走って飛んで狐達と一緒にこじ開けようとしている。


 “原作の途中で終わってしまうアニメ”ですから、最終回は「原作と矛盾しない範囲でアニメとして山場を作る」というのは現実的な手法かなと思います。


 『未確認で進行形』もアニメ最終話の展開は原作にない展開でした。同じ台詞も、ちがうシチュエーションになっていることで、よりドラマチックになっていました。アレも「原作と矛盾しない範囲でアニメとして山場を作る」ということかなと。
 『未確認で進行形』の原作は4コマ漫画なのですが、ストーリー性を強くしたいところでは4コマ漫画の枠をぶち壊して描かれているため。元々原作からしてストーリー性の強い原作ですし、アニメも「原作を忠実に再現しているアニメ」だったかなと思います。

 ただ、アニメは放送の時期に合わせて作中の季節を1~3月にしているので、バレンタインやホワイトデーのくだりはアニメオリジナルですし、どうやら紅緒達の年齢を変えているみたいです。原作には小紅と紅緒は2歳差という台詞があるのですが、アニメだと1学年差になっているみたいですからね。
 また作中の季節が1~3月になっていることで「雪」が効果的な演出アイテムになっているのも特徴でした。(以下ネタバレ:第1話の冒頭で街に雪が積もっているシーンから「非日常」が始まり、その雪はずーっと積もったまま。最終話で季節が春になって雪が融けるのだけど、白夜や真白がいる生活は「非日常」ではなく「日常」になったんだという演出監督もインタビューで、「雪を印象的に見せるためにキャラクターデザインに白いハイライトを入れている」と話されていましたしね。


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 ここまで書いてきたように、「漫画や小説のアニメ化!」と一言で言っても実は色んなタイプのアニメ化があるのです。「原作通りの物語に進むアニメ」と「原作とは違った物語が描かれるアニメ」―――――


 「原作通りの物語に進むアニメ」は以前の記事に書いたように、ストーリーの途中で終わってしまうという物足りなさがどうしてもあります(原作が既に完結しているものとかは別ですけど)。

 しかし、「原作とは違った物語が描かれるアニメ」は2期が作られる際に原作との矛盾が生まれてしまうことがありますし、原作ファンから「原作ではこうだったのにアニメだと改悪されている!」と叩かれる原因になることもあります。
 私はそれが不毛だと思うから「アニメ→原作」の順で観るようにしているのですが、好きな原作がアニメ化されたから観たいって人が多いのも分かりますし……「原作通りの物語に進むアニメ」と「原作とは違った物語が描かれるアニメ」のどちらが正しいみたいな簡単な話ではないんですね。




 個人的には、「アニメ→原作」の順で観ているのでアニメと原作の差が大きいほうが「2回楽しめる」感覚ができて好きです。『境界の彼方』のように別物のストーリーでも好きですし、『いなり、こんこん、恋いろは。』のようにアニメ化できなかったエピソードがたくさんあるのも好きです。

 アニメから入るとキャラの声が声優さんの声で脳内再生されるので、アニメ化されていない台詞も声優さんの声で聴こえてくるものですし―――と書いたら「なにそれキモイ」って言われそうですね(笑)。でももう、いなりの声は大空さんで脳内再生されるし、小紅の声は照井さんで脳内再生されるなぁ。



 ということで、みなさん。
 「好きだったアニメ」の「原作」も読んでみようぜ!


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| アニメ雑記 | 17:57 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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ハガレンみたいに一から作り直すとか

| とくもと | 2014/04/07 01:23 | URL |















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