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『一週間フレンズ。』4話の“FUMIKIRI理論”に痺れる

※ この記事はアニメ版『一週間フレンズ。』第4話「友達とのけんか。」までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。

 原作はアニメが終わってから読むつもりなので、とりあえずアニメ版の話です。

 『一週間フレンズ。』の4話が素晴らしかったです。この作品の魅力は何と言っても「キャラクターがみんないいヤツ」なのに、「藤宮さんの設定ゆえに緊張感を保ち続けているストーリー」だと思うのですが……それにプラスして、自分は「心理描写を画面上の演出で伝える表現力」がとてもイイと思っています。


 4話は特に“踏切”の使い方が、まぁ素晴らしかった!素晴らしかった!
 演出アイテムとしての“踏切”については、『境界の彼方』のFOOD理論についての記事を書いた際にも書こうかと悩んだのですが……『境界の彼方』で使われたシーンはそれほど多くなかったので、結局記事にして書くことはありませんでした。


 そこから考えると、『一週間フレンズ。』の4話は“踏切”“踏切”また“踏切”と……“踏切”が3度も出てきて、その全てが登場人物達の心理の動きを表現していて、「念願の“踏切”演出のための回だ!」と膝を打ったくらいです。そんなことで感激していたのは私くらいでしょうけど(笑)。

 “FOOD理論”に対抗して“FUMIKIRI理論”を提唱したいのですが、汎用性が恐ろしく低いのでこの記事くらいでしか出番がなさそうです。




1度目
1weekf2.png
<『一週間フレンズ。』第4話より引用>


 長谷くんとケンカして早退した藤宮さんの帰り道。
 下りた遮断機によって、「こちら側」と「あちら側」が隔絶されていることが分かります。「あちら側」には人がいて、「しばらくおまちください」の言葉通り待っていれば「あちら側」へと渡れるのだけど、この時の藤宮さんは遮断機が上がるのを待たずに「こちら側」を進むのです。

 当然この「こちら側」と「あちら側」は、「藤宮さん」と「長谷くん」を暗喩していて――――踏切を待たずに進む藤宮さんを描写することで、他者を拒絶してしまっているこの時点での藤宮さんの心理も描いているという。



2度目
1weekf3.png
<『一週間フレンズ。』第4話より引用>

 記憶と日記帳をなくしてしまった藤宮さんのため、ひたすら日記帳を探す長谷くん―――を見つけて、藤宮さんは声をかけようとするけど“踏切”と“電車”に遮られて届かないというシーンです。

 ここは先ほどの暗喩より分かりやすく「こちら側」に「藤宮さん」がいて、「あちら側」に「長谷くん」がいて、さっきは「あちら側」を見向きもしなかった藤宮さんが「あちら側」に声をかけようとしているのです。
 他者と関わろうとしている藤宮さんの心理の変化(変化したことも本人は気付いていないけど)と、そのきっかけになっているのは長谷くんなんだとしっかり描いているという。



3度目

 1度目が「あちら側」に見向きもしない藤宮さんを描くことで「他者を拒絶している」心理を描いていて、2度目が「あちら側」に声をかけようとしている藤宮さんを描くことで「他者と関わろうとしている」心理の変化を描いていて――――

 となると、3度目に来るのは「他者を受け入れた」藤宮さんの心理を描くために、仲直りした長谷くんと藤宮さんが二人で“踏切”を渡るシーンが来るのかなぁ……と予想して観ていたのですが、そういうシーンはありませんでした。


 何だよー、“FUMIKIRI理論”が出来てないじゃんかよー、“FUMIKIRI理論”としては最後の仕上げが上手くないじゃんかよーなんて(勝手に)思っていたら。

 思っていたら。



1weekf4.png
<『一週間フレンズ。』第4話より引用>


 エンディングの最初の絵が「開いている踏切」の絵じゃねえかああああああ!!
 1度目でも2度目でも遮断機が下りて通れなかった踏切が、通じ合った二人の心を示すかのようにここでは「開いている」という。“FUMIKIRI理論”、見事に完遂。



 もちろんエンディングの絵というのは“4話のためだけの絵”ではないんですが、このエンディングの絵って最初が「開いている踏切」で、次が「高架下の道路」で、その次が 「長い階段」なんです。
 「踏切」が線路に阻まれた「こちら側」と「あちら側」を繋ぐ装置というのは、この記事で書いてきた通りですし。「高架下の道路」も、本来なら大きな道路や線路などで分断される「こちら側」と「あちら側」を繋ぐ装置ですし。「階段」もまた高低差によって繋がっていなかった「こちら側」と「あちら側」を繋ぐ装置なんですよね。どれも、本来なら何かに遮られていて別の空間であった「こちら側」と「あちら側」を繋ぐ装置。


 このエンディングの絵自体が、本来なら友達になんかなれなかったはずの「藤宮さん」と「長谷くん」が“人の意志の力で”繋がれているという暗喩になっていたことに4話にしてようやく気付けました。




 『一週間フレンズ。』のアニメは、こういう「台詞で説明するのではなく、演出アイテムで説明する心理描写」が多いのがとても好きです。“踏切”だけじゃなくて、“空”の描き方とか、“お弁当箱”の使い方とか、4話で言えば“テントウムシ”まで効果的に使っていました。


 今日の記事はその中でも“踏切”について語ったので、ついでに書いておきますと……このアニメの中では“駅”や“電車”も、色んなものの象徴として使われています。

 そもそもエンディングテーマの『奏』が“駅”を舞台にした曲ですしね。
 “駅”というのは、「別れ」の象徴でもあり、「旅立ち」の象徴でもあります。
 『奏』という曲自体は10年前の曲なので『一週間フレンズ。』のために書き下ろされた歌詞ではありませんし、この歌詞を見ると「最終回に長谷くんが死ぬんじゃないか」と不安になってくるのですが(笑)。

 アニメ第2話での「2週目の藤宮さん」と「長谷くん」の別れが“駅のホーム”で、藤宮さんが下りて、長谷くんは“電車”に乗って次の“駅”に進むのだけど藤宮さんは進めない―――というのが、どんなに仲良くなれても最終的には「藤宮さんを置いて長谷君は次の週に進む」しかないことをビジュアルで見せているようで、あのシーンもすごい好きです。




 というワケで、今季の推しアニメです。
 ストーリーもキャラクターもお気に入りですけど、画面を観ているのがとにかく楽しいです。

 「この記事を読んで興味出たけど観ていなかったよー」という人は、5月5日の夜にニコニコ生放送で「1~4話振り返り上映会」がありますんで(タイムシフト予約可)今からでもどうぞ!


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