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意外にちゃんとサッカー!『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』紹介

【三つのオススメポイント】
・「日本代表の選手」すら一人も有名でない時代のサッカーゲーム
・あの時代にちゃんと「サッカーの楽しさ」をゲームで表現していた!
・ゲームを理解するとガンガン攻略できる絶妙な難易度


『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』
 ファミリーコンピュータ用/サッカー
 テクノスジャパン
 1990.5.18発売

 Wii Uバーチャルコンソール用
 アークシステムワークス/ミリオン
 2014.3.19配信開始/476円+消費税
 公式サイト
 3DSWiiのバーチャルコンソールでも配信されています

熱血高校ドッジボール部サッカー編熱血高校ドッジボール部サッカー編

テクノスジャパン 1990-05-18
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※ この紹介記事はWii Uバーチャルコンソールにてダウンロード販売されたものをプレイして書いているので、オリジナルのファミコン版とは内容が異なっている可能性があります。


○ 「日本代表の選手」すら一人も有名でない時代のサッカーゲーム
 移植作品を一つと考えるなら、「くにおくん」シリーズ第4作目。
 ベルトアクションだった『熱血硬派くにおくん』が第1作、その主人公だったくにおくんがドッジボールで世界一を目指す『熱血高校ドッジボール部』が第2作、第1作のベルトアクションにRPG的な要素を加えて二人協力プレイで遊べた『ダウンタウン熱血物語』が第3作―――すっかり人気を確立していた「くにおくん」の4作目はなんとサッカー!しかも『ドッジボール部サッカー編』!分かりづらいタイトル!!


 このゲームについては、ちょっと言いたいことがあるのです。
 色んなレビューサイトとか、バーチャルコンソールの公式サイトでさえ、このゲームのことを「くにおくんシリーズなのでルール無用のケンカサッカー」だとか「選手は6人だけでオフサイドもないのでサッカーを知らない人でも楽しめる」だとか書かれているのをよく目にします。


 いやいやいやいや!
 そりゃ確かに昨今の超リアルなサッカーゲームに比べれば、ものすごく「サッカーのルール」を無視していると思いますよ。でもそれは「1990年のファミコンのゲーム」ではスタンダードなことだったじゃないですか。

 あの時代は“リアルな選手の動き”どころか“11人vs11人を動かす”ことがそもそも至難の業でした。
 1985年の任天堂の『サッカー』も“6人vs6人”でしたし、1988年の『キャプテン翼』はアクションゲームというよりシミュレーションやアドベンチャーゲームの方向でサッカーを成立させていました。野球ゲームは『ファミスタ』のようにファミコンで人気のジャンルでしたが、サッカーゲームはファミコンでリアルに表現するのは難しかったんですよ。
 Jリーグブームになる1992年~1993年頃になると「ファミコンでも無理矢理リアルなサッカーを表現しようとするゲーム」も出てきましたけど、その頃の主戦場はスーパーファミコン等の次世代機に移っていて、サッカーゲームが人気のジャンルになっていくのはスーパーファミコン等の世代以降なんです。『フォーメーションサッカー』『プライムゴール』『エキサイトステージ』等々……


 今、サラッと書きましたけど……
 このゲームが発売された1990年はJリーグブームの前、まだ日本にプロのサッカーリーグはないんです。
 日本プロサッカーリーグの設立が1991年、第1回ナビスコ杯が1992年、Jリーグの開始が1993年―――日本代表の監督にハンス・オフトが就任してダイナスティカップとアジアカップを優勝するのも1992年。

 こういうことを書くと当時からのサッカーファンに怒られそうですけど、1990年の時点では自分の周りの子ども達は禄にサッカー選手の名前なんて知らないくらいでした。みんなが知っているのはマラドーナくらい。日本のサッカー選手となると……うーむ、というレベル。

 では、サッカーは全然人気がなかったのか?と言うと、そんなこともなく。
 1980年代を席巻した『キャプテン翼』の超人気で、サッカークラブに入る子ども達は多く、サッカークラブに入っていない子ども達も放課後集まって公園でサッカーをしているくらいでした。サッカー漫画やサッカーアニメはみんな知っているけど、現実のサッカーは観たことがないので、ルールも曖昧なままみんなでボールを蹴っているというカンジで。



 そういう子ども達にとって、このゲームの「サッカー」って決して「ハチャメチャなサッカー」じゃなかったんですよね。“6人vs6人”で、石だらけのフィールドや氷のフィールドの上で戦い、必殺シュートが飛び交って、タックルやスライディングではファウルにならない―――それらは全然おかしいことではなかったし、しっかりとサッカーのゲームだったと思います。




 ……とは言え、です。
 今はもう2014年です。

 リアルなサッカーゲームはどんどん進化しているし、本田圭佑や香川真司の名前なら子ども達だって知っているだろうし、1990年にこのゲームをプレイした時と違って2014年にこのゲームをプレイしたら私だって「ハチャメチャなサッカーだなぁ(笑)」と思うのかと思ってプレイしてみたら……驚きました。


 あれ?意外にちゃんとサッカーしているぞ……!




○ あの時代にちゃんと「サッカーの楽しさ」をゲームで表現していた!
 そもそもなんですけど……『熱血高校ドッジボール部』だって決してリアルなドッジボールゲームではありませんよね。「相手のHPが0になって死ぬまでボールをぶつける」のがリアルなドッジボールだったら危険極まりありません!

 でも、あのゲームはちゃんと「ドッジボールの楽しさ」をゲームで表現していました。
 敵のボールをキャッチする気持ちよさ、リスクのあるダッシュシュートやダッシュジャンプシュートを撃つ時のドキドキ感、味方が一人しか残っていない時に外野でパスを回される怖さ、ボールをキャッチしたら一番強いヤツに渡してシュートを撃たせるソ連こんにゃろう。


 この『サッカー編』も同様に、“6人vs6人”だったり、必殺シュートが飛び交うゲームになっていたり、後ろからスライディングしてもファウルにならなかったりしていて……けっしてリアルなサッカーとは言えないのですが、ちゃんと「サッカーの楽しさ」をゲームで表現しているんです。それは、サッカーとは“スペース”の奪い合いだということ。



 “スペース”というのは、簡単に説明すると「敵のいない場所」。
 敵がいない場所ならば、自分にマークが付かないので思うようにボールが蹴られます。現実のサッカーも、この「敵のいない場所」を如何に作って、如何に使ってゴールに結びつけるのかというスポーツなのです。

 んで、『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』の話に戻します。
 このゲームを「ルール無用のケンカサッカー」と紹介する人が言う「後ろからスライディングやタックルをしてもファウルにならない」という部分なんですけど、この“ルール”があるおかげでむしろちゃんとしたサッカーゲームになっているのです。

 スライディングやタックルでボールが奪われやすい
→ 敵からスライディングやタックルを受けない位置でプレイをしなくてはならない
→ 「敵のいない場所=スペース」を如何に作るかというゲームになっている



 「後ろからスライディングやタックルをしてもファウルにならない」というゲームになっているから「ハチャメチャなサッカー」になっているワケではなくて、「後ろからスライディングやタックルをしてもファウルにならない」というゲームだからこそ「ちゃんとサッカーのゲーム」になっているのです。

 このゲームの特徴である「操作キャラは最初に一人を選んで、残りのキャラはコンピュータが動かす」であったり、“6人vs6人”というシステムであったりは、恐らくは当時のスペックとしてそういうものしか作れなかったということだとは思うんですが……
 こういうシステムのおかげで、「守備時に自分が敵のスペースを消す」プレイをしたり、「攻撃時に味方が作ったスペースに走りこむ」プレイが出来たりするので―――狙ってやったのか、結果的にそうなったのかは分かりませんが、「サッカーの楽しさ」の根源部分をしっかり楽しめるゲームになっているのです。


 これは、サッカーのルールを禄に知らなかった子どもの頃には気付きませんでした。
 サッカー大好きな大人になった今、プレイしてみてようやく気付けたことでした。



○ ゲームを理解するとガンガン攻略できる絶妙な難易度
 「くにおくん」シリーズは、「ルール無用のハチャメチャサッカー」みたいに表現されてしまうように「テキトーにガチャガチャやっていればクリア出来る」という誤解があるかも知れませんが、このゲームにはこのゲームなりのルールがちゃんとあって、それを理解することで攻略も楽になるしゲームとしても楽しくなるという特徴があります。


 Wiiのバーチャルコンソールで再プレイした時、どうやって遊ぶのかをすっかり忘れていてガチャガチャプレイしていて最初の敵にも勝てず、「何が面白いか分からねえや!」と投げてしまったのですが……
 今回Wii Uのバーチャルコンソールでリベンジを目指すため、各攻略サイトを熟読してからプレイしたところ、子どもの頃は倒せなかった服部学園も倒すことが出来て、「こんなに面白いゲームだったのか!」と発見することが出来ました。

 このゲームは「必殺シュート」以外の普通のシュートで得点を取るのは難しいです(※1)
 必殺シュートは、「空中のボールをオーバーヘッドかダイビングヘッドでシュートする」か「各キャラ固有の歩数時にシュートする」で出すことが出来ます。まずこれを知らないと最初の敵相手にすらどうしようもありません。

(※1:普通のシュートでも点が取れるパターンもありますが、一応ここでは伏せておきます)


 「くにおくん」シリーズではよくあることで、ついつい「主人公だから」という理由でくにおくんを使ってしまいがちなんですが、このゲームは操作キャラを他の部員にして、くにおくんはコンピュータに動かしてもらった方がイイです。
 初心者はこうじが楽らしいです。必殺シュートは上下がゴールからズレても入るし、“各キャラ固有の歩数”が3歩なので少しでもスペースがあると必殺シュートが撃てますし……あまりにも強力なので、慣れてきたら「操作キャラをこうじにするの禁止」という縛りプレイが必要なくらいです。


 序盤はキャラ性能が「味方>敵」なので、スペースなんて考えなくても敵を吹っ飛ばしたり引き離したり出来るのですが……
 後半は日本vsコートジボワールの身体能力の差が可愛く見えるくらい「味方<<<敵」というキャラ性能の差になるので、フィジカルとスピードに劣るチームで如何にしてスペースを消して敵にシュートを撃たせないか、一瞬のスキを狙ってこちらがシュートを撃つのか、という白熱の試合になっていきます。

kunio-soccer2.jpg
※ サッカーの試合の点数です



 とまぁ……ここまで絶賛してきましたが、
 欠点は「すぐ飽きる」ことです(笑)。

 得点パターンが限られているので、1周目は楽しいんですけど、操作キャラを変えて2周目をやろうとしてもやることは一緒なんですね。難易度調整もなくなっていますし。
 それは1人プレイで遊んだ場合であって、2人プレイは違うかも知れませんが……協力プレイはともかく対戦プレイは使えるチームが5チームしかないので、登場する全チームが使えた前作『ドッジボール部』からグレードダウンしている感は否めません。


 もちろんファミコンのゲームなんだから今のゲームみたいにボリュームたっぷりなワケがないし、バーチャルコンソールの500円だったらこれくらいのプレイ時間でも全然構わないと思うんですけど、他の「くにおくん」シリーズの傑作達に比べると物足りないかなとは思います。


○ 総評
 ということで、「みんなにもオススメ!」と言いたいワケでもないのですが、このゲームを「ハチャメチャなサッカー」だと誤解している人が多いのは「くにおくん」のファンでもあり「サッカー」のファンでもある自分には耐えられませんでしたし、1990年の時点でこういうゲームを出していたテクノスジャパンの凄さにもっと気付いてもらいたくて紹介記事を書きました。

 この『サッカー編』は、実は「くにおくん」シリーズの中で一番作品が出ていると言われていて……この後にゲームボーイで『熱血高校サッカー部 ワールドカップ編』、PCエンジン CD-ROM²で『熱血高校ドッジボール部 CDサッカー編』、PCエンジン Huカードで『熱血高校ドッジボール部 PCサッカー編』、メガドライブで『熱血高校ドッジボール部サッカー編MD』、ファミコン版の続編である『くにおくんの熱血サッカーリーグ』、そのDSリメイクである『くにおくんの超熱血!サッカーリーグぷらす ワールド・ハイパー・カップ編』が出ています。

 出すぎだっ!

 しかし、このゲームを遊んでいると「アイディアは素晴らしいからもっと煮詰めれば傑作になりそう」な予感がプンプンしてくるので。続編が出る度にブラッシュアップされていった可能性もありますし、メガドライブ版あたりは一度遊んでみたいなと思っているのですが、出してくれませんかねバーチャルコンソールに!

| ゲーム紹介 | 17:58 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

納得いく論調です。
ゲームは抽象化と抽出の産物。
リアルは「あれば嬉しい」程度の二の次。
それこそ例えばガンダムの本当にリアルなゲームを作ろうとしたら、索敵50分に戦闘は5分とかになっちゃいますしねw

| 児斗玉文章 | 2014/06/19 14:10 | URL |















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