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サッカーってそんなに勝てるスポーツじゃないんですよ

 今こそ、この言葉を思い出す時だっ!

「試合で勝った者には友達が集まってくる。新しい友達もできる。
本当に友人が必要なのは、敗れたときであり敗れたほうである。私は敗れた者を訪れよう。」
――― デットマール・クラマー(日本サッカーの父)



 サッカー日本代表は、2014年ブラジルW杯のグループリーグ3戦目のコロンビア戦に敗れ、1分2敗のグループリーグ最下位で大会を去ることになりました。

 「紙一重だった」と私は思います。
 1-4というスコアを見ると、完膚なきまでに叩きのめされたように思えるかも知れませんが……あの試合の日本は勝利のみがグループリーグ突破の条件でしたから、「1-1の引き分け」も「1-100の敗戦」も同じです。リスクを賭けて攻撃をし続けて、カウンターを喰らい続け、最後に足が止まってしまっての失点でした。これは2006年ドイツW杯でのグループリーグ3戦目ブラジル戦にも言える話です。

 「先制点が獲れていれば……」「勝ち越しゴールを奪ったのが日本だったら……」
 勝負の世界に「たられば」は禁句ですが、コロンビア戦に限って言えば敗因は「4失点したこと」ではなく「先制点を獲れなかったこと」「勝ち越しゴールを奪えなかったこと」です。


 1-4というスコアのショッキングさだけで、必要以上に日本の弱さを悲観しなくてもイイし。
 もしコロンビアと戦ったのがグループリーグの1戦目や2戦目だったら、同じスコアにはならなかったと思います。1戦目や2戦目だったら、同じ負けるにしても日本は得失点差を考えて戦わなきゃなりませんからね(※1)

 例えば、2010年の南アフリカW杯では、オランダと戦ったのが2戦目だったため日本は0-1での“最小失点差での”敗戦に持ち込みました。その結果、オランダと1戦目で0-2で敗れていたデンマークよりも得失点差で優位に立ち、3戦目のデンマークとの直接対決の時点で「引き分けでも日本がグループリーグ突破」という条件にすることが出来たのです。

(※1:ただし、1戦目・2戦目のコロンビアはベストメンバーですけど(笑))



 唸らされた二つの記事。

 「日本が子供の夢から覚める時」ブラジルW杯日本代表総括
 結果だけ見れば惨敗だが日本代表のスタイルは示した。あとは手付かずの守備に着手することが第一。

 確かに、思い返せばフィリップ・トルシエも若年世代から植えつけた「勝つためのサッカー」は守備の決めごとが多かったし、「Jリーグのチームは攻撃的なチームがほとんどなので私は代表で守備の戦術を植えつけている」ということを当時インタビューで語っていました。
 ジーコはその辺は選手達の自主性に任せていたけど、そのために選手間での意見の食い違いみたいなことが起こっていたという話だし。岡田監督時代の二大会はどちらも「人が人を徹底的にマークして押さえ込む」チームでした。

 そう考えると……ザッケローニという監督人選には「日本には攻撃面では申し分のないタレントが揃っているのだから守備面での強化を図りたい」というビジョンがあったのか!と、監督退任が決まってから今更ながらに気付いたのですし。結果的に、その思惑通りには行かなかったのかーと。




 とすると、次の監督も外国人監督が望ましいのかとか、若年世代から守備を教えるのはどうすればイイのかとか、「守備的サッカーはダサイ」みたいな風潮はどこから来ているのかとか、そもそも「南半球での開催なら季節が逆だから涼しいW杯になるだろう」なんて思ってたら全然ちげえじゃねえかバカヤロウとか、ロシアはちゃんと涼しいんだろうなボケエとか……考えたいことはたくさんあるのですけど。


 私が今回の記事を書いたのは、
 こんなことくらいでサッカーを嫌いにならないでと、伝えたかったからです。


 サッカーって、そんなに勝てるスポーツじゃないんですよ。
 W杯の本大会に進むだけでも大変なのに、出場している32チームの中でグループリーグを突破出来るのは16チームだけ。日本だけじゃない、スペインもイタリアもイングランドも今回はグループリーグで散っていますし。前回大会はフランスとイタリア、2002年日韓W杯ではフランス、ポルトガル、アルゼンチンがグループリーグで散っています(オランダに至っては予選で敗退している)。

 毎回グループリーグを突破しているのはブラジルとドイツとメキシコくらいで、残りの13枠は毎回違うチームが奪いあっているのです。日本は4年前は奪えたけど、今回は奪えなかった―――W杯で勝つのはそれくらい難しいのです。
 「グループリーグ突破がノルマ」と言えるほどの強豪国に、日本はまだなれていません。まだまだ「グループリーグ突破が目標」という国なんです。



 日本にとって、2010年の南アフリカ大会は「地の利」もありました。
 この季節の南アフリカは涼しく、運動量が落ちずに走り続けることが出来ましたし。標高の問題と公式球の問題ゆえに「ボールが飛びすぎる」「カーブがかかりにくい」という違和感が全チームを苦しめ、トップクラスの選手でさえロングパスの精度やクロスの精度がガクンと落ちていました。結果的に、2006年にオーストラリアにやられたような「背の高い選手にポンポン放り込まれるパワープレイ」は有効でなくなり、日本は安定した守備で失点を抑えることが出来たのです。
 その一方で、ボールが不規則な変化をするということで、本田圭祐のブレ球フリーキックは「魔球」と化してデンマーク戦の先制ゴールとなりました。

 今回のブラジル大会は逆に、日本にとってはムチャクチャ不利な状況の大会で。
 高温多湿な会場が続いた上に、ピッチコンディションも悪く……日本代表の生命線であった「運動量」と「ショートパスの精度」がガクンと落ちて。やりたいサッカーが出来ない状況に追い込まれてしまいました。



 正直なところ、W杯という大会は「最高の環境で最高の戦いが出来る大会」ではないんです。ヨーロッパのリーグが休みになった夏(北半球にとっての)に行われ、興行のために巡業のように様々な国が開催地になり、参加国の時差に合わせてテレビ中継しやすい時間帯での試合になって……

 今の日本サッカーは「Jリーグではレベルが低いから海外のチームに移籍しなきゃ!」と、有望な選手が次々とヨーロッパに移籍していますが。ドイツはともかく、スペインもイタリアもイングランドもグループリーグで敗退しているんだから「普段からヨーロッパのクラブでプレイしていればW杯で勝てる」なんてワケがないんです。

 むしろ、ヨーロッパの最高の環境に慣れたチームこそ苦戦しているとも言えて。
 実際2010年の南アフリカ大会も2014年のブラジル大会でも5チームがグループリーグを突破した南米勢は「劣悪な環境」をモノともしませんし、6大会連続グループリーグ突破のメキシコも高地だろうが高温多湿だろうが運動量が全く落ちませんし。
 そう考えるとドイツって何なの……という話もしたいけど、スポーツの取り組み方が違いますからねぇドイツは。男女違えど、なでしこはよくぞあんな連中に勝てたもんだ。



 次のW杯の舞台は「ロシア」、次が「カタール」。
 カタールは……まぁ、色々な問題があるので「本当にやるの?」とは思うんですが。

 ちなみにU-23代表が戦う五輪の舞台は、またしても「ブラジル」、次が「日本」です。
 日本……?7~8月の日本でサッカーやるの……?試合数を考えれば全試合をナイトゲームにってワケにも行きませんし、いずれにせよ暑い大会になりそうですね。


 これらの大会を「勝つ」ことを目標にするのなら、これらの地に合わせたチームを作るというのも一つの手だと思います。
 「自分達のサッカー」というものに固執せず、「勝つためのサッカー」を目指すという手です。2002年W杯も、2010年W杯も、それをやって実際にグループリーグを突破して。そしたら「もっと自由なサッカーを志すべきなんじゃないか」「スペインのような攻撃サッカーを目指すべきだったんじゃないか」と、毎回成功体験を台無しにしてきたから今大会の成績になっているんですが(笑)。


 「勝つためのサッカー」か、「みんなをワクワクさせるサッカー」か。
 W杯では輝かなかったけど、4年間の間ではショートパスを主体とするポゼッションサッカーをする日本を見せてもらったことが何度もありますし。それで幸せだった時期も確かにあります。「W杯で勝てなかった」という一点だけでそれを全部否定して良いものなのか、私には何とも言えません。


 そういう意味では、「これから先の日本代表」がどういう道を進むのかは楽しみですし、監督もそうですし、白紙に戻して新しいメンバーで組むことになるであろう選手達がどういう人選になるのか今から楽しみではあります。次の日本代表の大きな大会は、1月のアジアカップ(場所はオーストラリア)。

 もちろんそれまでにもJリーグがあって、その中から選手達は選ばれるのだろうし。
 そもそもその前に、今現在W杯はまだ続いていて、ここからが「W杯の上位進出チーム同士の戦い」になるのですからね。ここからが面白いところなのです!日本代表は負けたけど、サッカーは消えてなくなるワケじゃないし、これからもサッカーは面白いのです!

 個人的には、メッシにはW杯という舞台でも輝いてもらいたいのでアルゼンチンに決勝辺りまでは来てもらいたいのだけど……果たして。


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| サッカー観戦 | 17:56 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

気のせいかもしれないけど、選手陣の時差ボケと暑さ対策がきっちり出来ていなかったように見えた。地球の裏側に行くのに対策を少しでも怠ったらコンディション的には最悪になってそう。

| ああああ | 2014/06/29 00:01 | URL |

>ああああさん

僕もそう思いますし。第1戦の後に岡田さんも「コンディション調整に失敗したんじゃ」と仰っていましたね。
アメリカ合宿までは暑い環境で慣れていたのに、キャンプ地が涼しく、試合会場は暑いというのが、結果論だけど大失敗だったのでしょう。

4年前はそこが万全だっただけに、正直「どうしてこんなことになっちゃったんだろう……」と不可解です。

| やまなしレイ(管理人) | 2014/06/29 00:11 | URL | ≫ EDIT

今回の大会が日本にとって不利な状況だったって?
ギリシャなんてお金がなくて選手がファンと同じ一般のホテルに泊まったりしてましたが…
不利な状況だったのは日本だけじゃないと思いますよ。それで結果が出せなかった、しょうがないで済むのはアマチュアだけです。プロは結果が全て。

| わぱ | 2014/06/30 18:27 | URL |















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