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成長する日常系アニメが好きだ

※ この記事はアニメ版『ご注文はうさぎですか?』第12話「君のためなら寝坊する」までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。

 7月になりました。
 4月から始まった春アニメも一区切りが付き、7月から夏アニメが始まります。夏アニメが始まる前に、春アニメを通して自分が思ったことを書いておこうと思います。


 『ご注文はうさぎですか?』、面白かったです。

 4話まで観た時点での記事では、とても失礼な表現ですが「面白い作品ではないけどそれが癒される」と書いていました。しかし、6~7話辺りからストーリー構成の誠実さと、キャラの動かし方の巧みさに唸らされて、純粋に毎週毎週「今週はどんなことをしてくれるんだろう」とワクワクしながら放送を楽しみにしていました。

 4話の段階では分かっていませんでしたが、『ご注文はうさぎですか?』のアニメは「主人公の成長」と「キャラ同士の関係性の変化」をきっちり描く作品だったんです。
 一応言っておきますと、「主人公」というのはチノのことです。番組ラジオでも「オープニングの映像だとココアよりチノの方が映っている時間が長い!」ことがネタになっていましたが、アレが象徴するようにアニメは「チノの成長物語」としてまとめてあったのです。

 んで、たくさんいる女のコキャラがただ単に華やかさのためにそこにいるワケではなくて、「ココアとチノ」の関係と対比させるために「千夜とシャロ」の関係を使ったり、「チノの成長」を見せるために「おじいちゃん」や「青ブルマさん」を使ったり―――と、単にチノ一人にスポットライトを浴びせているワケでないのに、他のキャラを通してチノというキャラの変化を見せていく手法が見事でした。

 6話で嫉妬させて、7話でケンカさせて仲直りさせて、9話で自分が変われたことを祖父に打ち明けさせて、10話でココアから引き離されても大丈夫な姿を見せて、12話でココアのために奔走するチノを描く―――丁寧すぎる見事な構成に、「4話の時点であんな記事を書いててごめんなさい」「侮っていました」と正直思っとったです。終わってしまうのが寂しかったです。



 さて……
 しかし、この手の「日常系アニメ」は毎季のように作品が現れるもので、1年前の春アニメは『ゆゆ式』、夏アニメは『きんいろモザイク』、秋アニメは『のんのんびより』、冬アニメは『桜Trick』……そして今回の春アニメは『ごちうさ』と、「オマエら毎回終わるのが寂しい寂しいと言いつつ、次の季になったらあっさり次の作品に乗り換えてんじゃねえかよ!!」というツッコミを多数Twitterでも見かけました。

 確かにまぁ、説得力のあるツッコミではあるんですが……
 「日常系アニメ」って一括りにされてるけど、それぞれ方向性がちがくね?

 なので……「ファン層」も微妙に違うと思うんですよ。
 私は『ゆゆ式』は1話で切ってしまって、『きんモザ』はノーチェックで、『のんのんびより』は原作全巻買うくらい好きで、『桜Trick』は序盤と終盤を観たけどそんなに好きじゃなくて、『ごちうさ』は大好きでした。『桜Trick』はやっぱりこの中に入れるのは違うと思うんですけどねぇ。

 私が好きだった『のんのんびより』と『ごちうさ』でも、全然違う方向性でした。
 『のんのんびより』は「成長を描くストーリー」ではなかったし、『ごちうさ』は先ほど書いた通り「成長を描くストーリー」でした。


 もっと分かりやすい例を出しますと……
 2009年~2010年、日常系アニメの代表のように扱われた『けいおん!』も「成長を描くストーリー」でしたし、もっと言うと「終わり(卒業)のあるストーリー」だったんですよ。
 和以外のキャラクターはみんな成長が描かれましたし、1期の序盤から「この物語は高校3年間という限定した時間の中のストーリー」だと描かれていました(先輩達のカセットテープや花火などで)(※1)

 “日常系アニメ”という言葉の響きから連想される「永遠に続く日常を描くアニメ」という定義には『けいおん!』は当てはまらないんですよね。
 2期が終わったばかりの頃、「『けいおん!』はこのままサザエさん時空に突入して、延々と高校3年生をやり直せばイイんじゃないか」と言っていた人がいたんですけど(笑)。その話って「作り手が描きたかったもの」と「ファンが欲していたもの」のズレを象徴する話だったって今なら思います。

(※1:それらのシーンはアニメオリジナルの描写なので、頑なに卒業後を描かないのはアニメだけで、原作漫画では卒業後を描いた外伝が存在するという)

(関連記事:『けいおん!』アニメで描かれた“時間の残酷さ”について
(関連記事:『けいおん!』&『けいおん!!』アニメで真鍋和に与えられていた役割を考える


 恐らく『のんのんびより』なんかは、最初からサザエさん時空の物語ですよね。
 1季アニメの中ではちょうど1年間の季節が流れましたけど、彼女らは恐らく進級も卒業もしないんじゃないかと思われます。2期になったからと言って、お兄ちゃんが卒業しててどこにもいなかったり、こまちゃんの卒業が描かれて蛍がヤンデレ化したりはしないと思います。

 あの村にやってきた蛍に1年通して心境の変化がなかったとは言いませんけど、「成長」や「キャラ同士の関係性の変化」がメインとして描かれたワケではありません。2期が始まっても1期と同じような“日常”が描かれることと思われます。
 そういう意味では“日常系アニメ”という言葉の響きから連想されるアニメとしては、『のんのんびより』は最もイメージに近い作品だったのかも知れませんね。


 他の作品で言うと……『桜Trick』は上級生達の「卒業」が描かれていたし(「成長」があったかは自分は全話観ていないので分かりませんが)、『ゆるゆり』は多分「卒業」は描かれていなかったはず。この二作品でも全然違うんですよね。



 さて、『ごちうさ』は……と言うと。
 前述したように『ごちうさ』のアニメは「チノの成長」を12話を通して描くことをメインにしていましたし、第7話「Call Me Sister.」のラストシーン(5羽のうさぎが揃ったパズル)が象徴するように「5人が仲間になっていく過程」も描いていた作品だと思われます。

 4話には、千夜のこんな台詞もありました。

千夜「シャロちゃんだって……本当は分かってるんでしょ?
 学校以外だってこうして会えるんだもの。私達、大人になってもずっと一緒」


 『ごちうさ』のキャラクター達は「大人になること」を知っているのです。
 成長して、大人になって、そうしたらきっと別々の道を進むことになる―――このアニメは少女達が大人になっていく過程のほんの一瞬を切り取ったアニメだと言えて、自分はこの作品のそういうところが好きだったんだなぁと思うのです。



【せっかくなので三行まとめ】
・「日常系アニメ」と言っても、色んな方向性があるしファン層も多分違う
・それらの作品を「成長の有無」と「終わり(卒業)の有無」で分析すると面白そう
・『ごちうさ』は「チノの成長」を描く作品だったから、自分は大好きだったのだと思う


 ……と、ここまでずっと「『ごちうさ』は成長を描くアニメだったから好きでした」と書いてきたワケですが、「じゃあ『ごちうさ』と『のんのんびより』のどちらがオススメ?」と訊かれたら「オススメなのは『のんのんびより』の方」と答えると思います私(笑)。
 「日常系アニメでも「成長」を描いている方が好きだ」ってのはあくまで私の好みの話であって、みんながみんなそうだとは思っていないので……他人にオススメする方を考えると、“分かりやすい独自性”を持っている『のんのんびより』の方を選ぶという。難しい話。

(関連記事:「好きな作品」と「面白い作品」と「素晴らしい作品」は別


○ 余談
 しかしまぁ、こう考えると……「日常系アニメ」の定義ってよく分かりませんよね。
 『けいおん!』は日常系アニメと言われるけど、同じポニーキャニオン製作の『TARI TARI』や『たまこまーけっと』は日常系アニメとあまり言われないように思えます。男キャラが出てくると、恋愛の要素が絡むので「日常系アニメ」ではなくなるということですかね……

 『ラブライブ!』は日常系アニメ?
 「女のコだらけの青春部活アニメ」という切り口で考えるなら『けいおん!』と同じジャンルに当てはまりそうなのですが、『ラブライブ!』ってあまり日常系って言われているのを見ないような……大きな目標があるかとか、『けいおん!』は紅茶ばっか飲んでて『ラブライブ!』はしっかり練習しているという差ですかね。


 普通の作品は、物語の推進力としての「目標」を設定するものです。
 「ジオンが攻めてきたから戦わなければならない」とか「ドラゴンボールを7つ集めなくてはならない」とか「全国制覇をしなくてはならない」とか「魔法少女になって魔女と戦わなくてはならない」とか「憧れの丹波橋くんと付き合いたい」とか……

 「日常系アニメ」の定義を考えると、こうした「分かりやすい目標」を視聴者に提示しないことが一つの条件なのかなと思います。『ごちうさ』のストーリーの中でチノは成長したけれど、それはストーリーの「目標」ではなく、たまたま物語の中でそうなっていたというだけで。
 それに加えて、「(父親以外の)男キャラが登場しない」とか「出てくる女のコはみんな可愛い(ことを目指して描かれている)」とか「過度な悩みや苦労は存在しない緩い世界観」とか―――まぁ、そういうところか。


 さて、夏アニメの話。
 夏アニメ紹介の記事で自分が日常系アニメとして注目していると書いたのが『ハナヤマタ』でした。恐らく第1話のネタバレ満載ですけど、PV貼り付けておきます。



 すんげえ面白そおおおおおおだし、私の大好きな「主人公の成長」を軸に描いていく作品みたいでムチャクチャ楽しみなのですが……これは「日常系アニメ」ってカテゴリーで良いのか?と思わなくもないです(笑)。PVの時点で、主人公がムチャクチャ悩んでいるじゃないですか!

 『ヤマノススメ』も2期ではガッツリ登山をしていくみたいだし……「可愛い女のコが数人並んでいる」だけで日常系アニメにカテゴライズしていくのは、なんか違うんじゃないかと思い始めてきました。

| アニメ雑記 | 17:50 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ごちうさ、話が進むことで楽しみ方を示してくれるアニメでしたね
ところで、私はゆるい日常物って、大きく二種類あるんじゃないかなーと思ってます
登場キャラが視聴者のためにサービス精神でかわいく振舞ったり、ボケたり、ゆりゆりしたりする物…
と、登場キャラがその世界で自分のために、他の子に好かれたり嫌われるのが怖くて行動したり、悩んだり、まさかテレビで見られているとは思っていない物…
少なくとも自分は後者の方が、箱庭を眺めているようで癒されます

| ああああ | 2014/07/02 14:23 | URL |

「日常ものでくくられたくないなら、日常もののような絵柄やキャラ構成で作らなければいい」という実に反論しにくい正論があるわけですが、それもなかなか難しいですしね。
分かっていただくのは大変です。

| 児斗玉文章 | 2014/07/03 12:27 | URL |















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