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考察:「○○は俺の嫁」を、どういう意味で使っているのか

 ネット上でよく言われる「ヲタク批判」というか「ヲタク自虐」に、「ヲタクは3ヶ月ごとに嫁を変える節操のない人達」みたいな言説があります。
 「ヲタク」という言葉を使っていますが、これは「アニメオタク」に限った話です。深夜アニメは3ヶ月ごとに新番組が始まるので、3ヶ月ごとに「お気に入りの作品」が変わるし、「お気に入りのキャラクター」も変わる―――という話なんですが。


 2009年4月から、5年6ヶ月の間ずっと「平沢唯は俺の嫁」と言い続けている私は節度があって、人間的にも立派で、人望を集めるべき存在であると思うんですが!どうなんですか!どうなんですか!!

 とまぁ……『SHIROBAKO』を観て、10年前の『げんしけん』最初のアニメのことを思い出して、この10年で「ヲタク」に対する扱いも変わったよなーと考えている間に――――「俺の嫁」って言い回しはいつから使われているのか、自分は「俺の嫁」をどういう意味で使っているのか、私はいつまで「平沢唯は俺の嫁」と言い続けているのか、考えてみたくなったのです。
 いや、別に『SHIROBAKO』観てて「絵麻かわいいなー、絵麻かわいいなー」と思っているから「安原絵麻は俺の嫁」と言いたいというワケでは……なくもないんですけど(笑)、ちょっと「かわいい」と「俺の嫁」は別の感情なんじゃないかと思うのです。


 果たして、「俺の嫁」って何だ……?



○ 「俺の嫁」は、いつから使われているのか?
 『SHIROBAKO』の2話に、「“萌え萌え”って死語だろ」という会話があるんですよ。その直前に「(これって)萌えアニメじゃないの?」という台詞があるのに。
 でも、確かに自分もそう。「萌えアニメ」という言葉はまだ使っているけど、「萌え萌え」とか「○○たん萌え~」とかは使っていません。使っている人も、最近ではネット上でもあまり見ないように思います。それこそ『げんしけん』の最初のアニメをやっていた2004年くらいの時期は普通に使っていたと思うんですけどね。


 で、「俺の嫁」。
 この言葉がいつから使われているのかを、思い出してみると……2006年の『涼宮ハルヒの憂鬱』の頃には「長門は俺の嫁」という言葉があったので、少なくとも2006年には定着していたと思います。元々は腐女子の人達が使っていた言葉だとか(実際、現在でも女性ヲタクが男性キャラに使うことも多い)、90年代からあったものが変化したとか、色んな説があるのですが……

 俺の嫁 /嫁同人用語の基礎知識

<以下、引用>
 ただしパソコン通信の時代は、「嫁」 よりは 「恋人」 というニュアンスが前述の通り多かったですし、「萌え」 という言葉が流行り言葉となっていましたから、「俺の嫁」が2000年代後半のような流行り方はしなかったのだと思います。
 しかし 「萌え」 が流行語大賞にノミネートされる (2004年) など、あまりに一般化して拡散、あるいはおたくな人たちの中で言葉としては陳腐化する中で、新しい云い回しとして2000年代中期に注目を集めるようになったのでしょう。

</ここまで>
※ 改行・強調は引用者が手を加えました


 自分の感覚でもしっくり来る話。
 2004年は『電車男』のあった年。流行語大賞のノミネートに「アキバ系」「電車男」「メイド」「コスプレ」「萌え」が入っていたそうです。『げんしけん』1度目のアニメ化もこの時期。そして、2005年の流行語大賞では「萌え○○」がトップ10に入っていたそうですし、『電車男』の映画化・ドラマ化もこの時期。

 「流行語大賞を取ったお笑い芸人は消える」という法則のように、一般にまで広く「萌え」という言葉が浸透してしまったために、ヲタクは「○○たん萌え~」とは言わなくなった―――でも、分類を表す言葉として「萌えアニメ」とか「萌え絵」とかは残った。こんなカンジですかねぇ。


 そして、「○○たん萌え~」と入れ替わるように「○○は俺の嫁」という言葉が使われるようになって、2006年には「長門は俺の嫁」に代表されるように定着した―――「起源」は分かりませんけど、「転機」としては大体こんなカンジかなと。



○ どういう意味で使っている?
 ただ、私の言語感覚としては「○○萌え」と「○○は俺の嫁」は、ちょっとニュアンスが違うとも思うんですね……いや、「萌え」という言葉も何を意味しているのかは正直よく分からんのですが……「俺の嫁」はかなり限定した感情であって、単に「このキャラかわいい」の最上級ではないと思うんですね。


 俺の嫁(Wikipedia)
 俺の嫁(ニコニコ大百科)
 俺の嫁(ピクシブ百科事典)

 主に男性が理想的な女性(2次元のキャラクターを含む)に対して発する言葉
 Wikipedia

 ネット上やオタクの間では「お気に入りの二次元キャラ」に対して使われる。
 ニコニコ大百科

 架空のキャラクターに対する愛情表現。萌え。
 ピクシブ百科事典


 いずれの場合も「肯定的な意味」で紹介されていますね。
 決して「旦那の稼ぎが少ないことを罵ってくる」とか「旦那の留守中に男を連れ込んでいる」とか「家の中で旦那だけいないものとしている」みたいな「否定的な意味」では使われません。肯定も肯定、キャラクターに対する「全肯定」として使われることが多いんじゃないかなーと自分は思います。

 「○○さん、可愛い」だったら、見た目の可愛さへの言及。
 「○○たん萌えー」だったら、「愛玩」だったり「見ていたい」だったりの感情。
 「○○は俺の嫁」だったら、見た目も境遇も人間性も全部ひっくるめての肯定―――ってカンジかなと思います。


 加えて言うと、「俺の嫁」の「俺の」の部分には“独占欲”“支配欲”のようなものもあって、「嫁」の部分には“特別な一人”という意味が込められていると思います。
 「唯可愛い、澪も可愛い、ムギちゃんも可愛い、あずにゃんも可愛い」という発言は何も間違っていないけど……「唯は俺の嫁、澪も俺の嫁、ムギちゃんも俺の嫁、あずにゃんも俺の嫁」とは言ってはなりません。
 いや、まぁ……“だからこそ”「みんな俺の嫁!」と言う人もいるのは確かですが、基本的にはその中から一人を選んで「平沢唯は俺の嫁」という発言になるんじゃないかと私は考えています。


 つまり……使い方としては、
 「エヴァで言えば、お前はレイ派?アスカ派?」「伊吹マヤ派」といったカンジの「○○派」とか、アイドルに対しても使われるし『SHIROBAKO』でも「あやちん推し」という言葉が出てきたように「○○推し」に近い言葉―――それの、より拘束力の強い言葉として「○○は俺の嫁」という言葉があるんじゃないかなと。


 「○○は私の旦那」とは言わないので、男女差別感もあるのだけど……女性ヲタクが好きな男性キャラを言う時にも「私の嫁」という表現が使われたり、作品に対するカップリング妄想で「男×男」「女×女」を語る時にも「○○は△△の嫁だから―――」という表現が使われたりするように。
 「嫁」という言葉が性別を超越している感もあります。小さな女のコが「しょうらいのゆめは、およめさんです!」と言うみたいな、概念的で現実感のない存在が「俺の嫁」なのかも知れませんね。


○ 「好き」だけど「俺の嫁」とは違う感情
 「俺の嫁」に本来なら近いはずの言葉に「孕ませたい」という言葉があります。
 好き→結婚→嫁→子作り→妊婦さん(イヤッホゥウウ)
 という流れを考えれば似た位置の言葉に思えるのですが……

 「平沢唯は俺の嫁」と「平沢唯を孕ませたい」では、全然印象が違いますよね(笑)。
 相手の了承も得ずに「俺の嫁」と言うのだってそりゃどうなんだって話なんですが、「孕ませたい」となるとより“身勝手さ”が出て“体が目当て”感が凄い。純粋に「私の子どもを産んで欲しい」みたいな意味ではなく、「中出しセックスがしたい」というニュアンスになってしまうという不思議。

 それに比べると、「俺の嫁」の紳士さと真摯さは立派ですよね!
 最初から「責任を取るつもりですよ!」と意思表示をしているワケですからね!そうでもない?そうですか。


 ちなみにコレも女性ヲタクが男性キャラに対して使っているのを見たことがあるのだけど……作中の男性キャラ同士を妄想して「孕ませたい」なら分かるんだけど、女性である自分が男性キャラを「孕ませたい」と言っている人を見るともう何が何やら(笑)。


 考察:「エロイと思うキャラ」と「エロ同人誌を描きたいキャラ」は別

 懐かしい記事。2007年ですって!
 元々は西園寺さんの書いた「萌えという感情にエロは含まれるのか?」という記事に影響を受けて書いた記事で、まぁ……今とは随分キャラの趣味が違うな……というカンジなのですが。


 私は「平沢唯は俺の嫁」と5年6ヶ月も言ってきたワケですけど、平沢唯でエロイことを考えられるワケでもないし、平沢唯のエロ同人誌を読みたいとは思わないし、描きたいとも思いません。

 昔、「アニヲタ=女性キャラ目当てで観ている=萌えがどうこうにしか興味ない=しかも性的な目で見ているのでエロ同人誌が大好き」という偏見について記事を書いたことがあるんですけど……その記事にすら「そんなワケがない!」ってコメントが付くように、きっと「俺の嫁」と言っているからには「コイツは毎日平沢唯でオナニーしてんだろうな」的に思っている人がいるかも知れません。
 でも、よく考えろオマエラ。世の中の夫婦で、「嫁」のエロ同人誌を読んだり描いたり、「嫁」を妄想してオナニーしている夫がいるか?いや、いないとも断言できないけど……「俺の嫁」と言ったからといって、オナニーのオカズにしているワケじゃないですからね!


 別に……あの…「好きな人をオナニーのオカズに使うのは失礼だ!」と言いたいワケでも、「好きだったらオナニーのオカズに使うべきだ!」と言われたいワケでもなくて。「○○は俺の嫁」という感情と、「エロイことを考えられるかどうか」は別の基準であって―――たまたま私は「エロイことは考えられない」キャラを、「俺の嫁」だと思ってしまっただけです。

 なんか……ここはちゃんと言っておかないと、全アニヲタが性欲の塊みたいに思われるのが許せんなと、過去の記事のコメント欄を見て今更憤っているのですよ。ホント今更。



 あと、これは何度かウチでも書いた話ですが……作中でカップリングが成立していると「俺の嫁」とは言いにくいというのもありますね。

 「貴方の好きなヒロイン」には、主人公とくっついて欲しいですか?

 主人公とくっ付いてしまうヒロインとか、男女関係なく「俺」より相応しいカップリングが作中にいる場合は、「俺の嫁」とはなかなか言わないかなーと思います。『アルドノア・ゼロ』の韻子も私は大好きだったけど、韻子はニーナの嫁なので「俺の嫁」とは思いませんでした。

 「俺の嫁」は作中では(恋愛的に)報われないキャラに使いたくなる感情かな、と。
 それを言い出すと……「平沢唯はあずにゃんの嫁だろ!」と言われかねないのですが……私が言い始めた第1話にはあずにゃん出てなかったし、憂もほとんど絡んでなかったし、「あくまで個々人の感覚です」と言い訳しておきます(笑)。



 なので、『SHIROBAKO』の絵麻はかわいくてかわいいしかわいいのですが、今の段階だと「俺の嫁」というよりも「しずかの嫁」ってカンジなので……まだ何とも言えないんですね。
 「東京行ったらクーラーある部屋に住もうね」って言っているということは、キミタチ同棲することを前提の上京ですかい!みたいな。若手女性声優と新人アニメーター(女)のカップル!うん、イイ!そんなあの2人が現在どうなっているのか、うーん……『SHIROBAKO』の続きが早く観たい。


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 あぁ……っ!
 やっぱり唯はかわいいな……


【3行まとめ】
・「萌え」という言葉が陳腐化したことで、「俺の嫁」という言いまわしが定着した
・キャラクターの「全肯定」であり、一人だけを「推す」表現で、「エロ」はあんま関係ない
・作中でカップリングが成立していて、そこに満足している場合は使われない
・平沢唯はやっぱりかわいい


 この「俺の嫁」という表現。
 二次元だけではなく、ネット上では三次元の対象にも使っている人はいて、例えば「なでしこジャパン」の試合でも「俺の嫁が活躍した」と言う人もいるんですね。これもまぁ、アイドルの「○○推し」に近い表現なのかなと思います。でも、私は流石に三次元には使いづらいな……(笑)。


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| ヒンヌー | 17:55 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

一番好きなキャラと嫁にしたいキャラはまた別だから困りもの。

| ああああ | 2014/10/29 20:12 | URL |

アイドル現場でも曲中で「おーれーの、○○!」ってコールが発生しますねー。
周りに対してのアピールにもなりますから、ネットで吐ける「俺の嫁」より独占欲強くなる台詞だと思います。

| ねぎ | 2014/10/29 21:30 | URL |

使ったことのない表現だけど、気持ちはよく分かります。
わざと退かれる表現にしてアヤつけてくる連中から戦略的に距離を置いてるのかなぁ、と。

| 児斗玉文章 | 2014/11/01 13:01 | URL |















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