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私、クライマックスシリーズ賛成派になりました

 唐突に書きたくなったので、今日はプロ野球の話です。
 「野球には興味ないよー」という人もいらっしゃると思いますが、どうしてもどこかに書いておきたくなったので書かせてください。


 現在、日本のプロ野球は全部で12チームです。
 それを6チームずつに分けて、巨人・阪神・広島・中日・DeNA・ヤクルトがセ・リーグ、ソフトバンク・オリックス・日本ハム・ロッテ・西武・楽天がパ・リーグという2リーグ制になっています。

 途中、もう1つのリーグのチームと戦う「交流戦」というものもありますが……基本的には「同一リーグの6チームで半年間試合をしまくり」、6チームの中で最も勝率の高かったチームがリーグチャンピオンとなります。
 んで、昔は……リーグチャンピオンが決まった後に、セ・リーグのチャンピオンとパ・リーグのチャンピオンが直接対決7試合をする「日本シリーズ」を行い、4勝した方が日本一のチームとなっていました。

 そこから色々あって……今はちょっとルールが変わっています。
 リーグ戦が終わった後、リーグ戦の1位・2位・3位のチームが変則的なトーナメント戦の「クライマックスシリーズ」を行い、その「クライマックスシリーズ」の優勝チームが「日本シリーズ」に進出して、日本一を争うことになりました。

 つまり、半年間かけて行う「リーグ戦」のチャンピオンではないチーム……リーグ戦の順位が3位のチームでも日本一になれるというルールなのです。



 野球ファンの中には「このルールはおかしいんじゃないのか」という人もいます。これでは「リーグ戦」の意味がないんじゃないのかという意見です。それはすごくよく分かります。

 私も一野球ファンとして、クライマックスシリーズは「ベスト」ではないけれど「他にイイ案がない」ので消極的に賛成しているというくらいの立ち位置でした。
 かつてはリーグ戦の「1位」になれなければ「2位以下」はみんな一緒だったので、消化試合が多くなってしまっていたのですが……クライマックスシリーズのような制度が出来てから、「1位」「2位」「3位」と「4位以下」に分かれるため消化試合が少なくなり、シーズン終盤の盛り上がりは増えたと思います。

 なので、「真の強者」を決めるルールとしては歪だけど、興行的に成功しているなら文句が言えないなぁ……くらいに思っていました。


 しかし、今年のリーグ戦、クライマックスシリーズ、日本シリーズを観て少し考え方が変わりました。
 そもそも、日本のプロ野球の「リーグ戦」自体が「真の強者」を決めるルールの「ベスト」だったのか?と思ったのです。

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 自分の大好きな漫画『ONE OUTS』の6巻にこういうシーンがあります。
 この漫画は日本のプロ野球を舞台にした漫画なのですが、連載開始が1998年なのでクライマックスシリーズのような制度が出来る前のルールのプロ野球です。つまり「リーグ戦の優勝者が日本シリーズに進む」というルールだった頃を舞台にした漫画です。

 “こういうシーン”というのは、主人公:渡久地東亜が三原監督に「優勝をするというのはどういうことか」を教えるシーンです。この時期は「交流戦」もまだ始まっていないので、純粋に6チーム総当りのルールの頃ですね。


・Aという球団は、このシーズンは全ての球団に3つずつ勝ち越した
・Bという球団は、このシーズンは4つの球団に負け越したのだが、Cという球団にだけは異常に強く25勝2敗と大きく勝ち越し、最終成績は17の勝ち越しになった


 この2チーム―――「どっちが強いチームだ?」と言われて監督やコーチは「A」と答えるのだけど、実際に優勝になるのは「B」なんです。Aは勝ち越し15で、Bは勝ち越し17ですから。



 つまり、リ-グ戦というのは「真の強者」でなくても優勝が出来るんです。
 4つのチームに負け越すようなチームであっても、1つのチームをカモにして勝ち星を稼げれば優勝が出来るんです。渡久地は、対戦相手の城丘監督率いるバカブーズはそういうチームだと指摘しているのです。


<以下、引用>
「城丘率いるバカブーズは典型的後者だ。
こいつら、どう見たってリーグ最強とは言い難い。それはきっと城丘自身もわかってるはず。だが、そんなチームでもリーグ戦ならのし上がれる。簡単だ。カモとなるチームを作ればいい。」

</ここまで>



 では、現実の2014年シーズンのパ・リーグの成績を見てみましょう。
 シーズン変わっちゃうと上書きされると思うので、ここにも書いておきますが……

 「リーグ戦」の優勝チーム:ソフトバンクは、オリックスに勝ち越し1、日本ハムに勝ち越し4、ロッテに勝ち越し2、西武に勝ち越し5、楽天に5割―――交流戦の成績も含めて勝ち越し18でした。
 「リーグ戦」の最終盤まで優勝争いをしていたオリックスは、ソフトバンクに負け越し1、日本ハムに5割、ロッテに勝ち越し2、西武に勝ち越し3、楽天に勝ち越し10―――交流戦の成績も含めて勝ち越し18でした。


 『ONE OUTS』の例えで言えば、ソフトバンクは(交流戦を除けば)全チームにまんべんなく勝ち越した「A」タイプのチームで。オリックスは「B」ほど極端ではありませんが、下位チームへの勝ち越し―――特に楽天をカモにして順位を上げた「B」タイプのチームだと思います。



 では、次にセ・リーグの成績を見てみましょう。
 「リーグ戦」の優勝チーム:巨人は、阪神に勝ち越し2、広島に勝ち越し3、中日に勝ち越し8、DeNAに負け越し2、ヤクルトに勝ち越し2―――交流戦の成績も含めて勝ち越し21でした。
 「リーグ戦」2位の阪神は、巨人に負け越し2、広島に勝ち越し4、中日に勝ち越し1、DeNAに勝ち越し8、ヤクルトに勝ち越し2―――交流戦の成績も含めて勝ち越し7でした。
 「リーグ戦」3位の広島は、巨人に負け越し3、阪神に負け越し4、中日に勝ち越し4、DeNAに勝ち越し7、ヤクルトに勝ち越し8―――交流戦の成績も含めて勝ち越し6でした。


 セ・リーグの上位3チームは……巨人は中日から、阪神はDeNAから、広島はDeNAとヤクルトから大量の勝ち越しを稼いでのこの順位です。巨人はまぁ上位対決での成績もイイのですが、どのチームも「カモにしているチーム」があったからこそと言えると思います。



 言葉は敢えて「ちょっと過激な言葉」を使いますけど、
 リーグ戦って、実は「弱いチーム相手にどれだけちゃんと勝てるのか」で順位が決まるルールだと思うんです。

 確かに、今シーズンはソフトバンクは(交流戦を除けば)「負け越した相手のない」優勝でしたし、巨人は「上位陣には勝ち越している」優勝なので……今年がその例に当てはまるワケではありませんが。リーグ戦というのは得てしてそういう側面を持っているルールだと思うのです。



 では、クライマックスシリーズはと言うと……
 上位3チームの対決になるため、下位3チームは出場しません。オリックスの「カモ」になっていた楽天や、巨人の「カモ」になっていた中日、阪神の「カモ」になっていたDeNA、広島の「カモ」になっていたヤクルトは出場できません。

 つまり、クライマックスシリーズは「弱いチーム」のいない「強いチーム同士の直接対決」で優勝が決まるルールなんです。



 サッカーでは「リーグ戦」と「カップ戦」という2つの形式があります。
 日本の場合、Jリーグが「リーグ戦」で、ナビスコ杯や天皇杯が「カップ戦」。
 Jリーグもクライマックスシリーズみたいなものを導入するだとか、ナビスコ杯にもグループリーグというものがあるのですが……基本的には「リーグ戦」が総当りのリーグ戦で、「カップ戦」がトーナメント戦になります。

 んで、どこの国でも「リーグ戦」の勝者こそが「真の強者」だという風潮があるみたいなんですね。
 組み合わせの運が重要な「カップ戦」よりも、総当りで対戦する「リーグ戦」の方が公平だ……ということなんでしょうし、私もそう思っていました。だから、日本のプロ野球も「クライマックスシリーズ」よりも、「リーグ戦」の方が重要だと思っていたのですが。



 どちらが公平かというより……測れる「強さの基準」が違うだけだって、今の自分は考えています。
 「クライマックスシリーズ」は顕著ですが、「カップ戦」のようなトーナメント戦は特に上位に来れば来るほど「強い者同士の対決」になって、「強いチームに勝てるチーム」が勝ち上がれる。
 「リーグ戦」は、「強いチーム」も全体の中の1チームでしかないので、強い者同士の直接対決よりもそれ以外のチームとの対戦の方が重要で、「弱いチームに勝てるチーム」が上位に来る。

 これは特に……チーム数の少ない日本のプロ野球は、そうなりやすいんじゃないかと思います。同じチームと24試合も戦うので、「カモ」に出来るチームがあると、そのチームから最大「24の勝ち越し」を稼げますからね。



 では、「日本シリーズ」に進むチームはどちが相応しいのか。
 「弱いチームに勝てる」リーグチャンピオンか。
 「強いチームに勝てる」クライマックスシリーズ優勝チームか。

 そう考えると……「リーグチャンピオン」は「リーグ戦」だけの成績で決めて。
 日本シリーズに出場するチームは、強いチームだけのクライマックスシリーズを行って決める―――ただ、リーグチャンピオンには「1勝」のアドバンテージを与える。という現行のルールは、それほど悪くはないんじゃないかと思うようになりました。基準の違う「二つの強さ」を測れるルールではないかと。
 もちろんもっと「イイ案」があるのなら別ですが、現状ではこれが「ベスト」のルールかなと私は思います。



 私は別にプロ野球の関係者でも何でもないので、私が「ベストだ!」と言おうがなんだろうが何かが決まる権限なんてありませんし……日本のプロ野球の未来なんてものを真剣に考えているワケではありません。
 私が今日の記事を「どうしてもどこかに書いておきたくなった」のは、これは「ルール」を決めることの面白さと難しさを内包した話だなと思ったからです。スポーツにしてもゲームにしても、「強者」を決めるためには「ルール」を決めなくてはならない―――その「ルール」のあり方を考えたのです。


 例えば……サッカーのワールドカップでは、最初に4チームずつに分けて「グループリーグ」というリーグ戦を戦い、その上位2チームが「決勝トーナメント」に進みます。「弱いチームに勝てるチームが上位に来る」リーグ戦と、「強いチームに勝てるチームが勝ち上がる」トーナメント戦の融合ルールなんですね。
 日本は2回ほど「グループリーグ」を突破したことがありますが、2回とも「決勝トーナメント」は1回戦で敗れました。あの2回のチームは、城丘監督のバカブーズのように「リーグ最強とは言いがたいチームだからこそリーグ戦を勝ち上がるために割り切ったチーム」でした。それ故に、「強い者同士の対決」である「決勝トーナメント」ではあっさり敗れてしまいました。


 また、この「グループリーグ」の順位の決め方にも議論があって。
 FIFAの主催するワールドカップと、UEFAの主催するヨーロッパ選手権やチャンピオンズリーグではルールが微妙に違います。3試合(※1)の成績を「勝ち:3点」「引き分け:1点」「負け:0点」の合計点で競う“勝ち点”で順位を決めるのはどこも一緒なのですが、“勝ち点”が並んだ時の順位の決め方が……ワールドカップでは「3試合合計の得失点差」で決めるのに対し、ヨーロッパ選手権やチャンピオンズリーグでは「順位が並んだ2チーム同士の対決で勝った方」で決めるのです。

(※1:チャンピオンズリーグの場合はホーム&アウェイの6試合)

 つまり……ワールドカップは「弱いチームからどれだけ大量点を取れたか」で順位が決まるのに対して、ヨーロッパ選手権やチャンピオンズリーグは「強いチーム同士の直接対決を制した方」で順位を決めているのです。




 「真の強者」を決めるルールというのはそれだけ難しく、意見が分かれるものなのです。
 「弱いチームに勝てるチーム」が強いのか、「強いチームに勝てるチーム」が強いのか―――意見はそれぞれ違うでしょうし、「クライマックスシリーズ」にも賛否両論あるのは当然だと思います。

 ただ、私は「日本シリーズの出場チーム」に関しては「強いチームに勝てるチーム」が出場するべきだと思うので、現在のルールに賛成になりました。



 と言いつつ……今年は巨人がクライマックスシリーズでボロ負けしたので、来年・再来年辺りにクライマックスシリーズが廃止されているかも知れませんね(笑)。
 でも、これは「真の強者」を決める「ルール」を考える上で、野球に限らず見過ごせない視点だと思うのです。そう考えるとやっぱり渡久地ってすごいね。『ONE OUTS』大好きな漫画なんで、みんなも読むとイイと思いますよ!

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| ひび雑記 | 17:50 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

確かに弱小チームから稼いだチームは強いとは言いがたいし、CSでリーグ戦が面白くなったのは間違いないんだけど
半年かけて決めた勝者をたかだか1週間でひっくり返すのは納得いかない
せめてゲーム差に応じてアドバンテージを増やしてもらいたい

| ああああ | 2014/11/13 10:17 | URL |

「ペナントレースを制した球団(セリーグなら巨人、パリーグならソフトバンク)が日本一になれる資格を持つ」のが前提であり、日本一になれる資格が2・3位までに広げたら、ペナントレースを制することの意味がなくなる上に、どの球団も「3位までに入れればいいや」になっちゃう。こんな展開見ていて、誰が面白いって思いますかね。

| ああああ | 2014/11/13 22:11 | URL |

NPBの場合はシーズンで24試合戦った相手とまた戦うってのがしっくりこないところかなと思います。
MLBの場合はワイルドカードがありますけど基本的にはシーズンで数試合しか戦わない他地区他リーグが相手になりますから。

個人的にはペナント重視なのでもう昔ほど日本シリーズには興味がなくなりましたよ…。

| マサ | 2014/11/14 11:17 | URL |

>マサさん

>シーズンで24試合戦った相手とまた戦うってのがしっくりこないところかな

 これは確かに。
 他の人の反応を見ても、(私はそうは思わないのですが)「リーグチャンピオン」よりも「クライマックスシリーズ優勝」の方が偉いと思われているのが反対意見に多いので。

 「リーグチャンピオン」は「リーグチャンピオン」で尊重する意味でも、クライマックスシリーズは「セ・リーグ」「パ・リーグ」の区別をなくした方がイイかもですね。
 例えば、「セの3位vsパの2位」というたすきがけにするとか。あとは「セパの上位2チーム(合計4チーム)」でリーグ戦をするとか。

 その結果、「今年の日本シリーズはソフトバンクvs日本ハムです!」みたいなことになるかも知れないけど……日本シリーズが「真の強者」を決める目的ならば、それはそれかなと思いますし。

| やまなしレイ(管理人) | 2014/11/14 20:00 | URL | ≫ EDIT

目から鱗の大逆転

 なるほど。システムを聞いた際には全く意味が分からなかったのですけど、こういう意図があっての制度なのですね。

 無駄にややっこしいだけでデメリットしかないように思っていましたが、きちんと知れば意外に納得のいくシステムです。
 勉強になりました。

| kanata | 2014/11/15 01:25 | URL | ≫ EDIT

連投失礼します。
いくら「ペナントがカモ球団を見つけて勝ち星を稼ぐ、CSがカモ球団がいないガチンコ勝負」だとしても、去年の広島みたいに

3位になったけど負け数が多い
その球団に真の強者と名乗れる資格があるのか?
そんな球団がCS制覇したらペナント制覇した巨人に失礼すぎる
ってなってしまいます。

クライマックス(climax)は「物事が最高潮に盛り上がる状態」って意味ですけど、ペナントを制覇したチームにとってはcry max、つまり「(悪い意味で)大泣き」ですよね…

| ああああ | 2014/11/15 08:26 | URL |















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