やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

「この作品、泣けます!」という言葉はとても便利

 何度その話をするんだよと言われそうですが、先月の私はこの記事を書くために1ヶ月間バンダイチャンネルでアニメを観漁っていました。「今まで観たかったけど観ていなかった作品」を中心に観たので、面白い作品が多かったですし。

 また、それを受けて「バンダイチャンネルの「見放題」で観られる作品の中から選んだオススメの9作品」をその記事で紹介することにしました。当然これも自分が面白いと思った作品ばかり。


 皆さんは1日に9作品ものレビューを書いたことがありますか?
 3行レビューはしたことあるけどちゃんとした文章で書いたことは、長くブログを続けている自分でもひょっとしたら初めてかもと思いました。
 「自分の好きな作品ばかり紹介できるんだから楽しいんじゃない?」と思われるかも知れません。確かに楽しいし苦痛ではなかったんですけど、全部好きな作品だからこそ、油断するとどの作品も紹介文が同じようになってしまうんですね。だから、意識して違う表現になるようにしましたし、この言葉は使わないようにしようとしたところもあります。


 使わないようにしたのは、「泣ける」という言葉。
 これを使ってしまうと、この作品もこの作品もこの作品も「泣ける」という言葉になってしまうと思ったんです。

 1本目。『TARI TARI』
 まぁ、泣けますね。個人的には2話と6話が泣きポイントで、当時は何度も繰り返し観て泣いていました。

 2本目。『true tears』
 これも泣けますね。最終話はボロッボロに泣きました。

 3本目。『機動戦士ガンダム』
 単純に「泣ける」と言ってイイのかは分かりませんが、でも泣けますよね。大西洋あたりが泣きポイント。

 4本目。『機動戦士ガンダム0080』
 シャレにならんくらい泣けますね。これまでに何度も何度も繰り返し観てきた作品なのに、今回も号泣しましたね。

 5本目。『ラブライブ!』
 当然泣けますね。3話はもちろん泣けますし、4話や5話も個人的にはかなりの泣きポイントだと思っています。

 6本目。『ご注文はうさぎですか?』
 これは別に……泣けないかな……実は結構グッとくるところもあるんですけど、「泣かせにかかる」深刻な“タメ”がないので、私は別に泣きませんでした。そういう深刻さがないところが『ごちうさ』の魅力でもありますし。

 7本目。『プラネテス』
 もちろん泣けますね。最終話の美しさに泣けるのはもちろん、18話もかなりの泣きポイントですね。

 8本目。『未確認で進行形』
 これも……多分…泣かなかったかな。シリアスなシーンがなかったワケではないし、最終話は「泣かせにかかる」話だったと思うんですけど。私としてはこの作品には「泣ける」かどうかを期待していたワケではなかったためか、特に泣きはしませんでした。

 9本目。『アイドルマスター』
 もちろん号泣しますよね。色んな方向の話をするこの作品だけど、「泣かせにかかる」時の破壊力ったら半端なかったですね。20話はもう体中の水分がなくなりかねないほど泣きました。



 9作品中7作品で私は泣いているのだけど、7作品全部に「このアニメは泣けますよ!」と書いたら「泣ける」ということが薄っぺらくなってしまうと思ったんですね。「泣ける」が大量生産され過ぎて「泣ける」の価値が下がりかねません。
 なので、「泣ける」というニュアンスの表現を使ったのは『アイドルマスター』1本だけにしました。それも「色んな話をするアニメ」の一方向を書いただけに留めて――――

 こんな風に「泣ける」という表現を封印してみて、改めて考えました。
 「この作品、泣けるよ!」という言葉の便利さ。


アイドルマスター 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]アイドルマスター 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]

アニプレックス 2011-10-27
売り上げランキング : 4040

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 昔こんな記事を書きました。

 「好きな作品」と「面白い作品」と「素晴らしい作品」は別
 「新しい」という評価基準

 自分の中に作品を評価する基準は「レベル5←→レベル0」のような一軸ではなくて、「好きになったかどうか」「面白かったかどうか」「素晴らしい作品だったかどうか」と言ったような複数の評価基準が自分の中にある―――というのが上の記事。
 しかし、人に何かを薦める時には、その3つには当てはまらない「新しいかどうか」という評価基準が便利でよく使われる……けど、というのが下の記事でした。

 「泣けるかどうか」という評価基準も、世の中には存在するなぁと今回思ったのです。



 ちょっと昔の話。
 10年くらい前の話だから記憶が曖昧で一人歩きしていそうなので誰とは言いませんけど、自分の好きなラジオパーソナリティが「泣ける映画=良い映画ではない」という話をしていたことがありました。
 「泣ける話」というのは、人間が条件反射で泣くように理詰めで作れてしまうみたいなことです。「大切な人が死ぬ話」とか「子どもや動物が悲惨な目に合う話」とかは如何にも泣けそうですし、そこにセンチメンタルな音楽を付けて「ハイ!泣きなさい!」と言われたら条件反射で観客は泣くし俺も泣く、けどそれは「良い映画なのか?」―――


 ストーリーを描く者として、あんまり深入りしたくない話ではあります(笑)。
 自分も確かに「泣かせにかかるぞ!」とストーリーを作ることはありますからね……そして、「人の死」とか「可哀想な子ども」を使ったこともありますしね。



 その時は、正直「全面同意は出来ない」けど「分からなくはない」くらいの、自分の中でどう処理してイイのか分からない話だったのですが……そこから10年くらい経って、9作品のレビューを一気に書いて、「泣ける」という言葉を封印してみて初めて分かった気がします。

 「好きな作品かどうか」「面白い作品かどうか」「素晴らしい作品かどうか」がそれぞれ別な評価基準にように、「泣ける作品かどうか」という評価基準がまた別にある―――というだけの話だと思うんです。




 私が「オススメ」として選んだ9作品は、全て「大好きな作品」です。
 バンダイチャンネルの「見放題」を利用した幅広い層の人が「次の1本」の候補にしてくれるよう、「自分の好きな作品」を幅広いジャンルから9作品選ぶことでカバーしようとしました。

 で、その9作品の中の7作品が「泣ける作品」なのですが……
 「泣けなかった作品」の2作品が、他の7作品より嫌いなワケではないんですね。
 『ごちうさ』は癒しを、『みでし』はニコニコとニヤニヤを提供してくれていたワケで。

 かと言って、「泣ける作品」だった7作品が、当然「条件反射で泣かせるだけの安易な作品」だったワケでももちろんありません。
 そういう作品だったら、「好きな作品」にはなっていなかったろうし、「オススメ!」の9作品には選んでいないでしょう。


 要は、「泣けるかどうか」というのは「笑えるかどうか」とか「キャラが可愛いかどうか」とか「ドキドキハラハラできるかどうか」と同じようなことで、作品を観て得られる感情の一つでしかないと思うんです。




 「泣ける作品=素晴らしい作品」でもないし、「泣ける作品=好きな作品」でもない。
 でも、自分の好きな作品を誰かに薦める際に「この作品、泣けるよ!」とか言ったり、絶賛の感想を書く時に「泣きました!」とか書いたりしがちですよね。それはつまり「泣ける作品」には、それだけの多くの需要がある―――と思っているからそういう表現が出てくるのかなと思います。

 実際、「泣く」のって気持ち良いですからね。

 「泣く」ことは「ストレスの発散になる」と言われていますし、実際「泣ける作品」を観終わった後は「あー気持ち良かった」と清清しい気持ちになりますからね。「笑える作品」や「キャラが可愛い作品」や「ドキドキハラハラできる作品」よりも、即効性のストレス解消になるように思えます。言っちゃえば「抜けるエロビデオ」みたいなことなんだと思います。

 「泣ける作品」というのは実用的だし、そうしたものが必要な時もあるんです。



 また、「この作品は泣けます!」という表現は、具体的なネタバレはしていないのに、「私はこの作品にとても強く感情を揺さぶられました」「この作品にはそれだけのパワーがあります」というメッセージが短い表現の中に込められていて―――紹介する側からしても便利な言葉だと思うんですね。

 作品を紹介する時「ここが好きです!」「ここが面白いんです!」「ここが素晴らしいんです!」と書いてしまうと、一番の見せ場をネタバレしてしまうから「じゃあ観なくてイイや……」と思われがちなので、見せ場のネタバレをせずに「好きな理由」「面白かった理由」「素晴らしい理由」を書くのは大変なんですが。

 「泣けます!」は「泣けます!」以上の言葉が要らないのですげえ楽ですもんね。
 そう考えると、「泣けます!」はホント便利な言葉だなぁと思います。




 ただ……「泣けます!」という作品が「本当に泣けるのか?」というのは微妙ですよね。
 「オッサンになって涙腺が緩くなった」みたいなあるあるがあるように、「泣けるかどうか」は受け手の感受性だったり人生経験だったりが重要なんだと実は思うのです。子どもの頃は何とも思わなかった映画や漫画を、大人になって観たらボロ泣きするなんてこともありますしね。

 また、何を大事にしているかというその人それぞれの人生観だったり、その時の悩みだったりも重要なので……「泣けます!」という紹介の仕方で観た人が「どこが……?」ということは割とあると思うんですね。
 例えば、私は「哀しくて泣ける」系の映画はあまり泣けないんですね。逆に、「良かったなぁ」「頑張れば良いことあるんだなぁ」という話だとコロッと泣けてしまう。「泣けます!」に関しても、実はストライクゾーンがあるんです。


 ということで……Twitterなんかに流す感想は、文字数とかネタバレとかの問題で今後も「泣いた」「泣ける」みたいな表現を使っていくと思いますけど。ブログで語る時にはなるべく使わないようにしようかなーと考えました。むしろ、使っている時は「コイツ、煮詰まっているんだな」と思ってくれたら幸いです(笑)。


泣く女2 [DVD]泣く女2 [DVD]

ソフト・オン・デマンド株式会社 2010-03-18
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| ひび雑記 | 17:59 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ホロリと泣けるのとジワーッと来るのと我知らず嬉し泣きしてたのと男泣きを誘うのではまるで違うので、使い分けるという方法もありますね。
具体的なシチュエーションをネタバレ抜きで付け加えればさらにいい。

| 児斗玉文章 | 2014/12/15 18:16 | URL |

そういう意味で一番感心したのはやはりオトナ帝国の逆襲のひろしの回想シーンですね。
何度見ても泣けますし、それでいながら元気が出ます。
家族の皆で楽しむ事を前提に作られた国民的ギャグアニメの劇場版だからこそ描けた日本アニメ史に残る名シーンだと思います。

| ホームズ | 2014/12/17 16:54 | URL |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yamanashirei.blog86.fc2.com/tb.php/1865-4172ab68

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT