やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

ゲームとムービーとプロモーションと

 最近ではあまり聞かなくなりましたが、PS~PS2くらいの「日本の会社が作るRPGが元気だった時代」によく聞いた批判に、「最近のゲームはムービーばかり豪華にして、そんなところに力を入れるくらいならもっとゲームとして面白くなるように力を入れて欲しい」的なものがありました。

 RPGに限った話ではないんですけどね。
 「ゲームを進める→ ムービーが始まってストーリーが説明される→ ゲームを進める→ ムービーが始まってストーリーが説明される→ ゲームを進める→ ムービーが始まってストーリーが説明される」という繰り返しにウンザリしているという意見は当時随分と見かけました。



 「ムービーがなければゲームが面白くなるのか?」と考えれば、別にそういうワケでもないと思います。ムービーを作る部署(会社)とゲームを作る部署(会社)は別でしょうから、ムービーを作る人員を削ったからと言ってゲームを作る人員が増えるワケではないでしょう。「ムービー」と「ゲーム」はどちらかというと「足し算な関係」であって、「トレードオフな関係」ではないと思います。

 ただ、一消費者として「俺は豪華なムービーがあったからって別に嬉しくないよ」と意思表明をするのは分からなくないですし、ゲームが遊びたいのに延々とムービーを見せられたら「俺が遊びたいゲームはコレじゃないんだよ」と言いたくなるのも分からなくはないです。


 私自身は、どっちでもないです。
 「ゲームが面白くなるムービー」なら好きですし、「ゲームがつまらなくなるムービー」なら嫌いというだけです。ムービー自体に好きも嫌いもありません。



 はてさて。
 そんな議論が熱かった当時、「ムービーに力を入れるくらいならもっとゲームとして面白くなるように力を入れて欲しい」という批判に対する反論で「なるほど!そういう理由でムービーは作られるのか!」と納得した意見がありました。

 それは、「ムービーは“ゲームを面白くするため”ではなくて、“ゲームを売るため”に作られるんです」というものでした。
 言われてみれば確かに。ムービーの入っているゲームは、プロモーションビデオにしてもTVCMにしても、必ずと言ってイイほど「ムービー」の画面を流しています。『8』以降の『ファイナルファンタジー』シリーズのTVCMなんて、「歌」と「ムービー」が中心で、「ゲーム」画面はほとんど映っていないんじゃないかと思います。

 私は、それが好きではありません。積極的に「嫌い」と言ってもイイくらいに。
 その理由は「先のストーリー展開をネタバレされたら買う気なくなるだろうが」と「ゲーム画面を映さなきゃどんなゲームか分かんねえだろうが」というものなのですが……


 プロモーションビデオやTVCMには“見栄えのイイ映像”を使いたいという気持ちは分かりますし、映画のCMのように「ストーリーの山場」のムービーを次々と見せることで「面白そう!」と思う層がいるのも分かります。特にPS~PS2時代なんかは、「映画のようなストーリー」としてそれまでゲームをあまりしなかった女性層をターゲットにしていたところもあるでしょうし、映画のようなTVCMにしていたのも分かります。

 『FF』シリーズのようなCGでのムービーでなくても、例えば『レイトン教授』シリーズのようにアニメーションムービーを入れているゲームもプロモーションビデオやTVCMではそのアニメを流しますもんね。「ムービーなんてないクラシックなゲーム」だった『世界樹の迷宮』シリーズでも、『新』になってアニメーションムービーを入れてプロモーションビデオやTVCMに使っていますもんね。


 「ムービーは“ゲームを面白くするため”ではなくて、“ゲームを売るため”に作られる」
 これは確かに極端な意見だと思いますし、かつての『FF』シリーズのように「ゲーム画面を一切映さないTVCM」のような例も極端だと思うのですが……ゲームを売るためのプロモーションにはある程度の見栄えがする「ムービー」が必要で、そのために作られる側面もある―――

 「ムービーに力を入れるくらいならもっとゲームとして面白くなるように力を入れて欲しい」ではなくて、「ゲームを面白くするための十分な開発期間を使っても大丈夫なくらい売るためにはムービーを作らなくてはならない」というところなのかなぁと当時感心したのです。


 どうしてそんな昔の話を、今思い出したかというと……
 Wii U版の『スマッシュブラザーズ』を遊んでいて思ったんですね。『スマブラ』の「ファイター参戦ムービー」って、まさに「“ゲームを面白くするため”ではなくて、“ゲームを売るため”に作られたムービー」じゃないかって。

ファイナルファンタジー X/X-2 HD Remasterファイナルファンタジー X/X-2 HD Remaster

スクウェア・エニックス 2013-12-26
売り上げランキング : 533

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 『大乱闘スマッシュブラザーズ for 3DS/Wii U』の映像が初めてお目見えしたのは、2013年のE3でした。その時に「新たな参戦キャラ」として紹介されたのは、『どうぶつの森』の「むらびと」、『ロックマン』シリーズの「ロックマン」、『Wii Fit』の「Wii Fitトレーナー」の3キャラでした。

 当然その頃にはほとんどの「新たな参戦ファイター」は決まっていたのでしょうが、そこから約1年半かけて「新たな参戦ファイター」の情報は小出しにされて、節目節目のニンテンドーダイレクト等で「ファイター参戦ムービー」とともに少しずつ発表されるという手法が取られていました。

 この「ファイター参戦ムービー」は、「オリジナルのムービー画面→「○○参戦!」のテロップ→実際のゲーム画面で戦っている姿を見せる」という構成になっていますが……“オリジナルのムービー画面”の部分は、ゲーム本編には一切関係のない参戦告知のためだけのムービーです。


 これが……数えてみたら12本。
 今年のE3で使われた「日米の任天堂社長が殴りあうムービー」を入れたら13本(笑)。
 2014年12月15日現在はYou Tubeで全部の「ファイター参戦ムービー」が観られますし、「日米の任天堂社長が殴りあうムービー」を除いた12本はWii U版の『スマッシュブラザーズ』に収録されていてHD画質で観ることが可能です。

WiiU_screenshot_GamePad_0110E.jpg
<画像はWii Uソフト『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』より引用>


 個人的に、好きなのはこれ。




 これもなかなか。





 ついでにこれも貼っておきます(『スマブラ』の話は1:10から)。




 13本の「ファイター参戦ムービー」は、CGで作られたもの、手描きアニメーションで作られたもの、ドット絵で作られたもの、実写なもの(笑)など様々ですが……ゲーム本編には使われない素材なので、当然これらを作るにはこのためだけの資金がかかることでしょう。

 「ゲーム本編とは別の“プレイヤーにとっては観るだけ”のムービー」で、「ゲームを面白くするためというよりもゲームのプロモーションのために作られている」と考えるのなら……PS~PS2時代に多く批判されていた「最近のゲームはムービーばかり豪華にして、そんなところに力を入れるくらいならもっとゲームとして面白くなるように力を入れて欲しい」に当てはまる事例のように思えます。

 しかし、今回の『スマブラ』に対して「ムービーばかり豪華にして、そんなところに力を入れるくらいならもっとゲームとして面白くなるように力を入れて欲しい」と言っている人はあまり見かけませんでしたし、「ファイター参戦ムービー」は発表される度にファンも「キタアアアアアア!」と喜んでいたように思えます。


 考えようによっては、「ゲームを進める→ ムービーが始まってストーリーが説明される→ ゲームを進める→ ムービーが始まってストーリーが説明される→ ゲームを進める→ ムービーが始まってストーリーが説明される」というゲームのムービーは、「ムービーでストーリーが語られる」し「ゲームの御褒美でムービーが観られる」のだから、ゲームに深く入り込んだムービーとも捉えられます。

 しかし、『スマブラ』の「ファイター参戦ムービー」は、ゲームとは本当に無関係のムービーです。Wii U版にはオマケとして収録はされていますが、「クリアしたら観られる御褒美」とかではなく最初から観ることが可能ですし、言っちゃえば買っていない人でも公式サイトやYou Tubeで観ることが出来るムービーです。完全にプロモーションのためだけのムービーなんです。


 でも、前者が「最近のゲームはムービーばかり豪華にして、そんなところに力を入れるくらいならもっとゲームとして面白くなるように力を入れて欲しい」と言われ、後者は特に言われないという。すごく不思議な話だなーと思うんですね。


・「ゲームが面白い」のなら特に文句は言われないので、ゲームとして超面白い『スマブラ』は文句は言われない
・最初からプロモーションとして切り離されていると、「ゲームとは無関係の広告である」と考えられるから不満は抱かれない
・「ゲームを中断するムービー」「ゲームの御褒美として見せられるムービー」だから批判されたのであって、「観ても観なくても構わないムービー」が収録されてても批判されない
・「ムービー」はプレイヤーが操作できないのだから、ゲーム本編に組み込むよりも、むしろ発売前に「早く動かしたい!」と思わせるのに使った方がイイ?


 理由として考えられるのは、こんなカンジですかねぇ。



 それで、気になって久々に起動してみました。
 この記事以来なので1週間ぶりですけど(笑)、Wii版の『スマッシュブラザーズ』の「ムービー」はどうだったのかを調べるためにWii版を起動しました。入ってて良かったWiiとの互換機能!

smabrox.jpg
<画像はWiiソフト『大乱闘スマッシュブラザーズX』より引用>

 少なっ!
 “オリジナルのムービー画面”があるのは、2006年のE3の映像くらいで……この1本の映像で「ピット」「メタナイト」「ゼロスーツサムス」「ワリオ」「スネーク」の参戦を発表しています。この他のファイターの参戦告知は、恐らく公式サイトで随時告知していたんじゃなかったかな……
 3DS&Wii U版の「ファイター参戦ムービー」のプロモーションとは、やり方が全然違っていますね。


smabrox1.jpg
<画像はWiiソフト『大乱闘スマッシュブラザーズX』より引用>

 ただし、ムービーの総量はWii版の方が圧倒的に多かったです。ストーリーのある「アドベンチャーモード」が入っていましたからね。再生するだけで1時間くらいはかかりますし、任天堂オールスターの面々が次々に登場する豪華さに、戦艦や戦闘機などが飛び交うド派手なシーンもあったりで、これはこれですごいと思うんですけど……

 Wii版のアドベンチャーモードは典型的な「ゲームを進める→ ムービーが始まってストーリーが説明される→ ゲームを進める→ ムービーが始まってストーリーが説明される→ ゲームを進める→ ムービーが始まってストーリーが説明される」という繰り返しだったんですね。


 3DS版&Wii U版には、こういう「ストーリーのあるアドベンチャーモード」はありません。
 なので、ストーリーを語るムービーもありませんし、その分の労力を「ファイター参戦ムービー」にかけられたのかなと思うんですね。もしWii U版にWii版と同じようなアドベンチャーモードを入れなくちゃいけなくて、1時間くらいのムービーが必要だったら、「ファイター参戦ムービー」を作る余裕はなかったと思いますし。


 「ゲームにとってムービーとは何なのか」「ゲームのプロモーションにムービーは効果的なのか」を考えるに、Wii版の『スマブラ』→ 3DS&Wii U版の『スマブラ』の変遷は一つの面白い事例ではないかと思うのです。

 私個人の好みで言うと、正直Wii版のアドベンチャーモードはあまり好きじゃなかったので、その分の労力を「ファイター参戦ムービー」に注いでくれて発売前から期待値をあげてくれた3DS版&Wii U版の方が好みでした。もし「ファイター参戦ムービー」でテンション上がっていなかったら、買っていなかったかもって思いますもの。

 ただ、Wii版のアドベンチャーモードが好きだった人には、プロモーションにしか使わないムービーなんて作っていないで「ムービーでストーリーを語るアドベンチャーモードが欲しかった」という人もいるでしょうし……どっちが正しかったかなんかはなかなか言えませんね。


大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U

任天堂 2014-12-06
売り上げランキング : 5

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| ゲーム雑記 | 17:52 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

考えてみれば、家庭用ゲーム機ってコントローラをガチャガチャ動かすこと以外に売りがないですよね。有名な声優や歌手を起用していますとか美麗なムービーを売りにしても「アニメや映画のパクリ」としか思われないし…。

| ああああ | 2014/12/16 19:27 | URL |

>ああああさん

 そもそも「有名な声優や歌手を起用しています」みたいな売り文句しかできない作品は、アニメでも映画でも大抵つまんないですしね!

| やまなしレイ(管理人) | 2014/12/16 19:38 | URL | ≫ EDIT

CMにムービーシーンだけを使ってゲーム画面を使わないのは、ある程度名前だけでゲーム内容が把握できるシリーズ物だからこそ、と言う部分もあるような気がします。
ファイナルファンタジーはとりあえずRPG(最近そうじゃないのもありますが)。
レイトンはとりあえずナゾトキ。
みたいな。
だからCMにゲーム画面を入れる必要がない、と。
完全新作でゲーム画面なしのCMも、探せばあるのでしょうが、その率は低いと思います。たぶん。
そんな気がします。

| へたれ | 2014/12/17 17:03 | URL |

例えばテレビゲーム以前のゲーム、パズルパーフェクションやチクタクバンバンや黒ひげ危機一髪は、ゲームをしているところをCMで見せるだけで十分に販促効果があったわけです。
それを考えると、ゲームを遊んでいるところやゲームの画面では訴求力がない、ってのはなんか退化してる気がしますね。

| 児斗玉文章 | 2014/12/18 18:27 | URL |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yamanashirei.blog86.fc2.com/tb.php/1866-8814e6c2

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT