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考察:ショートカットの女のコ≠ボーイッシュな女のコ

 私が毎週聴いているラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(@TBSラジオ)の、数週間前の特集コーナーが竹中夏海先生による「グループアイドルを楽しむ基礎教養としての、セーラームーン入門特集」でした。私は『セーラームーン』はほとんど観たことないので興味深く聴いていたのですが、そこで「目からウロコ」の話がされていました。
 元々はヒャダインこと前山田健一さんが仰っていた話らしいんですけど、どこがソースなのかはよく分からなかったので……「誰が言っていたか」よりも「そういう説がある」くらいに読んでもらえれば助かります。


 かつて、漫画やアニメに登場する「ショートカットの女のコ」は「活発」だったり「ボーイッシュ」だったりというキャラが多かったのだけど。
 『セーラームーン』に登場する水野亜美という「ショートカットの女のコ」は「大人しく」て「内気」で「優等生」というキャラクターで、男性人気が非常に高かったため。それ以降、漫画やアニメに「ショートカットの女のコ」で「大人しく」て「内気」で「優等生」というキャラクターも多く登場するようになり、『エヴァンゲリオン』の綾波レイの人気に繋がる―――



 「ショートカットの女のコ」論。
 「ショートカットの女のコ」が大好きな私ですが、『セーラームーン』を観ていなかったためにこんなことは考えたこともありませんでした。これがもしその通りならば、漫画の歴史を語る際に「大友以前、大友以後」という言葉が使われるように、「ショートカットの女のコ」の歴史を語る際には「水野亜美以前、水野亜美以後」という言葉が使われるべきなのかも知れませんね。


 『美少女戦士セーラームーン』のスタートは漫画もアニメも1992年だそうです。
 それ以前の漫画やアニメに登場する「ショートカットの女のコ」を思い返すに……『らんま1/2』(1987年~)の天道あかねはショートカットで「男勝り」のキャラでしたし、『ガンダムZZ』(1986年~)のエルピー・プルはショートカットで「活発」な女のコでしたし。あだち充先生の『みゆき』(1980年~)はショートカットのみゆきが「活動的」なコで、ロングヘアーのみゆきは「控えめ」なコでした。

 自分の曖昧な記憶の中ですけど……確かに、1980年代までの作品で「ショートカットの女のコ」で「大人しく」て「内気」で「優等生」というキャラは思い出せません。「ショートカットの女のコ」は中性的、「ロングヘアーの女のコ」は女性的、みたいな記号性が強かったように思います。
 もちろん「ドラクエよりも前に日本製のRPGは存在していた」みたいな話で、「存在していたかどうか」よりも「市場を切り開くほどの人気になっていたかどうか」の方が大事なんですけど。


 で、90年代に入ると確かにコレが変わります。
 「大人しく」て「内気」で「優等生」というのとはちょっと違うと思うんですけど、『エヴァンゲリオン』(1995年~)の綾波レイは「活発」でも「ボーイッシュ」でもなく口数の少ないキャラクターで、今もなお高い人気のキャラクターです。
 綾波系の無口・無表情キャラには「ショートカットの女のコ」は多く、『涼宮ハルヒの憂鬱』(2003年)の長門有希とか『Another』(2006年~)の見崎鳴とか、今ではむしろ定番のキャラ造形になっていますよね。

 ……と、ここまで書いて思い出しましたが、『Zガンダム』(1985年~)のフォウ・ムラサメは「ベリーショートの女性」だけど「活発」でも「ボーイッシュ」でもなく、「妖艶」な「大人の女性」というキャラでした。それでいてある意味で「守ってあげたい」と思わせるキャラだから、綾波レイの源流はむしろこっちか……?



 “「ショートカットの女のコ」は中性的、「ロングヘアーの女のコ」は女性的、みたいな記号性”という話に戻すと……例えば今dアニメストアで私がアニメ版を観ている『らき☆すた』(2004年~)の柊姉妹は、髪の長いお姉ちゃんが「攻撃的」で、髪の短い妹の方が「おっとり」しています。『CLANNAD』(2004年~)の藤林姉妹も、髪の長いお姉ちゃんが「攻撃的」で、髪の短い妹の方が「引っ込み思案」でした。

 これは、「ショートカットの女のコ」には「幼さ」を表現する記号性があるので、姉妹では妹の方がショートカットになる―――という見方も出来るのですが。かつては「活発」だったり「ボーイッシュ」だったりというキャラが多かった「ショートカットの女のコ」が、今では「おっとり」とか「引っ込み思案」なキャラも多くなって、定番の一つになっているとも考えられます。

 『アイドルマスター』(2005年~)の萩原雪歩とか、『ハナヤマタ』(2011年~)の関谷なるとか、『ラブライブ!』(2010年~)の小泉花陽とか、「ショートカット」というか「セミショート」くらいの長さのキャラだと「引っ込み思案」なキャラはいっぱいいますよね。そして、この辺のキャラは男性人気がとても高い。この路線こそが「水野亜美以後」のキャラの路線と言えるのかも。



 この記事は、「かつては漫画やアニメのショートカットの女のコは「中性的」という記号を持たされていたけど今はもう違うんだ!」みたいな話になるかなと思って書き始めたんですけど……そういう単純な話でもないように思えてきました。「中性的なキャラ」ばかりではなくなったけど、「引っ込み思案」などのまた新たな記号性が足されただけ、なんじゃないかと思うのです。


【漫画・アニメにおけるショートカットの女のコ】
・ベリーショート…大人っぽさ、「年上の女性」感
 フォウ(Zガンダム)とかエウレカ(エウレカセブン)とか
 → 綾波(エヴァ)や長門(涼宮ハルヒ)はこの系譜?
・ショート…中性的、活動的、元気なキャラ
 定番中の定番。
 → 今で言うと、韻子(アルドノア)とか未央(シンデレラガールズ)とか
・セミショート…幼さ、大人しさ、引っ込み思案
 「水野亜美以後」の定番。
 → 雪歩(アイマス)とか花陽(ラブライブ!)とか

 もちろん厳密に「長さ」で分類できるワケではなくて、綾波はベリーショートではないと思うし、水野亜美さんもセミショートよりは短いと思うんですけど……今も昔も、「ショートカットの女のコ」のキャラクターにはそれなりの「記号性」があるんじゃないのかなと思うのです。「水野亜美以後」という概念が正しいのならば、むしろ「水野亜美以後」はそれが定番化してしまったとも考えられます。




 さて、
 この記事の冒頭で“「ショートカットの女のコ」が大好きな私”と書きましたが、今回この記事を書いていくに考えてみたところ……私は、3つの分類の中では「幼さ、大人しさ、引っ込み思案」という記号性を持たされた「セミショート」のキャラが好きだと分かりました。
 ボーイッシュなキャラも好きですし、韻子可愛い韻子可愛いんですけど、自分の好きなキャラの傾向を考えるに『アイマス』では雪歩が好きだったし『ラブライブ!』ではかよちんが好きだったし『ハナヤマタ』ではなるが好きだったことを考えると……自分の好きなキャラの源流は「水野亜美」さんにこそあるのかもと思うのです。私は『セーラームーン』ほとんど観ていないので、「水野亜美」さんのことはほとんど存じ上げていないんですけど、この人がいなければ雪歩やかよちんやなるはロングヘアーだったかも知れないと考えると足を向けて寝られません!


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| ヒンヌー | 17:50 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

1つだけ言えることは、
ショートカットの子を可愛く描くには最低限の画力が要る
ってことですかね。
髪でごまかせない。
だからこそキャラデザイナーの絵筆に魂がこもるのかも知れません。

| 児斗玉文章 | 2015/02/05 18:53 | URL |

女性作家の執筆した百合漫画の中で登場人物の1人が「ショートカットは本当にかわいい子にしか似合わない」と言ってたので、そういう認識はあるのかもしれません

| 鳥 | 2015/02/07 14:15 | URL |

>児斗玉文章さん

 どうだろう……
 ベリーショートで可愛く描くのは確かに難しいけど、「女性のショートカット」は「男の髪型」とは違うから誤魔化しは効くんじゃないかなぁと思うのですが。これは私がショートカット好きだからなのかも。


>鳥さん
 『GIRL FRIENDS』ですかね?
 あの漫画のショートカットは「新しい世界」と「依存」と、ストーリー上の意味がある髪型で好きでした。あの漫画も「引っ込み思案」なコがショートになるんですよねぇ。

| やまなしレイ(管理人) | 2015/02/08 02:12 | URL | ≫ EDIT

あ、はい『GIRL FRIENDS』です
意外と有名なんですかね

| 鳥 | 2015/02/09 17:53 | URL |

>鳥さん

 キンドルでセールされていた頃、Twitterのフォロワーさんから「『GIRL FRIENDS』は私にとって人生の教科書でした」と言われ、そのコメントが素敵だなと思ったので全巻購入して一気に読みました。

 有名かどうかはちょっと分からないんですけど、それくらい人の心を動かす作品なんだなーというのは私も思います。

| やまなしレイ(管理人) | 2015/02/11 00:19 | URL | ≫ EDIT















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