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ゲームを遊ばずに他人の批評を読んで分かった気になるリスク

 流石の『不倒城』さん、という記事。

 「読まずに馬鹿にする人」は珍しくもなんともないというお話、あるいは批評の追随者について

 私はラノベに詳しくはないし、ラノベを馬鹿にしているワケでもないし、ラノベを馬鹿にしている人を実際に見かけたり話しかけたりしたことはないのですが……ゲームについては「自分の好きなゲームが遊ばれずに馬鹿にされる」こととか、もしくは逆に「自分が遊んでいないゲームを遊ばないまま敬遠している」こととかは日常茶飯事であることなので、非常に頷けました。

 また、実際に遊んで批判をする人を「一次批判者」と呼び、
 その批判から拡散されたものを読んで、実際には遊んでいないけど「あのゲームはあんなカンジだってよ」と批判する人を「二次批判者」と呼ぶ……という言葉の分かりやすさは、流石のしんざきさんです。

 自分なりに付け加えると、これは「批判」という言葉の持つネガティブなイメージだけでなく、「絶賛」などのポジティブなイメージにも当てはまることだと思います。
 例えば「隠れた名作」と言われるゲームは、実際に遊んだ人の「絶賛」を読んで、実際には遊んだことがない人も「あのゲームはすげえ面白いらしいぞ」と「二次絶賛」を拡散させていくワケですからね。バーチャルコンソールやゲームアーカイブスといった過去の名作のダウンロード販売が始まる前は、「隠れた名作」の「二次絶賛」は今以上に多かったことでしょう。



 この現象……
 しんざきさんも仰っていますけど、「良い」とか「悪い」とかの次元の話じゃなくて「そういう人がいるのは当然」だと私も思います。人間ってそういうものだと思うんです。
 Twitterを見てても「実際には遊んでいないのにネットの評判だけ見て「今度のドラクエはクソらしい」とか言っているヤツは許せん!ちゃんと遊んでから批判しろ!」と言っている人が、同じ口で「今度のバイオはネットの評判を見るとクソらしいね」と言っていたりしますからね。

 自分の遊んだゲームは「遊ばずに批判されるのが許せない」のに、自分の遊んでいないゲームは「遊ばずに批判するのが普通」と思ってしまうのが人間なんでしょう。私だってそうです。「あのゲーム買おうか悩んでいたけど、評判悪いみたいだな、買うの辞めようっと」と遊ばなかったゲームがたくさんありますもの。


 これは、映画とか小説とか漫画とかアニメなどなど他の娯楽作品にもよくあることだとは思います。思いますけど、ゲームは特にこうしたことが起こりやすいメディアだと言えます。

 まず、パッケージソフトともなると1本6000円とか7000円というお金がかかります。
 更に、実際に遊ぶのには何十時間、何百時間という時間が必要だったりします。
 更に更に、ゲームは「この1本」だけ手に取って始めればイイものでもなく、シリーズものの場合「ストーリーやキャラクターが繋がっているのでよく分からない」とか「シリーズを遊んでいることが前提のシステムになっている」とか、遊んだことのないジャンルの場合は「そのジャンルの操作・決め事をまず知っていないとならない」なんてこともよくあります。遊んだことのないシリーズ、遊んだことのないジャンルは、最初に手に取る心理的な障壁が高いのです。
 そもそも難易度が自分に合っていなければ何十時間かかっても先に進めないのがゲームですから、「面白いか/面白くないか」よりも「自分にもマトモに遊べるか/全く太刀打ちできないか」が分からなくて手が出せないってことも多いでしょう。

 更に更に更に、ゲームソフトは6000円とか7000円で済んだとしても、「専用のゲーム機」とか「ゲームが動かせるパソコン」を持っていなければそれを買うお金もかかりますし。それを置く場所も必要です。
 ゲームが好きな人達はよく「本当にそのゲームを遊びたいのならゲーム機ごと買えるだろうが!」と言いますけど、ゲーム機は2~4万円くらいはする上に、据置機だと電源が足りないとかテレビに繋ぐ端子が足りないとかケーブルがゴチャゴチャになっちゃうとかの問題も多いし。


 「遊ばずに分かった気になるのは良くない!ちゃんと遊ぼう!」なんてこと、全てのゲームソフトに対して出来る人間は存在しないと思います。「今度の○○はクソらしいぞ」というネット上の評判を読んで、それを確認するためだけに「お金」と「時間」と「置き場所」を犠牲に出来る人なんてどれだけいるのだろうかと。

(関連記事:据置ゲーム機を悩ませるコンセント事情
(関連記事:逆に、どうすれば今から日本で据置ゲーム機が売れるんだろう?


 ということで、「二次批判」という形で口に出すかは置いといて、心の中で「ゲームを遊ばずに他人の批評を読んで分かった気になる」ことは誰もがやることだし、そうした方法で取捨選択をするのは仕方がないことだと思います。お金も時間も置き場所も無限にあるワケじゃないですからね。

 ただし、これには「リスク」があることは忘れてはならないと思うのです。
 「ゲームを遊ばずに他人の批評を読んで分かった気になる」のは、「デマ」の温床になるのだと。


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 以前こんな記事を書いていました。

 「情報弱者は愚か者だ」という風潮こそがデマを蔓延させる
 “かんなぎ非処女騒動”に感じた本当の悪意

 デマが拡散されるメカニズムについて、これらの記事では「人それぞれ“持っている情報や知識に差がある”ことと、専門家であっても“意見は分かれる”ことで、何を信じてイイか分からないからデマも一緒に拡散していく――――」と説明していました。「知っている人」と「知らない人」が分かれているものこそ、デマが拡散しやすいという話です。


 例えば、「テレビ番組」に対するデマ。
 「あの番組で、あのキャスターがこんなこと言ったらしいぞ」という最初の情報があったとします。それが意図的な「嘘」なのか、「勘違い」なのか、面白おかしく書こうとした結果「誇張されて歪められたもの」なのかはケースバイケースですが、真実とは少し違っていたとします。
 しかし、「テレビ番組」というのは後から観返せないものです。全番組録画でもしていない限り、「こんなけしからんこと言っていたらしいぞ」と言われても後から確認する術はありません。“「知っている人」と「知らない人」が分かれているもの”の典型なのです。

 なので、それが真実かどうかを確認せず、「あの番組で、あのキャスターがこんなこと言ったらしいぞ」という最初の情報を信じて、「アイツこんな酷いこと言っていたって!」とTwitterに呟く人が出てきます。それを読んだ「○○が××って言ってたんだって」「○○信じられない!そんな酷い人だと思わなかった!」と三次批判、四次批判が拡散されていきます。

 後日、YouTubeにアップロードされたその「テレビ番組」の違法コピーを確認してみたところ、本当は全然そんなこと言っていないってケースもありました。
 しかし、その確認をするためには「違法コピーの動画をアップロードした人」がいて「違法コピーの動画を視聴した自分」が必要なので、「本当は全然そんなこと言っていない」という事実は拡散されずに、デマだけが拡散されたままそれを未だに信じ続けている――――なんてケースもあるのです。



 ゲームの場合、プレミアがついて購入できなくなってしまったものとか、サービス終了してしまったオンラインゲームとかでなければ「後から確認できる」のでテレビ番組ほど厄介ではありませんが……
 前述の通り「遊ばずに他人の批評を読んで分かった気になる」ことの多いメディアなので、「実際にはゲームを遊んでいない二次批判者」が遊んでもいないのに「あのゲーム○○らしいよ」と語りがちで―――ものすごく「デマ」が拡散しやすい環境が整っているとも思うのです。


 もちろん、この「デマ」には、「イーヒッヒ!あのシリーズの売上を落とすためにネガキャンしてやるぞーーー!」という明確な意図で流された「嘘」もあるとは思いますが。

 遊んでいる人が「どうやって遊ぶと楽しいのか」が分からないままプレイしていて、「何だよ!このゲームはクソゲーだな!」と言ってしまっているケースもあると思います。それこそ「『スマブラ』ってテキトーにボタンをガチャガチャ押してれば初心者でも上級者に勝てる底の浅いパーティゲームなんでしょ?」と言っている人みたいな。

(関連記事:「一発で死ぬゲーム」と、「攻撃を喰らうことが前提のゲーム」
(関連記事:私は(貴方は)そのゲームの魅力をちゃんと把握していますか?
(関連記事:「このゲームはどうやって遊ぶのか」を教えてくれるサイトのありがたさ

 また、ゲームというのは楽しんで遊んでいる人も「不満」や「批判」を呟きがちとも言えます。「ここがイライラする」「ここを直せ」「ここがクリアできない!」……エトセトラエトセトラ。

(関連記事:「好きなゲーム」の「不満」ばかり書くリスク

 それに加えて、ゲームの場合は「面白い/面白くない」以上に「自分に合った難易度か/否か」というのが重要なので、好みの個人差は大きいと思いますし。

(関連記事:好きなゲームを「好き」と紹介することに意味があるのか



 つまり、ネット上の評判なんてとてつもなくアテにならないのが「ゲーム」だと思うんですよ。

 それをアテにして取捨選択をしなければパンクしてしまうくらいたくさんのゲームがあるのだから仕方がないんですけど、「ネット上の評判なんてアテにならない」ことは忘れてはいけないと思うんですね。


 これは「批判」だけじゃなくて「絶賛」もそうです。
 「高尚な映画」とか「高尚な小説」とか「高尚な音楽」とか、プロの批評家からの評価の高いものを観てもさっぱり分からないことがあるように……「ゲームが大好きな人」が評価している「隠れた名作」を実際にプレイしても、さっぱり分からないことってありますもの。

 「隠れた名作」には「隠れている」なりの理由があるな、と。
 「ネット上の評判を信じて遊んでみたらつまんなかった!」という具体例を挙げるとまた炎上しそうなので、「ネット上の評判を信じて遊んでみたらそこそこ面白かった!」具体例を挙げることにしますが……64ソフト『罪と罰』とか、確かに面白かったけど、「隠れた名作」と言われるほどの評判が高いのは「『罪と罰』を楽しめる層にしか売れなかったから」だと思いますもの。もしこれが100万本とか200万本とか売れていたら、「難しすぎる」とか「ストーリーがワケ分からん」とか叩かれていたと思います。



 繰り返しになりますが、ゲームソフトがこれだけたくさん発売されている現状「ゲームを遊ばずに他人の批評を読んで分かった気になる」のは仕方がないことだと思います。そして、その「他人の批評」がアテにならないことも仕方がないことだと思います。それは「批判」であっても「絶賛」であっても。

 ならば、「一次批判」や「一次絶賛」を読んだからと言って、それを拡散させていく「二次批判」や「二次絶賛」をするのはやめようと思いました。それはあくまで「他人の感想」。「自分の言葉」ではありません。
 「他人の感想」は自分の中にだけ留めればイイので、それを殊更に広める必要はないだろうし、もしTwitter等で書きたい時は「自分は遊んでいないけど評判イイので遊んでみたい」といったカンジに書いていこうかなと。


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| ゲーム雑記 | 18:05 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

「この記事素晴らしいな!よそで紹介しよう!リツイートしよう!」
「あんまり同意を得られなかった……まあ俺が書いた記事じゃないしー」

なんか……二次絶賛でもまとめブログみたいなことは起こりうるのかなあと思いました

| aki | 2015/02/11 12:29 | URL |

ネットは良い事、悪い事も、極端になりがちですからね。
ビデオ(プレイ動画)と、その感想でプレイしたような気分になってしまえますからね、便利で情報が手軽に入る事は本当に良いのか…
それと、点数評価って必要かな?
例えば知人にそのゲームを話す時に点数で話したりしないのに、ネットだとまるで絶対基準になりますよね。
仰るとおり、ゲームの紹介はネットと相性が良いようで負の部分も目立ってしまいますね。

昔だと、ゲーム屋の人に内容聞いて買ってましたしね、そんなのが一番当たりが多かったように思います。

| nagaido | 2015/02/11 20:36 | URL | ≫ EDIT

情報を発信するリスクについては自分なりに注意しているつもりでも、ときどきやらかしてしまいがちです。
悪意の有無ではなく、自分の中で“常識”であると思っていたことが実は古いものであったり、そもそも間違っていたり。
それで何度か注意されたこともあったので、基本的に理解しているつもりのものでも裏を取ってから発言するようにしています。

| ああああ | 2015/02/12 01:02 | URL |

情報が誇張されるのって、その方が面白いからとか、そういうのもありますよね。
右か左に極端に傾けることにより発生するネタ要素を広く拡散したい、という想いもあるのではないでしょうか。
なので面白おかしく書かれた批評ほど、ひょっとしたら一番疑わなければならないんじゃないかという気がしています(面白く書かれた部分を、文章として評価するのはアリだとは思いますが)。

| ああああ | 2015/02/12 14:25 | URL |

ゲームに限らず、漫画やアニメ、実写で作品の名前が挙がると「その作品、○○でしょー?」とイメージありきで語ってしまうので、気を付けようと思いました。
普段から感想サイトやレビューサイトを見ていて、自分も二次批判者になっている可能性があるということに気が付きました。ネットの感想を見て触れるのを避けてしまったり、自分は本当に好きでいていいのか悩んだ作品がたくさんあります。
たとえ感想サイトを見るのをやめても、別の場所で感想が目に入ってしまうので、外からの情報を一切入れないようにするのは難しいです。感想を見ないことよりも、見てしまった場合どう受け止めるのかが大事だと思います。
あやふやな知識で語ると聞く人に違和感を持たせてしまうので、触れたことのない作品の名前が挙がっても、うっかり口に出さずに横で黙って聞いているか、記事の最後でおっしゃっているように、「遊んだことはないけれど良さそうなので遊んでみようかな」ぐらいの控え目なコメントをするのが無難でしょうか。

| 雪央 | 2015/02/12 17:34 | URL | ≫ EDIT















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