やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

アニメの3話目に何を持ってくるのか

※ この記事は2015年春開始アニメの色んな作品の第3話までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。

 たまにはこういう記事も書いてみようかなと。
 これまでは「『○○』という作品の第△話までのネタバレを含みます」という記事を書いてきたのですが……今回の記事で話題にするのは「今季のアニメ」でかつ「第3話まで」です。こうすることで、一つの作品に限定せずに自由に語れる一方で、読みたくないネタバレを読ませてしまうリスクを減らせるんじゃないかと考えました。
 なので、「4話目以降」には一切触れる気がありませんし、「今季のアニメじゃないアニメ」についてもゴニョゴニョっとしたカンジにネタバレを避けて書くつもりです。

 そういう理由なんで、コメント欄にコメントを書き込む人もこのルールに準じてください。
 私がどうのというだけじゃなくて、コメント欄は私以外も読みますからね。せっかく本文でネタバレを避けて書いているのに「やまなしなひびを読んでたらコメント欄でネタバレ喰らった!もう来ない!」って言われたら私が哀しいですから。



 さて、春アニメも大体3話目の放送が終わって、早いところでは4話目の放送が行われていて、早い作品は5話目の放送が始まっている頃と思います。
 アニメファンは3話まで観て“視聴継続”か“切り”かを決める―――というのが真実かどうかはさておき、アニメを作っている側にはそういう意識が強いんじゃないかなぁと思います。例えば、アニメをメタ的に扱っている今季のアニメ『てさぐれ!部活もの すぴんおふ プルプルんシャルムと遊ぼう』には「アニメにとって3話は大事な回」という台詞がありました。

 確かに、アニメの第3話は気合の入った回を持ってくる作品が多いと思うんですね。

 アニメファンである私達は、実際には1話で切ったり2話で切ったり4話で切ったりもしていると思うのですが……アニメを作っている側に「3話で“視聴継続”か“切り”かを決められる」という意識があるので、3話目に「観ると今後も観続けたくなる勝負の回」を持ってくる作品が多いのかなぁと思います。


 今季の私は、とりあえず3話目まででも観たアニメが10作品ありました。
 『アルスラーン戦記』
 『攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』
 『ハロー!!きんいろモザイク』
 『響け!ユーフォニアム』
 『俺物語!!』
 『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』
 『パンチライン』
 『長門有希ちゃんの消失』
 『プラスティック・メモリーズ』
 『てさぐれ!部活もの すぴんおふ プルプルんシャルムと遊ぼう』

 10作品も観ると、それぞれ「3話目に何を持ってくるのか」が違っていて「どうやって視聴者の興味を惹きつけたいのか」の特色が分かるんですね。ということで、今日の話題は「アニメの3話目」学です。



1.メインキャラクターが第3話で揃うパターン
 以前、「このアニメは○話から面白くなるよ」の意味という記事を書いた際に、「すごく魅力的なキャラクターが第1話からは登場しない場合は、○話から面白くなるよと言いたくなる」というケースを書きました。

 逆に言うと、「3話で“視聴継続”か“切り”かを決められる」という意識でアニメを作っていくのなら、魅力的なキャラクターは3話目までに出したいと考えるのが妥当でしょう。私が観た今季のアニメ10作品の中にも、そうした作品は結構ありました。

 分かりやすいのは、『長門有希ちゃんの消失』の第3話
 本編『涼宮ハルヒ』シリーズのヒロインである涼宮ハルヒが本格的に登場して、長門やキョン達と絡む回です。すっごく地味な立ち位置ですけど古泉も登場して、『涼宮ハルヒ』シリーズを知っている人ならばSOS団の再結集とも言える展開に懐かしく思えたんじゃないかと思います。

 涼宮ハルヒというキャラクターは非常にアクが強く、タイムラインの反応を見ても「やっぱりハルヒ最高だ!」という人も「何年経ってもやはりハルヒうぜえ(笑)」という人もいて万人に好かれるキャラではないと思うんですが、総じて数年ぶりに動く姿が見られたことに感動している人が多かったです。ハルヒのいない日常に慣れてきた3話目にこういうキャラが登場してくる辺りが絶妙でした。


 他にも、『アルスラーン戦記』の第3話も「メインキャラクターが登場する第3話」でした。
 アルスラーン、ダリューンに続く三人目のキャラクターであるナルサスと、彼の世話をする四人目のキャラクターであるエラムが登場しました。ナルサスに関しては「最後の最後に登場しただけ」とも言えるのですが、逆に言うと第1話から名前だけ出てきていたキャラがようやく登場したことで「4話も観なきゃ!」と思わせる“引き”になっていたと思います。


 これは変則的かも知れませんが、『ニンジャスレイヤー』の第3話も女性キャラクターであるヤモトが登場する回でした。
 第1話、第2話とニンジャスレイヤーとニンジャの戦いを描いてきて熱くて男くさくて血みどろな作品のイメージが固まってきたところに、第3話で可愛い可愛い女子高生が登場するという!しかも、何か百合っぽい!(←女のコが二人いると百合に見える人)

 マジメな話をすると、『長門有希ちゃんの消失』のハルヒが「日常」に「非日常」を持ってくるキャラだったのとは対照的に。
 第1話、第2話で「非日常」を描いた『ニンジャスレイヤー』は、第3話でヤモトを使って「日常」を見せたんですね。普通の女のコがニンジャになってしまうという、私達にも感情移入しやすい話をここに持ってきたという。ただ、逆に第1話、第2話が好きだった人には「3話は普通のアニメだった」という感想を持った人も少なくないみたいで難しいですね。



 いずれの場合も、魅力的なキャラクターを第3話で登場させることによって「もっとこのキャラを観たい!」と4話以降も観たくなるように思わせるのがポイントだと思います。ただ単に新キャラを出すだけでなく、その新キャラを使って4話以降への興味を抱かせられるかという話なのかなと。


2.一つ目の大きなイベントを第3話で起こすパターン
 これはものすごいネタバレなんで、「ネタバレを含みますとか冒頭に書いてあるけどそこまで核心的なネタバレは書かないだろう」なんて甘く見ている人は注意が必要です。第3話までのとてつもないネタバレを書きますからね。知りませんよ?後から「ネタバレするんじゃねえよ」とか言わないでくださいね。

 『俺物語!!』の第3話は、典型的なこのパターンだったと思います。
 第1話、第2話とすれちがりまくっていた主人公とヒロインが、第3話にてとうとうくっついて恋人同士になる回でした。自分含めて原作未読組は「え!もうくっつくの?」「もっと引っ張ると思っていた!」「いい最終回だった!」と驚いていましたが、ようやく報われた二人に大きなカタルシスが生まれていたので、もしこれをもっともっと引っ張っていたら視聴がつらくなっていたかもなぁと思います。

 今季の作品じゃないので具体名は出しませんけど、第1~3話を一区切りにして第3話で主人公達が「何かを達成する」ことで視聴者も達成感を味わえる作品は多いですよね。それらの作品は「3話で“視聴継続”か“切り”かを決められる」という前提の元で、3話目に一つ目のピークを持ってくるのでしょう。


 また、話と話が繋がっているストーリーものだけでなく、1話完結のアニメも3話目に自信のある回を持ってきているかなぁと思います。

 『ハロー!!きんいろモザイク』の第3話は「エイプリルフール」と「嘘ばかりつく弟妹」を使って「素直になれない綾」を描くニヤニヤ回でした。これはまさしく百合。
 でもまぁ、『きんモザ』はあまりどの回も変わらないとも思います(笑)。2期モノは特に「3話目までにキャラを見せなきゃ」みたいな意識は強くないでしょうしね。

 『てさぐれ!部活もの すぴんおふ プルプルんシャルムと遊ぼう』の第3話は、作中で「アニメにとって3話は大事な回」という台詞があっただけあって気合の入った回でした。
 「声優さんに卓球をやらせてそれをアニメで再現する」という前代未聞の回。これ自体も奇抜な発想ですし、こはるんにはこんなに笑ったのはいつ以来だろうというくらい笑わせられたんですけど―――重要なのは、3話目にして「1期・2期と違って今回はこういうこともやりますよ」と見せられたことだと思うんですね。これもつまり「ここから先の話も楽しみだ!」と思わせる第3話だったなと。



3.敢えて何も成し遂げられないからこそ、興味を惹く第3話
 これは2の「主人公達が「何かを達成する」ことで視聴者も達成感を味わえる作品」の裏表で、逆に何も成し遂げられないからこそ視聴者の興味を惹く第3話というのもありました。

 『響け!ユーフォニアム』の第3話は、新キャラが登場したワケでもなければ、主人公達が何かを成し遂げてカタルシスを得られる回でもありませんでした。
 第1話から話題になっていた「どうしてこの学校の吹奏楽部は下手なのか」や、第2話で葵ちゃんがどうして「全国を目指さない」方に手を挙げたのかが分かって……でも、何十人もいる吹奏楽部の中の、たった一人の一年生には何も出来なくて。

 ものすごく「無力感」の強い第3話だったと思うんですね。
 でも、逆に言うと第3話でコレを描くことで「この作品の方向性」が視聴者にも分かったことと思います。ギスギスした人間関係だったり、一人の力では何も変えられない無力感だったり、部活内のピリピリした雰囲気だったり。だから、「観ててつらい」と言う人もいた第3話でしたが、私は逆にこの第3話で一気に惹きこまれました。

 あのどうしようもない無力感の中で鳴るトランペットの音と、それに気付く久美子のカットと台詞で……一人の力では何も変えられないけど、それでも明日に向かおうとする力強い第3話だったと思うのです。これもやはり「第4話以降を観たいと思わせる第3話」になっていたと思います。



 『響け!ユーフォニアム』は静かに静かに現実を突きつけてくるような第3話でしたが、もっと大きなイベントを起こして第3話で主人公達が「挫折する」展開を持ってくる作品もありますよね。
 今季の作品じゃないので具体的な話は書きませんけど、主人公達が「何も達成できない」様子を描くとか、バトルものだったらメインキャラがここで死んでしまうとか、アニメを長く観ている人ならば「あの作品のことかな?」とか「あの作品のことかな?」と思われると思います。
 「3話で“視聴継続”か“切り”かを決められる」という前提で考えると、ここで我慢の展開を描くのはリスキーなようにも思えるのですが、第3話で重要なのは「第4話以降も観たい!」と思わせられるかどうかなので……単に「挫折する」展開を描いているかどうかではなく、「挫折する」展開を描いたことで「ここから先の展開が楽しみだ!」と思わせられるかが重要なのかなと思います。

 例えば「メインキャラが死んでしまう第3話」だったら、「こんな大事なキャラがいなくなってしまってこれから先はどうなっちゃうんだ」と思わせられなければなりません。ただ単に「第3話はメインキャラが死ぬのがセオリーだから」と作業のように殺したとしても、4話以降も観たいと思わせられなければ意味がないのです。

 いや、別に具体的な作品名を思い浮かべて書いているワケじゃなくて、一般論としてそう思うって話ね。


響け!ユーフォニアム 2 [Blu-ray]響け!ユーフォニアム 2 [Blu-ray]

ポニーキャニオン 2015-07-15
売り上げランキング : 781

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 さて……この「アニメにとって3話は大事な回」という話。
 実はこういう認識が生まれたのはつい最近、2010年代に入ってから―――という説があるんですね。具体的な作品名はネタバレになるので書きませんけど、2010年代を象徴するヒットアニメが第3話に非常にショッキングな回を持ってきたために「アニメは3話まで観ないと判断できない」という認識が生まれたという。

 本当にそうなのかは疑問もあって、自分がその作品の第3話を観た時には「やっぱりアニメは3話まで観ないと判断出来ないな!」と思った記憶があるので……もう少し前からあったんじゃないかと思うんですけど、ゼロ年代のヒットアニメを思い出しても「第3話に勝負の回を持ってきているアニメ」ってあんまり思いつかないんですね。第1~2話を前後編にして、2話に一つ目の山を持ってくる作品が多かったように思えて、ゼロ年代→2010年代の過渡期辺りに出てきた認識なのかなぁと思います。




 んでんで、今季10作品もの第3話を観て思ったことなんですけど……
 3話目に「観ると今後も観続けたくなる勝負の回」を持ってくる作品が多くなると、どの作品も第3話は面白い回が来るので、逆に「第3話まで観て“視聴継続”か“切り”かを決める」のが難しくなってきているんじゃないかと思うのです。

 なので、今季の自分は「第4話を観て“視聴継続”か“切り”かを決める」ことが多かったです。一つ目のピークの後の平穏な回をどれだけきっちり仕上げられるのかで、自分にこの作品が合うのか合わないのかを判断しました。

 「3話まで観ないと判断出来ないアニメ」がヒットする
→ アニメファンに「3話まで観ないと面白いか判断できない」という認識が生まれる
→ 3話に「勝負の回」を持ってくるアニメが増える
→ どの作品も3話が面白いので、「4話まで観ないと面白いか判断できない」という認識が生まれる


 非常に寓話的だなぁと思ったのです。


てさぐれ!部活もの すぴんおふ プルプルんシャルムと遊ぼう Vol.2 [Blu-ray]てさぐれ!部活もの すぴんおふ プルプルんシャルムと遊ぼう Vol.2 [Blu-ray]

バップ 2015-07-22
売り上げランキング : 355

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| アニメ雑記 | 18:01 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

3ってキリがいいですからね。むしろ3話ごとに面白い回を持ってくるぐらいが理想だと思います。
俺物語は「え、もう!?」と思いましたが同時に「まだ続くんだろうな…」という思いもあったので、がぜん見る気が湧きました。

| ああああ | 2015/05/04 12:32 | URL |

1クールで3話だと起承転結の起の最後ですもんね。
納得のいく話です。
ただ、放送本数が多すぎて何本か切りたい切りたいと思うが故の判断材料とも思うので、つまらないアニメでもゆっくり見られる時間がほしいなぁ、という見果てぬ夢を見るのでした。

| 児斗玉文章 | 2015/05/04 14:49 | URL |

はじめまして!
SHIROBAKO考察からはまりました。
今期は『パンチライン』を見てるので、
やまなしさんがどう見てるのか楽しみにしてます!

| ななな | 2015/05/05 19:45 | URL |

3話に大きな展開を持ってくるのは配信サイトで1話2話を無料で見られるタイミングだから話題になったときに新規が後追いしやすいってのもあると思います

| 箱 | 2015/05/05 20:45 | URL | ≫ EDIT

>ああああさん

 あぁ……「6話学」とか「9話学」とかも面白そうですね。
 1クールものの好きなアニメを思い出してみると、9話に最大の驚きと揺さぶりを持ってくる作品が多いですもの。ネタバレなしで記事に書くのはすごく難しそうだけど、考えてみたいテーマです。


>児斗玉文章さん
>放送本数が多すぎて何本か切りたい切りたいと思うが故の判断材料とも思うので、つまらないアニメでもゆっくり見られる時間がほしいなぁ

 これは本当にそうですね(笑)。
 3話までで面白いかどうかなんて判断できなかった作品も多いですからねえ。今季もそうして面白い作品を切ってしまったかもと思いながら切るしかないという。


>なななさん
 どうもです!
 『パンチライン』の話は『ユーフォ』の後に書くつもりだったのですが、読みやすくするために分類を変えたら「3」に収まらなくなっちゃったので泣く泣くカットしたのです……

 『パンチライン』の3話は主人公達が何かを成し遂げたワケじゃないのですが、謎の侵入者に、謎のヒーローに、博士の謎の行動と「謎」をたくさん出すことで視聴者に「推理」をさせる回だったと思います。
 カタルシスがあるワケじゃないのだけど、ヒントをたくさん出すことで視聴者の興味をグイグイ引っ張ってくる第3話で、これはやっぱりゲームを作っている人の脚本だからなのかなーと思いました。「やめ時のないゲーム」のようなアニメですよね。なので、1週間待つのがもどかしい(笑)。


>箱さん
 2010年代になったばかりの頃ならともかく、今は結構「テレビ放送」と「ネット配信」の間が空いていない作品も多くなったのであまり関係ないかな…と思います。
 その気になれば「○話まで一挙配信」とかも出来ますし、実際にやっている作品も多いですからね。

| やまなしレイ(管理人) | 2015/05/05 21:23 | URL | ≫ EDIT

あれ…テレビ放送とネット配信の間が空いてないからこその説だったんですけど上手く伝わってなかったですかね?

テレビ放送で3話見た人「○○すげー!」

見てない人「○○話題になってるな。今ちょうどネット配信で1話2話見れるから見てみよう」

というのを狙っているんじゃないか、と書いたつもりでした

| 箱 | 2015/05/05 23:42 | URL | ≫ EDIT

>箱さん

 いや、今はもう「テレビ放送」と「ネット配信」が同時だったり、30分遅れだったり、「テレビ放送」の翌日昼には「ネット配信」が始まったりする作品も多いんですよ(もちろん全てがそうではないけど)。

 そういう作品はテレビ放送で3話が話題になった頃には、ネット配信も無料分が2話ではなく3話になっちゃっているので……3話でブーストかけても遅いというか。
 逆に、2010年代になったばかりの頃と違って「有料会員は全話見放題」のサービスが普及していて、そこがスポンサーになったりもしているので、「いつでも全話観返せられる」ということを活かした作品がヒットするのかもなぁと思っています。

| やまなしレイ(管理人) | 2015/05/05 23:51 | URL | ≫ EDIT

今さらかもですが3話までで判断っていうのは三幕構成っていう脚本作りの基本からきてると思います。
話が動かない作品が最後まで見てもらえないのはアニメに限りませんから。

| てん | 2016/01/14 15:23 | URL |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yamanashirei.blog86.fc2.com/tb.php/1926-fa8b9a50

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT