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これぞ任天堂の集大成であり新機軸!『Splatoon』紹介(10点)

【三つのオススメポイント】
・今度こそ「Wii Uゲームパッドを活かした」分かりやすくて遊びやすいゲーム
・「オンライン」に繋がることでゲームはこんなに面白くなる
・3D空間を作り続けてきた任天堂の新作アクションゲームとしての「ヒーローモード」


『Splatoon』
 Wii U用/アクションシューティング
 任天堂
 2015年5月28日発売
 5700円(税別)
 セーブデータ数:1(※ユーザーごとに作成可能)
 公式サイト(※ 音が鳴ります)

Splatoon(スプラトゥーン) [オンラインコード]Splatoon(スプラトゥーン) [オンラインコード]

任天堂 2015-05-27
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 プレイ時間は6月14日夜の時点で51時間
 オンラインランクは20まで上がりました
 一人用のヒーローモードは全ステージクリア
 amiiboで出来るチャレンジモードはガールだけ全ステージクリア
 アップデートで、新ブキ「N-ZAP85」「パブロ」「シャープマーカー」追加、新ステージ「ホッケ埠頭」「モズク農園」が追加されて、第1回目のフェスが終わった時点での紹介になります


◇ 今度こそ「Wii Uゲームパッドを活かした」分かりやすくて遊びやすいゲーム
 このゲームは、Wii U本体の発売から2年半が経過した2015年5月に任天堂から発売された新規タイトルのゲームです。ジャンルとしては「TPS」=「サードパーソン・シューティングゲーム」で、3Dアクションゲームに銃を撃つ要素を加えたジャンルのゲームと説明すれば分かりやすいかなと思います。
 「一人用のヒーローモード」も収録されていますし、「オフラインで二人で遊べるバトルドージョー」というモードもあるのですが、メインは「4人vs4人のオンライン対戦モード」です。任天堂のパッケージソフトで、ここまで本格的に「オンラインがメイン」「オフラインはオマケ」というゲームはほとんどなかったんじゃないかなぁと思います。


 任天堂がTPS?
 任天堂がオンラインゲーム?

 任天堂に『マリオ』や『どうぶつの森』のイメージしか持っていない人は「突然どうした?」と思われるかも知れません。しかし、『スーパーマリオブラザーズ』が『ドンキーコング』『ドンキーコングJr.』『マリオブラザーズ』『デビルワールド』『エキサイトバイク』『バルーンファイト』といったそれまでの任天堂ゲームを基盤にして作られたように、『Splatoon』もここ数年の任天堂ゲームの様々な要素を基盤にして作られていると私は思います。決して「突然現れた」ワケではないのだろうと。

 直接的なスタッフの構成で言えば、『Splatoon』はWii Uのローンチタイトルに関わっていた人達による「既存のゲームの枠にとらわれない新しいゲームをつくろう」というプロジェクトから生まれたそうです。Wii UのローンチタイトルとはWii Uの本体機能、『ニンテンドーランド』、『NewスーパーマリオU』などですが……やはり、『Splatoon』の一番の基盤になっているのは『ニンテンドーランド』だろうなぁと私は思います。

 『ニンテンドーランド』とは、2012年12月にWii U本体と同時発売になったソフトです。Wii Uという新しいゲーム機の楽しさを提供するための「Wii Uゲームパッドを活かしたゲーム」が12種類収録されているという商品で、その様々な要素が『Splatoon』に繋がっていると考えられます。

【ジャイロセンサーでの照準操作】
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<写真はWii Uソフト『ニンテンドーランド』より引用>

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 Wii Uゲームパッドに内蔵されたジャイロセンサーで照準を付けるガンアクション操作は、『ニンテンドーランド』に収録されている「鷹丸の手裏剣道場」「ゼルダの伝説 バトルクエスト」というアトラクションから受け継がれています。
 『Splatoon』に関して「今までTPSに見向きもしなかった連中が、任天堂が作った途端に遊び始めやがって!」といったことを言う人もいるのですが、右スティックで照準を合わせる操作なんて出来なかった人達(=私)がWii Uゲームパッドのジャイロセンサーでならようやくマトモに遊べるようになっただけなので。『Splatoon』でTPSを始めた人達に向けた“次の1本”を作りたいのなら、ジャイロセンサーで照準合わせられるようにしてください。お願いします。


【4人協力プレイ】
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<写真はWii Uソフト『ニンテンドーランド』より引用>

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 4人が1チームになって3D空間を自由に走り回り、連携を取って役割分担しながら目的を達成するのは「マリオチェイス」から受け継がれています。「マリオチェイス」がオフラインで声をかけあう協力プレイなのに対して、『Splatoon』はオンラインで仲間の考えを推測して協力しあうプレイなのが対照的ではありますが。


【高低差を活かした3Dアクションシューティング】
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<写真はWii Uソフト『ニンテンドーランド』より引用>

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 高さのある3D空間内での3Dアクションシューティングという点では、「メトロイドブラスト」もありました。協力プレイも出来ますし、Wii Uゲームパッドを使ったスターシップの操作は『Splatoon』の操作方法によく似ています。左スティックで移動、ジャイロ&右スティックでカメラと照準操作、ZRボタンで攻撃。

 自分は発売当時スターシップがマトモに動かせなくて、地上のサムスだけをプレイして何とかクリアしたのですが……『Splatoon』の操作に慣れた今プレイしたらスイスイ動かせるようになっていました。


【テレビ画面とゲームパッドの二画面を使ったゲーム】
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<写真はWii Uソフト『ニンテンドーランド』より引用>

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 テレビ画面に「3Dのゲーム画面」、ゲームパッドの画面に「上空からの2D画面」が表示されて、その両方を見ながらプレイするゲームといえば「C・ファルコンのツイスターレース」です。しかし、今でも思うのだけど、どうして「F-ZEROなんちゃら」ってアトラクション名にしなかったんだろうこれ!


【他の人のMiivereseが表示される】
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<写真はWii Uソフト『ニンテンドーランド』より引用>

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 ゲーム内にうようよ歩いているアバターはMiiverseに呟いたことが表示されるので、“生の声”を持った他人のアバターがゲーム内にいるようで、「みんなで遊んでいる」感覚が味わえます。こういうところも似ていますね。


【ゲームパッドの画面からショートカットできるメニュー画面】
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<写真はWii Uソフト『ニンテンドーランド』より引用>

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 メニュー画面が“街”になっているので3Dの画面でトコトコと入口まで歩いていっても良いし、それが面倒くさい人はゲームパッドをタッチして一気にゲームを始めても良いところも同じですね。


【レトロ感のあるミニゲーム】
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<写真はWii Uソフト『ニンテンドーランド』より引用>

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 『ニンテンドーランド』はコインを使って「プライズ」がもらえるミニゲームが遊べて、『Splatoon』はオンラインの待ち時間にミニゲームが遊べます。どちらもドット絵のレトロ感溢れるゲームです。


【案内役となる看板娘】
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<写真はWii Uソフト『ニンテンドーランド』より引用>

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 『脳トレ』の川島教授、『Wii Fit』のウィーボ君、『安藤ケンサク』の安藤ケンサクなど、任天堂のゲームには「案内役」が登場するゲームが多いです。これは、ストーリーを持たないゲームであっても「軸となるキャラクター」を置くことでプレイヤーを引っ張る意図があるのだと思います。

 『ニンテンドーランド』にはモニータちゃんがいましたが、『Splatoon』にはアイドルユニット:シオカラーズがいます。私はホタルちゃん派です。



 ……と、こんな風に今から思えば『Splatoon』の基盤になっている要素が『ニンテンドーランド』にはたくさんあったのだと分かるのですが。『ニンテンドーランド』そのものは、「Wii Uゲームパッドを活かしたゲーム」を揃えることが目的化しすぎてしまっていて、誰のための商品なのかよく分からないものになっていました。
 「1人では遊べない大人数向けのゲーム」も「1人で黙々と遊ぶストイックなゲーム」も収録されているとか、12種類もゲームが入っていると遊び方を覚えるのも大変とか、正直分かりづらいゲームになってしまっていたと思います。『Wii Sports』がどうして受けたのかって、みんなが知っているスポーツを題材にして、分かりやすいゲームに徹したからだったのに。

(関連記事:これが新しいゲーム機だっ!『ニンテンドーランド』紹介

 加えて……今になって思えばなんですが、『ニンテンドーランド』の「二画面を使った遊び」は「オクトパスダンス」も「C・ファルコンのツイスターレース」も「バルーントリップ ブリーズ」も両方の画面を観なければならないという“制約”だったんです。その忙しなさを楽しんでねという遊びなのだけど、逆に考えると「むしろ遊びづらくなっている」とも言えたワケです。
 また、「ゼルダの伝説 バトルクエスト」や「メトロイドブラスト」のジャイロセンサーでの操作も、ゲームパッドを常に立ててのプレイが“強制”されていました。

 これらは確かに「新しいゲーム体験」ではありましたが、ゲームパッドのおかげでゲームが遊びやすくなったというよりも、「その不自由さを楽しんでね」というゲームパッドでのプレイを強いられているようなゲームだったと今なら思います。

 結果的に『ニンテンドーランド』は思ったようなヒット作にはならず、それだけが原因ではありませんがWii Uのスタートダッシュも失敗します。「『ニンテンドーランド』は『Wii Sports』にはなれなかったね」「Wii UはWiiのようにはなれなかったね」と槍玉に挙げられることもありました。



 ところがどっこい、そこから『Splatoon』が生まれるのです。
 共通のスタッフが多いこともあってか、『Splatoon』は『ニンテンドーランド』の良くなかったところが徹底的に改善されたゲームになっています。流石、「失敗したらタダでは終わらない」任天堂です。バーチャルボーイからニンテンドー3DSを作る会社なだけあります。

  「二画面を使った遊び」は“両方の画面を観なければならない”というよりかは、“時々ゲームパッドの画面も確認すれば戦況が分かるよ”という遊びになっています。「二画面を観なければならない“制約”」ではなく「二画面のおかげで“遊びやすくなっている”」という。
 ジャイロセンサーによる操作も、ゲームパッドを立ててプレイする必要のあった「ゼルダの伝説 バトルクエスト」や「メトロイドブラスト」と違い、基本的にはゲームパッドを寝かしたままでの操作になります。Yボタンを押せば基準となる位置をユーザーが自由に決められますし、ジャイロセンサーを使いたくないという人は右スティックのみで照準を合わせることも出来ます。「ジャイロセンサーでの操作が“強制”」ではなく「右スティックが苦手な人は“ジャイロでも操作出来ますよ”」となっているんですね。

 また、『Splatoon』にはメインとなる「4人vs4人のオンライン対戦」、レコードのB面のような「一人用のヒーローモード」、オフラインで二人で遊べる「バトルドージョー」という大きく分けて3つのモードが収録されていますが……3つのモードは操作方法は共通で、「インクを銃で撃って」「イカになってインクに潜る」という遊びは一緒なのです。12コもゲームを覚えなくちゃならなかった『ニンテンドーランド』に比べて、非常に分かりやすくなりました。


 操作方法を簡単に説明します。
 「移動」は左スティック
 「照準」はゲームパッドを動かすor右スティック
 「攻撃」はZRボタン
 「イカになる」のはZLボタンを押しっぱなし


 基本はこの4つです。

 「カメラリセット(ゲームパッドの今の位置を正面に合わせること)」がYボタン
 「ジャンプ」はXボタン
 「サブウェポン(爆弾など)」はRボタン
 「スペシャルウェポン(ゲージが溜まったときに使える必殺技)」は右スティックの押しこみ


 慣れてきたらこの4つも覚えるとイイと思います。


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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 オプションで「ジャイロ操作のオフ」や「右スティックの反転」などが変更出来ますが、キーコンフィグは出来ません。これは任天堂の自社開発ソフトの伝統でもありますからねぇ。「作り手がベストだと思ったボタン配置を提供する」ことが大事だという考え方。自分はこのボタン配置はものすごくしっくり来ているので、不満はありません。

 購入してから2年半が経過しているのに今更ですけど、Wii Uのゲームパッドって「左スティック」を操作するゲームも「十字ボタン」を操作するゲームもどちらもすごく手に馴染みますね。今まで自分が触ってきたゲーム機のコントローラって「こっちはイイんだけどもう片方が……」というものばかりだったので、驚きましたし、2年半「左スティック」を使うゲームをほとんどプレイしてこなかったことがバレてしまいますね(笑)。

 ちなみに、「テレビ画面を使わないでゲームパッドの画面だけでプレイする」ことは出来ません。あくまで二画面を使った遊びのゲームなので。


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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 このゲームの特徴は、ZRボタンで銃から発射されるのが「インク」で、そのインクによって「床」や「壁」を塗ることが出来るというところです。もちろん銃なので敵を撃てば敵を倒すことができて、スタート地点に戻すことができます。

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 もう一つの特徴は、ZLボタンを押している間はイカになって自軍のインクに潜れるところです。自軍のインクの中なら高速で移動できますし、壁だって登れます。また、イカになっている間は相手からは姿が見えませんし、攻撃に使うインクの回復(リロード)もしてくれます。


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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 ゲームのルール(勝利条件)はモードによって違いますし、オンライン対戦でも現在は「ナワバリバトル」と「ガチエリア」の2つのルールがあって今後も追加される予定なのですが……一番代表的な「ナワバリバトル」は、エリアをどれだけ自軍のインクで塗れたのかを競います。


 誰にでも分かる単純明快なルール。
 しかし、だからこそ、人それぞれ「こうすればイイんじゃないか」というプレイスタイルが違っていて、それが許される奥深さがあるのです。

 例えば、世界中で親しまれている「サッカー」というスポーツ、ルールだけならものすごくシンプルなワケですよ。ボールを蹴って相手のゴールに入れる、それだけ。誰にでも分かる単純明快なルール。ですが、世界中の人々が百年単位で「こうすれば勝てるんじゃないのか」と考えた結果、多彩なフォーメーションとか戦術が生まれていったワケで。


 『Splatoon』の世界における「ナワバリバトル」は、私達の世界における「サッカー」のような、“原始的な面白さ”と“奥深い戦略性”の両方を持った遊びなんじゃないかなぁと思います。



◇ 「オンライン」に繋がることでゲームはこんなに面白くなる
 『ニンテンドーランド』が発売された頃、「マリオチェイス」や「メトロイドブラスト」を「友達のいない自分はオンラインでも遊びたかった!」と言っている人をチラホラと見かけました。任天堂は全てのゲームをオンライン対応にはしないので、「任天堂はオンラインゲームを軽視している」という批判もよく目にします。
 しかし、「マリオチェイス」や「メトロイドブラスト」をオンラインに対応させただけの『ニンテンドーランド2』を出すのではなく、しっかりと「オンラインだからこそ面白い」ゲームを考えて『Splatoon』を出してくるように……「任天堂はオンラインゲームを軽視している」というよりかは「任天堂はオンラインで面白くなるゲームかどうかを考えてオンラインに対応させるかを決めている」だと私は思うんですね。


 Wii Uの現実的な最大のライバルは3DSだろう

 Wii U本体発売から1ヵ月後の2013年1月に書いた記事です。
 『マリオ』も『マリオカート』も『スマブラ』も3DSで出る以上、Wii Uは「3DSでは出ないゲーム」を出さなければならない―――という記事でした。『Splatoon』が出た2015年に読むと面白いものがあると思うので、当時読んでくださった方もまたどうぞ。

 「3DSのジャイロセンサーと違って、Wii Uのジャイロセンサーはゲームパッドを動かしてもテレビの画面は動かない」ことから、“3DS以上に「色んな遊び」が詰め込める”と書いています。これはまさに前項で書いた『Splatoon』の魅力の一つである「ゲームパッドで遊びやすくなった」部分だと思います。

 そして、もう一つ。
 携帯ゲーム機が「どこででも遊べる」ことに対して、据置ゲーム機は「インターネット常時接続を活かしたゲーム」を出すべきだと書いているんですね。もちろん携帯ゲーム機にもインターネット必須のゲームはありますけど、インターネット必須ならば「外では遊べない」という据置ゲーム機最大の弱点にも目をつむってもらえると思ったんですね。


 さて、『Splatoon』。
 任天堂のパッケージソフトでは珍しい、「オンラインがメイン」「オフラインはオマケ」というゲームですが……「3DSではできないWii Uでしか提供できない遊び」を考えていくと、こうしたゲームに力を入れていくのは当然だと言えます。
 今後のWii Uのラインナップを考えても、『デビルズサード』に『マリオメーカー』とオンラインに力を入れたゲームが並んでいますし。『どうぶつの森』もそうなるんじゃないかなぁと予想しています。


 しかし、一方でこういう意見もあるんですね。

 どうして私は“オンラインモード”のあるゲームが嫌いなのか

 オンラインゲームは相手と時間を共有するため、勝っても負けても気を遣ってしまい楽しめない―――という記事です。さっきの記事と同じ人が書いたとは思えない話ですね(笑)。
 でも、確かに私は人類の中でも上位に入るくらいの面倒くさい人間だと思いますが、私と同じように「オンラインゲームはちょっと……」と思っている人はそこかしこにいることでしょう。なので、「据置ゲーム機はオンラインゲームに力を入れるべきだ!」と言いつつも、「それだとついてこれない人も多くなるだろうな」とも思うんですね。

 任天堂がオンラインゲームを絶対視してこなかったのもそういう理由かなと思います。オンラインゲームに力を入れると、「オンラインはちょっと……」という私のような人間は楽しめなくなってしまいますからね。



 ということで、『Splatoon』です。
 このゲームは「オンライン対戦のゲームは楽しめない……」という人にも、「オンラインでゲームはこんなに面白くなるんだ!」と楽しんでもらうために作られたゲームだと思います。

 上で紹介した「どうして私は“オンラインモード”のあるゲームが嫌いなのか」という記事には、こんな私でも楽しめるオンラインゲーム案として

○ 「多人数」同時プレイのゲーム
 ← 「自分の責任」が薄まるので気軽にプレイ出来る
○ 「途中抜け」「途中参加」が自由なゲーム
 ← 時間的な拘束力が弱いので、協力プレイも気軽に出来る
○ 「負けた人」が、次の勝負では有利になるゲーム
 ← 遠慮なく相手をボッコボコに出来る


この3つが挙げられていました。


○ 「多人数」同時プレイのゲーム
 『Splatoon』は「4人vs4人」のオンライン対戦です。
 この「1チーム4人」というのが絶妙で、1人がサボるとほぼ勝てないから一生懸命プレイしなければならない、しかし4人も敵がいると「コイツのせいで負けた」と思いにくい人数なんです。もしも、これがもっと多い人数だったら「自分一人くらい手を抜いてもイイや」と考えてしまいがちだし、「自分のおかげでチームが勝った」と思いにくかったでしょう。もしも、これがもっと少ない人数だったら、「アイツのせいで負けた」と恨まれやすかったでしょう。

 「相手を殺した数」ではなく「最終的にエリアを塗った割合」で勝負が決まる「ナワバリバトル」は、勝者の4人全員が「俺のおかげでチームが勝てたんだ」と思えるし、敗者のチームの塗りポイント上位は「俺は頑張ったんだけどなぁ」と思えるルールなのがとても良いです。8人中6人くらいは「俺はよくやった」と思えるルール。
 まぁ、「負けチームの塗りポイント最下位」が続くと、精神的に落ち込んでしまうところはありますけどね……


○ 「途中抜け」「途中参加」が自由なゲーム
 これは別に『Splatoon』に限った話じゃなくて、対戦型FPSではよくある仕様だとコメント欄で教えてもらったのですが、オンライン対戦が好きじゃない自分は知りませんでしたし、それが知られていないことがFPSやTPSが日本で苦戦してきた理由じゃないかなぁと思うほどです。

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 オンライン対戦モードの入口は、3つです。
 「レギュラーマッチ」のルールは現在のところ「ナワバリバトル」で。
 「ガチマッチ」のルールは現在のところ「ガチエリア」です。
 「レギュラーマッチ」のみ、フレンドに合流が出来ます。

 私は「ガチマッチ」はほとんどやっていないので「レギュラーマッチ」の話を書きますが、「ナワバリバトル」は1試合3分。この試合中は流石に「途中抜け」「途中参加」は出来ませんが、試合が終わるごとに「次の試合も続けますか?」と訊かれます。3分間に1回抜けるタイミングがあるんですね。それで抜けた人がいれば、新たな人が参加してくるというカンジです。

 で、ここからが重要なんですけど。
 このゲーム、誰も抜けずにずっと同じ8人で遊んでいたとしても、「敵味方のチーム分け」がシャッフルされるんです。さっき味方だった人が敵になったり、敵だった人が味方になったりするのです。だから、途中で誰かが抜けたところで気にならないのです。
 もし、これがずっと同じチームで戦うというシステムだったら「えー!○○さん抜けちゃったの!頼りになってたのに……」ということが起こると思うんですが、敵味方がシャッフルされるから誰が抜けたか気付かないくらいです。1試合ごとの「抜け」「参加」が非常に気楽なんですね。

 また、「敵味方のチーム分けが毎回シャッフルされる」ことにより、「またアイツにやられた!」とか「コイツのせいで負けた!」というヘイトが溜まりにくい仕様になっています。流石に「負けチームの塗りポイント最下位」が続くと、「あのやまなしレイってヤツのチームいつも負けてんな」と思われてしまうかもですが(笑)。



 それと、「フレンドに合流」は今まさにオンライン対戦を遊んでいる人のところに、「次の対戦で空きが出来たら入ります」と合流する機能です。これのおかげで気軽にフレンドと一緒に遊べるようになりました。自分は未プレイですけど、恐らくこの「気軽にフレンドに合流できる仕組み」は『マリオカート』シリーズにもある機能だったと思います。
 自分の持っている『スマブラ』にも「フレンドとの合流」機能はあったんですけど、『スマブラ』は「フレンドとの対戦はフレンドしか入ってこれない」「対戦は4人まで」だったために流動性がなかったんですね。こういう仕組みは『Splatoon』みたいに「フレンド以外も混じって対戦」「多人数同時プレイ」という流動性があってこそだなと思いました。


○ 「負けた人」が、次の勝負では有利になるゲーム
 このゲームには直接的な分かりやすい「有利になる要素」があるワケではありません。『マリオカート』のアイテムとか、『スマブラ』の「最後の切りふだ」のような、大逆転できる要素もそんなにないです。チーム4人が一丸となれば残り1分でも大逆転できるゲームではありますが。

 しかし、このゲームのレギュラーマッチは「レーティング」がしっかりあって(レギュラーマッチの場合は表示されない)、チーム分けの際に極端な実力差があまり出ないようになっていると思います。後述しますが、フェスマッチはそうではなかったので、如何に普段のレギュラーマッチが考えてチーム分けされていたのかと思いましたもの。
 その結果、勝ち続けるとそんなに強くない人と組むことになるし、負け続けると強い人と組むようになっているように思えます。このレーティングについてはまだまだ判断できないところはありますが、少なくとも考えなしにチーム分けされているワケではないと思います。



 今後のアップデートで「フレンドだけでチームを組んで他のチームと対戦する」という機能も追加されるそうなんですが、この記事を書いている時点ではフレンドと合流してもチーム分けは自動で決められてしまいます。また、海外では割とマイナス点として評価されているそうなのですが、このゲームにボイスチャットはありません。仲間に対して送れるメッセージは「カモン!」と「ナイス!」だけです。

 私はこれこそが『Splatoon』最大の魅力だと思うんですね。
 対戦型のゲームは、同じステージを何十回・何百回と繰り返しプレイするため、“勝てる動き”を正確にこなすだけの覚えゲーになりがちです。任天堂の対戦型のゲームは、なのでここにランダム性を加えて毎回違うことが起こるようにすることが多いんですね。例えば、『マリオカート』は入手できるアイテムがスロットで決まるし、『スマブラ』で出現するアイテムは毎回違います。そうすることによって飽きにくいゲームになっているのです。

 『Splatoon』にはこういうランダム性の要素が一見するとないのですが……
 「敵味方のチームが毎回変わる」上に、ボイスチャットがないので「意思統一もできない」というところに、ランダム性が生まれているのです。同じステージを何十回と遊んでも、毎回新しいメンバーで遊んでいるから毎回新しいことが起こるのです。「同じチームにチャージャーが3人もいるじゃないか!」とか、「俺以外の全員が裏道を進んでるから中央塗っているヤツが誰もいない!」とか、予想外のことが起こりまくるのです。だから、何十回遊んでも飽きないのです。

 最初からフレンドだけでチームが組めてずっと同じメンバーで遊んでいたらこういう楽しさはなかったろうし、ボイスチャットで意思統一できたら“勝てる動き”を誰かが指示してそれに従うだけのゲームになっていたんじゃないかと思います。まぁ、『スマブラ』に「終点・アイテムなし」を求める人もいるように、『Splatoon』にも「そんなランダム要素は要らない!」という人もいるでしょうけど。
 あと、海外の人達の「ボイスチャット希望」って世界中の人が英語を喋れる前提の考え方ですよね。私は「カモン!」と「ナイス!」以外の英語が喋れないのでボイスチャットがなくて良かったです!



 また、オンラインによる楽しさは「オンライン対戦」による楽しさだけではありません。
 このゲームは発売から半年間は無料アップデートが続くと予告されていて、実際に発売から3週間の間に新しいブキが3つと新しいステージが2つ追加されています。パッケージ版購入者からの情報によると、どうもこれらの追加ブキやステージは最初からソフトに入っていて、それを徐々にアンロックさせて使えるようにしていっているみたいなんですね。アップデート容量は小さなものらしいんで。

 最初はスタンダードなブキやステージが揃っていて、徐々にテクニカルなブキやステージが追加されていき、その度に話題になっていく……オンラインゲームでは珍しくもなんともないことですけど、任天堂としては恐らく『マリオカート8』や『スマブラfor』の「アップデート」や「有料DLC」で遊びを追加していった流れを受け継いでいるんじゃないかなと思います。

 任天堂一社で何十本ものソフトをWii Uに用意するのは大変ですが、『マリオカート』や『スマブラ』のように全世界で何百万本と売れるゲームがあるのだから、それらの追加コンテンツを用意してずっと遊び続けてもらおうというのがWii Uでの任天堂の戦略になっていることと思います。
 『Splatoon』もこの流れに沿って、定期的な追加コンテンツで長く遊び続けてもらおうというソフトになっているんですね。半年間のアップデートは無料ですが、それ以降は有料DLCも来るんじゃないかなぁと予想しているのですが、果たして。「お金を払った人が有利になる有料DLC」はイヤですが、「イカちゃんを可愛く着せ替えられる有料DLC」ならば、私は喜んでお金を払いますよ!メイド服を!メイド服を私にください!



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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 後は、やはりMiiverseの使い方が、Wii Uのロンチに関わっていた人達によるソフトなだけあって「これがMiiverseの魅力か!」という使い方がされています。前述したとおり道行く人のMiiverseが表示されるのは『ニンテンドーランド』にもあった仕様ですが、『Splatoon』で表示されるのは「日本人の投稿限定」で「それなりに人気の投稿」が表示されるみたいですね。
 無作為にMiiverseが表示された『ニンテンドーランド』のカオスなカンジは「遊園地らしい」っちゃらしいんですが、お絵描き意欲が出てくるものではありませんでした。

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 スクールアイドルがいました。

 『Splatoon』の仕様だと、クオリティの高い投稿をたくさん目にする機会が多く、それを見た世の中の絵描きが自分も描きたいと思い、更にそれを見た人が「こんなすごい投稿があったよ!」と話題にするスーパー好循環が生まれています。Miiverseの可能性を3年前のE3からずっと語ってきた自分としてはとても感慨深かったです。
 お絵描きのために『Splatoon』買ったとか、『Splatoon』でのお絵描き楽しいとか、Twitterを見ていると「Miiverseという名前」すら知らない人が喜んで投稿しているんですよ!ゲーム内に自然に現れるから、「Miiverseという名前」なんか意識しないという。これがMiiverseの本来あるべき姿だったのですよ!



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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 オンラインゲームならではのお祭りイベント「フェス」も開催!

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 第1回の「フェス」は「朝食はごはん派?パン派?」という御題でチームを分けて、その24時間は普段のオンライン対戦ではなく「ごはん派4人vsパン派4人」のナワバリバトルをするというものでした。成績に応じて、装備のカスタマイズに使えるスーパーサザエという報酬がもらえます!

 最初『みんなで投票チャンネル』っぽいと思ったのですが、どっちかというと『スマブラfor』の「コンクエスト」っぽいですね。

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 事前に投稿された「朝食はごはん派?パン派?」のMiiverseが、当日これでもかというほど出てきて「祭りだー!」とテンション上がりまくり。テンション上がった状態でお店に入ると、店員はすげー普通のテンションで接してくるのがリアルな祭りっぽくもありました(笑)。


 ……と、雰囲気作りは最高だったんだけど。
 肝腎の「フェスマッチ」の仕様はとても残念。

・ルールは「ナワバリバトル」のみ
・なので、普段は「ガチマッチ」プレイしているガチ勢も一緒のプレイ
・フレンド合流も出来ない
・レーティングがあまり機能していないのか、勝っても負けてもワンサイドになりがち
・敵味方のシャッフルがないので、メンバー固定したまま戦い続けられる
・勝ってると楽しいけど、負けてると「ずっと負け続ける」こともしばしば
・ステージが24時間同じ3ステージなので、1日中ずっとやってると流石に飽きる……
・「ごはん派」の方が人数が多かったのか、「ごはん派」は常に余りがちで「パン派」が来るまでの待ち時間が非常に長かったそう


 普段のオンライン対戦に“制約”を付けているだけなので、「フェスならではの面白さ」があまりないのがつらかったです。敵味方シャッフルこそが『Splatoon』最大の魅力だと言っていた自分としては、敵味方の固定が一番つらかったかなぁ……ずっと同じメンバーで戦い続けられることで連携も高まるし、連勝もできるという楽しさがなかったワケではないのですが。

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 すごいバランスの取れたチームで7~8連勝とかしてたら、この有様。
 「あまりに強すぎるチームは強制解散」みたいなシステムがあったんですかねぇ。それならそれでも構わないんですけど、それだと「フェスならではの面白さ」が本当に何もないというか……事前の盛り上がりが最高だっただけに残念。「遠足は前日が一番楽しい」ということを、大人になって久々に思い出しましたよ。



 残念なところついでに、不満点というか要望を書いておきますけど……
 『スマブラ』みたいなリプレイ機能って、『Splatoon』には付けられないんですかね?

 オンライン対戦中はHOME画面に当然移れないので、スクショ撮ったりMiiverseに投稿したりが出来ないんですよ。「こんなことがあったよ!」とか、「すごい名勝負だった!」みたいな場面をみんなと共有したくても、それができない仕様なのが残念です。システム的に大変だろうことは分かるのですが……アップデートでもムリならば、何年後かに発売されることを期待している『Splatoon2』にでも是非。


◇ 3D空間を作り続けてきた任天堂の新作アクションゲームとしての「ヒーローモード」

 高さのあるゲーム

 唐突に全然別の話題です。
 スーパーファミコン時代から『パイロットウィングス』や『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』で「高さのあるゲーム」を表現していた任天堂が、NINTENDO64と『スーパーマリオ64』で3D空間を自在に作れるようになって「高さ」を手に入れました。

 この90年代中盤のゲーム業界における「ゲームが3Dになって何が変わったのか―――」という各社の動きってすごく面白かったんだなと今なら思います。
 セガは『バーチャファイター』で「3Dで作られたリアルな人間の動き」を表現し、スクウェアは『ファイナルファンタジーVII』で「CGムービーによる映画のようなゲーム」を作り、任天堂は『スーパーマリオ64』で「高さのある箱庭空間での自由な遊び」を実現したと言えますからね。「3D」という新しい表現方法をどうゲームに活用したかのアプローチは様々で、そのどれもが後のゲームの礎になっているという。

 ただ、その任天堂がたどり着いた「高さのある箱庭空間での自由な遊び」が必ずしも任天堂を幸せにはしなかったという。以前に紹介したhamatsuさんの記事で言及されているのですが、『スーパーマリオ64』を作った宮本さん自身が『スーパーマリオ64』を始めとする3Dアクションゲームに厳しいことを言っているのです。

 それはこの記事の、第6回から。
 インタビューされた時期は1999年の秋で、これから『ドンキーコング64』が発売されるというタイミングです。

<以下、引用>
 ぼく、3Dアクションゲームってほんとに面白いかな?って思ってるんですよね、
 自分で作っておいて、言うのもなんですが(笑)。

 「3Dアクションゲームの時代だ!」とか言って、みんなをその気にさせたのはぼくなんやけども、
 みんなも「そっか。これからは3Dアクションか!」って思って、それで実際に3Dアクションゲームをつくってみたら、たいへんだった、という思いをしてると思うし、そのわりには意外と面白くならへんかったって、あれ?って。

 だったら、マリオのことを、なんで面白いと思ったんやろ?って言って、もう1回してみたら、やっぱり意外と面白くなかったとかね(笑)。

 あのね、ほんとにそういうものだと思っているんです。
 作るほうにとっても難しいし、遊ぶほうも難しく感じることが多いの。

 つまり、3Dアクションというだけで面白がる時期は終わったと思います。
 3Dゲームにすることで面白さが引き立つ、ゲーム性の「アイディア」が中心にならないと、だめなんでしょうね。

</ここまで>
※ 改行や強調など、引用者が一部手を加えました

 この話の続きは、「と僕は思っているんだけど、レア社が作った『ドンキーコング64』は「3Dアクションゲームってのは面白いんだ」という前提で作られていて、任天堂を飛び越した3Dアクションゲームの完成形になっていると思う」ということなんですけど……2015年という未来から読んでいる私からすると、宮本さんは「3Dアクションゲームというだけで面白がってもらえる時期は終わった」と思っているという話がとても気になるのです。

 『マリオ64』は世界中でものすごく評価されたゲームで、未だに「マリオ64のようなゲームの正統続編なマリオが遊びたい」という声は根強く聞かれます。しかし、作った宮本さん自身が1999年の時点で既に「遊ぶほうも難しく感じている」「マリオ64のようなゲームを面白がってもらえる時期は終わった」と考えていたという。


 んで、3D『マリオ』と3D『ゼルダ』の違いの話になるのです。
 『マリオ64』で「高さ」を得た3D『マリオ』ですけど、宮本さんが『スーパーマリオギャラクシー2』で「遊びとしては平面の遊びが楽しい」」と仰っていたように以後の3D『マリオ』は「高さのない平面的な遊び」を強化していきます。
 「マリオの面白さに高さって必要なのか?」「高さを得てマリオは面白くなったのか?」というそもそもの疑問が、宮本さんにすらあったのだと思われます。

 3D『ゼルダ』は違います。『ゼルダ』は元々「探索」のゲームですし、スーファミ時代から「高さ」を表現していたくらいですから、“3Dゲームにすることで面白さが引き立つ”があったのだと思います。「ゼルダに高さは必要」「高さを得てゼルダは面白くなった」と自信を持っているから、今でも3D『ゼルダ』は「高さのあるゲーム」なんだと思います。


 「何の話をしてるんだ?」と思われるかも知れませんが。
 任天堂は「3D空間でのアクションゲーム」を20年間作り続けていて、「3Dになって面白くなったもの」「3Dになっても面白くならなかったもの」をずっと考え続けてきたと思うんです。64時代はそれこそ「これからは3Dの時代だ!」と言っていたけど、「本当に3Dアクションって面白いのか?」と立ち返って、『どうぶつの森』が出てきたり、『Wii Sports』や『Wii Fit』が出てきたり、3D『マリオ』でも平面の遊びにしたりしたのだと思います。

 そんな任天堂が、バリバリ3Dアクションの『Splatoon』を出したことで「え?これって任天堂のゲームなの?」と思った人もいるかも知れません。このゲーム、「高さ」がありますからね。
 しかし、逆に言うと「3Dになってゲームは面白くなったのか?」「高さを得てゲームは面白くなったのか」を考え続けてきた任天堂が、満を持して出した「3Dだからこそ面白いゲーム」「高さを得たからこそ面白いゲーム」が『Splatoon』だとも言えるのです。


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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 やはり、このゲームの核となっているのは「自軍のインクで塗られた壁ならばイカになって昇ることができる」というアイディアだと思います。これによって「高いところへの移動」もスムーズにできますし、プレイヤーがステージの空間を把握しやすくなっているのです。「高さのあるゲーム」の何が複雑だったかというと、「見えるのに行けない」場所が多くて、回り道をして登る間にどこなのかが分からなくなってしまったからだと思うんですね。

 オンライン対戦のステージも全て「高さ」のあるステージで、「高さ」をどう使うのかが鍵となっています。



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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 そして、「一人用のヒーローモード」も「3Dだからこそ面白い」「高さを得たからこそ面白い」ギミックが満載で、3D空間での遊びを考え続けてきた任天堂による「マリオでもゼルダでもない」全く新しい3Dアクションゲームとして非常に高いクオリティの遊びになっているのです。

 『マリオ』や『ゼルダ』をdisりたいワケじゃないんですけど、やっぱりシリーズものというのは遊び続けているとそのシリーズの「決まったルール」に慣れてきてしまうものです。今更「ハテナブロック」からコインが出てくることに驚かないし、「ヒビの入った壁」を見たら爆弾で壊せるんだなと思ってしまうものです。

 『Splatoon』は完全新作のゲームですから、「インクを銃で撃って」「イカになってインクに潜る」という新しいルールを活かした“今までに見たことのないギミック”が次から次へと出てくるのです。この新鮮さは、仮に数年後に『Splatoon2』が出ても味わえない一度きりの体験だろうなぁと思います。


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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 具体例を出しすぎるとネタバレになっちゃうので好きだったステージの紹介は一つだけにしますが、私はこの「回転する足場を塗ってイカで泳いで落ちないようにする」ステージが好きでした。これは「マリオでもゼルダでもない全く新しい3Dアクションゲーム」だったからこそ出来たギミック。


 「一人用のヒーローモード」は、オンライン対戦とも操作が全く一緒なので「操作の練習」にもなりますし、「新作アクションゲーム」としても楽しめますし、「世界観の掘り下げ」にもなっています。1ステージ辺りのボリュームがそこまででもないのも、個人的には好みです。

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<写真はWii Uソフト『Splatoon』より引用>

 「3Dアクションってどっちに進めばイイのか分からなくなる……」という人もいるかも知れませんが、このゲームの「ヒーローモード」は『スーパーマリオギャラクシー』のように「細かいエリアをクリアしたら次のエリアにジャンプする」システムを採用しているので道に迷うことは少ないと思います。これも「3D空間でのアクションゲーム」を20年間作り続けてきた任天堂がたどりついた「道に迷わずに楽しめる3Dアクションゲーム」の形だとも言えますし、20年間の積み重ねがあったからこそ『Splatoon』が生まれたのだと私は思います。
 ステージ自体はほぼ一本道ですが、各ステージには1つ隠されているミステリーファイルというものがあります。『マリオ』シリーズにおけるスターコインとか彗星メダルみたいなヤツ。これを探すのも「探索ゲーム」好きな自分は非常に楽しかったです。かなりガチで探さないと見つからないところにありますからねぇ。



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 更に、amiiboを持っていれば「ヒーローモードでクリアしたステージ」の内20ステージを「新たな条件でプレイするチャレンジモード」が遊べます。ガールのamiiboなら「チャージャーでプレイ」、ボーイのamiiboなら「ローラーでプレイ」、イカのamiiboなら「シューターだけど時間制限などがある状態でプレイ」となっています。

 言ってしまえば「やりこみ要素」で、「やりこみ要素」は欲しい人と欲しくない人が分かれるので別売りのコンテンツとして提供するのは私は賛成です。チャレンジモードクリアで手に入る装備は「見た目」重視のものなので、買った人だけが有利なものではありませんし、オンラインの待ち時間に遊べるミニゲームが手に入るのも悪くないと思います。

 ただ、そのamiiboが品切れ状態なのはいただけません。
 慌てて追加生産しても、手に入るのが仮に半年後なら、半年後に「やりこみ要素」を遊ぶのなんてすごくダルイですよ。私は運よくamiibo3体を手に入れられましたけど、多くの人が手に入れられていない現状はつらいものがあります。一度クリアしたステージを、チャージャーでプレイすると全く別のバランスになっているのとかすごく楽しかっただけに、全員が遊べるワケではないのが本当に勿体ないなぁと。



◇ 総評
 ものすごく絶賛してきましたが、それでも「オンラインがメインのゲームである以上は、どうしても人を選ぶゲーム」なのは仕方がないでしょう。極端な話、自宅にインターネットが繋がっていない人にとってはこの楽しさは半分以下に下がってしまうと思いますから。

 しかし、「3Dアクションが嫌い」「オンラインゲームが嫌い」と言い続けていた私が全力でプレイして、全力で楽しめているのだから、ものすごく間口の広い3Dアクションゲームだと思いますし、多くの人が楽しめるオンラインゲームなんだと思います。それはやはり、一朝一夕で出来上がってきたものではなく、任天堂がこれまでに積み上げてきたゲーム達があったからでしょう。
 今までの任天堂が大事にしてきたものを引き継ぎ、上手くいかなかったものもちゃんと研究して改善して、その上で“全く新しい体験を提供する新機軸のゲーム”として形にしてくれたことに拍手を贈りたいと思います。「フェスマッチ」の仕様とか、「amiibo」の品切れとか、ケチをつけられるところももちろんあるんですけど、それでも「こういうゲームを出してくれたこと」に感謝したいし、任天堂の底力を感じました。


 このゲームは今の時点が完成形ではなく、半年かけて無料アップデートを繰り返し完成形になっていくそうです。
 予定されていたアップデートが全て終わった半年後、その頃に記事を書いてもまだ読んでくださる人がいそうだったら、ですけど……その時にもまた紹介記事(第2弾)を書いて、今回の紹介記事(第1弾)とどれくらい変わったのかを語れればイイなと思います。
 ただ、私としては、今くらいのシステムとボリュームが丁度イイなとも思っているんですね。気楽に遊べるし、覚えなくちゃいけない要素もそれほど多くない。アップデートでブキやステージやモードが追加されていっても、今の絶妙なバランスが保てるのだろうかとは思います。

 なので、買うか悩んでいる人は早めに買いましょう!
 今ならまだ大丈夫です!

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| ゲーム紹介 | 18:02 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

長文記事お疲れ様です。
私も時間を忘れて遊んでます。

マリカやスマブラに比べてガチ要素が強く
初心者入りづらいかなと思ってましたが
チームマッチングにランダム性があったのは盲点でした。

アイデアや工夫でここまで楽しい遊びを
任天堂が出してくれたと言うのはとても嬉しいです。

| ちさねこ | 2015/06/15 22:51 | URL |

興味深く読ませていただきました。
急に花が咲いたかのようなスプラトゥーンですが、
まったく新しい土地にまったく新しい種を植えたわけではないんですよね。

このブログの読者としては、
やまなしさんがすごく楽しめる3Dアクションに出会えたことが
ちょっと感動的ですね。
おめでとうございます!?

| カフェラテ | 2015/06/16 00:04 | URL | ≫ EDIT

紹介記事お疲れ様です。
自分もお祭り騒ぎに乗じてWiiU毎買ってしまったクチですw

>8人中6人くらいは「俺はよくやった」と思えるルール
ただ塗るだけでも楽しいという所もそうですが、個人的には上記のシステムが上手くできてるなぁと思いました。
対戦ゲームはたまにやるのですが、「これ以上やっても上達せず勝ちが増えなさそう」とか「負けた時に学べる点がなく、楽しめる点もない」とか思ったときにそのゲームを止めたくなるんですよね。
その点スプラトゥーンは負けても楽しいし、余り自分が傷つかずに済むようになってるから気楽にできる。

| RAL | 2015/06/16 00:42 | URL |

ニンテンドーランドからのブラッシュアップになっているというのは盲点でした。
スプラトゥーンだけ見ると異端なルーキーが現れた印象を受けますが、ちゃんと流れを受け継いだ正当進化だったのですね

| ああああ | 2015/06/16 18:36 | URL |

>「サッカー」というスポーツ、ルールだけならものすごくシンプルなワケですよ。ボールを蹴って相手のゴールに入れる、それだけ。誰にでも分かる単純明快なルール。ですが、世界中の人々が百年単位で「こうすれば勝てるんじゃないのか」と考えた結果、多彩なフォーメーションとか戦術が生まれていった

自分もこのゲームをやったときサッカーのような雰囲気を感じました。シンプルだけど絶対的な攻略法はない、安全策だけではなくリスクをとらないと勝てない、といったような。
あと個人的に良いと思っている点は、レーティングや戦績のようなものがほとんど無いところです。もの足りなく感じるところもありますが、やはりこういうものがないことで「今度は武器を変えてみよう」とか「次はあそこの場所でやってみよう」といったことが気軽にチャレンジできると思います。

| qua | 2015/06/16 20:44 | URL |

>ちさねこさん

 あと、このゲーム恐らく「ランク」とはまた別の「レーティング」が隠しパラメータとしてあるっぽいので、その辺でもガチ勢とエンジョイ勢の棲み分けにもなっているんじゃないかなぁと推測しています。

 個人的には、初心者と上級者が混じっていてそれが丁度バランスよく2チームに分かれているというのが理想だとは思うんですけどね。


>カフェラテさん
 「簡単なゲーム」ではないんですけど、『Wii Sports』や『ニンテンドーランド』を作ってきた部署なだけあって、「3Dアクションゲームが好きじゃない人」の気持ちをよく考えて作ってあるなぁと思います。

 「ヒーローモード」のラスボス戦は、ちょっと、あの、正直イラッとしましたけど(笑)。


>RALさん
 負けても「あぁ!もう1戦やろう!」と思える仕組みなのがイイですよね。それは、1試合ごとにチームが変わるのもあるし、「次はああしよう」と改善できるところが多いのもあるし、遊ぶごとに発見があるから続けたくなるんですよねぇ。


>ああああさん
 ありがとうございます。うれしいです。
 『ニンテンドーランド』とMiiverseは「惜しい」という感想が出てしまうもので、あとちょっとどうにかなればなぁと2年半思い続けてきたものでした。それがこういう形で開花するというのは、任天堂の底力を感じましたよ。


>quaさん
 おぉ、同意してくれる人がいるとは(笑)。
 『スマブラ』に似てるとか、『マリオカート』に似てるとか、色々と考えた結果、最終的に「サッカーに似てる」という結論になったのは「大きく出たなぁ」とも思ったのですが……やっぱりすごく似ているところがあると思うんですね。

 レーティングに関しては実はある(表示されていないだけで)と私は思っているんですけど、表示されないのは大きいと思います。ガチマッチで「下手くそなヤツがいるからBにまた落ちた!」と怒っている人をTwitterでも見かけるので、レギュラーマッチのレーティングが表示されたら殺伐としていただろうなーと。

| やまなしレイ(管理人) | 2015/06/16 23:30 | URL | ≫ EDIT















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