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アホな子の存在意義とは?『がっこうぐらし!』の主人公が描いているもの

※ この記事はテレビアニメ版『がっこうぐらし!』第4話「えんそく」までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。
※ 原作漫画版はアニメ終了まで読まないようにしているので触れません。なので、コメント欄などにもネタバレを書き込まないで下さい。


 さぁ、書きますよ!
 もうみなさん、「第1話」のネタバレについてはイイですよね?「第1話って何?知らない」という人は、前の記事を読んでくださいね!今日の記事ではもうネタバレ配慮とかはしませんからね!

(関連記事:『がっこうぐらし!』アニメ第1話は、どうして面白かったのか



 私は本来、一つの作品を語るのに「他の作品」を参考文献のように取り上げるのがあまり好きじゃありません。一つの作品は、その作品を初めて観た人がその作品だけで完結して楽しめるべきで、「他の作品」も観ていないと100%は楽しめないみたいな風潮にはしたくないからです。初心者をお断りしていけばどんどん客層が先細っていくのは、色んな業界が通ってきた道です。

 しかし、今回ばっかりは「他の作品」を参考文献のように取り上げなければなりません。
 私にとってこれは義務なのです。


 考察:アホな子だからこそ、平沢唯が大好きです

 2009年7月に書いた記事です。『けいおん!』1期の放送直後です。
 『けいおん!』の主人公:平沢唯は、いわゆる「アホな子」と呼ばれる残念なキャラだったのだけど、だからこそ私は平沢唯というキャラクターも『けいおん!』という作品も大好きだったという記事でした。

 当時は1日1万アクセスを超えていた記事だったんですけど、こんなラブレターを1日に1万人以上が読んでくれたというのは……なんか……あの、すごい時代だったなぁと思わなくもないです。


 さて、それからもう6年ですよ。
 現在は同じ芳文社の漫画が原作のアニメ『がっこうぐらし!』が放送されていて、『がっこうぐらし!』も言ってしまえば同じように「アホな子が主人公のアニメ」です。というか、『がっこうぐらし!』のキャラクターは芳文社の日常アニメとか部活モノの中では「ド定番」というか「超王道の組み合わせ」で揃えてあると思うんですね。


ゆき(丈槍由紀)
 ド天然のムードメーカー。
 勉強や生活力などの基本スペックは低いけど、明るく元気にみんなを引っ張っていく行動力があります。みんなが仲良くしているのが大好きで、いつもニコニコしていて、女のコ同士のスキンシップが多め。

 『けいおん!』で言えば、平沢唯。
 『ご注文はうさぎですか?』で言えば、ココア。


みーくん(直樹美紀)
 ↑のキャラに溺愛される後輩キャラ。
 「しっかりしていない主人公」と対比されるように、「年下だけどしっかり者」として描かれます。それ故にいつも振り回されていて、困り顔になることも多いのだけど、主人公との出会いで成長が描かれやすいポジションです。

 『けいおん!』で言えば、あずにゃんこと中野梓。
 『ご注文はうさぎですか?』で言えば、チノ。


くるみ(恵飛須沢胡桃)
 口調が男のコっぽいボーイッシュキャラ。
 サバサバしているようで、実は一番乙女な中身だったりすることが多いです。一番頼りになるし、一番のツッコミ役にもなります。

 『けいおん!』で言えば、秋山澪。
 『ご注文はうさぎですか?』で言えば、リゼ。


りーさん(若狭悠里)
 おっとりおっぱい。
 「あらあら」と一歩引いたところからみんなを見守ってくれるキャラで、実は一番スペックが高いことが多い縁の下の力持ちです。母性=巨乳イメージなのか、何故だかおっぱい大きいキャラになりがちです。

 『けいおん!』で言えば、ムギちゃんこと琴吹紬。
 『ご注文はうさぎですか?』で言えば、千夜。


 『きんいろモザイク』でも当てはめようと思えば当てはめられそうなのですが、『きんモザ』は「おっとりおっぱい」ポジションのキャラがいないんですよね。忍とアリスは、唯と梓やココアとチノと違って終始イチャイチャラブラブイチャイチャしているので、やっぱりちょっと違うキャラ配置だとも思います。


 閑話休題。
 『がっこうぐらし!』のメイン4人のキャラは、「よくあるキャラ配置」ではあるんです。

 そのため、キャラだけ見たら「またか……」と思ってしまいそうなのですが、『がっこうぐらし!』は実はサバイバルホラーなジャンルの作品です。つまり、『がっこうぐらし!』は「よくある日常系アニメのキャラ配置」でサバイバルホラーをやったらどうなるのか?という作品なんですね。だから、この作品は「よくあるキャラ配置」にすることが必然なのです。


 他の3人についても語るのは面白そうですが……
 やはり自分は「主人公:ゆき」について語らなければなりません。

 『けいおん!』の平沢唯にしても、『ごちうさ』のココアにしても、『きんモザ』の忍もここに入れちゃってイイと思うのだけど……これらの作品の「アホな子」ポジションの主人公は、みんなを癒して、みんなを元気にさせて、みんなを成長させる主人公でした。しかし、それはこれらの作品が「かわいいものしか存在していない世界観」だからであって、現実はそんなに甘くないよ―――と、これらの作品を批判する人もいました。

 定期的に出てきますよね、こういう日常系アニメに対する「ゆるい世界だからイイんだ派」と「こんなのは現実じゃない派」の争いみたいなやーつ。

(関連記事:“悪意”が存在しないアニメを観たい時


 しかし、『がっこうぐらし!』はサバイバルホラーです。
 ゾンビがうようよ歩いていて、バリケードを張って何とか食い止めている状況です。ワンミスで全滅しかねないギリギリの毎日で、いつ助けが来るのかも分からない絶望的な状況です。ちっとも「かわいいものしか存在していない世界観」ではありません。こんな状況で、「アホな子」主人公:ゆきは生きてゆけるのか―――

 言ってしまえば『がっこうぐらし!』という作品は、「かわいいものしか存在していない世界観」のキャラクター達を、「現実以上に過酷な世界」に引きずり込んだ作品と言えるのです。


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 アニメ第1話のラストにて、ゆきは主人公にして唯一「世界がゾンビまみれになってしまった」ことを認識できないキャラであることが判明します。みーくんのゆきに対する反応なんかもそうでしたが、私はこの時点ではゆきに「精神がイカレちゃったコ」みたいな印象を受けました。


 第2話は、視聴者は状況が分かっているのに、ゆきだけはそれを認識できないので……空気を読まない発言や行動にイラッとさせられるところもありました。購買でみんなを呼びつけたり、図書室で一人はぐれたり、状況が分かってはいないといえ「いい加減にしろよ」と言いたくなりました。実際、くるみも「本当に置いてってやろうか」と言っていましたしね。
 学園生活部にとって、ゆきは「爆弾」になりかねないんですね。空気を読まない行動でみんなを巻き込んで、みんなを全滅させかねない―――『けいおん!』や『ごちうさ』や『きんモザ』とは違い、この過酷な世界の中では「アホな子」はそれだけ危険なんだと痛感させられる回でした。



 でも、そんなゆきの存在に、みんなは救われているのです。

 第2話のラストでバリケードのこちら側に戻ってきた後、何も知らずに平和そうにニコニコ眠っているゆきを見て、くるみが救われるシーンがあります。
 第1話の途中、ゾンビに囲まれて生活しているあの状況で緊張していたみーくんが、ゆきとのやりとりの後に「緊張が解けた」ように見られるシーンがあります。

 空気を読まない「アホな子」だから、役に立たないどころか爆弾になりかねない主人公なのだけど―――日常を失ってしまった過酷な世界の中で、ただ一人ニコニコと笑ってくれる彼女がいるから、他の3人も平常でいられるのです。

 実際、第4話では「ゆきがいるおかげで前向きでいられた学園生活部」と「ゆきがいないから不安を抱えてぶつけあってしまった美紀と圭」の様子が対比されて描かれていました。
 美紀と圭が「このまま助けが来なかったら……」と未来に絶望しか抱けなかったのとは対照的に、ゆきは「明日もいいことがあるって思える方が楽しいでしょ!」と未来をちっとも悲観していないのです。まるで平沢唯が「目指せ!武道館!」と言っていたかのように。



 『けいおん!』は“仲間”を描き、『かなめも』は“孤独”を描いた
 『けいおん!』の更に向こうへ。『ハナヤマタ』第1話が素晴らしかった!

 私は本当に『けいおん!』と平沢唯が大好きだったので、これまでにも色んな作品を「『けいおん!』の文脈で語る」ことも多かったです。『かなめも』も『ハナヤマタ』もそうでした。『けいおん!』がキラキラした青春の輝かしい部分だけを描いていた作品だったのに対して、この二作品はそんな青春は送れないというキャラ達を描いた作品でした。言ってしまえば、この二作品は「平沢唯にはなれなかった主人公」の物語だったと思います。



 この文脈で考えると、『がっこうぐらし!』は更に異質な作品です。
 ゆきは「平沢唯になってしまった主人公」だと言えるのです。 

 過去の様子が描かれた第3話を見る限り、ゆきは最初からこういうコではなかったみたいなんです。クラスメイトから陰口を叩かれていて、毎日が全然楽しそうじゃなくて、そして、彼女もまた“あの日”の惨劇を見ているのです―――


 そんな彼女が、学園生活部を作った現在は、ずっとニコニコしてて、毎日が楽しそうで、そして、彼女だけには「かわいいものしか存在していない世界」が見えている――――その結果、彼女は他のメンバーにとって「爆弾」にもなりつつも「救い」にもなっているのですが。

 何故、彼女はそうなったのか。

 ここから先の展開を予想して書いてしまうのは野暮だと思うのでほどほどにしますが、構成を見る限り「1本のアニメ作品」としてはここが一番のポイントになるのだろうと思います。第1話で提示された最大の謎であり、視聴者の興味を引っ張る推進力であり、そして恐らくアレやコレやの答えと直結しているポイントだからです。






 平沢唯にしても、ココアにしても、大宮忍にしても……日常系アニメの主人公像としては、定番で王道でド真ん中になった「アホな子」。


 そんな「アホな子」がどうやって生まれたのか?

 そして、「アホな子」が存在している意味は何なのか?



 スーパーロボットアニメにおける「ロボット」を再定義して描き直した作品がリアル系ロボットアニメと呼ばれたのと同じように、『がっこうぐらし!』は「アホな子」を再定義して描き直す“リアル系アホな子アニメ”と呼べるのかも知れない―――と考えるなら、「アホな子」研究家の私としては注目せざるを得ないのです!!!



 マジメな話をしますと、『結城友奈は勇者である』なんかは公式に「新日常系アニメ」を謳っていて、それまでにもそういう路線のアニメはあったと思うのですが言語化することで「この作品もこの作品もこの作品も新日常系だな」とカテゴリー分けがしやすくなったとも言えて―――
 『がっこうぐらし!』も今カテゴリー分けをするのならば「新日常系」に分類される作品だと思うのですが、やっていることは「新日常系」の中での「日常系キャラクターの再定義」のようにも思えるんですね。



 この作品の物語の結末が「アホな子」に対してどういう答えを用意しているのか―――
 「アホな子」への想いを熱く語っていた私はとても興味深いですし、「『がっこうぐらし!』って話題になっているから観ているけど何を楽しむアニメなのかよく分からないなー」という人はとりあえずこの辺りに注目しておくと面白いんじゃないかなと思います。


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| アニメ雑記 | 17:51 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

>私は本当に『けいおん!』と平沢唯が大好きだったの
>で、
>これまでにも色んな作品を「『けいおん!』の文脈で語
>る」ことも多かったです。

『かなめも』や『ハナヤマタ』以外のまんがタイム系列のアニメを『けいおん!』の文脈で語った記事がみたいです!

| ああああ | 2015/08/05 01:38 | URL |

>ああああさん

 まぁ……今後に観る作品については書くかもです。
 昔に観た作品は、記事に書けるほど細かいところを覚えていられていないので……

| やまなしレイ(管理人) | 2015/08/05 02:44 | URL | ≫ EDIT















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