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じゃあ、実際にマンガを描いてみよう!その7~ペン入れ・画材編~

 今週と来週は前後編でペン入れについての話を書こうと思います。
 「ペン入れは1週間で終わらないだろうから2週間かけてやろう」という理由が正直なところなのですが、2週かけても問題がないくらい書いておきたい話題が多いのが「ペン入れ」の話だったりもします。

 最近はそうでもないかも知れませんが、私がマンガを描き始めた頃は多くの人に「初心者の壁」として立ちふさがったのが「ペン入れ」でした。同じ時期に私と同じように初心者だった人達からは、マンガは描きたいけどペン入れがイヤだからなーみたいな声もチラホラ目にしました。私もマンガを描き始めて2年目くらいまではペン入れが大嫌いでした。

 なので、『マンガは描ける!』を読んでマンガを描き始めようと思った初心者の方々に向けて、時間をかけてじっくりと「ペン入れとは何か」を語ろうと思います。そもそも本当に「ペン入れは必要」なのか?


マンガは描ける!絵が描けない人でも
マンガは描ける!絵が描けない人でも

1.企画を立てる
2.プロットを考える&シナリオを書く
3.コンテに起こす
4.キャラクターをデザインする
5.ネームを描く
6.下描きをする
7.ペン入れをする(前編)←今週はココ!
8.ペン入れをする(後編)
9.消しゴムをかける&修正する
10.ベタを塗る
11.トーンを貼る
12.スキャンしてセリフを入れて完成!



 まずは、私が実際に使っている「ペン」を紹介しようと思います。


gazai1.jpg

 これが私の使っているペンです!
 と紹介しても、みなさん「どれ……?」と思われることでしょう。「ちゃんと整理整頓してから写真を撮れよ」なんて思われたかも知れません。私に世話好きの幼馴染(美少女)でもいたら、「もう~、やまなし君ったらまた部屋を散らかしたままなんだから!」と勝手に片付けられてペン立てにぶっ立てられていたかも知れません。良かった、私に世話好きの幼馴染(美少女)がいなくて!本当に良かった!本当に、本当に良かった!


 実際に使っているのはこの中の6本なのですが、「どれがどれだかごっちゃにならないように」間に筆とか修正液とかを入れて区別がつくようにしているのです。


gazai2.jpg

 私が使っているのは主に「Gペン」と「丸ペン」の二種類です。
 ただ、こういうペンは使えば使うほどにペン先が広がってきちゃうものなので、「ガンガン使っているからペン先が広がりまくっているもの」を1に、「その次に使っているもの」を2に、「まだほとんど広がっていないからここぞという細い線を引くときに使うもの」を3に置いてごっちゃにならないようにしているのです。

 後でまた詳しく書きますが、「Gペン」は「力の入れ具合によって線の太さを変えられる」のが特徴。“筆のようなペン”と言われています。「丸ペン」は逆に「均一な細い線が描ける」のが特徴で、みなさんが普段使っているボールペンとかマーカーのようなペンと同じような感覚かも知れません。
 なので、初めてこれらのペンを使った人は「Gペンはすごい描きづらい。丸ペンは描きやすい」と言っている人が多いですね。

 
・Gペン1…人物の主線、フキダシ、描き文字など、マンガの主役になる部分を描きまくる
・Gペン2…「抜き」と「入り」がキレイに出るので、髪の毛など先の尖ったものを描く
・Gペン3…目・鼻・口など人物の顔パーツを描くのに使う
・丸ペン1…無機質なもの、主線じゃない線、背景など、マンガの脇役になる部分を描く
・丸ペン2…1よりも更に細い線が必要なときに使う
・丸ペン3…2が広がってしまったときにのみ使うので、ペン先が刺さっていないことも多い

 「私の場合は」こんなカンジに使い分けています。
 だから、Gペン1とGペン3が入れ替わっちゃったりしたら大変なんですね。ここは太い線じゃダメなのに、なんかぶっとい線になっちゃった!!みたいなことが起こりかねません。


gazai3.jpg

 ついでなんで、使っているペン先のメーカーも書いておきます。

 「Gペン」は「タチカワ」のを使っています。
 「タチカワ」にたどり着くまでに幾つかのメーカーのを使ってみて「描きづらいなぁ……」と思っていて、その頃はペン入れが嫌いでしたし、Gペンが特に嫌いでした。そんな私が「ペン入れって楽しい」と思えるようになったのは「タチカワ」のGペンを使うようになってからです。
 これは「個人の感触」でしかないんですが、このメーカーのGペンは若干硬い印象で、「私の力の入れ具合」と「線の太さが変わる具合」が絶妙にシンクロしたのです。「これがGペンなんだ!」と感動して、以後はグロスで買っているほどです。


 「丸ペン」は「NIKKO」のを使っています。
 これは確か、マンガを描き始めた初期の頃から使っているので……実は他のメーカーの丸ペンはあまり知りません。最初に買った「はじめてのマンガセット」みたいなヤツについていた丸ペン(メーカー名は書きません)よりも均一な線が引けると思ったので、ずっとここのを使っているって感じですね。


 「自分の手に馴染む」ことが重要なので、最初の内は割高でも「3本セット」とか「5本セット」みたいな少数のものの色んなメーカーのを試してみて、その中から「自分の手に馴染む」ものを見つけるのがイイかなと思います。

 私がマンガを描き始めた頃、すぐにペン先が広がってしまったと思って、しょっちゅうペン先を交換していたことがあります。なのでガンガン新しいペン先を買っていて、お金もすごいかかっていました。だから「タチカワ」のGペンなんてグロスで買っていたんですね。
 最近はペン先を滅多に交換しなくなって、26ページのマンガを描くのに「Gペン」も「丸ペン」も2~3本しか交換していません。「タチカワ」のGペンのグロスは110本入っているそうなので、26ページのマンガを36本描ける計算になります(笑)。

 その理由は、先ほど説明した「6本体制」にして“広がったペン先”と“まだ広がっていないペン先”の役割を分けたからというのもありますし……ペン入れに慣れていない頃は「思った線が引けない」ことをペン先のせいにしていたのですが、「思った線が引けない」のは自分の肩の疲労が原因だったりインクが原因だったりすることに気付いたのです。


gazai4.jpg
 ということで、次はインクの話です。
 私が使っているのは、「PILOTの製図用インク」です。

 最初は30mlの瓶をいちいち買っていたのですが、割高だなぁと思ったので350mlの瓶を買うことにしました。そのままじゃ使えないので今まで使っていた30mlの空き瓶に少しずつ移して使っていました。傾斜をつけているのはこの方が残りのインクが寄ってくれてペン先に付いてくれるからです。

 んで、その頃にようやく気付きました。
 インクってそのままにしておくとどうも成分が沈殿してしまったり凝固してしまっているようで、時間が経つと思った線が引けなくなるようだと。なので、ワインの「デカント」のように他の空き瓶に移すことでそうした成分が取り除かれるんじゃないかと。実際にやってみたところ、ちょっと薄くなる感はあるのですが、こうすることによってまた柔らかい線に戻って「抜き」や「入り」がキレイに出ました。


・「Gペン」のペン先をお気に入りのメーカーのにする
・「インク」の状態変化に気をつける
・「肩」が疲労すると思った線が引けないことを自覚する


 「ペン入れ」が大嫌いだった自分が「ペン入れ」大好きになった転機はこの辺でした。
 そうなるのに2~3年はかかったので、初心者の人が「ペン入れ」で挫折してしまうのも無理はないかなーと思うんですね。そうした挫折が少しでもなくなるように、これはあくまで「私の話」でしかないんですが、何かの参考になればいいなと思います。



gazai5.jpg
 次に、ペン入れに使う定規。
 「長い」のと「そうでもない」のとの2つを並行して使っています。「長いの1本で十分じゃないの?」と思われるかもですが、刀や剣だって「長い」のがリ-チがあって役立つときもあれば「そうでもない」方が小回りが効いて役立つときもあるように、定規も長さによって役立つときが違うのです。

gazai6.jpg
 重要なのは「インクエッジ」。
 定規と紙が直接接しないことでインクが定規づたいに流れていくことを防止する空間部分です。


gazai7.jpg
 長いほうの定規に1円玉を貼り付けているのは、インクエッジを深くするためでした。でも、これくらいの深さがあれば1円玉貼り付ける必要もなかったかも。マンガを描き始めたときは「形から入る」ことをしたかったので貼り付けたけど、効果はそんなにないのかも(笑)。


gazai8.jpg
 枠線は、現在の私はもうアナログでは描いていません。
 丸ペンで目安の線を軽く描いておくだけで、ちゃんとした枠線はスキャンした後にデジタルで入れるようにしています。その方がキレイに出るし、並行な線にもしてくれるし。

 ただ、今回は「全部アナログで仕上げる」ことにしているので、サクラクレパスのPIGMA08を使いました。メーカー公式サイトを見ると、価格は税別200円。

 マンガを描き始めた頃、「マンガの描き方」的な本には「枠線を引くのはカラス口だ!」と書いてあったので真に受けて酷い目に合いました。自分で線の太さを調節できる画材なのですが、すっげええええ難しいの。
 その後、「カラス口が使えない人は製図ペンだ!」と書いてあったのでしばらくは製図ペンの08のを使っていました。ペン本体も替えのインクも結構なお値段がするし、手入れも面倒くさいし、その割にそんなにキレイに線が引けるワケでもないし、あの時間は何だったのだと思わなくもない。

 つい最近……どのタイミングだか忘れちゃったのですが、多分「サインペンだけで年賀状を描く」ということをやっていた時期に「あれ?このサインペンで枠線引けばイイんじゃね?」と気付いちゃったんですね。バカ高いインクの製図ペンと、100円ショップで買えるサインペン、あんま変わらなくね?と。

 実際には100円ショップのサインペンはあっという間にインク切れになるので、ちゃんとした文房具屋さんで200円の水性マーカーPIGMAを買ってきました。最近はアナログで枠線を描かなきゃいけない時は、これを使うようになりました。先ほど書いたように、もうデジタルに移行しちゃっているのであんまそういう機会もないのですが。



 最後に、私が「ペン入れをしている環境」についても。
 下描き時はトレース台の上で描いていましたが、ペン入れ時はトレース台をどかして、こんなカンジに広い作業スペースを作っています。

gazai9.jpg
 厚めの漫画雑誌を置いて……

gazai10.jpg
 その上に画板と下敷きを載せて完成!
 別にトレース台の上でもやろうと思えばやれるのですが、トレース台はちょっと狭いので、ペン入れは思いっきり広いスペースでしたいという本当にただの個人的な気分でこうしています。「写真によって机の上が違うみたいだけど……」という疑問が出てくるかも知れないので、こういう理由なんですと一応書いておきました。


gazai11.jpg
 それと……
 地味な話ですけど、「ペン入れをする原稿用紙」の他に、先週も書いた「右手の脂が原稿用紙につかないように敷く紙」、原稿に線を描く前に「ちゃんとインクが出るか」を確認するための紙、ペンを持ち替える際にペン先に残ったインクをふき取るティッシュペーパーなどを周りに置いています。定規を使う時は、定規に付いたインクを拭くためのティッシュペーパーも置いておきます。

 写真は“原稿に線を描く前に「ちゃんとインクが出るか」を確認するための紙”です。何かをメモしたり印刷したりしたけどもう使わない紙を使い、一旦インクを出してみてから原稿用紙に描くことにしています。


 ペン先は「その日のペン入れを終わらせる」時はもちろん、ゴハンを食べる・お風呂に入るなど「数時間席を空ける」時も、使ったペンは全て洗っています。洗って、ペン軸から軽く抜いて、汚れても良いタオルで拭いておきます。錆びないようにペン軸から抜いたり入れたりするのでペン軸の穴がガバガバになっちゃうのですが、そうしたらペン軸を新しく買って交換することにします。





 画材の話はこんなものかな……
 すっごい地味な話ですが、実際にこれからマンガを描こうとする人がいたら参考になるかも知れないので、あくまで「私はこうしている」ってだけの話ですが書かさせていただきました。


 今日の本題はここからです。
 ここまで長々とペン入れの話を書いてきましたが……ペン入れの文化って、いつまで残るのかなと私も日々考えています。「ペン入れ」って「白黒印刷でマンガを表現する」ために培われた技術だと思うのです。極端な話、電子書籍のシェアが上がって「マンガはカラーで描かれるのが当たり前」の時代になったらそんなに重要な技術じゃなくなると思うんですね。

 例えば、アニメ業界だと……
 アニメ『SHIROBAKO』を観て私が一番驚いたのは「今のアニメの絵って鉛筆で描いているんだ!」ってところでした。というのも、私が子どもの頃はアニメはアナログで、セル画に特殊なインクのペンで絵を描いている―――って本で読んだことがあったんですね。
 しかし、2000年前後にアニメもデジタル化したことで、絵は鉛筆で描かれるし、セル画も特殊なインクのペンも使われなくなったとのことでした。時代と技術と環境が変わることで、使われる道具も変わるんです。



 「マンガが載る媒体」だけでなく「マンガを描く道具」も日々変化しています。今の時点でアナログでペンにインク付けて絵を描いている人よりもデジタルで絵を描いている人の方が多いかも知れません。
 アナログでは一切描かずにパソコンとペンタブだけでマンガを描いている人はたくさんいるでしょうし。Twitterを見ていたら、アナログで下描きをして、それをスマホで撮影して、スマホでペンをなぞってペン入れをしている―――というマンガ描きの人もいました。なんだその未来感。私がボーっとしている間に22世紀になっていたのでしょうか。

 かくいう私も、昨年からマンガ作業の一部をデジタルでするようになりました。
 そうしたら、スクリーントーンをキレイに切り取るカッターの技術なんてもう要らないワケですよ。小さめの箇所は大きくトーンを貼って残りの部分を削る、なんて話を10年後くらいにしたら、「戦後間もない時代の話ですか?」とか若い人に言われそうです。2014年までやっていましたよ私!!



 しかし、それでも私は「ペン入れ」が好きなんです。
 「Gペン」で「ペン入れ」するのが好きで、そのためにマンガを描いている―――と言っても過言ではないくらいに、「ペン入れ」が好きなんですね。だから、一部の作業をデジタルに移行しても、ペン入れまではアナログでやり続けているのです。
 修正作業とスクリーントーンは大嫌いだったのでデジタルに移行しましたけど(笑)。



 ということで……
 「Gペン」や「丸ペン」を使うと、どういう線が引けるのか―――
 「鉛筆」のままじゃダメなのか、「Gペン」や「丸ペン」以外の普通のペンじゃダメなのか――――

 この記事でそれらを検証していこうと思います。
 こんな面倒くさいことを、私以外の誰がやるのか!かなり貴重な話になるんじゃないかなと思っています。


gazai12.jpg
 まず、元となる絵を描きました。


gazai13.jpg
 トレース台を使って、それを量産しました。
 「コピーしたの?」と思われるかもですが、鉛筆で描かなければならなかったために1枚1枚トレースしました。トレース台があるとこんなことが出来るんですね!備えあれば憂いなし!自分の描いた鉛筆の絵を鉛筆の絵のまま大量に複製しなければならない事態に備えて、みんなもトレース台を買おう!



 この量産した「下描き」に、違った画材で「ペン入れ」をして、その違いを見てもらおうと思います。




【鉛筆】
enpitsu1.jpg

 まずは「鉛筆」まんまの画像。

 クリックするとスキャンした状態そのままのサイズで表示されます。
 修正も濃さの調整もしていません。

 まずパッと見でみなさん「薄い」と思われるんじゃないかと思います(笑)。
 それと、前回に書いたように、私は「全体のバランス」を確認しながら描くためにコマの外やフキダシの中にも絵を描いています。流石にそこの部分にはペン入れはしないので、消しゴムをかけた際に要らない線はまとめて消えてくれるのですが……「鉛筆」のままだとそれらも残ってしまうんですね。


enpitsu4.jpg
 ということで、無駄な線を消す「修正」作業を行い、「トーンカーブ」で濃さを調節したのがこの画像。クリックでこちらも拡大されますが、原寸大だとFC2の画像サイズの限界を超えちゃったので多少縮小はしています。

 私からすると「線が途切れ途切れでガッタガタ」なのが気になるのですが……「これでも別にいいんじゃないの?」と思われる人もいるかと思います。「修正」作業はちょっと時間がかかりますが、「ペン入れ」する手間が省けると考えるのなら、「ペン入れ」をしたくない人はこれでもいいんじゃないかという見方も出来ます。


enpitsu6.jpg

 デジタルで「枠線」と「ベタ」と「トーン」もペタリ。
 こうするともう普通に「マンガ!」ってカンジがしちゃいますね。「鉛筆」だけでもそこそこマンガは描けてしまうのです。今回は敢えてそういう手法は行いませんでしたが、「鉛筆」画なことを活かして濃淡をつけたマンガなんかもWEBで発表するのならアリだと思いますしね。その道を目指してみるのも面白そうです。




【Gペン+丸ペン】
tsukepen1.jpg

 こちらは私が普段マンガを描くのに使っている「Gペン」と「丸ペン」を使って「ペン入れ」した絵です。修正も濃さの調整もしていません。これもクリックで原寸大で表示されます。「集中線がはみ出てるけどイイの?」という話は来週か再来週に書くと思います。はみだしたところは後で修正液かけるからイイんです。

 これも来週書くつもりの話ですが、私は普段1本の線を2回重ねて描いて太くすることをしています。していますが、それだと「ペンごとの太さの違い」が比較できないため、今回はやっていません。枠線だけは丸ペン2回で描いていますが、それ以外の全ての線は1回で描きました。

tsukepen2.jpg
 丸で囲った部分、全て線の太さが違うことが分かるでしょうか?
 これらは全部「Gペン1」で描いています。同じペンでも力の入れ具合で線の太さが全く変わるのがGペンの特徴なのです。


tsukepen3.jpg

 はみ出した線を消す「修正」作業と、濃さを調整する「トーンカーブ」をかけました。
 「トーンカーブって何?」って人もいると思うんですけど、私もよく分かりません(笑)。マンガを描き始めた頃に「スキャンした絵はトーンカーブをかけるとイイんですよ」と教えてもらったのですが、当時使っていた画像加工ソフトにはその機能がなくて、去年CLIP STUDIOを買って初めてその機能を使い「トーンカーブ半端ねえ!」と実感したのでした。

 多分「明度、コントラスト」なんかを1発で変更する機能なのかなぁ……


tsukepen5.jpg

 完成!
 流石に「鉛筆」と比べると、線がキレイ!わざわざ同じ絵を二度描いているのだから、そうでなくては困る!!


【ボールペン】
 恐らく日本人なら誰もが一度は握ったことがあるであろうペンです。
 Wikipediaによると「ペン先に小さな鋼球を内蔵し運筆とともに回転することで軸内のインクを滲出させて筆記する構造を持つ筆記具」というのが定義だそうです。弱い力でもスムーズに線を引けるので、かつては万年筆が座っていたポジションに君臨しているってカンジなんですね。


 今回確認してみたら……私、何故だかボールペンを1本も持っていませんでした。
 もちろん昔は持っていたし使っていたんですけど、必要なときは家族の共有のものを使っていたので、自分の部屋からは姿を消してしまっていたみたいです。なので、父に話して「使っていないボールペン1本くれない?」と頼んでみたところ。



gazai14.jpg
 なんか、ピンクのが来た!
 意外!


ballpen1.jpg

 そんな私が描いたボールペン画!ボールペンで「ペン入れ」をしたのは初めてです!
 私が不慣れな上に、どう考えても安物なボールペンだということもあるのですが、「描きづれえ……」というのが正直な感想です。描いててガタガタするんですね。車高の低い車で悪路を走っているみたいな感覚です。車高の低い車なんて運転したことありませんが、多分(笑)。

 線の太さが均一なのは予想通りですが、インクが出なかったり、逆にドバッと出ちゃったりで、あまり見栄えの良い絵になりませんでしたね……と、ここだけ見ると思っちゃうのですが。


ballpen3.jpg

 「修正」と「トーンカーブ」をかけると、そこまで悪くはないんじゃないかなあと思えてきます。線の太さを変えられないので、手前のキャラも奥のキャラも同じ線で描かれていて「絵にメリハリがない」というネックではありますが。


ballpen5.jpg

 完成!これはこれでってカンジがしちゃいますよね。
 「ベタ」と「トーン」の力は偉大というか。縮小すると線がガタガタなのも、そんなに気にならないというか。


【マーカー】
 枠線を引くのに使っていたサクラクレパスの水性マーカーPIGMAを、私は元々「年賀状を描く」ために色んな太さのを持っていました。

gazai15.jpg
 枠線は08。
 普段「Gペン」で書いている主線を05。
 「丸ペン1」と「丸ペン2」を02と01で描いてみました。



pigma1.jpg

 太くてキッチリとした線が引けるので「これはこれで」ってカンジがしますね。
 「すごく太い線」も「すごく細い線」も引けないのがネックですが、イラストとしては全然悪くないと思いますし、そういう絵柄のマンガだったら問題なく描けるでしょう。

pigma3.jpg

 元から濃いので「トーンカーブ」の意味はあまりないですね(笑)。

pigma5.jpg

 そんなカンジで、「これはこれ」で。





○ 「線のキレイさ」はどうだ?
 ここからは比較編。
 WEBなどにマンガを載っける時にはトーンカーブはかけるのだから、「トーンカーブをかけた画像」から部分部分を抜粋して比較してみようと思います。

【鉛筆】
enpitsu-hikaku1.jpg

【Gペン+丸ペン】
tsukepen-hikaku1.jpg

【ボールペン】
ballpen-hikaku1.jpg

【マーカー】
pigma-hikaku1.jpg

 マーカー>Gペン+丸ペン>>>ボールペン>>>>>>>>>>鉛筆
 ほぼ原寸大で表示してしまうと、線の差は一目瞭然ですね……
 「鉛筆」は論外。「ボールペン」もガタガタは目立つけど、このくらいなら許容範囲内かなぁ。「Gペン+丸ペン」と「マーカー」はどちらもキレイですけど、「Gペン+丸ペン」は拡大するとにじみが観測されたので「マーカー」を上位にさせてもらいました。



○ 「抜き」はどうだ?
 この記事の序盤から、説明もなく「抜き」とか「入り」とか書いているので「何だ?下ネタか?」と思われたかもですが……ペンが紙に接する際に先を尖らせて描き始めるのが「入り」で、ペンを紙から離す際に先を尖らせて描き終えるのが「抜き」です。書道で習った筆使いをイメージしてもらえれば分かりやすいですかね。


 今回「抜き」を比較するために、分かりやすい「集中線の先端」がしっかり尖っているのかを見ていきましょう。

【鉛筆】
enpitsu-hikaku2.jpg

【Gペン+丸ペン】
tsukepen-hikaku2.jpg

【ボールペン】
ballpen-hikaku2.jpg

【マーカー】
pigma-hikaku2.jpg

 なんか……どれも微妙ですね……
 敢えて並べるのであればボールペン>Gペン+丸ペン>鉛筆>マーカーってところでしょうか。意外なことにボールペンが一番「抜き」がしっかり出ているように思えます。鉛筆はこれはこれで集中線ならアリかも知れませんが「抜きがキレイに出ているか」という判定だと全然出ていないのでダメです。


 「やまなしが下手くそだから全然尖ってねえじゃねえかよ!」と言われそうですし、その理由もなくもないのですが……一番の原因はスキャナです。原稿ではキレイに描かれている「抜き」が我が家のスキャナではちゃんとスキャン出来ないのです。


ex2.jpg
 これは「Gペン+丸ペン」で描いた原稿をデジカメで直で撮影した画像です。しっかりと先が尖っているのが確認できると思います。この画像をスキャンすると↓さっきの画像になるのです。

tsukepen-hikaku2.jpg
 報われませんねぇ。ちゃんとキレイな集中線になるように描いているのに。
 でも、逆に言うとどうせスキャンできないような「抜き」ならばこだわる必要もないとも言えるのです。出版社に投稿するとかだと問題でしょうが、WEBに載せるのであれば「自宅のスキャナでスキャンできる範囲で頑張る」のも大事かも知れません。




○ 「入り」はどうだ?
 今度は逆に「入り」。
 私の場合、「髪の毛の先」や「フキダシの先」は先端からペンを入れて先が尖るように描いています。描いています、というか目指していますというか。実際にはなかなか難しいんですけどね。

 ということで、ここでは「髪の毛やフキダシの先端」がしっかり尖っているかを比較していきましょう。

【鉛筆】
enpitsu-hikaku3.jpg

【Gペン+丸ペン】
tsukepen-hikaku3.jpg

【ボールペン】
ballpen-hikaku3.jpg

【マーカー】
pigma-hikaku3.jpg

 難しいですけど……Gペン+丸ペン>ボールペン>>マーカー>鉛筆ってところですかねぇ。「ボールペン」は元々細い線しか描けないペンですけど、Gペンは筆のように先端を尖らせて線の途中から太くすることも可能で、この2つの「先が尖っている」の意味はちょっと違うんですけどね。

 「マーカー」はさすがにここは苦手。




○ 「細い線」はどうだ?
 どれだけ細い線が引けるのかの比較です。
 依衣子ちゃんのリボンの斜線は「なるべく細い線で」と意識して描きました。「Gペン+丸ペン」は丸ペンで、「マーカー」は私が持っている中では一番細い01で描きました。


【鉛筆】
enpitsu-hikaku4.jpg

【Gペン+丸ペン】
tsukepen-hikaku4.jpg

【ボールペン】
ballpen-hikaku4.jpg

【マーカー】
pigma-hikaku4.jpg

 Gペン+丸ペン>>>>>>鉛筆>>マーカー>ボールペン

 さすが丸ペンさんです、半端ねえっす!
 意外に01のマーカーだと細い線は難しいんですね……




○ 「全体的には」どうよ?
 こんな風に細部を見てきましたけど「部分部分を拡大して読まれる」機会はそうそうないでしょうし、全体の見栄えさえ良ければ構わないとも思います。先ほどと同じ画像を再び並べてみました。

【鉛筆】
enpitsu4.jpg

【Gペン+丸ペン】
tsukepen3.jpg

【ボールペン】
ballpen3.jpg

【マーカー】
pigma3.jpg




【鉛筆】
enpitsu6.jpg

【Gペン+丸ペン】
tsukepen5.jpg

【ボールペン】
ballpen5.jpg

【マーカー】
pigma5.jpg

 同じ下描きであっても、最後に使うペンによって全然違う印象になるなぁ……と私なんかは思うのですが、それは私が「マンガを描いている身」だから思うだけで、ひょっとしたら「どれも一緒に思える」という人も多いんじゃないでしょうか。

 だとしたら、最初から「画材は○○を使わなきゃいけないんだ!」と決め付けずに、自分が使ってみたいものや、予算的に買いやすいものを選んでみて―――その内に「もっと細い線が引きたいな」とか「“入り”がキレイに出るものが欲しいな」と思ったタイミングで、徐々に装備を整えていくカンジで良いんじゃないかと思います。

 逆に、こうして比較した画像を見て「全然違うじゃん!○○が良いよ!」と思われたのなら、その画像を使ってみるのもイイと思います。
 私も普段のマンガは「Gペン+丸ペン」で描いていますけど、年賀状のイラストは「マーカー」で描いているように、それぞれの画材にはそれぞれの良さがあって「たまには別のものを使ってみたい」と思ったりするものなんです。



 画像をこんなに用意して、しかも原寸大でブログにアップロードしたから容量もかなり喰っちゃったし、長い記事になってしまいましたが……どこかで語っておきたかったんですね。「ペン入れ」の文化はひょっとしたら10年後にはもうなくなっていて、「Gペン」も「丸ペン」も画像作成ソフトのコマンドの一つでしかなくなっているかも知れないんですが……

 だからこそ、今の内に「ペン入れ」とは何なのか、どうしてわざわざ「Gペン」や「丸ペン」を使っているのか―――を、しっかり語っておきたかったのです。今週ものすごく気合入れて記事を書いたため、ものすごく時間がかかってしまい、『おっぱい泥棒』のペン入れが全然進んでいなくて来週大丈夫なのか?と不安ではあるのですが(笑)。

 それくらい、一度書き残しておきたいことだったのです。


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COMMENT

そうか!どうも太い線ばかりになってしまうのはインクの変化のせいだったんですね!謎が解けた!
GO WEST!はシンプルながら結構好きな読み切りでした。

| ああああ | 2015/09/15 02:00 | URL |

>ああああさん

 恐らくですけど、水分が蒸発して濃くなってしまったために、ドロドロした状態でインクが上手くペンから抜けなくなる――――ってところかなと思います。

 マンガを描き始めた頃「だから早めに使い切らないとダメなんですよ」と教えられたことがあるのですが、瓶を移すだけで自分は事足りてるかな……


>GO WEST!はシンプルながら結構好きな読み切りでした。
 しばらく何の話かなと考え込んでいました(笑)。

| やまなしレイ(管理人) | 2015/09/15 23:18 | URL | ≫ EDIT















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