やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

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「欲しくないもの」を手に取らせないこと

 インターネットが普及する前の時代、「今月発売されるエロビデオ一覧」がズラッと載っていて1本1本に短いレビューが書かれているエロ本を見たことがありました。
 「ライターって職業は新作のエロビデオを観てレビューを書くだけでお金をもらえるんだ!羨ましい!」と、子どもだった当時の自分は思ったものなのですが……子どもがエロ本を見てはいけないことに今気付いたので、18歳の時の話ということにしておきましょう(笑)。


 そこから時代が進んで今や2015年。
 エロビデオに限らず、ネットショッピングサイトの多くは商品を買ったユーザー自身がレビューを投稿できる機能を持っています。DMMのエロビデオへのレビューなんか、「一体何の使命感でこんな詳細にレビューしてくれているんでしょうか…」というものも多く、シーンが何回あるかとか、途中で全裸になってしまうかとか、最後はどこに出すかとか、詳細に書いてくれていたりするのです。
 すごくありがたいと思う一方、彼らはあくまでユーザーです。レビューを書くことでお金をもらっているワケではないでしょうから(ですよね?)、私が子どもの頃18歳の頃に憧れていた「新作のエロビデオを観てレビューを書くだけでお金をもらえるライター」は廃業しているのだろうかなんて考えてしまいました。



 別にエロ目当てではなく、そんな風に社会問題というか雇用の変化を考えるためにDMMのエロビデオのレビューを読んでいたら考えてしまうレビューを見つけてしまいました。大体こんなカンジ。


 最低です!こんなこと実際にやったら犯罪ですよ!!(☆1つ)

 そのレビューが付いていた作品は「女子大生を罠にハメて監禁陵辱するもの」でした。
 確かにそうです。実際にこんなことをしたら犯罪です。絶対にやってはいけません。

 しかし、エロ作品ってそういうもんじゃないのかなぁ……と思うのです。
 強姦とか痴漢とか監禁とかは分かりやすく「犯罪」ですけど、「犯罪」に限らずエロ作品というのは「実際にはやってはいけないこと」を作り物の世界で表現して「やりたい気持ち」を充足するものだと思うのです。
 女子高生との援助交際も、人妻との不倫も、妹との近親相姦も、やってはいけないことですし。恋人との合意の下であっても、露出物とかSMとかスカトロとかは、前準備と後始末と様々なリスクがあるので実際にやるのは難しいことです。そういう「実際には難しいこと」をフィクションの世界で表現しているのだから、「実際にやったら犯罪」という理由で☆1つを付けられたら溜まったもんじゃないと思いました。


 もちろん「だから受け入れろ」って話ではなく、「不快に思う人もいる」のが当然ですから、エロ作品は「パッケージ」とか「タイトル」とか「商品説明」の欄で「こういうジャンルですよ」と分かるようにしてあるものです。それを「不快に思う人」が間違って手に取るケースは少ないと思いますし、そのレビューが付いた作品もパッケージとタイトルを見れば「監禁陵辱もの」だということが分かるものでした。



 んで、見てみたら、そのレビューを書いた人は「監禁陵辱もの」のエロビデオに多数レビューを書いていて、絶賛するものもあれば「サンプルしか観ていないけど最悪だった」と☆1つをつけるものもあるような人だったので……マジメにレビューをしているワケではなく他の意図があるだけっぽいので、その人の話はまぁこの辺にしておくとして。




 私がこの件で思ったのは……
 エロ作品って、人によって「NG項目」がハッキリあるから、そのために「これこれこういうものがあります」と事前に言っておかなければならないんだなってことでした。

 エロビデオと言えば「パッケージに写っているキレイな女性はいつ出てくるのかな?」というパッケージ詐欺が“あるあるネタ”でしたし、エロ漫画と言えば「表紙描いている作家さんは表紙だけで漫画描いてないのかよ!」とか「この作家さん、表紙のカラー絵と中身の白黒絵が違いすぎるだろう!」みたいな表紙詐欺があるあるネタ”でしたし、そういうのは今でも変わらずあると思うんですけど……

 強姦とか痴漢とか監禁とか女子高生との援助交際とか人妻との不倫とか妹との近親相姦とか露出物とかSMとかスカトロとかは、タイトルとパッケージで「そういうジャンルなこと」が分かるようになっていると思うのです。それはもちろん「それを望む人」が手に取ってくれるようにという狙いが大きいでしょうが、「それを望まない人」が誤って手に取らずに済むようにという効果もあるのかなと。


 また、「ジャンル分け」だけではなく、インターネットで見られるサンプル画像やサンプル動画、タグ付けなどで「細かい内容」が事前に分かるようになっていることもあります。
 「エロと思えるもの」と「NG項目」の差は紙一重で、人によってその境界線は違いますから……「うひょー!監禁陵辱ものだぜー!やったー!」とテンションMAXで観始めた人が、「うわぁ……スカトロシーンがあった……ドン引きだわ……」とテンション急下降してしまうこともあるのがエロ作品です。

 なので、DMMに限らずエロに特化したネットションピングサイトには、予めタグ付けで「スカトロあるよ!」と教えてくれて「欲しくないもの」を手に取らずに済む機能がついています。このおかげでスカトロ嫌いな人が誤ってスカトロ作品を手に取らないようにしてくれているのです。




 でも、こういうのってエロ以外では珍しい話ですよね。
 映画でも漫画でも小説でもアニメでもゲームでも、わざわざ事前に「○○があるから苦手な人は観ないでね!」なんて言わないじゃないですか。むしろ事前にはひた隠しにして「誰にでも楽しめますよ!」と言っておいて、蓋を開けてみたら「うわぁ……○○があった」ってなことがしょっちゅうじゃないですか。

 以前「○○な要素があるゲームなら事前にそれを言って欲しい」と書いたら、「そんなこと書いたら売上が下がるでしょうが。ゲーム作りだってビジネスなんだから、売れなくなるような情報を隠すのは当然ですよ」と言われたことがありました。
 そんな「知られたら売上げが下がる要素」をどうして入れるんだよとは思いますが、“作る人”と“作らせる人”と“宣伝する人”は違うのでしょうから、そういうもんなのかーと今はもう諦めています。メーカーはユーザーを可能な限り騙そうとするし、ユーザーはメーカーを最初から信用していない―――そういうことはどこの業界にだってあるんだろうなと。




 作品を観る前から避けたい「NG項目」はありますか?

 なので、自分は「ネタバレしないようにNG項目を持った作品を手に取らずに済む」方法を考えていて、漫画紹介の記事などには実験的に取り入れています。こういう試みが流行らないかなぁと思ってやっていたのですが……


 先ほども書いたように、エロ作品は随分昔から「スカトロあるよ!」とタグ付けしてくれて、「NG項目を持った作品を手に取らずに済む」ようにしてくれていたんだなぁと思ったのです。

 何故ならエロという分野においては、誰かにとっての「欲しくないもの」は、誰かにとって「欲しいもの」だからだと思うんですね。
 「スカトロあるよ!」というタグ付けを、さっきから私は「スカトロが嫌いな人が避けられる」機能として紹介していますが、もちろんこれは本来は「スカトロが欲しい!という人のために“スカトロがある作品一覧”を検索するために付いた機能」です。「スカトロが欲しい!」という人のための機能のおかげで、「スカトロが嫌いだ」という人がスカトロを避けられるんです。



 この記事で一生分の「スカトロ」という単語を書いたような気がするくらい「スカトロ」という言葉を連呼してしまいましたが、あの……別に「スカトロ」に対しても「スカトロが好きな人」に対しても恨みがあるとかじゃないですからね。
 なんか、たまたま話の流れで「スカトロ」disみたいになっちゃいましたが、私は「全てのエロに価値がある」と思っているので「スカトロ」も人間の生み出した立派な文化だと思っています!


 ……えーっと、話を戻します。
 記事の序盤で紹介した「最低です!こんなこと実際にやったら犯罪ですよ!!(☆1つ)」のレビューは恐らくマジメに書かれたレビューではないと思うんですが、実際にこういう「買ってみたら“欲しくないもの”だったからレビューで酷評する」ことってしょっちゅうあると思うんですね。

 というか、私もしょちゅう書いている気がします。
 ゲームを買って、自分には全然楽しめなくて、「全然面白くなかった」ってレビューを書いて、「じゃあどうしてそんな楽しめそうにないゲーム買ったんですか?」「酷評するために買ったんですか?」と怒られることがしょっちゅうですもん。確かに私もプレイしていて「どうして俺はこんなゲームを買ってしまったんだろう……」「2ヶ月前にタイムスリップして人生やり直したい……」って思っているので、本当にその通りですねとしか言いようがないのですが。

 こういう「望んでいないけど買っちゃった人」がレビューで☆1つを付けていけば「評判の悪い商品」になってしまうんですね。レビューが何百件とか書かれれば1人が☆1つを付けようが痛くも痒くないでしょうが、エロビデオのレビューとか、KDPで出版されている電子書籍とかは、レビューが1件しか付いていない商品なんて山のようにあるワケで。その1件のレビューが致命傷になりかねないんですよね。


 そう考えていくと……何でもかんでも「面白いよ!」「オススメだよ!」と宣伝していくのではなく、「スカトロあるよ!」「スカトロ好きにはオススメだけどスカトロ嫌いにはオススメしないよ!」と宣伝していく方がこれからの時代では大切なことなんじゃないのかと思ったりしたのです。


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| ひび雑記 | 17:49 | comments:9 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

これが進んでいくと皆が生き易く、やまなしさんが生き辛い世の中になりそうだなあ
なんて余計な心配をしてしまいました
魔法少女まどかマギカ タグ[斬首表現] みたいな

| aki | 2015/10/29 09:28 | URL |

なるほどなぁー、と思いました。
他人が酷評している理由を見て「自分に向いている」と思うことってありますもんね。

自分もWiiUのゼノクロでレビューに「ストーリーが雑」「主人公が空気」というマイナス評価があったのを見て「なら俺向きのゲームだ」とプレイしはじめました。
自分が「ずさんなストーリーから想像膨らませる」派で、「RPGの主人公はしゃべらない方が好き」派だったもので。

同人作品とかって、○○あり、××なし、と表示する(何らかの方法で事前に告知する)のが基本だったと思うのですが、商用作品もそうした方がいいですよね。

レビューも点数評価よりも、どうしてマイナスと感じたかがわかるレビューの方が役立ちますね。

| まいかる | 2015/10/29 10:03 | URL | ≫ EDIT

NG表現の事前告知も「どこまでやればいいの?」っつー加減が難しいッスな
「ピーマンがチラリと映っただけでNGなんです!事前告知しろ!」って意見に耳を貸す意味あるの?
それが10人だったら?1000人なら?100万なら?
とか
基本的にストーリーなんか有って無いようなAVと、下手に要素を事前に教えると重大ネタバレになる可能性もある小説・映画等々

| チャラチャラ | 2015/10/29 23:30 | URL |

>akiさん

 別に、私以外にもネタバレを嫌がる人はいるでしょうよ……


>まいかるさん
 あぁ……ゲームの例はとても分かりやすいですね。
 「主人公が空気」というのは、まさしく「そっちの方が嬉しい」人がいる意見が二分されるところですし、ある人にとってのマイナス評価がある人にとってプラス評価になる好例ですね。

 レビューを書く身にとっても、参考になる話です。


>チャラチャラさん
>「ピーマンがチラリと映っただけでNGなんです!事前告知しろ!」って意見に耳を貸す意味あるの?

 意味はあると思いますよ。
 以前に「みなさんのNG項目は何ですか?」という記事を書いた際に、真剣にピーマンがNGだという意見をもらっていたら私はリストに加えていたと思います。

 だって、ブログで何かを紹介するのは「ブログの読者」に読んでもらうことを想定して書くのですから、「このブログを読んでいる人の中にはピーマンが苦手な人がいるんだな」と分かっていたらそれが分かるように書きます。


 でも、実際にはそういう意見はもらいませんでしたし、「ピーマンが苦手な人はいない」という前提に基づいてこのブログの記事は書かれています。

| やまなしレイ(管理人) | 2015/10/30 00:32 | URL | ≫ EDIT

ピーマンはNGなんで以後ブログにはピーマンのピの字も書かないで下さい!
非常に不快です!!!!!!!!

| 反ピーマン連合代表 | 2015/10/30 12:21 | URL |

ただ、「要素」をバラすこと自体が重大なネタバレになる作品もあるのが難しいところですね。
例えばゲームでも小説でも「ファンタジー世界かと思いきや実はハードSFでした」といった物語は少なからずありますが、そういった作品を「ジャンル:SF」として売ってしまう訳にはいかないでしょうし。
(例えSF嫌いな人が買ってしまうリスクがあるとしても)

| Shiki | 2015/10/30 23:32 | URL |

「欲しくない人に見せつけてこそ問題提起になるんだ!」的な人もいるから難しいところです。
迷惑なハナシですが、クリエイターってそういうものなのかも。

| 児斗玉文章 | 2015/10/31 18:21 | URL |

>反ピーマン連合代表さん

 この記事で書いたことが1ミリも伝わっていないみたいなので、解説させてもらうと……この話は「不快なものを描かせない」という表現規制の話ではなくて、「不快と思う人には前もってそれを伝えれば手に取らなくて済む」というゾーニングの話です。

 なので、アナタがピーマンを嫌いだからピーマンの話題を書くなというのは、全然ちがう話です。
 加えて言うと、私はピーマンが大好きなので今後どんどんピーマンの話題を書いていこうと思っていますし、トップページにピーマンの画像を貼り付けたいくらいです。

 ということで、反ピーマン連合代表さんは二度とこのブログを読まないで下さいね。さようなら。


>Shikiさん
 そこでNG項目のリスト化ですよ!

 SFが嫌いな人だけが「SFかどうか」をチェックして、そうでない人はチェックしないようにリストを作れば、NG項目を踏むことも望まないネタバレも防げます。


>児斗玉文章さん
 どうでしょう……今の時代、そういうのは受けないんじゃないかなぁ。悪評ばかりが拡散されてしまえば、自分で確認もしないで「○○ってクソなんだってね」と拡散していく人ばかりですし。

| やまなしレイ(管理人) | 2015/10/31 22:07 | URL | ≫ EDIT

なに~~~?

ピーマン断固反対!

| 反ピーマン連合代表 | 2015/11/02 12:25 | URL |















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