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電子書籍のオンデマンド印刷に向けた判型の話

 「出来るようになったらイイなぁ」と思って行動をしはじめただけなので、まだ「出来る」と決まったワケではないのですが……次に発売する電子書籍の漫画は「電子書籍」と「電子書籍を印刷・製本して紙の本として届けてくれるサービス」の同時発売を目指しています。

 電子書籍を「やっぱり紙の本で読みたい!」需要はどのくらいあるのか

 試しに『春夏秋冬オクテット』を紙の本として注文しようとしているのですが、電子書籍用に縮小した画像サイズではダメっぽいので大きな画像で新たにセリフを入れ直していて、あの頃とは使っているソフトも違うから新たに全ページ作り直さなきゃならないし、それが300ページくらいあるし……で、かなりの時間がかかりそう。




 さて……
 紙の本で印刷する場合は、電子書籍と違ってページの隅に「余白」を取らねばなりません。その「余白」がしっかり取れているのか実際に同じくらいのサイズに印刷してみて、様子を確認してみました。サイズが分かればイイやととりあえず印刷しただけなので、トーンのモアレとか、プリンターの調子が悪くて横線が入っちゃっているところとかは気にしないでください。



hikaku1.jpg

 コミックスのサイズってこんな小さいのか!と驚きました。
 比較として……まず、左にあるのが「元の原稿用紙」です。私が実際に描いているのはこのサイズ。で、右下が「B6」サイズに合わせてプリントアウトしてみたものです。その上は参考までに「実際に発売されているB6サイズのコミックス」である『よつばと!』のコミックスで、その右がどこの家庭にもあるであろうシュウォッチです。

 もちろん私だって「B6サイズのコミックス」を見たことがないワケじゃないんですけど、自分の漫画は原稿用紙のサイズでしか見ないから「紙の本に印刷するとこんなに小さくなるの!?」と驚いてしまいました。「大きなコマのつもりがかなり小さく見える!」「こんなんで文字読めるの?」「関係ないけど印刷するとこんな濃くなるのかよ、全ページやり直さなきゃ」と戦々恐々。


 いや、ね……電子書籍を7インチのタブレット端末で読む場合はもっと小さくなっちゃうんですけどね。

hikaku2.jpg

 でも、電子書籍の場合は読み手側が「大きい画面がイイ人は大きい画面の端末を買えばイイ」し「小さい画面でも構わない人は小さい画面の端末を買えばイイ」とも言えるので、読み手が選ぶことだから描き手に責任はないだろーと思っていたところがあったのです。


 サイズが小さくならない漫画単行本――電子書籍の可能性

 これはキンドルが日本に上陸する直前の2012年の夏に書いた記事です。
 コミックスの判型について検索したら分かりやすいページが出てきたので、これを見てもらえば早いかな。

 コミックのサイズ(判型)一覧/漫画全巻ドットコム

 「文庫版」は、漫画の場合は名作の再販というか復刻というか保存用に出ることが多いですね。小説の場合は、ハードカバーで出た後に文庫版で出るだけでなく、新刊でも文庫で出ることは多いです。
 「新書版」は、少年漫画や少女漫画のコミックスがこのサイズです。この下の「B6版」に比べてサイズも小さくページ数も少ないことが多いので、価格も「B6版」に比べて100円くらい安いことが多いですね。卵が先か鶏が先かは分かりませんが、子どもでも買いやすい値段ということなのかなと思います。
 「B6版」は青年誌のコミックスのサイズで、先ほど私が印刷してみたサイズです。
 「A6版」はリンク先の『スラムダンク』のように「完全版」「豪華版」「ワイド版」といった名称で呼ばれる‟名作の復刻”によく使われるサイズですね。また、4コマ漫画なんかは最初からこのサイズで発売されることが多いですし、たまに復刻でも4コマ漫画でもないのにこのサイズで発売される作品があって「何故?」と思うことがあります。
 「B5版」は一般的な漫画雑誌そのもののサイズですね。同人誌も今手元にあるものを見たらこのサイズでした。
 「A4版」は画集とか。


 紙の本が発売される時、大体の場合は「出版社がサイズを決める」ので購入者が選ぶことは出来ません。ごくごくごくまれに一つの作品で「B5版」と「B6版」が同時発売みたいなこともありますが、それは例外中の例外で。普通は一つのサイズしか発売されず、大ヒット作品の場合は後に「文庫版」とか「完全版」とかが出ることもある―――くらいだと思います。

 それは印刷の手間とか輸送の手間とか販売在庫の手間とか、物理的な制約ゆえに……なので。
 そうした制約に縛られない電子書籍の場合は「電子書籍版」を買えば、大型タブレットで見れば大きなサイズに、小さなスマホで見れば小さなサイズに見れるのだから、「ユーザーがサイズを決める」ことが出来ると言えるのです―――というのが4年前の記事でした。


 まぁ……実際に蓋を開けてみると、10インチのタブレット端末が欲しいのだけど高価すぎて買えない私みたいなことも起こったんですけどね。




 んで、思ったんですけど……
 「電子書籍を印刷・製本して紙の本として届けてくれるサービス」は、注文があってから印刷を始めるのだから、例えば「B6版」と「A5版」の両方を発売してユーザーがどっちを買うかを選べるようにしても良いんですよね。もちろんサイズが大きくなると価格も上がるけれど、それでも大きなサイズがイイという人もいるでしょうし。



hikaku3.jpg
 試しに「A5版」に合わせて印刷してみました。
 比較として並べたのが、同じ「A5版」サイズの『けいおん!』の1巻です。その右がどこの家庭にもあるであろうシュウォッチです。思ったよりイイカンジだと思いました。

 もちろんサイズが大きくなる分だけ値段が上がっちゃうのですが、価格を抑えたい人は「電子書籍版」を買ってもらえばイイのだから、紙の本に印刷してもらう場合は少々高くてもゴージャスな方がイイのかと思いました。かといって、「B5版」まで大きくしちゃうと本棚に入らないって人も多くなるでしょうから、「電子書籍版」と「B6版」と「A5版」の3バージョン同時発売くらいが現実的かなぁ。



 こう考えると、「電子書籍を印刷・製本して紙の本として届けてくれるサービス」は電子書籍の利点を活かしつつ紙の本が欲しいユーザーの需要にも応える両方の良さを兼ねたサービスなのかなぁと思いました。

 ただ、問題は「価格」。
 どうしたって電子書籍よりかは値段が上がってしまうので、「B6版」と「A5版」が実際にどのくらいの販売価格になるのかを計算してみようと思います。
 前回の記事で製本直送.comさんというサイトを紹介したら、はてブのコメントでBCCKSさんというサイトも教えてもらったので、二つのサイトの料金を比較してみましょう。

 料金以外のところをザッと見たところ、製本直送さんは「いろんな要求に応えてくれる柔軟性」があって、BCCKSさんは「他社の電子書籍販売にそのまま出せる拡張性」が魅力なのかなぁと思いました。




◆ 『春夏秋冬オクテット』(300ページ前後)の場合
製本直送さんの料金プラン
 表紙はとりあえず「カラー&ラミネート加工(マット)」、本文は「モノクロ」、用紙はコミックス向きの「モンテシオン」、綴じ方は「無線綴じ」、本文ページ数は8の倍数じゃないとダメらしいので「296」、印刷面積率はよく分からないけど白黒の漫画だから「50%は超えない」かな多分、遊び紙は80円もかかるので「なし」にしておきます、お急ぎも「なし」、注文部数「1」――――

 「B6版」で算出したところ……
一冊あたりの製本金額: 926 円(税込)
送料: 411 円
トータル費用: 1337 円(税込)

 と、なりました。

 『春夏秋冬オクテット』の紙版は価格が価格ですし、もう何年も前に電子書籍で発売したものなので紙の本で発売するつもりはありませんが、もし販売する場合はこれに「私の利益」を足して(電子書籍を1冊販売したのと同じくらいの利益が入るようにしたい)、更にこのサイトの利用料で「決済価格の15%」が差し引かれることを逆算すると……販売価格は1冊1850円くらいか。うーん、こないだの記事より上がってしまっている(笑)。

 次に「A5版」で算出してみたところ……
一冊あたりの製本金額: 1633 円(税込)
送料: 411 円
トータル費用: 2044 円(税込)

 と、なりました。

 サイトの利用料で「決済価格の15%」というのがネックで、価格が上がれば上がるほど15%の金額も上がるので……「私の利益」を上げなくても15%差し引かれても同じ利益が出るように計算すると……販売価格は1冊2700円くらいかな。TAKAI!


BCCKSさんの料金プラン
 恐らくですけどBCCKSさんだと、「表紙はカラーだけど本文はモノクロ」にはできないっぽいので「全部モノクロ」で計算します。ページ数が決められているのでとりあえず「288P」で計算します。どのページを削るのかは後で考えます。また表示されているのは税抜価格なのでこれも足して計算しなければなりませんね。

 BCCKSさんには「B6版」がないので「新書版」で計算してみました。
 少年漫画と同じくらいのサイズですね。
一冊あたりの製本金額: 1361円(税込)
送料: 270円(税込)
トータル費用: 1631円(税込)


 これだけ見ると高く感じるのですが……どうもオンデマンド販売をしても「利用料」が別に発生するワケでもないみたいで、追加されるのは「私の利益」だけで良いっぽい?とすると、販売価格は1冊1850円くらいか。同じくらいの額になってしまった(笑)


 次に、全く同じサイズではないのですが「10inch/A5変型」で計算したところ……
一冊あたりの製本金額: 1750 円(税込)
送料: 270円(税込)
トータル費用: 2020 円(税込)

 と、なりました。

 BCCKSさんはページ数が増えてもサイズが大きくなっても「紙の本の送料は1冊270円」となっているのだけど、本当なのだろうか……(笑)。こちらも「利用料」を足さなくて良いのならば、販売価格は1冊2250円くらいかな。厳密には同じサイズではないのですが、こちらのサイトの方がかなり安く抑えられますね。



◆ 新作漫画(130ページ前後)の場合
 ここからが本番です。
 これは実際に販売するつもりですからね。

製本直送さんの料金プラン
  表紙はとりあえず「カラー&ラミネート加工(マット)」、本文は「モノクロ」、用紙はコミックス向きの「モンテシオン」、綴じ方は「無線綴じ」、本文ページ数は8の倍数じゃないとダメらしいので「136」、印刷面積率はよく分からないけど白黒の漫画だから「50%は超えない」かな多分、遊び紙は80円もかかるので「なし」にしておきます、お急ぎも「なし」、注文部数「1」――――

 「B6版」で算出したところ……
一冊あたりの製本金額: 579 円(税込)
送料: 154 円
トータル費用: 733 円(税込)

 と、なりました。

 計算がかなりややこしいけど……「私の利益」と「サービスの利用料」を足して販売価格は1冊1150円くらいかな……

 次に「A5版」で計算してみると……
一冊あたりの製本金額: 937 円(税込)
送料: 154 円
トータル費用: 1091 円(税込)


 「私の利益」と「サービスの利用料」を足して販売価格は1冊1500円くらいかなぁ。



BCCKSさんの料金プラン
 BCCKSさんは決まったページ数の中から選ぶのですが…128Pの次が160Pなのか。これは正直キツイ。無理矢理でも128Pに収める計算で行きます。

 「新書版」で算出したところ……
一冊あたりの製本金額: 875円(税込)
送料: 270円(税込)
トータル費用:1145円(税込)

 と、なりました。

 これに「私の利益」を足すと販売価格は1冊1360円くらいです。


 次に、全く同じサイズではないので「10inch/A5変型」で計算してみたところ……
一冊あたりの製本金額: 1102円(税込)
送料: 270円(税込)
トータル費用: 1372円(税込)

 と、なりました。

 これに「私の利益」を足すと販売価格は1冊1590円くらいですか。




 まぁ……いずれにせよ、電子書籍では300円とか250円で販売しているものなので印刷・製本・配送のお金が足される紙の本は割高に思えてしまいますね。正直なところ、「新しい漫画を発売しますー、キンドル版は250円です、紙の本はB6版が1150円、A5版は1500円ですー」と告知して紙の本を選ぶ人がそんなにいるとは思えないです。手間をかけても利益になるとは思えません。

 ですが、『春夏秋冬オクテット』を出した時に、散々「紙の本で出してください」「紙の本なら買います」「電子書籍しか出してくれないのは残念です」と言われましたんで……「購入者の選択肢を増やす」という意味でもやってみようと思います。実際に自分の分を注文して製本してもらって満足のいく品質だったなら同時発売を目指します。しれっと今後この話題が出なくなったら品質に納得いかなかったと思ってください(笑)。

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| 漫画作成 | 17:59 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

これでは紙の本の需要が落ちていくのも道理

 印刷版、たっかいなあ……と、思わず言ってしまいそうになりますが。
 これは大手の人気作品や、物理コストがゼロの電子版と比べてしまうからなんですよね。

 実際のところ版数を「一点」で計算していることも考慮に入れれば、そこまで暴利とは言えない。
 このサイズの書籍でしたら、一般流通でも1000円超えてるものが結構あるわけで。

 てか要するに同人誌だと思えば、一点単位で受け付けてくれて1000円だとか1500円てのは、むしろ破格。
 本の印刷コストって、ここまで下げられるようになってたのかと、感心するほかありません。
 ……破格すぎて、何か裏があるんじゃないかと心配になる域でもあります(汗)

 ただBCCKSさんの方の想定プラン、結構ざっくりページを削ってますが、ほんとにそこまで減らすの大丈夫ですか。
 春夏秋冬オクテットから12ページ削らなきゃダメって、そうとう大変そうに思えますけど。

 いや新作については130ページ「前後」なのだから、もともと収まる計画なのかもしれませんが……でもページ数って基本、考えてたより増えることはあっても減ることってあんまりないですよね……。

| kanata | 2016/04/28 01:10 | URL | ≫ EDIT

>kanataさん

 大学の教科書は教授が出している部数の少ない本だったりするので、ものすごく高かったりしますもんね。ああいうのも今は電子書籍化していたりするのかな……

 製本直送さんの利用を本格的に考えているのでいろいろと見たところ、「入稿データの確認は行わない」などの手間を省くことで価格を抑えているのかなと思います。あとは、実際に注文して品質を見てみたいですね……


>春夏秋冬オクテットから12ページ削らなきゃダメって、そうとう大変そうに思えますけど。
 まぁ、ぶっちゃけた話をすると「BCCKSさんの方はちょっと可能性低いかな」と思ったので現実的な案ではないです(笑)。やるとしたら「あとがき」とか「話と話の間のページ」を削る方向で。

 新作は、まだページ数を計算していませんが……
 中表紙・目次・1話26ページ×4・その間の2ページ×3・あとがき2~3ページ・番外編が20ページ前後?・奥付・中裏表紙……で137ページ?あれ、思ったより多い!ダメじゃん!(笑)

| やまなしレイ(管理人) | 2016/04/28 21:26 | URL | ≫ EDIT

高い、けど私は買う・・・けど、買う人は少なそう。
やっぱり電子書籍と比べて爆発的に高いですからね、紙の本は全く理屈上無駄が多いw
商業漫画でも電子書籍のセールと紙の本で4倍以上の差が出るっぽいですからね

やまなしさん側の余計なリスクの無い方法ってやっぱりこれしかなくて、この方法とるとこれより安いのはたぶん無いから仕方ないですね
これですらそのためのデータの作成とかの手間はあるわけですが、個人的には紙でも買えるようにしてくれたら嬉しいです。
春夏秋冬もわざわざ印刷用データ作るのなら紙でも売ってほしいなーなんて

| あっと | 2016/04/30 10:14 | URL | ≫ EDIT

>あっとさん

 おぉ!そうですか。
 一人でも欲しい人がいらっしゃるのなら、『春夏秋冬オクテット』も販売用に置くことを検討しようかなと思います。もちろん実際に製本されたものを見て「これなら売ってもイイ」と思えるレベルに達していたら……ですが。

 最近の『ガンダム』でも「今どき紙の本なんて貴重だ……」みたいなセリフがあったんですけど、現実でも紙の本が贅沢なものになっていくのか。それとも何かの技術革新で変わるのか。ここから先ちょっと面白いターンに入りそうですね。

| やまなしレイ(管理人) | 2016/05/01 21:41 | URL | ≫ EDIT

>恐らくですけどBCCKSさんだと、「表紙はカラーだけど本文はモノクロ」にはできないっぽいので

>本文モノクロで表紙をカラーにした時の価格は?
>書籍フォーマットでは、カバー(表紙/背/裏表紙)をモノクロ/カラーで変更しても価格は変わりません。
>本文のモノクロ/カラー設定で価格が変わります。
> http://support.bccks.jp/faqs/faq_create_paperbccks/

表紙のカラー/モノクロで価格は変わらないとの記述がありました。
製本に不満気な意見もあった http://tami.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25 ので漫画には向かなそうな雰囲気もありますが。

| jingi469 | 2016/05/05 02:26 | URL | ≫ EDIT

>jingi469さん

 おぉ、情報ありがとうございます!

 実際に利用してみて不満な出来という可能性もあるので、どこを利用するにしても、いきなり300ページ近い本を作るよりもまずは数ページの漫画を作ってみようかと思います。

| やまなしレイ(管理人) | 2016/05/06 21:12 | URL | ≫ EDIT















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