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「○○の全盛期はいつだろう?」という話はどうして荒れるのか

 ちょっとTwitterでも盛り上がった話題なので、本腰入れて語りたくなりました。

 好きな野球チームが違うとか、好きなゲーム機が違うとかでケンカになるのは、何故ケンカになるのかがとても分かりやすいですが……仮に同じものを好きなファン同士であっても、「○○の全盛期はいつだろう?」という話を始めてしまえばケンカになってしまうものです。特に世代を飛び越えていろんな年代の人が集まるインターネットという場ならなおさら。


 「任天堂の全盛期はいつだろう?」

 「京都アニメーションの全盛期はいつだろう?」

 「サッカー日本代表が一番強かったのはいつだろう?」

 「テレビが一番面白かったのはいつだろう?」


 ほら、もう全部荒れそう。
 例えば私が「任天堂の全盛期はスーファミ時代だ!」とか「京アニが一番輝いていたのは2009年~2010年だ!」なんてタイトルの記事をブログに書こうものなら、即座に大炎上すると思うんですね。読んでいる人がカチンと来る地雷が「○○の全盛期はいつだろう?」にはあるのです。



1.誰だって「自分の世代」に一番思い入れがある
 この話をTwitterでフォロワーさんと始めたきっかけは「ナムコの全盛期」について話したところからでした。

 ナムコとは現在のバンダイナムコエンターテインメントで、ここでの全盛期の意味は「ゲームメーカーとして面白いゲームを一番作っていた時期はいつだ?」ということだと思うのですが……どの時代を生きていたかによって意見が分かれる典型例だと思うんですね。

 「ゲームの歴史」を考えれば、『パックマン』(1980年)、『ゼビウス』(1983年)、『ドルアーガの塔』(1984年)などを連発していた1980年代前半のアーケードゲーム時代が一つの候補として挙げられると思います。これらのソフトは間違いなく、後の作品達に多大な影響を与えましたから。
 でも、当然それをリアルタイムでは知らない世代はたくさんいますし、当時ゲームセンターには近寄れなかった子ども達もたくさんいたでしょうから、知識としては知っているけど実感はないという人も多いんじゃないかと思います。

 ファミコン世代からすると、『プロ野球ファミリースタジアム』(1986年)、『ファミリーテニス』(1987年)、『ファミリーサーキット』(1988年)、『ワギャンランド』(1989年)といった1980年代後半のファミコン時代の方が印象強いかも知れません。
 プレステ世代からすると、『リッジレーサー』(アーケードは1993年、プレステ版は1994年)、『鉄拳』(アーケードは1994年、プレステ版は1995年)、『エースコンバット』(1995年)、『テイルズ オブ ファンタジア』(スーファミ版は1995年、プレステ版は1998年)といったキラーソフトを連発していた1990年代中盤かも知れませんし。
 バンダイナムコになってからの『アイマス』の有料DLCで稼ぎまくっていた時代とか、ソーシャルゲームに進出して『アイマス』で稼ぎまくっている現在とかと考える人もいるかも知れません。


 結局、「自分が一番ハマっていた時代はいつか?」という話になっちゃうと思うんです。
 これ……ナムコならまだネタになる方で、カプコンだと『ロックマン』世代・格ゲー世代・『バイオ』世代・『モンハン』世代が素手で殴り合う恐ろしいことになりそう。


2.「客観的な数字」では測れない空気
 「自分が一番ハマっていた時代はいつか?」という主観での議論を避けるために、数字という客観的なデータを持ってくるという手もあります。

 ただ、この「○○の全盛期」という話は、数字では測れない“当時の空気”についての思い出話なので―――「どうだ!数字が証明しているだろう!これが客観的なデータだ!」みたいに言われても、いやそういうことじゃないんだよ……となるだけだと思うんですね。

 例えば、「週刊少年ジャンプの全盛期はいつだろう?」という話は……客観的な数字だけを見たら、1994年末に発売された「1995年3-4合併号」が653万部という発行部数のピークになるのですが。じゃあ、この頃が「ジャンプ全盛期」かというと、この頃リアルタイムにジャンプ愛読者だった自分は納得できないです。
 1994年末と言えば、既に『幽遊白書』があんな形で終了した後で、『ドラゴンボール』も連載終了直前です。私が当時感じていた空気で言えば、それよりちょっと前の時代にピークの頂点があって、そうした作品達が次々と終わって新しい看板作品を作って世代交代していった下り坂な時期という印象なのです。

 ただ、これもあくまで「私が一番ジャンプにハマっていた時期は1990年代前半」というだけの話で……人によっては1980年代を「全盛期」に挙げる人もいれば、「低迷期」と呼ばれることが多くても1990年代後半が「全盛期」だったという友達もいるし、2000年代前半を挙げる人もいれば、「今こそが全盛期だよ!」と言う人もいますよね。


 「売上」とか「発行部数」とか「経常利益」とかは数字として出るから分かりやすいかも知れませんが、一番数字が高い時期が必ずしも一番面白かった時期ではありません。数字は出なくても時代を切り開いた黎明期があって、その下地を活かして数字を出す時期があって―――ということもあります。

 例えば、任天堂が一番利益を出していた時代は恐らくDSやWiiがバカ売れしていた時期だと思うのですが、その時期を「任天堂の全盛期」と呼ぶことに抵抗ある人は多いでしょう。
 例えば、一番売れた『ドラゴンクエスト』はDSの『IX』ですけど、「ドラクエの全盛期は2009年」と言われたらそりゃねえだろって思う人は多いでしょう。売上としてはDS時代のような数字を残せていなくても、ファミコン時代の熱狂っぷりの方が上だろと思う人は多いでしょう。そういう“当時の空気”は数字だけ見ても分からないのです。



3.暗に「既にピークは過ぎている」と言っているかのよう
 どこで読んだのかもう覚えていないんですけど、私の好きなお笑い芸人さんに対して「○○の全盛期は××をやっていた頃だ」と言っている人を見て、ものすごく腹が立ったことがありました。だってそれ、「今」は「××をやっていた頃」より面白くないと言っているも同然じゃないですか。

 「○○さんの話をしている。この人も○○さんのファンなのかな?」と思ったら、今は面白くないと言っているのだから、もはやアンチと言っても過言ではないです。
 本人からすれば「××をやっていた頃は面白かった」と言いたかっただけなのかも知れないけど、今の○○さんのファンからすれば腹が立つし、「ワシの若い頃の○○は面白かったんじゃよ。それに比べて今は……」と言っている老害にも見えてきます。


 それこそ「ナムコの全盛期は1980年代前半」とか「ジャンプの全盛期は1990年代前半」と断言しちゃうのも、その後の時代の「ナムコを応援してきた世代」や「ジャンプを応援してきた世代」や、「今現在ナムコを応援している現役ファン」や「今現在ジャンプを応援している現役読者」に対して失礼だと思うんですね。


 本人は批判しているつもりがなくても、批判として受け取られてしまう典型的なパターンと言えます。
 しかし、老害が「最近の○○はけしからん」と言うだけじゃなくて、逆に「○○の全盛期は1990年代とか言っている老害がいるけど、今がまさに全盛期だよ!」と若者が上の世代にケンカをふっかけるケースもあるので……もうどの世代も好きなものを語るときに「全盛期」って言葉を使うのは禁止するべきじゃないかな!


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【よく分かる三行まとめ】
・結局は「自分の世代が一番」という世代間の争いになりがち
・当時の空気感のようなものの話なので、数字のようなデータはアテにならない
・「現在は全盛期ではない」という批判が含まれている


 これは今回の話に限ったことじゃないんですけど……
 人は、何故だか「自分の意見」だけは「客観的に正しい」みたいに思いがちなんだと思うのです。「自分の意見」も主観だし、「正しい」と思うのも主観なのに、何故だかそれが自分のものだけ「客観性がある」と思ってしまいがちなのです。これはもう私も含めて、人間は油断すると自分の主観を客観だと勘違いしてしまうと考えておいた方がイイと思うのです。

 だから、「客観的に見て、○○の全盛期は××の頃だ」みたいに“自分の意見”を“みんなの意見”だと断言して語ってしまい、それで「ふざけんじゃねえよ」とケンカになってしまうのでしょう。
 ならば、最初から「俺が一番○○にハマっていたのは××の頃だ」と“自分の意見”として言えばイイと思うんですね。これならば他人が「そんなことはない!オマエが一番ハマっていたのは△△の時期だろ!」とイチャモンを付けてこられないと思いますし(笑)。

| ひび雑記 | 17:52 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

やまなしさんがあげたものは
全部引退とか区切りがついてないものだから(3.に近い?)
そりゃ荒れますわ、これからすげえこと起こす
かも知れませんからね

逆に引退した野球選手とか区切りがついたものであれば
全盛期はいつかって話荒れます?
成績だけみてここがキャリアハイだ
いやいやこの年はいいとこで打ちまくった
みたいに異論は出てもそんなに荒れる気がしないんですけどね
コミュニティによるのかね?

| 電子の海から名無し様 | 2016/05/16 21:40 | URL |

逆に考えるんだ。「どの時代も全盛期だった」と考えるんだ。
これで荒れることはなくなるはずです(極論)。

| しずおかゼロ | 2016/05/17 04:33 | URL |

結局は思い入れに勝るものなんてないのかもしれない、というお話ですね。
いついつがこれくらい売れてたとは言っても極端な話、当時の価格価値やら人口比率やら色んなもので照らし合わせないと信憑性はかけますし。
そんな暇があるならもっと愛でればいいのに。

| ああああ | 2016/05/17 10:42 | URL |

>電子の海から名無し様さん

 既に終わっているものであっても、ファンの世代が分かれるくらいに長く続いているものなら―――例えば、「『ドラゴンボール』のピークは何編だと思う?」とかでも荒れると思いますよ。

 スポーツ選手の場合は、チームを移籍しているとそれぞれのチームのファンで「ウチにいた時が全盛期だった」とケンカになるとか。僕よりもっともっと上の世代ですけど、「江川の全盛期はいつだったか」みたいのもよく論争になるって聞きます。


>しずおかゼロさん
 そもそも「全盛期」という言葉を使う人は、優劣をつけたがる人ですからねぇ……


>ああああさん
 ですね。そして、思い入れを比較してもしょうがないという。
 「全盛期」という言葉が出てきちゃう時は、単に自分がハマれていない(時間がなかったり、飽きてきたリしていて)というだけのことなのかも。

| やまなしレイ(管理人) | 2016/05/17 22:19 | URL | ≫ EDIT















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