やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

日本でも始まったキンドル定額読み放題サービス!KDPで出版している身として思ったこと

 Amazonは電子書籍であるキンドルにて、「月額980円を払えば対象タイトルが読み放題になるサービス」Kindle Unlimitedを日本でも8月3日から開始しました。

 注意が必要なのは「全てのキンドル本が読み放題」ではなく、「対象タイトルのみ読み放題」という点です。
 対象タイトルは和書だけで12万冊あるという話ですが、利用者としては「興味のない100万冊」よりも「読みたかった10冊」の方が大事でしょうし、それぞれみなさん「持っていないけど読みたい本がどれだけ対象タイトルになっているのか」を確認してから利用するのがイイと思います。読みたい本は人によって違うでしょうからね。(最初の30日間は無料お試し可能)


マンガは描ける!絵が描けない人でも
マンガは描ける!絵が描けない人でも
ku1.jpg

ku2.jpg


 私がKDPで出版している『マンガは描ける!』も対象でした。
 基本的には、これまでの「Kindle オーナーライブラリー(Amazonのプライム会員に入っている人は、月に1冊だけ対象のキンドル本を無料で読めるサービス)」の対象商品がそのままスライドしているってカンジかなと思います。というか、なし崩し的にKindle オーナーライブラリーは終了したっぽい?
※ 21時10分追記:Kindleオーナー ライブラリーは終わっていないみたいです。

 個人が出版しているKDPの商品で言うと、「KDPセレクトに入っている作品」=「キンドル独占配信のもの」が対象になるのかなぁと思うのですが……ちょっと確信はないです。


ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点: 高校同期生26人の証言
ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点: 高校同期生26人の証言

 自分の「ほしいものリスト(=読みたいけどまだ買っていない商品)」の中では、任天堂の前社長だった岩田さんに関するこの本が対象になっていますね。



 対象商品は「一つ一つの商品ページから確認する」だけでなく、検索結果などのリストからなどでも確認できます。

ku3.jpg

ku4.jpg



 また、左上の「Kindle Unlimited 読み放題 読み放題対象タイトル」のところにチェックを入れると「読み放題対象タイトルだけ」を表示できるので――――例えば、「雑誌」というカテゴリーの中で「読み放題対象のタイトルだけを絞り込みたい」という時にも便利です。

ku5.jpg

↓ こうなる!

ku6.jpg



◇ キンドルの一ユーザーとして思ったこと
 メディアマーカーに記録している私の出費からすると、私は月平均4755円を電子書籍に支払っているので、それが月額980円になったらすっごくお得だと思います。980円だったら、月に3冊でも本を読めば元が取れてしまいますからね。

 ただ、「私が読みたい本」が「読み放題対象」に入っていないので―――私が登録しても980円分の元をとれるほど「対象の本」は読みそうにないなぁというのが第一印象でした。


 こういうサービスで最もやってみたいのは「漫画全巻一気読み」だと思うんですね。漫画ならその気になれば1か月に何十冊も読むことができますし、完結した漫画を最初から最後まで定額で読めるのだったら非常にお得感があると思います。バンダイチャンネルdアニメストアで完結したアニメを全話観ていたみたいに、漫画でもそれが出来たら最高だぞ、と。

 しかし、8月3日現在のラインナップだと――――
 「漫画全巻」が読み放題対象になっている作品はそんなにないんですね。「1巻だけ対象」とか「1~5巻までは対象」みたいのなら結構あるみたいですが。今後ラインナップが増えていくことを期待しています。


[まとめ買い] アニウッド大通り
[まとめ買い] アニウッド大通り

 KDPの有名漫画と言えば――――
 と思って見てみたら、予想通り『アニウッド大通り』は既刊全巻「読み放題対象」みたいですねぇ!
 買おう買おうと思いつつまだ買っていなかった作品なので、完結したらKindle Unlimitedに入会して一気読みしようかなぁ。目当ての漫画が1作品でも対象だったらもうそれだけで元が取れた気になりますね。



 では、漫画以外の本はどうかというと……
 雑誌の読み放題サービスと言えばdマガジンが有名で、こちらは月額432円。参加雑誌一覧は160誌以上でこちらのページで確認できます。
 Kindle Unlimitedは雑誌だけではありませんが月額980円。参加雑誌は約250誌だという話で、雑誌で対象になっている商品の検索結果はこちらのページ。一覧で表示されないのが不便ですね……


 と思ったら、さっそく比較しているブログがありましたよ!仕事がむっちゃ早い!!
 手作業でリスト化しようかと思ったけど、やらなくて良かった!!

雑誌読み放題という観点でKindle Unlimitedとdマガジンのラインアップを比較してみた

 数だけ見たらKindle Unlimitedの方が多いのですが、ラインナップはあまりかぶっていなくて……需要の大きそうな週刊文春を始めとした週刊誌系や、ゲーム好きには無視できない週刊ファミ通なんかは、dマガジンには出ているけどKindle Unlimitedは対象外みたいです。

 逆に、Kindle Unlimitedは対象でdマガジンには出ていない雑誌はというと……

Quick Japan(クイック・ジャパン)Vol.125 2016年4月発売号 [雑誌]
Quick Japan(クイック・ジャパン)Vol.125  2016年4月発売号 [雑誌]

 Quick Japanは最新号以外は「読み放題対象」みたいです。

声優アニメディア 2016年7月号 [雑誌]
声優アニメディア 2016年7月号 [雑誌]
声優アニメディア 2016年8月号 [雑誌]
声優アニメディア 2016年8月号 [雑誌]

 声優アニメディアは2号だけ「読み放題対象」でした。
 古い号はキンドル版がなくなっていくのかな……?

 雑誌のためだけに契約するのは「980円分も雑誌読むかなぁ……」と思うのですが、他の目的で契約していたついでに「好きな連載コラムだけ読む」みたいなぜいたくな使い方が出来るのは魅力的ですね。




 小説・ライトノベル、ビジネス書などの活字の本は……月額980円を払っても1か月にそう何冊も読めるものではないので……元が取れるかと考えたら微妙かも。読書にどれだけ時間が割けるのかとか、1冊を読むのにどれくらいの時間がかかるのか、人によってお得かどうかは意見が分かれそうですね。
 私は活字の本は1か月に2~3冊くらいのペースなので……ちょっと微妙かな……




 さて、ここまでは前振りです。
 漫画、雑誌、活字の本とラインナップを見てきた私は「正直これに980円を払っても元が取れないかなぁ」と思ったのが正直な気持ちでした。漫画はラインナップが多くない、雑誌は競合サービスの方がラインナップが充実してるとも言えて、活字の本は読むのに時間がかかるので元が取れそうにない。

 しかし、「読み放題対象」になっているラインナップは多く、競合サービスも(多分)なく、読むのにそれほど時間がかからないので「読み放題対象」になっている商品をかたっぱしから読めるジャンルがあるのです!むしろ、Kindle Unlimitedはこのジャンルの本を読ませるために始まったサービスじゃないのか?と言いたくなるくらいです。



 それは……


 写真集だっ!!!


 5000冊以上が読み放題対象です。
 電子書籍の写真集は価格もボリュームもバラバラなのですが、高いものでは1000円を超える本をかたっぱしから読むことが出来るし、1冊読むのにもそれほど時間がかからないので、その気になれば5000冊くらい1か月で読むことが可能!漫画やライトノベルとちがって「1巻だけ読み放題でも、続きが読み放題対象じゃなければ意味ないな……」みたいなこともありません!「元が取れる」という考えならば、これ以上のジャンルはありません!


ちっぱい女子 (電子書籍Ver.)
ちっぱい女子 (電子書籍Ver.)

 「グラビアアイドルさんの写真集」だけでなく、「フェチ写真集」にも読み放題対象商品は結構あります。
 ヒンヌー好きにとってのバイブル『ちっぱい女子』も読み放題対象です!女性の顔は映らない、もちろん乳首も映らない、ただただ服の上からのヒンヌーを写しまくっている写真集です。私はもちろん既に持っていますが、「読み放題に入ったはイイけど思ったより読みたい本がないなぁ……」という人は是非どうぞ!



 フェチ写真集は「一発ネタとしては面白いけど、1000円近い価格をポンと出すのはよほど好きなものじゃないと出せないなぁ……」と興味があってもなかなか買えないものも多いのですが、読み放題ならば気楽に面白半分でパラパラとめくってみるのもよさそうですね。そこから新しい扉が開く可能性もありますし。

 自分は持っていないけど面白そうなのはこの辺かなぁ……


自転車少女 TOブックス写真集
自転車少女 TOブックス写真集

 自転車に乗っている女のコのサドル周りにこだわった写真集。


くろタイ女子 ~Black Tights Girl~ (電子書籍Ver.)
くろタイ女子 ~Black Tights Girl~ (電子書籍Ver.)

 女のコの黒タイツ姿を集めた写真集。


ソラリーマン (ソニー・デジタル)
ソラリーマン (ソニー・デジタル)

 空飛ぶサラリーマン40人分の写真を集めた写真集。




 とまぁ……こんなカンジで。
 「未来永劫ずっと月額980円を払い続ける」意識ではなくて、「1~2か月だけでも会員になってみようかな」くらいの意識だったらかなり楽しめそうなサービスかなと思いました。私は貧乏性なんでどうしても「有料会員になったからには元を取るために1冊でも多く読まなくては」という意識になってしまうため、積んでる電子書籍がなくなって時間ができるまでは会員にはならないかも知れませんが、読書の選択肢の一つとして悪くないかなと思いました。



◇ KDPで出版している立場として思ったこと
 こういう見放題・聴き放題・遊び放題のサービスがどんどん充実していっていることで、「しかし、本まで読み放題になっちゃったら作家さんは大変なんじゃないの?」と思われるかも知れません。正直、こればっかしは数か月経ってみないと分からないんですね。今までより儲かるようになるのか、全く儲からなくなるのか。


 記事の序盤にも書きましたが、「Kindle オーナーライブラリー(Amazonのプライム会員に入っている人は、月に1冊だけ対象のキンドル本を無料で読める)」というサービスは今までにもありました。ユーザーさんは無料で読めるけど、(多分)プライム会員から集めた会費の中の何%の中から、Kindle オーナーライブラリーで読まれたページ数によってその利益を分配するという形で……作家側も報酬を受け取る仕組みでした。

 私の本で言うと、『マンガは描ける!』は販売価格が安いこともあって、「普通に1冊買ってもらう」のと「Kindle オーナーライブラリーで無料で読んでもらう」のも受け取る報酬はほとんど変わらなかったんです。なので、ユーザーさんは無料で読んでいても、私にとってはかなりの収入源になっていました。


 しかし、それがどうやらなくなって……月額980円を払っている人が読み放題のKindle Unlimitedが始まりました。
 「Amazonのプライム会員になっている人」と「月額980円を払ってKindle Unlimitedの会員になっている人」だったら当然前者の方が多いでしょうし、今までは「月に1冊だけ」だったのが「何冊でも読み放題」になったことでページ数ごとの単価も変わってくることと思われます。

 例えば、今までは「100ページ読まれると100円もらえる」のが、これからは「10000ページ読まれると100円もらえる」に変わるかも知れません(あくまで可能性の話です)。
 もちろん100倍の人に読まれるようになれば構わないのですが、そうすると「普通に1冊買ってもらう」機会は減るかも知れませんし……KDP作家にしてみれば、うれしいことなのかそうでないのかまだ判別できないんですね。


 Kindle Unlimitedの利用者がどれくらいいるのか、最初の30日間無料で利用をやめてしまう人がどれくらいいるのか……それが分かるまではハラハラしているというのが正直なところです。




 また、仮に「Kindle Unlimitedで読み放題になった方が儲かる!」ということが分かったとしても、作家がすべての商品を読み放題対象にできるワケではありません。
 KDPのヘルプページを読む限り、「Kindle Unlimitedの対象商品=KDP セレクトの商品」なようですし、KDPセレクトの条件は「登録期間中はその本のデジタル版をKDPで独占販売すること」です。

 つまり、Kindle Unlimitedで読み放題対象商品にするためにはキンドル独占にしなければならず、他の電子書籍販売サイトで販売したり、自分のホームページで公開したりしてはいけないのです。


 自分の商品で言えば『マンガは描ける!』は条件を満たしていますが、WEBで無料公開しているものにスピンオフ作品を追加して販売している『春夏秋冬オクテット』や、現在制作中のブログ記事を再編集した本は条件を満たしていません。もし、読み放題対象商品にしたい場合は、WEBでの無料公開をやめたり、元になったブログ記事を削除したりしなければならないんですね。


 一ユーザーとしての視点を書いたところでは「こういうサービスで最もやってみたいのは「漫画全巻一気読み」だと思うんですね。」と書きましたが、KDP作品でそれをするためには全巻をキンドル独占にしなければなりません。
 販売促進のために自分のサイトで冒頭1話を無料公開とかしていた場合はキンドル独占にならないので、「1巻は読み放題に入らない」「2巻・3巻・4巻・5巻は読み放題対象」というワケの分からないことになってしまうのです(笑)。



 「WEBで冒頭1話を無料公開」が、Kindle Unlimitedユーザーに対しては「そのせいで1巻だけ読み放題対象じゃない」という足枷になってしまうかも知れなくて。しかし、じゃあ「WEBで冒頭1話を無料公開」を辞めて全巻読み放題対象にしたら、Kindle Unlimitedユーザーじゃない人は「冒頭1話も読めない」ことになってしまうかも知れなくて。


 KDPの商品をどう売っていくのかの販売戦略の分岐点が、今まさにやってきているのだと思うのです。みんながみんなKindle Unlimitedユーザーになってくれるのなら楽なんですが、そういうこともないでしょうしね。

 新作漫画はどうやって売っていくべきかなぁ……

| ひび雑記 | 17:59 | comments:7 | trackbacks:1 | TOP↑

COMMENT

オーナーライブラリーは別になくなってませんよ
さっき試したら普通に借りられました

| ああああ | 2016/08/04 21:01 | URL |

>ああああさん

 ありがとうございます。
 記事に追記しました。

| やまなしレイ(管理人) | 2016/08/04 21:07 | URL | ≫ EDIT

写真集、という観点はなかった

 動画目当てで無料登録した後、解除し忘れプライム会員やっていますが……このサービスへ追加で月千円はちょっと辛いなあと。
 読みたい本が入っていると分かった時、時間のある月だったら一回くらい試してみるかってところですかねえ。

 ……てか、オーナーライブラリー終了ですかい! お急ぎ便は利用していないので、プライムのメリットが本気で動画くらいしかなくなるのですが……動画が別枠サービスになったら、その時こそは迷わず切ります……。

「出版している側」の視点で考える場合、最大のリスクは、「Unlimitedに採用される保証がない」ことなんじゃないでしょうか。
 手間をかけ採用されそうな状態を整えたけど、読み放題に採用されることはありませんでした……なんて徒労は容易に予想されます。

 やまなしさんの「マンガは描ける!」は第一弾から採用されているあたり、Amazon側からの評価が密かに高いようですね。
 おそらくオーナーライブラリーでの注目度が高かったということで、ここ分析してみると面白い結果が出てきそうな予感もします。

| kanata | 2016/08/04 21:21 | URL | ≫ EDIT

追記。

 あ。オーナーライブラリーは終わっていなかったのですね。コメント書いてるうちにすれ違いました。失礼。

| kanata | 2016/08/04 21:24 | URL | ≫ EDIT

>kanataさん

 あぁ……そうか。
 「KDP セレクト」という名前だと誤解しますよね……。


 「Unlimitedに採用される保証がない」ことはないです。
 「KDPセレクト」は「キンドル独占販売にしている」商品なら審査も何もなく通りますし、KDPの商品は「KDPセレクトに入っている=Unlimitedに採用される」です。

 なので、うっかりキンドル独占にせずに他で販売しちゃってた!みたいなドジっこでもない限りはUnlimitedに採用されるのは間違いないと思います。
 僕の本も別に評価されているからというワケではなくて、印税率70%にしたいから「KDPセレクト」に設定していたらいつの間にかUnlimitedに採用されていたというダケなのです(笑)。


 逆に厄介なのは、Unlimitedに採用されると全然儲からないから辞めたいと思っても「KDPセレクト」に入っているかぎりは辞められない仕様みたいで。
 KDP作家としては「印税が35%&キンドル独占じゃない」か「印税が70%で読み放題対象&キンドル独占」のどちらかを選ばなければならないんですね。

| やまなしレイ(管理人) | 2016/08/06 22:18 | URL | ≫ EDIT

その観点はなかった(再)

 おお、納得。申請した時点でUnlimitedにもほぼ自動登録状態なのですね。……あれだけの冊数がそろった理由としても、同時に納得。

 自己申請式で確実に登録されるなら、確かにあとは作者さんごとの販売戦略ってことになりますか。
 正直なところ独占契約を強要するような体制も気にならなくはないですけど、これも販売戦略の一環だとか、作者さんごとの自己責任だと言われたら否定できませんしね……独占ではない選択肢も用意しているだけ親切だ、という見方もあるにはあるのでしょうし……。

 しかし「自分のサイトで冒頭一話を公開してると第一巻が読み放題にできない」てのは相当に不自由そうな。
 ほぼ同内容のままタイトルにver.KDPとかつけ、全ページの隅っこに追加のロゴを書き足したから別の作品だよってのは……なし、ですよねえ……。

| kanata | 2016/08/12 01:55 | URL | ≫ EDIT

>kanataさん

 ちょうど最近Amazonが独占禁止法がらみでニュースになっていましたが、キンドルも崩れるとしたらこういうところからかなーなんて思います。

 ちなみにUnlimited対象外(KDPセレクト対象外)にした時の印税率は競合他社よりかなり低いので、「各電子書籍サイトから発売しますがキンドルでだけは出しません!」って人も増えるかもなぁと。

| やまなしレイ(管理人) | 2016/08/12 21:51 | URL | ≫ EDIT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yamanashirei.blog86.fc2.com/tb.php/2145-12d9ec77

TRACKBACK

-

管理人の承認後に表示されます

| | 2016/12/03 12:13 |

PREV | PAGE-SELECT | NEXT