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「読書感想文」から学べること、学ばなければならなかったこと

 子どもたちが夏休みの時期だからでしょうけど、最近Twitterのタイムラインで「読書感想文」の話題をチラホラ見かけます。
 大抵の場合は「あまり好きじゃなかった」「何のために書かなければならないのか」といった否定的な意見なのですが、その中でも否定派の究極とも言える意見で「そもそも“感想を書く”なんてことは社会に出てから何の役にも立たない行為なので、もっと別のことを学ばせるべき」という人もいました。





 ……

 ………



 はあああああああああああああああ!?

 そんな風に“感想を書く能力”を軽視しまくった結果、「自分の感想」すらマトモに言語化できない大人を量産して、

 「クソみたいなコメント」とか、
 「クソみたいなリプ」とか、
 「クソみたいなAmazonレビュー」とかにあふれたインターネットになっちゃってんじゃねえのかよおおおおおおおおおお!!!!

 「社会」=「会社」じゃねえんだよおおおおおおおおおお!!!




 まぁ、私も子どもの頃の読書感想文は「何のためにやるんだ、こんなこと」と思っていたので、やっつけで碌に読まずに書いて提出していたんですけどね。その結果、ほら「マトモな感想」の書けない大人になって、フォント弄りで誤魔化すような下ネタブログしか書けないワケですよ。
 もっとマジメに読書感想文を書いていれば、理知的で分かりやすくて娯楽性も併せ持ったブログが書ける大人になって、アクセス数もたくさんあって女性からもモテモテで、尊敬するゲームクリエイターからも「読んでます」と言われるような人気者になれていただろうに……!全ては、子どもの頃の私が読書感想文をマジメに書かなかったせいなのです!読書感想文さえマジメに書いていれば……!


 そもそも学校で教わることに「こんなのは社会に出てから何の役にも立たない」と言ってしまうのは、学校を『明日にも使える!生活お役立ち情報!』みたいな情報番組と勘違いしているのかって話ですよ。
 絵を描かない人にとっては美術の授業は何の役にも立ちません。歴史だって元素記号だって知らなくても別に生きてゆけるし、毛筆も私は中学を卒業してから一度も書いたことがないし、分数の割り算ですら実生活で使うタイミングがイマイチ分かりません。

 学校で教わることの多くは「その専門分野に進まない限りは大して使わないこと」ですが、逆に言えば「実生活ではほとんど使わないから学校で学ばないと身につかないまま大人になってしまう」のです。そういうものを国民全員に幅広く教えるのが義務教育なのです。





 子どもの頃は気付いていませんでしたが、その中でも「読書感想文」という宿題はマジメにやるとかなり奥が深くて身につくものも多い宿題じゃないかなと思います。
 「読書感想文」は、当たり前ですが「読書」と「感想文」という二つが合わさった宿題です。一つの宿題で二つのことをしなければなりません。だから面倒くさいし嫌われているのだけど、より高度なことが身につくとも考えられます。


 まず「読書」ターン。
 ただ「感想文を書け」という宿題ならば、「映画感想文」でも「オリンピック感想文」でも「バラエティ番組感想文」でも「レトロゲーム感想文」でも「ひと夏の甘い恋感想文」でも構わないでしょうに、「読書感想文」と限定しているということは子どもたちに「本を読ませる」ことが目的の一つにあるのだと思われます。

 本って「日常的に読む人」と「読まない人」がくっきり分かれますからね。
 「本を読まない子」に対して、夏休みは1か月もあるんだからその間に1冊くらい本を読めよという宿題なのです。そして、読んだ証拠にレポートを提出しなさいというのが読書感想文だと言えるのですが……「読書」の方が軽んじられていて私のように「碌に読まずに文だけ書いて提出する子」がいたり、読書感想文をきっかけに「読書嫌いな子」がたくさん生まれたりって、すげー本末転倒感がありますよね……


 次に「感想文」ターン。
 あるものに対して「自分の感想」を書けというミッションです。
 「感想」というのは、言ってしまえば「自分が思ったこと」です。

 私が子どもの頃は「何のためにやるんだ、こんなこと」と思っていたのですが、その後にインターネットが普及して誰もが発信者になれる時代になって「自分が思ったことを書く」ということがこんなに重要なんだとようやく気付きました。
 自分のブログやTwitterに書くこと、他人のそれらを読んでコメント欄やリプライで書くこと、買った商品をオススメしたりオススメしなかったりのためにAmazonやDMMにレビューを投稿すること―――これら全部「何かの感想を書いている」と言えますからね。この記事だって「読書感想文の賛否」に対する感想を書いているのです。


 記事の冒頭であれだけ怒った「“感想を書く”なんてことは社会に出てから何の役にも立たない行為」という発言も、裏を返せば頷けなくもないのは……そうした文章を書かなくても大人にはなれてしまうので、子どもの頃の「読書感想文」以降は「自分が思ったことを書く」機会のない大人もいるんですね。

 そういう人はインターネットにいざ「感想」を書こうとしてもマトモに書けないので、「小並感=小学生並みの感想」というネットスラングを使ってちゃんとした感想を書けないことを誤魔化したり、フォント弄りで誤魔化したり、どこかからコピペしてきて自分の文章は何一つ書けなかったりするのです。




 このブログを読んでいる小学生・中学生がどれくらいいるのかは分かりませんが、もしいたのなら「こんな大人にならないためにも読書感想文とちゃんと向き合うんだ!」と伝えたいです。


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◇ 「読書」をするコツ
 しかし、自分の子どもの頃を思い出すと、この「読書感想文」という宿題は生徒以上に先生にやる気がなかったのか、「読書」や「感想文」のコツを教えてもらえることもなく、ただただ機械的に「宿題の一覧」の中に入っていて機械的に提出させられただけだったように思います。

 そんなんじゃ「読書感想文嫌い」な子どもをたくさん量産するし、「読書嫌い」な子どもをたくさん量産しますよねー。


 「読書感想文」の「読書」パートのコツは、何といっても「自分が面白い本を選ぶこと」です。

 「面白い本」と「面白くない本」、どちらが読むのが楽しいかって言ったらそりゃ「面白い本」の方ですし。
 感想を書くという観点でも私の書いていたゲームのレビューだって、自分がものすごく楽しんでいた『Splatoon』のレビューだったら「書きたいこと」が次々と浮かんで長文が書けます。しかし、全然面白くなかったゲームのレビューは、特に書きたいことも思い浮かばないし、書けたとしても批判的なことばっかだったりしますし、書くのも憂鬱になってしまいます。


 「読書感想文」のレギュレーションは学校によってちがうのかも知れませんが、とりあえずコンクールのホームページを見たところ「指定された本を読む“課題読書”部門」と「自分で本を選ぶ“自由読書”部門」の両方があるみたいですね。先生受けするのは“課題読書”部門かなーと興味がない本を読むくらいなら、自分で面白そうな本を選ぶ“自由読書”部門の方が楽しく読めるんじゃないかと思います。

 というかね……この「自分にとって面白い本を選ぶ」という技術を、国語の授業はもうちょっと重視するべきじゃないかと思うのですよ。本でも映画でもゲームでもテレビ番組でもエロビデオでも、「自分にあったものを選ぶ」ことはものすごく難しいです。
 国語の授業は当たり前ですが「国語の教科書」を読むことが中心なので、読書感想文で「指定された本を読む」と「自分にとって面白い本を選ぶ」技術を磨くことが出来ません。そういう人が大人になってから趣味としていざ本を読もうと思っても、本屋さんとか図書館にある膨大な量の本の中からどれが面白いかを見つけることが出来ず、面白い本に出会えないことで「読書離れ」「活字離れ」が起こっていくんじゃないかと思います。


 多分、私が中学生の頃だったと思うんですけど……
 普段本を全く読まない友達が「読書感想文」の宿題が進まないというので、私が当時持っていたファンタジー小説の1巻を貸して「これで書けば?」と言ったら、その友達はあっという間にその小説を読み終わって「面白かった!」と感想文もあっという間に書き上げたことがありました。
 本を全く読まない友達は、「自分にも楽しめる本がある」ということを知らなかっただけなんです。ファンタジー小説なんて国語の教科書に載っていないですもん。

 一方、その時の私は確か課題図書になっていた夏目漱石の『坊っちゃん』を途中まで読んで、飽きて、途中まで読んだ知識だけで強引に感想文をでっちあげて書きました。「ファンタジー小説を楽しく読んだ友達」と「文学作品を途中で投げ出した私」と、どっちがちゃんと読書できていたかって話ですよ。




 さて、読書感想文コンクールの「対象図書」です。
 「課題読書」部門は言うまでもなく指定された本の中から選んで読むしかないのですが、「自由読書」部門は「自由に選んだ図書。フィクション、ノンフィクションを問いません。※教科書、副読本、読書会用テキスト類またはこれに準ずるもの、雑誌(別冊付録を含む)、パンフレット類、日本語以外で書かれた図書および課題図書は対象としません。」とだけ書かれています。

 Q&Aのコーナーを読むと、
 「マンガや写真集、図鑑、辞典を読んで応募できる?」という質問に、「自由読書の部での応募については、応募要項で除外している〈教科書、副読本、読書会用テキスト類またはこれに準ずるもの、雑誌(別冊付録を含む)、パンフレット類、日本語以外で書かれた図書および課題図書〉以外であれば応募できます。」とハッキリと「できる」と書いてあるのです。

 マンガを読んで読書感想文を書いても、コンクール的には構わないんですね。
 まぁ、先生受けは良くないかも知れませんし、個別の学校では禁止していたりはするかも知れませんが。

 写真集でも良いということは、(全年齢向けの)おっぱい写真集でも構わないということですね!どういう服を着て、どういうアングルで見たらヒンヌーはエロイのかという感想を2000文字以内に書いて提出しても構わないのですね!2000文字以内に収まるかなぁ!

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 と思ったら、
 「電子書籍を読んで感想文を書いてもいいの?」という質問には
 「紙媒体での書籍に限りますのでご応募いただけません。」という回答が。なーにー!?電子書籍ならば972円、もしくは980円で月額読み放題で読める『ちっぱい女子』を、中古で3000円近くする紙の本で買わないといけないとは……!これは厳しい!

ちっぱい女子
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 というか……「電子書籍で読んでも、紙媒体でも発売している本なら構いませんよ」じゃなくて、「電子書籍を読んで書いた感想は認めない」って。主催している全国学校図書館協議会の思惑が思いっきり透けて見えますよね。

 「子どもの教育」とか「子どもに本を読ませたい」を最優先にするなら、別に電子書籍でも構わないはずなのにね。そりゃ、大人がこんなんだったら、子どもも「読書感想文嫌い」「読書嫌い」になるわ。



◇ 「感想文」を書くコツ
 そもそも「感想文をコンクールが評価する」こと自体どうかと私は思いますからね。
 「感想」に優劣を付けて「良い感想」「悪い感想」と評価する上に、一説によれば「面白くなかった」的な否定的な感想を書いた感想文よりも「感動した」的な肯定的な感想を書いた感想文の方が評価されるって話ですしね。

 そりゃ全国学校図書館協議会が主催していますから。
 「この本はつまらなかった。読書なんて下らない」って感想文は、どんなに面白く書かれた感想文であっても評価されないのでしょう。コンクールのサイトのQ&Aコーナーには「本を読んで自分がどこに感動したのか、なぜ感動したのかを考えましょう。」と書いてあって、本を読めば感動することが前提なのが超怖い……



 なので……「コンクールで賞を獲る感想文の書き方」なんかは私には分からないし、そんなものを目指さなくてもイイと思うので、「ちゃんと書き上げるコツ」を考えようかなと思います。もちろんこれは「読書感想文」だけでなく、「ブログやTwitterや、コメント欄やリプライや、AmazonやDMMのレビュー」などを書く時にも役立つ方法だと思います。


 私は、文章を書きあげるには「目的」を明確にするのが一番だと思っています。
 お子さんのいるとあるフォロワーさんが、子どもに読書感想文に何を書けばいいか聞かれて「自分の好きな本をオススメする文を書けばいいんだよ」と教えたらすらすら書くようになった―――という話をされていました。これも一つの方法ですよね。「感想を書け」だと何を書いてイイか分からないので、「オススメする文を書け」と目的を明確にすると分かりやすくなるという。

 先生やコンクールに評価されることを目指さなければ……「面白くなかった本が如何に面白くなかったか」を書いても別にイイと思います。自分が面白いと予想して選んだ本が実際に面白くて「面白かった!」と感想を書ける人はラッキーで、世の中にある大半の本は「面白くない」のでそれで「本を読んで感動したところを書きましょう」なんて言われても書けるか!って話です。


 中学生くらいなら「読み物として面白い文」を目指すのも手かも知れません。
 何のこっちゃと思われるかも知れませんが、インターネット上のレビューサイトというのは「正確な情報をきっちり載せる」タイプと「その人の書く文章自体が面白いので読み物として成立している」タイプがあります。後者を目指して、人にはない切り口で書いてみると企画力が身につくことでしょう。
 この場合「コンクールで評価される」とか「先生に評価される」とかよりも、「書きあがったら友達に読ませて笑ってもらおう」と考えることで一気に方向性が見えてくるでしょう。友達がいない場合は、コンクールなどが終わってからインターネットに投稿してもイイでしょう。読む人のことを考えて文章を書くという経験はとても大事です。


 逆に、徹底して「コンクールで評価される感想文」を目指すのも面白いかも知れませんね。
 審査する大人がどういう人達で、子どもたちにどういう文を書いてほしいのかを考えてみるのもタメになるでしょう。文章を書く職業に就くとか、趣味としてブログなりTwitterなりをするとかでも、「読んだ人が求めている文章」を書ける能力はものすごくプラスになりますからね。若いうちにそれを真剣に書いてみるというのも、後の人生においてものすごくプラスになることでしょう。




 逆に、「目的」を決めずに文章を書き始めると必ず途中で迷走してしまいます。
 「オレは何のためにこれを書いているんだっけ……?」
 「この後、何を書けばイイんだっけ……?」
 「どうやって話を締めくくればイイんだっけ……?」


 ほら、今の私がまさにこの状況です。
 「読書感想文はマジメにやれば身につくことが多いよ!」という記事にするつもりで書き始めたのに、途中で「電子書籍で読んだ感想文は認めない」というレギュレーションを知って「このコンクール、マジでクソだな!」と気付いてしまったのでどう締めくくればイイのか分からなくなってしまいました。


 本当に、しっかりとした文章を書く能力がないまま大人になってしまうとこんなことになってしまうんですね。読書感想文さえマジメに書いていれば……と、今でも後悔しています。


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| ひび雑記 | 17:59 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

確かにネット時代になって、言語の4技能(読む、書く、話す、聴く)の内、読む、書くは大事になってきてますね。日本語、英語問わず。

| ナポリ | 2016/08/14 20:00 | URL |

私がついつい「いいね!」ボタンに頼ってしまうのは、子供のころ意地でも読書感想文を提出しなかったからだったのか!!

| ああああ | 2016/08/14 20:28 | URL |

君に伝えたくて 巧くはいかなくて

 大人になって読書感想文を書く機会のある人は少ないでしょうけど、文章を読んで内容を理解しなくちゃいけない場面や、文章を書いて何かを伝えなくてはいけない機会だったら、大半の人が直面しますよね……。

 そもそも、ある意味「学校の授業」そのものこそが、文章を読んで何かを理解し、文章ないし言葉で自分がどこまで何を理解したのか伝える場ですし。
 大人になってからだなんて遠い未来の話より前、まず明日の授業のため身につけておく必要のある技能と言えます。
 いや、まあ、「どうせ社会に出たら必要ない」って意見の人には、その行程からして無駄に映ってしまうのでしょうけど。

| kanata | 2016/08/14 23:28 | URL | ≫ EDIT

世の中には夏休みの宿題代行業と言うのがあるそうで
きっとこの読書感想文は出すほうのやる気のなさと
(ぶっちゃけ課題図書売りたいだけじゃ・・・ゲフンゲフン)
やる側も意義を感じてない(ちゃんとやれば意味あるんでしょうけど)
からよく代行されてるんじゃなかろうか
と邪推してしまいますねぇ

| ああああ | 2016/08/15 00:39 | URL |

>ナポリさん

 「読む」はともかく、「書く」機会ってネット以前だと友達への手紙くらいしかありませんでしたからねぇ。まさか日常的にやるようになるとは……

 「話す」「聴く」も映像生配信するようになってから大事だなーと思うようになりました。「話す」力を鍛えたくて始めたというのもありますが。


>ああああさん
 FACEBOOKを作った人達も、きっと読書感想文が嫌いだったにちがいないですね!


 アメリカにもあるのか……?


>kanataさん
 Twitterでもちょっと話したことなんですが……

 国語のテストの「この時の作者の考えを述べよ」みたいな設問って、ネットではバカにする人も多いですが日常ではすっげえ重要なんですよね。コメント欄とかリプとか、「どう読んだらこんな解釈ができるんだ……?」ってものが来たりしますし。


 仰るとおり、このコンクールも「本を読んで感動すれば人生が変わる」みたいな理由で読書感想文を薦めるんじゃなくて、「相手の書いていることをちゃんと理解できるようになろう」って薦め方をすればイイんですよねー。


>ああああさん
 「課題図書を売りたい」のは出版社の方なので、コンクールは「課題図書を売り込ませたい」ってところだと思います。

 宿題代行で読書感想文が多いかどうかは分かりませんが、文章って割と「誰が書いたか」の特徴がハッキリ出るので、(親に頼むとかも含めて)代行は即バレするんじゃないかな……

| やまなしレイ(管理人) | 2016/08/15 23:33 | URL | ≫ EDIT















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