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『Pokémon GO』が気付かせてくれたもの

 えっと……まず最初に言っておかなければならないことですが、私は『Pokémon GO』をプレイしていません。対応機種のスマホを持っていないのです。だから、『Pokémon GO』のゲーム内容については一切語れません。


 『Miitomo』と『Pokémon GO』から見えてくる任天堂のスマホ展開

 しかし、約1年前に『Pokémon GO』が発表された後、任天堂が『Miitomo』や『Pokémon GO』をスマホで展開することでゲーム業界はどうなっていくのかを考えて記事に書いていました。私自身は『Pokémon GO』をプレイしていないので語るのは心苦しいのですが、あの記事を書いた手前、「実際に『Pokémon GO』が配信されてどうなったのか」を記さなければならない責任があると思います。


 ということで、今日の記事は『Pokémon GO』の配信によって「今まで気づかなかったこと」に気づかされたよ―――って話を書いていきます。



1.「ゲームを遊びたい人」がこんなにたくさんいたのか!
 『Pokémon GO』は世界中でものすごくたくさんの人に楽しまれていて、だからこそ「あんなものを遊ぶ人は侮蔑する」みたいに批判する人が出てきたり、1か月の間に飽きて辞めちゃった人も多いなんて話もあったり、いやいや実はそんなに減っていないんですよみたいな話もあったりするのですが……

 少なくとも配信開始直後は、ものすごーーーーーくたくさんの人が遊んでいて、普段ゲームの話題なんか取り上げないテレビやラジオの番組でも話題にされているほどでした。


 私は一人のゲーム好きとして、単純に「たくさんの人がゲームを遊んでいる」ということが嬉しかったです。
 というのも、約10年前に『脳トレ』とか『Wii Sports』とかで「普段ゲームを遊ばない人でもゲームを遊ぶ」ブームが起こって、特にニンテンドーDSというゲーム機は(複数バージョンが出たこともあって)ものすごい普及台数だったのですが。世代が交代した現在のゲーム機であるニンテンドー3DSやWii UやPS VitaやPS4やXboxOneの国内普及台数はそれほどでもなく、「よほどのゲーム好き以外はもうゲームを遊んでいないんじゃないか」という危惧があって。

 じゃー、スマホでゲームが遊ばれているんだろうかというと、一人で何十万円と課金してしまったみたいな話と課金する人を馬鹿にしている無課金勢みたいな話が絶えなくて……こちらも「よほどのゲーム好き以外は課金していないんじゃないか」という危惧があって。

 ゲーム業界の未来は、「年金をもらう老人は医療の発達で増え続けるけど、それを支える若者は減り続けている」超高齢化社会みたいに、「ゲームの開発費はハードスペックの向上で上がり続けるけど、それを支えるゲーム好きは減り続けている」というお先真っ暗な状況だと思っていました。


 『Pokémon GO』は単純に「たくさんの人に遊ばれている」ということもそうなんですが、遊ぶためには外に出なければならないため「遊んでいる人の姿」が可視化されて、インタビューなんかもされるため――――「普段ゲーム機ではゲームを遊んでいない」おじいちゃんとか、「昔はゲームをしていたけど最近はやっていなかった」お姉さんとかも『Pokémon GO』をやっているというのが分かって安心したのです。

 ゲームはまだまだ、「遊んでもらえる」余地があるんだ―――と。




 では、何故「よほどのゲーム好き」以外の人まで『Pokémon GO』を遊んでいるのでしょう?

 一つには、「話題性」があって。
 連日ニュースで報道されることで、みんながやっているから自分もやってみたいと思える。

 二つ目は、「無料で遊べるから」というのもあるでしょう。
 既に持っているスマホで、基本無料で始められるゲームなので、ゲーム機もゲームソフトも買わなくてイイというのが大きいのでしょう。

 三つ目は、「斬新」だったから。
 もちろん『Pokémon GO』の前には『Ingress』があるのですが、『Ingress』を知らない人にとっては『Pokémon GO』は未知なる体験だったと思います。『脳トレ』や『Wii Sports』の時もそうでしたが、ゲームのブームの歴史は『モンハン』も『どうぶつの森』も『ストII』も『ドラクエ』も『スーパーマリオ』も『インベーダー』も、「今までこんなの見たことがない!」という体験をさせてくれるから起こったのです(『Pokémon GO』の前の『Ingress』同様、大ヒット作の前には元ネタとなるゲームもあったりするんですけどね……)。



 こういう条件が揃えば「普段ゲームを遊ばない人」でもゲームを手に取るし、逆に考えると「普段ゲームを遊ばない人」を巻き込めていなかったように思えたここ10年近い停滞感はこれらが足りていなかったんだとも思うんですね。厳しい言葉を使うのなら、ゲームが飽きられたんじゃなくて、飽きられたようなゲームしかなかったというか。



2.『ポケモン』ってものすごい人気なんだね!
 なんともまぁ、頭の悪そうな発言ですが……(笑)。

 普段からゲームが好きな人たちとばかり交流していると、うっかり見落としてしまいがちな視点だと思うんですね。『ポケモン』は「普段ゲームを遊ばない人」にも浸透していることを。
 「ゲームはしないけどアニメだけ観ている」とか、「最近はゲームしていないけどゲームボーイの頃には夢中になって遊んでいた」とか、「娘が子どもの頃にアニメを一緒に観ていたので『ポケモン言えるかな?』が歌える」とか、そういう人たちが『Pokémon GO』を遊んでいるという話を聞いて『ポケモン』というIPの強さを思い知りました。

 また、逆に「ポケモンはあまり知らないけど『Pokémon GO』は話題になっているからやってみた」という人もいて、任天堂がここ数年力を入れている「キャラクターIPの積極的活用」の成功例の一つになったと思います。


 同じことを『ポケモン』以外のIP―――秋にスマホアプリが予告されている『どうぶつの森』や『ファイアーエムブレム』、今後出てきそうな『マリオ』『ゼルダ』『ドンキーコング』『カービィ』『Splatoon』『メトロイド』『スターフォックス』『ピクミン』『F-ZERO』『押忍!闘え!応援団』『ファミコン探偵倶楽部』『パンチアウト』『罪と罰』『ワリオ』『ガールズモード』『伝説のスタフィー』『カスタムロボ』『ファミコンウォーズ』『カルチョビット』『カードヒーロー』、任天堂IPと言ってイイかはかなり怪しいけど『零』『カルドセプト』『バテン・カイトス』……えとせとらえとせとら、でも同じことが起こせるかは未知数ですが。

 キャラクターIPを浸透させるための映像化を、『ポケモン』以外でも積極的に行っていくみたいですし。

 任天堂は、もし仮にNX(仮)が大ゴケしてゲーム機事業から撤退したとしても、抱えているIPの強さでスマホだろうがPCだろうが他社のゲーム機だろうがどこででもやっていけそうだな……と思いました。



3.“「広く薄く」課金してもらう”の成功例
 これは1年前の記事に書いたことの答え合わせです。

 任天堂はスマホアプリへの展開を発表した初期の頃から、「日本では少数のお客様からたくさんのお金を払ってもらうスマホアプリが成功例として言われているけれど、海外からは日本の市場は特殊だと思われている。世界の市場を相手にするためには、たくさんのお客様からちょっとずつお金を払ってもらう「広く薄く」が大事だ」というようなことを繰り返し言っていました。

 そうすると、「たくさんのお金を払ってもらうスマホアプリ」を作っている人たちからは「そんなのは理想論だ!成功するワケがない」と反発があって……さて、実際に配信されたらどうだったのかというと。



 配信開始直後ということもあるかと思いますが、『Pokémon GO』は「ダウンロードしたユーザー数」だけでなく「売上」もものすごく高いという話で(ギネス認定されたというニュースが飛び込んできました)。
 全世界的に超有名なキャラクターIPを使って、「斬新」なゲームを提案したところ、ものすごい数のプレイヤーが参加して、「広く薄く」課金してもらうだけでもものすごい売上になる―――という恐ろしい力技を発揮したと言ってイイと思います。


 逆に言うと、こんなのは『ポケモン』だから出来たことで。
 例えば『ファイアーエムブレム』のスマホアプリはここまでのプレイヤー数にならないでしょうから、恐らくもうちょっと「一人のプレイヤーから多く払ってもらう」ビジネスモデルになるんじゃないかと予想しています。

 また、『Pokémon GO』より先に配信開始された『Miitomo』は、他のアプリに比べて「売上」の落ちが早かったみたいには言われていますね。「広く薄く」課金してもらうアプリは、課金の必然性が少ないために「売上」の持続が難しいのかもとはちょっと思いました。



4.海外でも「モバイルゲーム」は人気になる
 ゲームライターの野安ゆきおさんが、御自身のnoteにて『Pokémon GO』についての記事を何本か書かれています。その中でも私がハッとしたのは、次の記事でした。

 「ポケモノミクス」とは、大人になってからの麻疹(はしか)である ~「ポケモンGO」に関して語りたいこと・その5~


 一般的に、現在のゲームの主流は「日本は携帯ゲーム(スマホ含む)が主流」「欧米は据置ゲーム(PC含む)が主流」だと言われています。

 一番分かりやすい例を挙げると……Wikipediaによると、PS4の本体売上は国内では213万台、全世界では4000万台だそうです。発表された時期が半年ズレている数字とは言え、日本国内と海外の市場に大きなズレがあることが一目瞭然ですよね。


 我々消費者からすると大きな問題ではないかも知れませんが、ゲームを売って社員の給料を払っているゲームメーカーからすると無視できない話で……
 例えば任天堂が「3DSが日本国内では絶好調!」だったとしても、海外は据置ゲーム機の方が強いため携帯ゲーム機に一本化することができずに、据置ゲーム機であるWii Uも投入して結果的に2つのゲーム機用のゲームソフトを用意しなければならなくなってしまいました。そこを受けてのNX(仮)という話はまた今度――――

 Xboxはアメリカの会社が作っているゲーム機なので、日本市場よりも欧米市場の方をもちろん大事にしますし、据置ゲーム機だけを作り続けてきました。
 PSは任天堂同様に据置ゲーム機(PS→PS2→PS3→PS4)と携帯ゲーム機(PSP→PS Vita)を両方作ってきましたが、全世界の売り上げを比較するとPS4とVitaでは桁が一つ違うので、次は据置ゲーム機に一本化して携帯ゲーム機は撤退するんじゃないかと私は思っています。本社もアメリカになりましたしね。


 ということで……欧米ではとにかく据置ゲーム機が強いという状況で。
 でも、『Pokémon GO』というモバイルゲームが欧米でも大ヒットしたことで、欧米の据置ゲーム機もピークアウトしていくんじゃないのかと野安さんは予想されていると上の記事では書かれているのです。マジか。この話の続きがすごく気になるんですけど、「その6」はまだですか!


 私は正直そこまで思い切ったことは考えないのですが、DS時代も3DS時代も『nintendogs』とか『レイトン教授』とか『トモダチコレクション』とか意外な携帯ゲーム機のソフトが日本以上に欧米でヒットしたりもして。“欧米”と言っても一くくりに出来ず、欧米にも「据置ゲーム機よりも携帯ゲーム機を好んでいる人」「据置ゲーム機も携帯ゲーム機も遊ぶ人」が少なからずいるんだろうと考えています。だってほら、日本にだって据置ゲーム機を遊んでいる人はいるじゃないですか。

 そういう人達を拾い上げられたからこその『Pokémon GO』のヒットだと考えるのなら……
 実はまだまだ「携帯ゲーム機を遊んでもらえる余地」が海外市場にも残っていたんじゃないのかとも思うのです。任天堂のスマホアプリ進出は、実はこうした携帯ゲーム機が盛んではない欧米にこそ大きな効力を発揮するのかも知れません。


 そう考えると……NX(仮)がどういう方向性のゲーム機になるのかが見えてくる……ような、そうでもないような……。


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 そして、本当に大事なのはこれからなんですね。
 任天堂はスマホアプリ進出を「任天堂のキャラクターIPに触れる人を増やすため」と言っているので、「スマホアプリで任天堂IPを知った人がゲーム機用のゲームも買うようになる」のが目標なのです。つまり、『Pokémon GO』の成功は、それ単体のダウンロード数や売上数だけでは語れず、今秋発売される新作ソフト『サン&ムーン』にどれだけ人を引っ張ってこられるのかで語られるのだと思います。

 極端な話、「『Pokémon GO』があるから『サン&ムーン』は買わなくてイイや」と思われて売上が激減してはダメなのです。




 「スマホ用の基本無料のゲーム」→「ゲーム機用の買いきりのゲーム」への誘導が出来るのか、これは「基本無料のゲームを大ヒットさせる」こと以上に難しそうですね。個人的にはゲームはゲーム機で遊びたいと思っているので(この理由は長くなるので割愛します)、その誘導が成功したら嬉しいのですが果たして。

| ゲーム雑記 | 18:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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