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メディアミックス“してもらう”ことが創作の目標でイイのか?

 わざわざこんなことを記事にして書くべきではないのかも知れませんが……
 キンドルのセルフ出版サービスKDPにて、こんなコンテストが行われています。

 Kindleダイレクトパブリッシング 『原作開発プロジェクト』コンテスト

 要約すると、期間内にKDPを利用してKDPセレクト(キンドル独占)で小説を出した人にはコンテスト応募の資格があって、大賞に選ばれた1作品に与えられるのは「賞金30万円」「紙の本の出版」「Amazonプライムビデオでの映像化が検討されるよ」とのこと。




 うーむ……



 「賞金30万円」についても言いたいことはあるけど、置いておきます。

 「紙の本の出版」についても、以前から思っていたことがあって……「KDPのおかげで夢がかなった!」という例をKDP公式が出す時に、「KDPで本を出したら出版社から声をかけてもらって紙の本を出版することが出来ました!」みたいな話を載せていて、それ別に「電子書籍を出版することで夢がかなった」とはちがくない?と言いたかったです。KDP自ら、電子書籍は紙の本の2軍みたいな扱いにするのはどうなんだよと。

 しかし、今日の本題は「Amazonプライムビデオでの映像化が検討されるよ」なのです。これを「賞品」の欄に書いているということは、「賞金30万円」と同じくらいにもらった人が喜ぶだろうと思って書いているのだろうし、もっと言えばコレ目当てに応募される作品が増えることを期待して書いているのでしょうが……





 「小説」を書いている人に対して、「映像化してやる」という上から目線は何なのだろうと思うのですよ。

 カクヨムの「漫画原作小説コンテスト」を見たときにも思ったんですけど、「小説」を書いている人は「小説」という媒体で表現したいものがあってこそ「小説」を書いているのであって、「この小説を原作に漫画が描かれたらイイな」とか「この小説を原作に映画が撮られたらイイな」なんて思って書いていないと思うんです。
 「いや、私はそう思いながら小説を書いていますよ」という人がいたのなら、私からは「じゃあアナタが漫画を描きなさい」「じゃあアナタが映画を撮りなさい」と言います。原作になるだなんて恐ろしく低い可能性に賭けるくらいなら、自分でやりゃーイイですよ。


 「小説」を書く人は、「小説」のことを「世界で一番優れている表現方法は小説だ!」「漫画や映画で表現できる程度のものなんて俺は興味がないが、俺のこの超面白い小説を原作としたおこぼれで漫画や映画を作りたいと頭下げるなら、まー絶対に原作を上回ることなんてねーと思うけど、許可してやらなくもないな!」くらいに思っていて欲しいし、いなかったら続けられないと思うんですよ(※1)

(※1:これはもちろん、「漫画」を描く人は「漫画」を一番だと思っているし、「映画」を撮る人は「映画」を一番だと思っている―――と続いていくのですが。)




 私も、つい「小説」や「漫画」作品を紹介する時に「この作品はテレビアニメ化もされています」とか「実写映画化もされましたね」とか、あたかも「テレビアニメ化」や「実写映画化」が“作品に拍が付いた”ことみたいに説明しちゃうこともあるのですが……ぶっちゃけそんなものは作品の質とは関係がなくて。

 例えば今回のKDPのコンテストは「映像化しやすい題材で、映像化したら面白そうな小説」が選ばれるのでしょうが、そうしたものが「映像化なんて絶対不可能な、小説でしか表現できない面白さを描いた小説」より優れているとは私は思いませんし。
 本来KDPみたいな構造のサービスは、前者のような商業性の強い作品だけでなく、後者のような作家性の強い作品であっても商品として売ることが出来ることに利点があるはずなのに―――KDP公式自身が、まるで日本のプロ野球がアメリカ大リーグの2軍呼ばわりされるみたいに、「KDPで出版される小説」が「映像化作品」の2軍みたいな扱いをしていることにすごくガッカリしました。




 え……?
 いや、まぁ……

 そんなこと言っている私も、自分が出している『マンガは描ける!』とか『オレは貧乳が好きなんだ!』を「アニメ化したいです」とかもし言われたら、「マジかよ!川崎さんのCV.は誰がやるのかなー。楽しみだなー」ってなりますけど(笑)。
 KDPでこういう本を出しているのも、漫画を描いているのも、小説を書こうとしているのも、もっと言えばブログを書いているのも、Twitterに書いているのも、ゲーム実況しているのも、そこでしか表現できない面白いものがあると思って自分はやっているので。

 「映像化の検討」が大賞の賞品になると考えられている、こういうコンテストにはちょっとガッカリしてしまいます。


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| ひび雑記 | 17:53 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

初めまして。
以前から拝読しておりました。

おっしゃること,まことにその通りだと感じました。
確かに自分が作品を書いていたとして,それを映像化したいと言われたら,「映像化してみたいと思うくらいに相手が感銘を受けてくださったこと」はとても嬉しいだろうし,話を受けるかどうかは別としても,お申し出自体を悪く捉えることはないと思います。

けれども,最初から映像化ありきで作品を募集する,というのは何か順序が違うのですよね。
小説は,小説でしか表現できないことがあるからその手法を選ぶのですし,漫画だって映画だって,それは同じだと思います。

こういう,「無意識的に表現手法に序列を付けている」と捉えられかねない賞の在り方は,少なくとも表現をする立場にある(もしくは受賞させる作品を選定する立場にある)者としては,いささか繊細さに欠けるのではないか,と思ってしまいます。

表現手法に優劣はないと思います。
やまなしさんはもちろんご承知の上で挑発的な表現をなさっていらっしゃるのでしょうが,「小説」を書くにせよ「漫画」を描くにせよ,あるいは「映画」を撮るにせよ,「自分の選んだ表現手法がベストなのだ」というくらいの気概と誇りを持って作品を創っていただきたいものですね。
そういう作品をこそ,読んでみたいし観てみたいとわたしは思います。

| 果 | 2016/11/14 00:03 | URL | ≫ EDIT

>果さん

 初めましてー。

 僕は今年の目標が「小説を書く」だったのですが(もう11月ですね……)、それは「漫画ではどうしても表現できないことがある」と思ったからで。漫画には漫画に向いている話を、小説には小説に向いている話を書こうとしていたところだったので、なおさらこういうことを思ってしまいました。

 KDPには個人的にはすごくお世話になっているし、感謝しかないのだけれど、だからこそもうちょっと違う方法で盛り上げて欲しかったなーと。

| やまなしレイ(管理人) | 2016/11/14 22:58 | URL | ≫ EDIT















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