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「読者の好きに想像してイイ」のか、「作者のイメージを提示する」のか

 出だしはゲームの話ですけど、どっちかというと今日は「小説」と「ライトノベル」と「漫画」のちがいの話かな……


 【先出し週刊ファミ通】『かまいたちの夜』なのに“影”じゃない!? 挑戦的な新作『かまいたちの夜 輪廻彩声』を独占スクープ(2016年11月17日発売号)

 ビックリしました。
 『かまいたちの夜』を知らないという若い人も多いと思うので説明しますと、1994年に発売されたスーパーファミコン用ソフトが原作で、『小説』に「音」や「選択肢によって変わるエンディング」や「周回プレイによって変わるストーリー」などといった『ゲームならではの要素』を組み込んだサウンドノベル第2弾として大ヒットしました。

 ひょっとしたら「え?そんなのフツーなことじゃん」と今では思われてしまうかもですが、今ではフツーとなってしまったジャンルの草分け的存在なソフトだったのです。
 私の家ではサウンドノベル第1弾『弟切草』を兄貴が持っていましたが、『かまいたちの夜』はほとんど未プレイだったところ、こないだのPS福袋でプレイステーションに移植された版が出たのでプレイしようと思っていたところにまさかのリメイクにビックリしたのです。


 さて、この『かまいたちの夜』の特徴は、何といっても「登場人物がシルエットでしか表示されないこと」でした。分かりやすい画面写真はこちらのページがイイかな。「登場人物はシルエットのみなので、プレイヤーの想像力がかき立てられます」と書いてありますね。
 んで、今度出る『かまいたちの夜 輪廻彩声』は、基本となるストーリーは恐らく同じながらさきほどのページを見ても分かるように「登場人物が思いっきりイラストで描かれている」のです。真理、こんなおっぱいが強調されるピッチピチな服を着てたのか!




 私は『かまいたちの夜』をまだ始めていないので、思い入れもほとんどありませんから「そういう時代だもんなー」というのが正直な感想でした。ファミ通のページにも「イラスト(と)ともに物語を楽しむライトノベル層へ向けたアレンジが施された同作」と書かれていますが、確かに1994年の頃よりも「ライトノベル」は浸透しているので「イラストがあった方が読みやすい」という人も多そうだなとは思うんですね。イラストの真理、可愛いし。


 ですが、一方で「こんなのは『かまいたち』じゃない!」と憤慨している人もTwitterのタイムラインにはたくさんいて、まーそっちの気持ちも分からなくはないです。
 これまでシルエットでしか表示されなかったキャラクター達をプレイしてきた人達は、20年以上もそれぞれの脳内にそれぞれのイメージが出来ているでしょうから、突然のイラスト化に「イメージと全然ちがう!」と思っても当然でしょう。「俺のイメージでは真理はヒンヌーだったのに、このイラストでは巨乳に描かれている!許せん!」みたいな。
 2002年のテレビドラマ版はその辺を考慮してか、作中のキャラはあくまで「『かまいたちの夜』というゲームのファンが、ゲームのキャラを演じる映画を撮ろうとする」というストーリーになっていたのでイメージとちがっていても問題ないようになっていたそうなのですが(だからと言って評判がイイわけではないのだけど)。今回はずばり原作のキャラクター達がイラスト化されてしまったワケですからね。



 しかし、この話……別に『かまいたちの夜』に限った話でもないですよね。
 好きな小説(notライトノベル)がアニメ化されたり、映画化されたりするたび、「絵柄が思っていたのとちがう!」とか「キャスティングが思っていたのとちがう!」と戸惑ったことのない人なんて……多分いないと思うんですね。「主人公は冴えない女のコだと思っていたんだが、上戸彩がやるのかよ!」みたいな。

 でも、じゃー「絵柄が思っていたのとちがう!」とか「キャスティングが思っていたのとちがう!」とか言われないために、『かまいたちの夜』みたいに全キャラをシルエットにしますとか言われたら、アニメ化や映画化の意味はないと思いますし(笑)。





 読者の好きなように想像できる「小説」というメディアと。

 作者(というかこの場合はイラストレーター)のイメージを提示する「ライトノベル」というメディアは、分類すればどちらも「小説」なのだろうけど楽しまれ方はちょっと違うんだなと思ったのです。


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 というのも……現在、私は「2016年の抱負」に書いた「小説を書く」ということに挑戦していて、「小説」と「漫画」のちがい、ないしは「小説」と「ライトノベル」のちがいをよく考えているのです。

 例えば……「誰もが息をのむ絶世の美女」というのは小説で書くのは楽です。
 そう書けば、読者がそれぞれ自由に「絶世の美女」を思い浮かべてくれますから。

 しかし、これを漫画で描くのは大変です。
 画力の問題もありますけど、私のイメージする「絶世の美女」とAさんのイメージする「絶世の美女」とBさんのイメージする「絶世の美女」とCさんのイメージする「絶世の美女」は全然ちがったりしますからね。それこそ『かまいたちの夜』の真理に対して「ずっとヒンヌーだと思っていたのに巨乳だったなんてガッカリだ!」と思ってしまうみたいに、好みと少しずれていただけで「どこが美女なんだ?」と思われかねませんからね。


 でも、ライトノベルは小説なのに「絶世の美女」をイラストでも描いて、読者の自由にはイメージできないようにするんですよね。涼宮ハルヒは元々小説のキャラですが、「俺はのいぢ先生の描くハルヒじゃなくて、自分で自由にハルヒを想像するんだ!」という人はあんまりいないと思うんですよね……
 それは、「読者から想像の余地を奪っている」とも言えるし、反対に「読者が想像する必要もなく公式からのイメージを提示してくれる」とも言えるし。




 自分が書こうとしている「小説」は、イラストも付ける予定なので「ライトノベル」に近いです。
 「小説」部分も「イラスト」部分も一人で書くことで「作者のイメージするものを正確に提示できる」一方で、「どこまでイメージを提示するべきなのか」がなかなか悩みどころで……「漫画」ではなく「小説」を書くからには「読者に想像させる部分」がなければ意味がないけれど、「全くイメージを提示しない」とイラストを挿れる意味もないし。

 身も蓋もない喩えを言うと……ヒロインが「美少女」という設定だけど、やまなしの描くイラストがない方が「自分の思い浮かべる美少女」を想像できるから嬉しいんだけどなぁという人もいると思うんですね。イラストを提示するというのは、そういうリスクを背負うということで。


 もっと一般的に「あるある」と想像しやすい話をすると、好きな漫画がアニメ化された時に「声が思っていたのとちがう!」とか「俺の思ってたのよりテンポが悪い!」とか憤ることがあるじゃないですか。当然、漫画だけだった時には「公式の声」も「公式のテンポ」もなくて、読者がそれぞれ自由に“ベストなもの”をイメージしていたのが……アニメ化されると、それらが「公式化」されてしまうのです。
 『ジョジョ』3部ラストのとある台詞、アニメで見て「え!?その台詞ってオマエの台詞だったの?」と驚いたことがあったっけ……



 「小説→ライトノベル→漫画→アニメ」の順で、「読者の想像の自由」はなくなっていくんだけど、「公式からのイメージの提示」がされるのでイメージが共有しやすくて誰にでも楽しめるようになる……もちろん逆に「小説の方がアニメより頭を使わない」こともあるんだけど、一般的にはそう言えるんじゃないかなぁと思います。

 「小説から入る人」「漫画から入る人」「アニメから入る人」「実写映画から入る人」

 それは以前にこの記事に書いた話に通じることで、人それぞれ「どれだけ想像したいのか」がちがっているから好きなメディアもちがっていて、メディアミックスはそうした好みがバラバラな人達に対して「入り口」を増やすことが出来る―――
 そう考えると、『かまいたちの夜』のイラスト化も「これまで敬遠していた層」に対しての入り口としては悪くないのかなぁなんて思いました。私はPS福袋でプレステ版を既に入手しているので、シルエットの方の『かまいたちの夜』をプレイしますけど(笑)。



 んー……しかし、そうすると私の書く「小説」も。
 「イラストなしの小説」版と、「イラストありのライトノベル」版の2種類を作った方が入口が増えるということか……?


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| ひび雑記 | 18:00 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

最後の2行ですが、機動戦士ガンダムUCの原作がまさにそんな感じで、
3種類の形態で刊行された珍しい小説でした。

1.角川コミックス・エース版(※コミックスとありますが、小説です)
  表紙:安彦良和&カトキハジメ 挿絵:安彦良和&虎哉孝征
2.角川スニーカー文庫版
  表紙:美樹本晴彦 挿絵:大森倖三
3.角川文庫版
  表紙:加藤直之 挿絵:無し

1がガンダムシリーズのファン向け、2がラノベの読者層向け、
3は執筆を担当された福井晴敏のファン向け、ということを考慮されて
いるようです。おそらくですが、いろんな読者層に対して
「誰でも安心して読めますよ」
ということを伝えたいが為の刊行形態だったのでは……と個人的に
解釈しています。

小説スタイルとラノベスタイルの同時刊行は、「入り口が増える」
という意味合いも大きいですが、それぞれ読んだ人の感想
(特に、登場人物の印象)がどうなるのかも興味深いですね。

| HIZU | 2016/11/17 23:15 | URL | ≫ EDIT

ラーメン屋でもカレー屋でも「お好みありますか?」と聞かれると「スタンダードはどれなの?」と確認したがる質の読者です。

絵あり/なし、については「提供側が最善と思う形で売って欲しい」と考えています。想像力を動員した方が楽しめるのか、提供されたイメージに沿って読んだ方が楽しめるのか、読む前には判断できないので、作者さんとして良い方を提供していただけたら、と思うのです。

ちなみに、かまいたちシリーズ全チェックの大ファンです。
今作は原作のシルエット絵と矛盾のないキャラデザ(輪郭それ自体は原作に非常に近いもの)だったので原作へのリスペクトが感じられて個人的には好印象です。てかすげー楽しみ。Vita持ってねぇやどうしよう買うかw

| まいかる | 2016/11/18 12:27 | URL | ≫ EDIT

いろんなところでこれ系の話題見るたび、

筒井康隆の「時をかける少女」って
いま書かれてたらラノベに分類されて
キャラの見た目や細かい設定も出版社主導で決めちゃうだろうから
漫画だの実写だのアニメだのと
いろんなバリエーション作られなかったんだろうなー

って考えてしまう。
原作が漫画で、キャラの見た目とか空想の余地が無いくらい共通認識が出来あがってるのに大胆にアレンジして成功した
ドラマ版「孤独のグルメ」とか浦沢直樹の「PLUTO」ってすごいな。
シャーロック・ホームズの現代版を作ったBBCも
大河ドラマの題材にオリンピックを選んだ宮藤官九郎も
次の「ゴジラ」をアニメ映画にするって決めた東宝もすごい。

すでに定形が出来あがってるものを目の前にしながら
ぜんぜん別のものを想像できるのって普通にはできないすごいことだわ。
頭の柔らかい人ってすごいわ。
だから今回のスパチュンもすごい。

| ああああ | 2016/11/18 14:23 | URL |

ファミ通の続報記事を読んだのですが「かまいたちの夜 輪廻彩声」、どの程度か分かりませんがボイスも付くみたいですね。主人公の声を逢坂良太さんが、真理の声を明坂聡美さんが担当すると書いてありました。

旧作を未プレイで声優さんの芝居が好きな自分としては、演技派・芸達者な明坂さんが(フルボイスであるなら)セリフの多いメインヒロインを演じるゲームということでちょっと購入意欲が湧きました。

| yatarou | 2016/11/18 23:51 | URL |

>HIZUさん

 なんと!
 福井さんと『ガンダム』と、それぞれ多くのファンを抱えているからこそ出来たことなのかも知れませんが、既に前例があったんですね。

 しかし、逆に考えると、それくらいファン層が乖離しているからこその措置とも言えるので自分みたいな「一人の作者」でやるメリットはあまりないように思えますね。


>まいかるさん
 なるほど。
 確かに自分も「好きなように選べる」場合でも「スタンダード」を最初に選びたい人かもです。


>今作は原作のシルエット絵と矛盾のないキャラデザ(輪郭それ自体は原作に非常に近いもの)だったので原作へのリスペクトが感じられて個人的には好印象です。

 へぇ!!
 これはシリーズファンならではの着眼点で、面白い意見ですね。ということは、真理は元から巨乳だった……?PS版を早くプレイして確認したくなってきましたw


>ああああさん
 あぁ……確かに。
 「メディアミックスに耐えうる原作」って、そう考えるとそれなりの“幅”があるというか“想像の余地”を残しているってのがあるのかも。

 4コマ漫画がアニメの原作になりやすい、みたいな。


>すでに定形が出来あがってるものを目の前にしながら
ぜんぜん別のものを想像できるのって普通にはできないすごいことだわ。

 ですね。新しいことをどこかで想像(創造)しなければ、ずっと同じことの再生産に留まりそうですし。私、大河ドラマってほとんど観たことないんですけど、スポーツの歴史は好きなんでクドカンのは初めてちゃんと観ようかなーと考えています。


>yatarouさん
 そっか!ボイスが付くのは、今フルプライスで「まだかまいたちの夜を遊んだことのない人」に売るにはこれくらい大胆な追加要素が必要ですし納得です。

 しかし、声もまた「イメージとちがう」となりかねないので、イラストと同じかそれ以上に挑戦的なことかも知れませんねー。
 僕はPS版を始める前にVita版のPVででも声のイメージをもらっておいた方がイイかも……発売が2月なら1月くらいにはPV出るだろうし。というか、「実況で使おうか」とか言っていたけど今一番使ったら怒られそうなソフトになっちゃいましたね(笑)

| やまなしレイ(管理人) | 2016/11/20 02:26 | URL | ≫ EDIT

マンガが面白ければ説得力あるのにね

| でも | 2016/11/23 03:05 | URL |

>でもさん

 それはこの記事には関係ねえだろうがっ!!!!

| やまなしレイ(管理人) | 2016/11/24 20:29 | URL | ≫ EDIT















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