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『スーパーマリオオデッセイ』に見える、任天堂の情報発信方法の現在

 E3で出た『スーパーマリオオデッセイ』のPVが素晴らしくて、何度も観返してしまっています。



 ゲーム自体も、「帽子をかぶせた相手・モノに乗り移って操作できる」という分かりやすさと、「今までのマリオにない世界観のようでところどころに散りばめられている過去作へのオマージュ」という新しさと懐かしさにワクワクしているんですけど……それ以上に、このPV自体がものすごくよく出来ていると思うんですね。

 「恐竜……?帽子……え、マリオ!?」からの、世界観を見せて、実際のゲーム画面のようなマリオが敵を倒しながら進む場面が来て「あー、こうやって遊ぶんだ」と見せて、2Dシーンでビックリさせて、今までの3Dマリオにあった“幅跳び”も見せて―――そこからの、いよいよ帽子を被せた相手を操作できる新システムのターンが始まり、カエルにもなれるクリボーにもなれるハンマーブロス(?)にもなれる、キラーになればいろんなところに飛んでいける、と新システムによってゲームがどう変わるのかを見せて、クッパやピーチ姫や新しい敵達を見せて、衣装チェンジ(歴代マリオを彷彿とさせる)を見せて、ワンワンやタクシーや通行人や戦車に帽子を被せて操作しているところも見せて、最後に恐竜に帽子を被せることで「冒頭の恐竜はこういうことだったかー」と伏線を回収して、更に今までの歌を歌っていたのがポリーン(『ドンキーコング』のヒロイン)であることが示唆されて終わるという。

 「起承転結」がしっかりしていて、「え?これはどういうことなんだ?」「このシステムで何が出来るんだ?」とこちらが疑問に思ったことが次々と判明していくので引き込まれていくのです。




 単純に比較するのは申し訳ないのですが、2013年の同じE3で公開された前作『スーパーマリオ3Dワールド』のトレーラーとはワクワク感がちがうと思います。



 こちらも「どういうゲームなのか」を見せる目的の映像としては悪くないと思うんです。「あー、3Dランド路線ね」と思わせてからの、ネコマリオ登場、ルイージやピーチ姫を操作しているところを見せてからの「4人同時プレイ」が明らかになるところとか。前作『スーパーマリオ3Dランド』からどう変わったのかが分かりやすいと思うんですけど……『スーパーマリオオデッセイ』の映像を観た後だと、『スーパーマリオ3Dワールド』のトレーラーは「これはどういうことなんだ?」と引き込むフックが弱いなぁと思うんですね。



 今でこそ当たり前のようにYoutubeにPVやらなんやらを投稿している任天堂ですが、Youtube内に「任天堂公式チャンネル」を開設したのは2013年3月です。まだたった4年前なんですね。
 以前の任天堂は、PVなどの映像は公式サイトや『みんなのニンテンドーチャンネル』のような任天堂機の映像サービスでしか観られなかったのですが。2011年9月のニンテンドー3DSカンファレンスがかなり評判になったことで、2011年10月からニンテンドーダイレクトを開始、2012年7月に「ニンテンドーダイレクトチャンネル」を開設してYoutubeに公式配信されるようになりました。2012年10月の「とびだせ どうぶつの森 Direct」はものすごい話題になってソフトの特大ヒットに貢献、2013年3月に「任天堂公式チャンネル」を開設して「ニンテンドーダイレクトチャンネル」もそれに統合したという経緯ですね。

 先の『スーパーマリオ3Dワールド』のトレーラーは、「任天堂公式チャンネル」開設直後の2013年6月の映像なのですが……翌年の2014年E3辺りから、Youtubeで「そのゲームにまだ注目していない人も見る」ことを意識した映像が増えてきたかなぁと思います。




 全世界に衝撃を与えた『Splatoon』初お披露目映像です。
 この映像も「これ、どういうことなんだ?」「この機能があるとゲームがどう変わるんだ?」というフックがものすごくよく出来ていました。
 まず、発射音とともにインクが塗られて「何だこれ?」と思わせる。そのインクに潜む謎の生物→ イカだと思ったら人間になった!と驚く間もなく、別のインクが彼女に発射される。ここでゲーム画面に切り替わり、「このゲームは二色に分かれてインクを塗り合うゲームなんだ」と分かる。「では、さっきのイカは?」と思ったところで、イカになればインクで塗った壁も登れることが分かって、人間でインクを塗ってイカでその中を泳ぐゲームなことが分かる。イカジャンプを経て、ローラー、スーパーショット、ボム、チャージャーなど様々なブキがあることが見せられて、うおーうおー面白そう!と思っている間に終わるという。

 この年のE3では、プレゼンテーションの中に「一つ一つのソフトのトレーラー」と「そのソフトの開発者インタビュー」が詰め込まれていて、その動画が別々にもYoutubeに投稿されて拡散されていきました。このくらいの時期から、Youtubeで拡散されることを意識した映像の発信が始まったのかなと思います。例えば、今も続いている「ニャニャニャ!ネコマリオタイム」は2014年2月に第1回が配信されていますからね。






 一見すると『スーパーマリオオデッセイ』や『Splatoon』とは対極にありそうな動画ですが、2016のE3で公開された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のトレーラーも「これ、どういうことなんだ?」「この機能があるとゲームがどう変わるんだ?」と思わせるフックがしっかりしている映像になっています。

 ゼルダ姫の「目を覚まして」という声から始まり、舞台となるハイラルの各地の様子を見せて見せて見せて見せて、リンクが本格的に登場するのは動画が始まった1分後という構成です。そして、先ほどまで映していたような場所にリンクがパラセールで降下、走って、馬にしのびよって乗って、木に登って、建物にも登って、崖に登って、木を斬って橋にしたり、海に飛び込んだり、狩りをしたり、火を燃やしたり、料理をしたり、冒頭で見せられた広い世界を様々な手段で堪能できることが見せられました。



 E3の映像ではありませんが、『1-2-Switch』や『ARMS』の初お披露目映像も「これ、どういうことなんだ?」「この機能があるとゲームがどう変わるんだ?」というフックが効いていますよね。『1-2-Switch』はちょっとフックを効かせすぎて「狙いすぎ」なカンジもしますけど。







 また、Youtubeへの動画投稿だけでなく、『スーパーマリオオデッセイ』はTwitterの公式アカウントを通して「動画だけでは説明しきれなかった細かい情報」を公開しています。





 任天堂は2012年の『新パルテナ』を皮切りに、戦略的タイトルにはTwitterに公式アカウントを開設してそこから情報発信をしていくという手法を取ってきました。しかし、『新パルテナ』のTwitter投稿を今見ると、RTが全然されていないんですね。投稿が多すぎるというのもあるのですが、多くて二桁、ほとんどが3とか4とかしかRTされていないという……






 任天堂がTwitterを見事に活用したソフトと言えば、なんといっても2015年の『Splatoon』でした。追加されていくブキやステージの告知はあっという間にRTで拡散され、フェスのテーマが発表されるたびに盛り上がっていました。『2』に向けて、ストーリーモード(ヒーローモード)の前日譚とも言えそうな「その後のシオカラーズ」がTwitterに投稿されたりもしていましたね。









 ゲームが「随時アップデートされるリアルタイム感を重視したオンライン対戦ゲーム」だからなのもありますが、『新パルテナ』のRT数と比較すると、1万RT越えを連発していく“情報の出し方”は2012年と2015年で随分変わったなぁと思いますね。

 Youtubeの動画もそうなんですが、TwitterのRTは「そのアカウントをフォローしていない・そのソフトに興味がない・そのソフトを知らない人」にまで情報が届く拡散力がありますからね。



 『ARMS』も『Splatoon』同様に公式アカウントを開設して情報公開をしていて、『Splatoon』ほどではありませんが、キャラのイラストなんかは4桁のRT数を安定してたたき出していますね。







 公式アカウントは開設されませんでしたが、『1-2-Switch』は任天堂公式アカウントで収録されている全ゲームの紹介が投稿されていました。


 Youtubeへの「“ゲームの説明”に留まらない“視聴者の興味を引く”映像」の投稿と、Twitterへの「それを補足する説明やこぼれ話、イラストなど」の投稿の二段重ねが、任天堂の情報発信の現在におけるメインなんだと思うんですね。





 この傾向……実は、2014年発売の『大乱闘スマッシュブラザーズ for 3DS/Wii U』から始まっているんじゃないかと思います。ファイター参戦ムービーは、ニンテンドーダイレクトなどで流れた後Youtubeにも投稿されていましたし。2013年のE3から2014年12月のWii U版発売まで、毎日Twitter(とMiiverse)に「きょうの一枚」と画面写真が投稿されて、情報が小出しにされていました。






 まだですか?

 『スマブラfor』のムービーのプロットはディレクターである桜井さん自身が書いていると『ゲームを作って思うこと2』に書かれていたように、「これ、どういうことなんだ?」というフックの効いた映像にしてあるのは桜井さんの狙いなのでしょうし、毎日画面写真を公開していったのは『スマブラ』1作目の「スマブラ拳」からの流れだと思うので……桜井さんの意志が強く反映されているのかなと思うのですが。

桜井政博のゲームを作って思うこと2 (ファミ通Books)
桜井政博のゲームを作って思うこと2 (ファミ通Books)

 そういった「動画共有サイトの活用」と「SNSの活用」に任天堂も積極的になった結果、『Splatoon』や『ARMS』や『スーパーマリオオデッセイ』のこうした情報発信につながっているのかなと思うのです。




 でも、アメリカでこの映像が100万再生を超えているのはどうかと思うよ!(笑)
 「フックが効いている」というか、フックしかねえよ!『ブレス オブ ザ ワイルド』の1stトレーラーは「リンクが登場するまでに1分かかった」けど、こっちは誰一人キャラが映っていない!

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| ゲーム雑記 | 17:49 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

最近の任天堂の情報発信では、「ブレスオブザワイルド」の公式サイトは斬新でした。スクリーンショットやイラストと文章で説明するという他のゲームの公式サイトとは違い、ほぼ動画のみで宣伝してましたから。個人的にはもっと文章で説明してほしかったんですが、この宣伝の仕方も戦略的なものだったんでしょうね。

| ホロウダイン | 2017/06/16 23:45 | URL | ≫ EDIT

>ホロウダインさん

 あぁ、公式サイトの変化についても面白そうですね。

 2010年の『マリオギャラクシー2』や2011年の『スカイウォードソード』の公式サイトは、トップページこそ画面いっぱいに広がっているのですが、個別メニューに入ると情報が画面中央の枠内に収められていて……文章にしろ動画にしろ「じっくり読ませる」ものになっていて。
 https://www.nintendo.co.jp/wii/sb4j/index.html
 https://www.nintendo.co.jp/wii/souj/


 2017年の『ブレスオブザワイルド』や『ARMS』や『Splatoon2』の公式サイトを見ると、どのページも画面いっぱいにイラストやら文字やらが派手に並んでいて、「じっくり読ませる」というよりかは「広がってる情報を眺めさせる」ような作りになっているんですね。
 https://www.nintendo.co.jp/zelda/index.html
 https://www.nintendo.co.jp/switch/aabqa/index.html
 https://www.nintendo.co.jp/switch/aab6a/index.html


 多分これは、PCの大きな画面からスマホの小さい画面に「閲覧されるデバイス」が変わったのだろうということと、デバイスが変わったことで公式サイトの観られ方がこの5年で変わったということなのかなと思います。

| やまなしレイ(管理人) | 2017/06/18 00:12 | URL | ≫ EDIT















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