やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

「家電になんかならなくてイイ」と呪縛から解放されたゲーム機:Nintendo Switch

 待望の『Splatoon2』が発売されたことで、それが遊べる本体Nintendo Switchの争奪戦の苛烈さもピークを迎えているんじゃないかと思います。

 個人的な見解を述べると、今のNintendo Switchの品薄状態は「需要に供給が追い付いていない」だけで手放しに誉められたものではないと思いますし、同じようにスタートダッシュに成功しつつもサードメーカーがソフトを出さなくなって急失速したWiiというゲーム機を知っているので「同じ道を進まなきゃイイんだけど……」と思わなくもないのですが。

 まぁ、でも「こんなに売れるとは思わなかった」と任天堂ファンですら言っているくらいなので、需要に追いつけるほどの出荷量を用意できなかった任天堂や、ソフトを出さないサードメーカーのことも、責められないかなとも思っています。東京ゲームショウあたりで日本のサードメーカーからソフトが発表されるとイイんですけどね。



 思い返すにNintendo SwitchがNXと呼ばれていたほんの10ヶ月くらい前までは、「ゲームなんてスマホで遊べるんだから今更ゲーム機を買うようなヤツはそうそういない」とか「本当のゲーム好きはPCで遊ぶからゲーム機なんて見向きもしない」といったゲーム機不要論がネット上では大勢を占めていました。

 任天堂がどうこうではなく、「もはやゲーム機の時代ではない」

 もちろん、そうは言っても海外市場を見ればPS4はバカ売れしていたのですが、「PS4が売れているからNintendo Switchも売れるはずだ」なんて考える人はいなくて「PS4が売れているからもうNintendo Switchに売れる余地は残っていないのでは」と考えるのがフツーですから……
 Nintendo Switchは発表前から大逆風が吹き荒れていたんですね。



 しかし、発売してみたらずーっと品薄状態。
 PS4も売れた、Nintendo Switchも売れた、そう言えばニンテンドークラシックミニだって売れていた―――そう考えると、スマホがあればPCがあればなんてネット上での意見なんて関係なく、「ゲーム機でゲームを遊びたいという需要」がちゃんとあったってことなんですよね。

 逆に、Nintendo Switchは「みんなもうスマホを持っているはず」「詳しい人はPCも持っているはず」と割り切って、スマホで出来ること・PCで出来ることはそちらに任せているのが特徴です。
 ボイスチャットはスマホ用アプリで行いますし、任天堂が近年許可をし始めて大きな成果をあげているユーザーの動画配信も「PCを持っている人が勝手にやってね」と任天堂自身はサポートしませんし、Twitterなどの既存SNSでつながっている人をオンライン対戦に招待したり出来る仕組みもそもそもNintendo Switchにはインターネットブラウザがないので「みんなスマホかPCでSNSをやっているよね?」という前提の仕様なんですね。


 これ、地味なようですけど……
 「PCに取って替わる存在になりたい」とか「スマホの進出を防ぎたい」みたいな意識だったらこういう仕様にはならなかったと思いますし、Nintendo SwitchがWiiや3DSと決定的にちがうところだと思うのです。

 ということで、今日は「ゲーム機」における「ゲーム以外の機能」についてのお話です。




◇ リビングに置いてもらえるゲーム機を目指して
 確かWii発売前後の2006年~2007年あたりだったと思うんですけど、任天堂の宮本茂さんが前世代機ゲームキューブ(2001年発売)の敗因の一つに「DVDが観られなかったこと」を挙げていて驚いたことがありました。
 私の周囲に「DVDが観られないからゲームキューブは買わない」なんて言っている人は一人もいませんでした。「PS2が勝った理由」にはなっても「ゲームキューブが負けた理由」にはならないだろうに、任天堂はそういう意識だったのかと驚いたのです。



 振り返ってみると、1993~1994年発売の3DO REAL、1994年発売のプレイディア、1996年発売のピピンアットマーク辺りの時期は「マルチメディア」という言葉がもてはやされていて、「ゲームが出来るだけに留まらないゲーム機」「ゲーム機を超えた機械」みたいなものが次々と現れました。
 ゲーム機として成功したプレイステーションやセガサターン(ともに1994年発売)にもCD再生機能がついていましたし、セガサターンは周辺機器があればフォトCDやビデオCDが再生できたんですよね確か(プレステでも非公式な機器を用いれば観られたはず)。

 検索したらTwitterで相互フォローをさせてもらっている大沢与一さんのブログで詳しい記事が出てきました!2015年にもなってセガサターンのフォトCDについて記事を書いている人がいるのか、と思ったら知っている人だった!

 【フォトCDオペレーター】フォトCDの儚い時代

 今にして思えば、初期のセガサターンは18禁のゲームなんかもありましたし、「色んなことが出来るゲーム機」という「マルチメディアプラットフォーム」の位置を最も確立していたのはセガサターンだったのかも知れません。電子ブックまで出していたのは私も知らんかった。

 セガサターンに続いてセガが1998年に発売したドリームキャストが、「デフォルトでインターネット接続機能を備えている」「メールやチャットも出来る」「末期には通信カラオケソフトも発売される」といったオーパーツ仕様だったのも、その流れから考えると分からなくはないですね。



 しかし、市場を制したのは2000年発売のプレイステーション2でした。
 インターネット接続機能は後回しで、PS2の売りは「DVDが観られる」というものでした。PS2の1年目はハッキリ言って話題になったゲームソフトは大してなかったのですが、DVDプレイヤーが10万円近くしていた当時に4万円前後でDVDも再生できるゲーム機が出てきたインパクトはトンデモありませんでした。当時「PS2最大のキラーソフトは『マトリックス』のDVD」なんて言われてましたもんね。

 3DO REALやら何やらが散っていった1990年代は「ゲームとマルチメディアの融合」みたいなワケの分からないフレーズは半笑いで語られていたのに、2000年代になってPS2が初めて「ゲーム以外の機能」で覇権を取ってしまったのです。言ってしまえば、史上最も成功したマルチメディアプラットフォーム機とも言えて、その意味ではPS2は3DO REALやセガサターンの後継機と言えなくもないのです!

 ナ ナンダッテー!!
 Ω ΩΩ

 続くソニー(SCE)のプレイステーション3は2006年に発売されて、今度はDVDだけでなくブルーレイディスクの再生にも対応していました。かくいう私も、『けいおん!』のブルーレイディスクを観るためと、その年のE3で発表された『人喰いの大鷲トリコ』が遊びたくて2009年にPS3を買いましたからね。
 あれ?おかしいな、それから8年も経つのにPS3用ソフトとして『人喰いの大鷲トリコ』が発売されていないぞ……どうした?新手のスタンド攻撃か?おかげで我が家のPS3はほぼ「ブルーレイディスクを再生する家電」として使われてきました。





 ゲームキューブが発売された2001年というのは、PS2の1年半後でした。
 前述したように「DVD目当てでPS2を買った人」がたくさんいた時期でしたから、「DVDが観られればゲームキューブも売れたかも知れない」と思ってしまうのかも知れませんが……2001年は、そうして「DVD目当てでPS2を買った人」という圧倒的な普及率を持ってPS2に『鬼武者』や『ファイナルファンタジーX』といったミリオンセラータイトルが出ていた時期です。この状況でゲームキューブにDVD再生機能があろうがなかろうが、既に時遅しだと私は思っていたんですが。

 任天堂はこの「DVDが再生できる機能」を重視していたのか、ゲームキューブから3ヶ月遅れで「DVDも再生できるゲームキューブ」であるQがパナソニックから発売されましたし(※1)。結局発売はされませんでしたが、Wiiにも「DVDが再生できるモデル」が発売される予定だと当初はアナウンスされていました。

(※1:価格は大体4万円だったけど、1年半早く発売したPS2は約3万円に値下げされていたので、その点でもQは不利でした。それはそうと、当時のGAME Watchのインプレッション記事を読むと「ゲームを遊んでいる時間が設定した分を超えるとブザーが鳴る」という機能があって、まさにNintendoSwitchのみまもりスイッチじゃねえか!と驚きました)



 ゲームキューブに続く任天堂の据置ゲーム機は2006年発売のWiiでしたが、このゲーム機は開発コンセプトからして「リビングに置いてもらえるゲーム機」「インターネットにつないでもらうゲーム機」を目指していました。DVD再生機能は結局つかなかったのですが、ゲームに興味がない家族にも触ってもらえるようにと任天堂のゲーム機の中では「ゲーム以外の機能」を数多く持っているゲーム機でした。
 本体に標準搭載されている機能が、他のWiiから送ってもらった写真やSDカードに入っている写真をみんなで見られる『写真チャンネル』ですからね。本体発売前から予告されていた無料配信ソフトが、世界中の天気を見ることが出来る『お天気チャンネル』、世界中のニュースを見ることが出来る『ニュースチャンネル』でしたからね。

 スマホやタブレット端末が普及した現在では「なんでそんなものをわざわざ任天堂が作ったんだ……?」と思われるかも知れませんが。当時インターネットにつながる端末と言えば、デスクトップ型パソコンは個人の部屋に置かれてリビングに置かれるケースは少なく、ノートパソコンや携帯電話は家族みんなでのぞき込むには画面が小さいという弱点がありました。
 そう考えるとWiiのそれらの機能は、リビングに置いてもらえる&インターネットにつながる端末として、それなりに理に適っていたんですよ。

 映像配信ソフト、出前が取れるソフト、カラオケができるソフト……任天堂が出したものもあればサードメーカーが出したものもありますが、ゲームにさほど興味がない家族にも受け入れられてもらうための「ゲーム以外の機能」が充実していて。「DVDが観られるから」とゲームにさほど興味がない人にも買われたPS2よりも更に、家電としての側面が強化されたように思えます。


 それにしても、写真が見られる、映像が見られる、電子ブックはちょっとしか出ませんでしたが……インターネットももちろん出来るし、カラオケソフトも発売された――――こう考えると、真の意味でセガサターンやドリームキャストの遺志を受け継いだマルチメディアプラットフォームはWiiだったのかも知れません!


 ナ ナンダッテー!!
 Ω ΩΩ




 しかし、そうして「家電のようなゲーム機」としてリビングに置かれることの多かったWiiは、家族みんなで遊べるゲームソフトは売れるのだけど一人用のゲームソフトが売れないという問題を抱えてしまいました。
 2012年に発売したWii Uはその反省から、リビングに置いてもらって家族がテレビを観ている時も「Wii Uゲームパッドでゲームが遊べるよ」とゲーマーにアピールするゲーム機になっていました。しかし、それでもリビングに置いてもらって家族で使ってもらうために「ゲーム以外の機能」も充実させるしかなく……2画面を用いたカラオケが本体に標準搭載されている上、本体発売と同時にYoutube・ニコニコ・Huluがダウンロード開始になるなど映像配信ソフトが充実していて、発売2ヶ月後にはWii Uゲームパッドを使った『Wii Street U powerd by Google』なんかも配信されていましたね。

 ゲーマー向けでありながら、ファミリー向けの路線も捨てきれなかった。
 スマホやタブレット端末とガチで戦いに行ってしまった。

 それなのに肝腎のゲームソフトが初期には全然出てこなくて、ゴールデンウィーク前には仕方なくカラオケのTVCMを流すような状況で。2010年代にもなって、「マルチメディアを謳っていろんなことが出来るよとアピールしたのはイイのだけど肝腎のゲームソフトが出なかった」とか言われてしまうとは……その意味ではWii Uは3DO REALやピピンアットマークの精神的後継機と言えるのかも知れないっ!!!


 ナ ナンダッテー!!
 Ω ΩΩ


 まぁ、Wii Uの資産があったから『ブレスオブ ザ ワイルド』も『マリオカート8DX』も『Splatoon2』も生まれたんで、Nintendo Switchの成功は8割くらいWii Uのおかげだと言っちゃってもイイと思いますし、Wii Uに存在価値がなかったとは決して思わないんですけど。




 こうして「ゲーム機」と「ゲーム以外の機能」の歴史を振り返ると、Nintendo Switch(2017年発売)の割り切り方ってすごいと思うんですよ。ゲームしか出来ない。ゲーム以外の機能がほとんどないんですもの。
 インターネットブラウザもなければ、見られる写真はスクショだけで、映像配信ソフトも最近ようやく『ニコニコ』が出たばかりです。プレイ履歴を見るのもスマホ経由ですし、マイクが付いていないのでボイスチャットもスマホ用アプリを使います。WiiやWii Uが標準的に備えていた機能がばっさりカットされているのです。

 それでも別に問題なく売れているという。
 Wiiの時代とちがって、現在はスマホやタブレット端末が大きく普及しましたから……わざわざゲーム機でインターネットを見なくてもイイやって考えてそうなったんじゃないかと思います。まぁ、映像配信ソフトは出てくれたらありがたいと正直思うんですけど(笑)、ゲーム機に求められているのはあくまで「面白いゲームが遊べること」なんだと、スマホやタブレット端末が普及したことで明確になったのかなと思います。



catalog1.jpg
 たまたま、Wii UとNintendo Switchそれぞれの本体発売直前に配布されていたパンフレットが家にありました。


catalog2.jpg
 Wii Uのパンフレットは、リビング(居間)に置かれて家族や親戚が一緒になって遊ぶ写真がデカデカと載っているのですが。


catalog3.jpg
catalog4.jpg
 Nintendo Switchは「TVモード」「テーブルモード」「携帯モード」と様々な場所・シチュエーションで遊べるゲーム機をウリにしていることもあってか、WiiやWii Uの頃に多かった「リビングで家族一緒に遊ぶ」写真がパンフレットにはほとんど載っていないんです。『マリオカート8DX』を遊んでいるであろう1枚くらい。

 家で一人で『ゼルダ』を遊んでいたり、飛行機の中で遊んでいたり、友達の家に持ち寄って遊んでいたり、旅館みたいなところで遊んでいたり、パーティ会場みたいなところで遊んでいたり……


 Nintendo Switchは真なる意味でテレビに縛られない据置ゲーム機になりましたから、リビングに縛られることもなくなって、ゲームにさほど興味がない家族に受け入れられてもらうための「ゲーム以外の機能」を入れる必要もなくなって、家電的な側面が完全になくなりました。


 フォトCDが見られたり、ビデオCDが見られたり、CDが聴けたり、インターネットが見られたり、カラオケが出来たり、DVDが見られたり、写真が見られたり、お天気を調べられたり、ニュースを見られたり、出前を取れたり、映像が見られたり、ストリートビューが見られたり―――思えばゲーム機も色んな道をたどってきましたが、行き着くところはここだったのです。

 家電になんかならなくて良い。ゲーム機はゲームが出来ればイイんだ。




◇ 多機能端末であろうとし続けてきた携帯ゲーム機
 もういいかげん長文にも程があるので、今日の記事はここで終わりにしたかったんですが……「携帯ゲーム機の話はしないのかよ!」というクレームも来そうなので軽く書きます。


 こないだバーチャルコンソールについての記事を書いて、改めて思ったんですけど……
 2005年~2007年辺りの大ブームの頃のニンテンドーDSって、今でいうスマホみたいな立ち位置の多機能端末だったんですよね。

 ゲームが出来るのと、『脳トレ』や『えいご漬け』のような勉強ゲームが出来るのはもちろんなのですが……2006年には『ニンテンドーDSブラウザー』を発売してインターネットが見られるようになったり、2007年には『ワンセグ受信アダプタ DSテレビ』を発売してテレビが見られるようになったり、辞書だったり、文庫本だったり、外国語会話のサポートだったり……ソフトを差し替えることで色んなことが出来る端末だったんです。



 これは別にニンテンドーDSだけが画期的だったということではなくて、先ほどまで敢えて書かないようにしてきたのですが実はファミリーコンピュータの頃からずっと任天堂はそうだったんですね。ソフトを差し替えたり、周辺機器を付けたりすれば、ベーシックも打てる、株式取引も出来る、光線銃も繋げられるし、ロボットも動かせる―――そういう“コンピュータ”だったんですね。
 『スーパーマリオブラザーズ』以前だと、父親にファミコン本体を買わせる殺し文句の一つに「麻雀もできるんだよ」というのがあったって話ですしね。ゲームに興味がない人にもDVDを見るためにPS2が買われたり、ゲームに興味がない家族を巻き込むためにWiiでお天気が見られたりするように、ゲームに興味がない父親に買ってもらうために『麻雀』がキラーコンテンツになっていたという。

 続くスーパーファミコンでも、『マリオペイント』でお絵描きしたり作曲したり、サテラビューで色んな番組が観られたり(そのハードルは恐ろしく高かったので自分含めて周りに持っていた友達は一人もいませんでしたが……)。
 NINTENDO64も、64DDは3DCGをイジッたり、パラパラ漫画を作ったり、作品をアップロード・ダウンロード出来たり―――こう見ると、ファミコン~64時代の任天堂の据置ゲーム機は「パソコンを買えない(パソコンが難しい)子ども」にパソコンみたいなことが出来る面白さを提供するという側面もあったんですね。んで、WiiやWii Uの時代になると、その対象が「子ども」ではなく「お母さん」とか「おじいちゃん・おばあちゃん」になるという。Wiiだけが突然変異でそうなったワケではないという。



 話を戻します。
 ということで、「マルチメディア」だなんだって騒がれる以前から、ゲーム機はずっと「ゲーム以外の機能」を(別売りではあるけど)提供していて、ゲーム機には「色んなことが出来る端末」という側面がファミコンの時代からあったんですね。

 先ほどの項では触れなかった携帯ゲーム機の「ゲーム以外の機能」ですが……
 1990年発売のセガのゲームギアには、TVチューナーパックというテレビが観られる周辺機器がありましたし(ということは、ニンテンドーDSは精神的にはゲームギアの後継機だと言えるのではないだろうか!ナ、ナンダッテー)。
 同じく1990年発売のNECのPCエンジンGTもTVチューナーが出ていました(ちょっと話がズレますがPCエンジンGTは据置ゲーム機PCエンジンのソフトがそのまま携帯機で遊べるというゲーム機で、これぞまさしくNintendo Switchの以下略)

 1989年発売のゲームボーイにはTVチューナーなどはありませんでしたが、1998年にポケットカメラを発売していますね。携帯電話に初めてカメラが付いたのが1999年らしいので、実は携帯ゲーム機の方が先にカメラ機能を備えていたのです!

 1999年発売のバンダイのワンダースワンは、企画に横井軍平さんが入っていたことの影響なのか―――ロボットの動きをプログラミングできる『ワンダーボーグ』、ワンダースワンのゲームが自作できる『ワンダーウィッチ』など、冗談抜きでファミコンの精神的後継機と言えるんじゃないのかワンダースワンと言いたくなるゲーム機でした。


 ニンテンドーDSと同期の2004年発売プレイステーション・ポータブルの「ゲーム以外の機能」と言えば、ユニバーサル・メディア・ディスク(UMD)の再生機能でした。DVD目当てでPS2が買われた成果に倣ってなのか、ゲームに留まらずにアニメや映画などの映像ソフトにもなるUMD規格を作ってそれを再生できるようにしたんですね。
 まぁ、UMD自体は失敗した規格となってしまいましたが、PSPはメディアプレイヤーとして活用されることもありましたし……発売された周辺機器を見るとGPSを付けてカーナビになったり、カメラを付けたり、ワンセグチューナーでTVが見られたり。DSとはちがった方向性の多機能端末になっていたんですね。



 DSやPSPの時代になるとゲーム機同士のシェア争いもありましたが、それ以上に「誰もが携帯電話を持っている時代」になっていて(スマホじゃなくてガラケーね)、そうした携帯電話でゲームも遊ぶことも出来たため「みんなが持っている携帯電話でゲームが遊べるんだから携帯ゲーム機なんて誰も買わなくなるのでは」みたいな声も大きかったのです。
 そのためDSやPSPはそれぞれ多機能端末化していって、「ゲーム以外の機能」によって常に持ち歩いてもらえるポジションを確保しようとしたのでしょう。実際、DSやPSPの時代は「ゲーム機なんてもう要らないよね」とは言わせず、「色んなことができるゲーム機」のポジションを確立させていたと思います。



 が、黒船がやってきます。
 2007年アメリカでiPhoneが発売され、2008年に日本に上陸。
 ライバルとなるAndroid OSが搭載された機種は2008年にアメリカで発売され、2009年には日本でも発売されます。一気にスマートフォンの時代の幕開けです。

 2005年~2007年辺りに大ブームを起こして圧倒的な普及率を誇っていたニンテンドーDSですが、2008年にバージョンアップ版とも言えるニンテンドーDSiを投入します。このDSiはカメラ機能やサウンド再生機能を持っているだけでなく、インターネットブラウザも無料配信され、当時Wiiでも行われていた「ソフトのダウンロード販売」機能を採用しているのが特徴です。
 その「ソフトのダウンロード販売」機能ではもちろんゲームソフトも販売されましたが、「時計」とか「電卓」とか「路線図」「クロスワードパズル」「るるぶ」「メトロノーム」「楽器チューナー」「めざまし時計」といった実用アプリも多数販売されました。パッケージソフトしか売っていなかった旧DSではどうしてもソフトが数千円する規模のものしか出せませんでしたが、ダウンロードソフトも売れるようになったDSiでは数百円の実用アプリをたくさん投入して「ゲーム以外の機能」を更に充実させたんですね。

 それは、恐らく「多機能端末」としてのポジションをスマートフォンから死守するため。


 ニンテンドーDSの後継機ニンテンドー3DS(2011年発売)は、DSiのこの路線を更に推し進め、カメラ機能・サウンド機能・インターネットブラウザ機能はもちろん標準搭載、3D映像が配信される無料アプリや、フレンドと交換日記ができるソフトなども配信されました。
 「ゲーム以外の機能」を充実させてガチでスマホと殴り合う気満々マンみたいな機種になっていて、実際スマホをまだ買ってもらえない年頃の子どもなんかはスマホ代わりに3DSで写真を撮ったり、ニコニコ動画やYoutubeを観たり、『みんなのおしゃべりチャット』という無料チャットや無料通話ができるダウンロードソフトが密かにヒットしたりしていました。




 この流れを見ると、2017年発売のNintendo Switchの割り切り方はビックリします。
 カメラ機能はありません、マイクも付いていません、サウンド再生機能やインターネットブラウザなども少なくとも現在はありません、フレンドにメッセージを送るようなことも出来ませんし、実用アプリと言えるものは最近『ニコニコ』が配信されたくらいです。ほぼゲームしか出来ません。

 外に持ち歩いて、友達と一緒に「おすそ分けプレイ」をしてもらいたい……って発想なら、外に持ち歩きたくなるような様々な「ゲーム以外の機能」を付けてしまいそうなのですが、そういうものは一切ないのです。確かに、スマホが既に普及した前提でゲーム機を作るのなら、「そういうのはスマホでやればイイでしょ」と任せた方がイイってことなんだと思います。

 私としては、カメラ機能を活かしたゲーム―――『写真で格闘!フォトファイターX』みたいなゲームはもう出てこないのかなとちょっと寂しいんですけどね。まぁ、ゲーム機にカメラを付けると碌なことにならないと、3DSで痛い目を見たというのもあるのでしょうが……ごにょごにょごにょ。



 こう考えていくと、Nintendo Switchというゲーム機は、家電のようにリビングに置かれなくてはならない&携帯電話のように常に持ち歩いてもらわなければならないという呪縛で「ゲーム以外の機能」がどんどんどんどん追加されていったゲーム機の歴史の中で。
 「そういうのは全部スマホに任せちゃえばイイんだよ!」と、全部切り捨てて「ゲーム」にのみ特化したゲーム機になれた幸運な存在なのかなーと思いました。


 西武ライオンズのファンの人だけに分かりやすい例えをすると、長年レギュラーが固定できなかったショートのポジションに新人の源田壮亮が固定されたことで、内野手だった外崎修汰を外野手に転向させたらこっちも見事にハマってレギュラーに定着できたみたいな話です。源田壮亮がスマホで、外崎修汰がゲーム機ですね。とっても分かりやすい!


BBM2017/1st■レギュラーカード■105/源田 壮亮/西武≪ベースボールカード≫BBM2017/1st■レギュラーカード■105/源田 壮亮/西武≪ベースボールカード≫

ベースボールマガジン
売り上げランキング : 194524

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

2016カルビープロ野球カード第2弾■レギュラーカード■095/外崎修汰/西武2016カルビープロ野球カード第2弾■レギュラーカード■095/外崎修汰/西武

カルビー
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

| ゲーム雑記 | 17:51 | comments:9 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

実際PS4もマルチメディアな方向性の機能は残してますけど、PS3のときに比べるとかなり弱くなっていて、BDやCD,DVDの音質・画質のチューニングが結構適当だそうです
あと、発売前からのキャッチフレーズやPVなどもゲーム中心でやってましたね。逆にマルチメディアな方向性をアピールしたXbox Oneは出だしで失敗してしまいましたし

| ああああ | 2017/07/24 18:44 | URL |

>Wii Uのパンフレットは、リビング(居間)に置かれて家族や親戚が一緒になって遊ぶ写真

この写真のありえなさすごいなあw
いまどき正月だって家族親戚がこんなに集まるのは珍しいだろうし、仮に集まったとしてもそれこそ任天堂さんのもともとの商材である「トランプ」でも遊ぶのではなかろうか?

| ああああ | 2017/07/24 20:50 | URL |

家電に紛れることで買いやすくするという結構昔からあった流れが完全に変化を迎えたのが現在のゲーム機の状況なのかもしれませんね。
個人的にswitchの据え置き型携帯ゲーム機みたいな構造はテレビも一家に一台から一人一台を経て今や逆に持ってないって人もちょくちょく増えてるような時代というのも意識してる気がしています。

| Alt | 2017/07/24 22:18 | URL |

WiiやWii U、とくにWiiはいろんな機能がついてたせいか、メニュー画面の動作が重かったですよね。スイッチは、インターネットブラウザくらいはあってもいいとは思うのだけど、動作の軽さは機能面での割り切りのおかげだと思うんで、割り切ってくれて良かったです。

しかしこういう振りかえり記事を読むと、スマホの普及はゲーム機の30年以上の歴史の中でも、とてつもなく大きなインパクトを持った出来事だったんだなーと思います。任天堂がゲームにパワーを集中できるという意味ではよかったのかもしれません。実用系ソフトの開発のプロデュースに、任天堂の社員さんがそれなりの人数関わっていたでしょうからねー。そういえばQOL事業も音沙汰ないですね。。。

| ホロウダイン | 2017/07/25 00:10 | URL | ≫ EDIT

先日はスプラトゥーン2でのお手合わせありがとうございました!

ゲーム機が多機能化していってシンプルなゲーム機にまた戻っていく流れはある意味必然的なものか?そうなるかはこれから次第ですね。
私としてはゲーム機はゲームをするための機械であればいいんじゃないかなーと思います。一時期は多機能であることが売りになりましたが、パソコンやスマートフォンがこれだけ普及してくるとインターネットを見るのはそちらになりますし、逆に用途としてはゲーム機が中途半端になる気がします。
スイッチがこれだけウケたのは汎用機としてのゲーム機ではなく、単にゲームソフトを入れてプレイできるシンプルさがかえって受け入れられたかもしれませんね。

| 通りすがり | 2017/07/25 21:28 | URL | ≫ EDIT

>ああああさん(2017/07/24 18:44)

 あー、そうですね!
 PS3って「このCellってやつがあればいろんなことが出来るし、この値段でも安いくらいだ!」という多機能・高価格路線でしたが、PS4はゲームがメインで価格は抑えめで、発売前は「PS2やPS3に比べてなんか地味だなぁ……」と思っていたくらいでしたが。

 でも、そのバランスがとても良かったからこそPS4は成功したと今なら思いますねー。


>ああああさん(2017/07/24 20:50)
 いや、ウチはここまでの人数じゃないですけど、甥っ子が遊びにきた時は『ニンテンドーランド』の5人対戦をこんなカンジに遊んでいましたよ。

 こういうパンフレットは「こう遊んでほしい」みたいなコンセプトを伝える目的もあるんでしょうし、ウチはそれにハマったとも言えるんですが。それ以降『ニンテンドーランド』みたいなゲームが出なかったというのはアレですけども。



>Altさん
>個人的にswitchの据え置き型携帯ゲーム機みたいな構造はテレビも一家に一台から一人一台を経て今や逆に持ってないって人もちょくちょく増えてるような時代というのも意識してる気がしています。

 !!!!!
 そうか、これは盲点でした……テレビの普及台数と据置ゲーム機の変遷は面白そうな題材ですね。
 ちょうどこの記事を書く参考になるかと、Wii U発売直前の岩田さん・宮本さん・糸井さんの鼎談を読み返していたんですが、「一時期は一人一台テレビを持っている時代があったけど、地デジ化に伴ってテレビがまた一家に一台に減ってしまった」みたいな話題があったんですね。テレビの普及台数というのは、当然ゲーム会社も意識するものだろうと。



>ホロウダインさん
 QOL!
 すっかり忘れていました!!

 逆に考えると、NintendoSwitchがゲームのみに振り切った分、実用ソフトのノウハウはQOLなどに使われるような気がするというか……『Wii Fit』の新作は出ないんですか、と僕は言い続けているワケなんですが(笑)。

 ニンテンドークラシックミニが成功したのだから、あんな形でテレビに直接つなぐ何かとかありそうな気がしますねぇ。



>通りすがりさん
>先日はスプラトゥーン2でのお手合わせありがとうございました!

 なに!?どの人だろう……
 野良でたまたまマッチングしたということなのかな……


>スイッチがこれだけウケたのは汎用機としてのゲーム機ではなく、単にゲームソフトを入れてプレイできるシンプルさがかえって受け入れられたかもしれませんね。

 あー、そう言えば初期設定もシンプルですし、説明書もありませんでしたし。ロンチの『ゼルダ』や『1-2-Switch』はインターネット接続も要らないゲームでしたし、「すぐに遊べる」というのが良かったのかも知れませんね。

 それこそ発売日には、出先で予約していたのを受け取って会社の昼休みに起動してそのまま出張に持って行った――――なんて人もいましたから。

| やまなしレイ(管理人) | 2017/07/25 22:32 | URL | ≫ EDIT

前世代ではスマホににしどうやって勝つかを考えていたのにSwitchではスマホにゲーム体験を補助してもうと考え方を変えるとこんなに上手くいくとは

新人の源田がショートのレギュラーになることで長年外野手の空いていたポジションも埋まるのはもっと予想外です

| トト | 2017/07/26 01:24 | URL |

得意分野だけで勝負すればうちが負けるわけがない、という自信もありそうですね。
存分に競い合ってほしいものです。

| 児斗玉文章 | 2017/07/26 12:34 | URL |

>トトさん

 おお!ライオンズ仲間!(もしくはプロ野球仲間!)

 今日初めて『Splatoon2』のボイスチャットを試してみたんですが、マシンパワーをボイスチャットに使われないのでゲームの方に支障が出ないのが良かったですねー。これ、『スマブラ』とかでも出来ないかなぁ。


>児斗玉文章さん
 あ、そうか……
 多機能性をウリにしていくとOSの部分が重要になっていくから、Wiiの頃からXboxなんかと比較されて「OSがイマイチ」って言われていましたもんね。そりゃ、あっちはOSで天下獲ってた会社だっての。

 得意分野に集中するというのは確かに、ユーザーとしてもありがたいことになりそうです。

| やまなしレイ(管理人) | 2017/07/27 22:40 | URL | ≫ EDIT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://yamanashirei.blog86.fc2.com/tb.php/2303-bdcf481c

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT