やまなしなひび-Diary SIDE-

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悟飯やトランクスを「地球人」と見なさないヤムチャは差別主義者ではなかろうか

※ この記事は漫画版『ドラゴンボール』終盤までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。

 昨年のリオ五輪でのケンブリッジ飛鳥選手や、今年の世界陸上でのサニブラウン・アブデル・ハキーム選手が「日本代表」として世界の舞台で活躍していることに対して、「でも日本人とは思えない」といった発言をしている人を目にしました。

 ケンブリッジ飛鳥選手は、父親がジャマイカ人で母親が日本人で、生まれたのはジャマイカですが2歳の頃に大阪に移住して中学・高校・大学・社会人と日本で過ごした「日本育ち」で日本国籍の日本人です。
 サニブラウン・アブデル・ハキーム選手も、父親がガーナ人で母親が日本人で、福岡県出身で中学・高校は東京で過ごした「日本育ち」で日本国籍の日本人です。今年の秋から、大学はアメリカの大学に通いますが。


 日本人の母親の元に生まれ、日本で育ち、日本の国籍を持ち、日本語を喋り、日本代表として戦っている―――これ以上ないほど「日本人だとしか思えない」と私は思うんですけど、この件でちょっと思い出したことがありました。



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<画像は『ドラゴンボール』37巻439話「クリリンそしてピッコロの闘い」より引用>

 このシーンは、久々の天下一武道会に出場したクリリンに、父親の強さを知らない娘がそれを心配するのだけど、かつてクリリンとともに戦ったヤムチャが「おとうさんは世界でいちばん強いんだ!」と言うシーンです。
 父親が実は幾度も修羅場をこえてきた戦士だったと分かるところや、かつての戦友が自分のことを差し置いて「おとうさんは世界でいちばん強いんだ!」と言うところとか、ヤムチャって結構子どもの面倒見るの得意そうだなとか―――何気ないですが、私は結構このシーンが好きだったんですけど。

 「好き」だからこそ、ずっと気になっていたことがあるのです。
 それは「地球人の中ではクリリンが一番強い」の部分です。



 『ドラゴンボール』に出てくるキャラの強さ比較というのはファンの間でも熱く議論されるところで、このヤムチャの「地球人の中ではクリリンが一番強い」発言は、「ヤムチャは自分はクリリンに勝てないと思っているのか」「子どもの前だからクリリンを立てただけなのでは」「天津飯はクリリンより強そうだが」「アイツは実は地球人ではないのでは?目が三つあるし」といったカンジにあーでもないこーでもないと言われたところなんですけど……



 この時点での「強さ比較」をヤムチャが知る範囲での基準で考えてみると――――
 「悟空」は、まぁクリリンより強いですよね。しかし、彼はサイヤ人なので例外です。
 「ベジータ」も、クリリンより間違いなく強いです。彼もサイヤ人。
 「悟飯」はセル戦後に怠けていたとは言え、それでも強いです。彼は父親がサイヤ人で、母親が地球人。

 その次が「ピッコロ」かなと思いますが、彼はナメック星人。
 そのピッコロと互角の闘いをしたのが「人造人間17号」と、それよりかは劣ると言われていた「人造人間18号」……これにはいろいろと思うところがありますが、語るのは後にして、とりあえずヤムチャとしては「地球人ではない」と見なしたのでしょう。

 その次が「トランクス」と「悟天」辺りでしょうか。超サイヤ人になれる2人とクリリンとでは、クリリンには勝ち目がないかなと思います。この2人も悟飯同様に父親がサイヤ人で、母親が地球人です。

 その次が「クリリン」「天津飯」「ヤムチャ」辺りですかね。「餃子」は置いてきた。


 つまり「全体では9位」だけど、上位陣は「サイヤ人」とか「ナメック星人」とか「人造人間」とかばかりだから、それらを例外とすると「地球人の中では1位」になる――――というのがヤムチャ理論なのですが。私はこれがずっと引っかかっているのです。悟飯もトランクスも悟天も、どうして地球人とは見なされないのか?と。


 人種的な意味で言えば、半分は「地球人」じゃないですか。
 父親はサイヤ人だけど、母親は地球人なワケですし。

 国籍的な意味で言えば、(ドラゴンボールの世界での国籍がどんなものかは分かりませんが)恐らく「地球人」の国籍は持っていることと思われます。地球人の母親の元で生まれ、地球で育ち、地球の文化に浸り、地球の言語を喋り、地球の学校に通っていて、そして何よりも何度も地球のために戦ってきた―――それでもなお「地球人ではない」と言われるのはあんまりではないでしょうか!

 まぁ、それを言い出すと悟空やピッコロだって「地球で育って、地球の文化に浸って、地球の言語を喋って、地球のために何度も戦ってきた」ワケですし、地球人として認めてあげたい気もしますが。



 この発言をしたのが「ヤムチャ」だということに注目すると、ヤムチャには実はサイヤ人に対する強い嫌悪感があるのではないかと考える人もいるかも知れません。サイヤ人に1回殺されているワケですし、(自分に責があるとは言え)元カノをベジータに寝取られているワケですし、トランクスに対して「あんなヤツは地球人として認めない!」と思ってもおかしくありません。
 が、ベジータとブルマがくっつく前は、ヤムチャはなんだかんだベジータと仲良くバーベキューしていたなどそこそこ上手くやっていたワケですし。悟飯に対しては、父親も母親も子どもの頃から知っている仲で、それになんでか知らんけど自分に似ているワケで……「サイヤ人だけを特別に嫌悪する」という差別意識があったとは、私には思えません。




 どうも、ヤムチャは「父親も母親も地球人な、純血な地球人以外は地球人ではないな」と、それが差別という意識もなくそう思っていたんじゃないかと思うのです。

 というのも、この発言を深く考えてみると、子どもの母親である「人造人間18号」のことも暗に「地球人ではない」と受け取ることも出来る発言なんですよ。それをヤムチャは悪気もなく言っているのです。
 人造人間17号と18号は人間ベースの人造人間なので、元々は地球人のはずなんです。それがドクターゲロによって人造人間に改造されてしまっただけで、クリリンはそんな彼らを「ほとんど人間と変わらない」と助けようとしました。しかし、クリリンとは対照的に、ヤムチャは「いや、アイツは人造人間だ!」と脅えていたのです。

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<画像は『ドラゴンボール』35巻417話「大団円」より引用>

 そう考えると、ヤムチャは「サイヤ人」がどうこうというよりも、無意識に「地球人」と「地球人以外」を区別する思想を持っているんじゃないかと思うのです。子どもからすれば、「君のお父さんは世界一つよいんだぞ」と言われるよりも「君のお母さんは地球人ではないんだぞ」と言われる方がショックだと思うんですけどね。





 もちろん、人種によって「ちがうこともある」と認識すること自体は、差別ではないでしょう。

 ケンブリッジ選手やサニブラウン選手に「日本人とは思えない」と発言する人達も、恐らくは「日本人とは認めない!日本から出て行け!」と言いたいのではなく、「黒人の血が入っていなければやはり短距離走では勝てないのか」というようなことが言いたいのかと思います。
 陸上の短距離走というのは「黒人」が圧倒的に強くて、「日本人(に多い黄色人種)では敵わない」と言われていて、しかしそこに立ち向かってきた先人達がいて「日本人にだって夢の9秒台が出せるはず」という希望を抱いてきたのですから――――父親に「黒人」のルーツを持つケンブリッジ選手やサニブラウン選手が「日本人初の9秒台が出るか」と期待されていることに抵抗感があるってことなんでしょう。



 ヤムチャのあの発言も、「サイヤ人の血が入っていれば超サイヤ人になれるからそりゃ強いよな」「そんな中、サイヤ人でもないのに頑張っているクリリンは凄いよな」というような意図だったのだろうとは思います。

 しかし、ですよ。
 全ての「黒人」が9秒台で走れるワケではありませんし、全ての「サイヤ人」が超サイヤ人になれるワケでもありません。少なくとも「原作で描かれた範囲では」の話ですが、ラディッツやナッパよりも最終的なクリリンの方が強かったと思われます。

 特にラディッツに関しては「悟空の兄」というポジションにも関わらず、最終的なクリリンどころかヤムチャにも負けそうな扱いというのは……『ドラゴンボール』の世界では血統のみで強さが決まることはないと証明していると思うんですね。
 悟飯が強いのは、子どもの頃からピッコロのスパルタ特訓を受けた上に何度も死線を超えてきたからですし。トランクスに関しても、あっちの世界からやってきた方は悟飯というお手本が、こっちの世界の方はベジータというお手本が身近にいたからですし。プロ野球選手の子どもは物心つく前から野球に触れさせられるから野球が上手くなるみたいな話だと思うんですね。悟天のことは知らん。


 悟飯の子どものころの境遇を考えると、彼が強い理由を「サイヤ人の血が入っているから」とか「悟空の息子だから」みたいな一言で片付けるのは失礼だと思うんですね。彼が地球の命運を賭けてボロボロになりながらサイヤ人と戦っていた時も、地球のドラゴンボールを復活させるためにナメック星まで行って戦っていた時も、当のヤムチャはあっさり死んでたじゃないですか。彼の努力も知らずに!!

 ヤムチャ、別にそこまで深く考えていなかったとも思いますけど……(笑)。



 だから私、ケンブリッジ選手やサニブラウン選手が活躍できる理由を「ジャマイカ人の血が入っているから」とか「ガーナ人の血が入っているから」で片付けようとするのは失礼だと思うんです。それは本人に対しても失礼だし、「日本人初の9秒台」を目指している他の選手達にも失礼だと思うんです。

 それを「日本人とは思えない」みたいに言う人がいたのなら、これからは「オマエはヤムチャか!」って言えばイイと思います。「オマエはヤムチャか!」って言われたら、その人も反省して「ヤムチャのようになりたくないから考えを改めよう」と思うでしょうし。

 それはそれで酷いヤムチャ差別だ。


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| 漫画読み雑記 | 17:49 | comments:10 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

話が脱線しますがヤムチャ差別でいうと、未来トランクスの
「浮気がひどくてブルマにふられた」が言葉のまま信じられていることですね。

・未来トランクスが物心ついた時点でヤムチャやベジータは故人。
 ブルマから聞いた話の信憑性確認ができない。
・本編で浮気性な描写があるのはむしろブルマの方。
 (ヤムチャvsジャッキーでの発言、ブルー将軍初対面時の行動)
・ヤムチャの浮気描写は、西の都で女にもててブルマと喧嘩というところだが、
 ブルマ母による発言だけ。
・女性が大好きだけど苦手というジレンマがあり、
 ホストクラブ勤務も緊張してすぐクビ(作者によるヤムチャのその後の想像)

これらのことから、「死人に口なしで吹き込んだ元カレの悪口を
息子が信じて広めてしまった」説を推したい。

| ああああ | 2017/08/14 21:09 | URL |

人造人間に関しては、人造人間に殺されかけた経験の有るヤムチャと
無いクリリンの差ではないですかね。
ヤムチャもフリーザ襲来時に「俺たちを殺したベジータと何で同居できるの?」(意訳)と
仲間に言われているように、生命を脅かされれば警戒するもので、
トランクスからの情報で数年間待機した上、ヤジロベーに次いで人造人間の
犠牲者(仙豆なければ危なかったという意味では最初の犠牲者)にもなれば
ちょっとのことでは警戒は薄れないかと。
だからこそ、人造人間に警戒心が弱く「情」で停止コントローラーを
破壊したクリリンが戦犯扱いされるわけでして。

| ああああ | 2017/08/15 09:32 | URL |

転生したらヤムチャだった件

って漫画、読みました?

| ああああ | 2017/08/15 10:39 | URL |

能力の極端に違う種族が共存する世界だししゃあないですね。
「ファンタジー世界にはなんでオリンピックがないの?」「なくて当然だろ。水泳のメダルは人魚が独占。レスリングのメダルはトロルやオーガが独占で、人間が全くメダルに絡まないオリンピックをおまえ見たいんか?」
これがそのまんま地球人とサイヤ人の勝負に当てはまるわけです。

| 児斗玉文章 | 2017/08/15 12:41 | URL |

これは目から鱗の記事。自分がヤムチャ思想にどっぷり浸かっていたことに気付かされましたw

| ああああ | 2017/08/15 12:55 | URL |

肉体構造が全く違うのだから区別するのは当たり前じゃ?
ほかにもボクシングとか柔道は重量で階級分けされていて、軽量級で最強っていうのを重量級を差別しているとするのかとか。

| ああああ | 2017/08/15 21:04 | URL |

>ああああさん(2017/08/14 21:09)

 確かに、片方だけの証言を元に判断するのは危険ですね。

 ただ、ヤムチャはブルマと別れた後もフツーに彼女がいたみたいで神龍にネックレスを頼もうとしていたくらいですし、僕からすれば「ブルマと別れたからって、十分にリア充なんだからイイじゃん!」って思っちゃいますけど!

 ヤムチャを見下しているor同情している人の中の何%が、彼より充実した人生を送れているというのか!



>ああああさん(2017/08/15 09:32)
 仰られることも一理ありますけど、それこそが「差別」を生む源だと私は思っています。

 黒人の犯罪者を一人知っているだけで、すべての黒人が犯罪者だと思ってしまう―――
 人造人間の一人に殺されかけただけで、すべての人造人間が危険だと思ってしまう―――


 どちらも「差別」だと思いますし、ましてやそれをその子どもに言うものではないと思います。



>ああああさん(2017/08/15 10:39)
 もちろん読んでいますし、コミックスも買う予定ですよ。



>児斗玉文章さん
 いや、当てはまらないですよ。

 「ファンタジー世界にはオリンピックがない」と仰いますけど、『ドラゴンボール』の世界には天下一武道会があって、宇宙人だってサイボーグだって恐竜みたいなヤツだって出られたじゃないですか。

 「ギランに羽が生えているから卑怯だ、出場停止!」みたいにはしないのが『ドラゴンボール』の世界ですよ。あの世界では恐らく人魚もトロルもオーガも普通に競技に参加できると思いますよ。



>ああああさん(2017/08/15 12:55)
 ヤムチャというのは「誰もがそうなってしまっていたかも知れない」と反面教師にできる存在なのかもなと最近思いつつあります。



>ああああさん(2017/08/15 21:04)
>肉体構造が全く違うのだから区別するのは当たり前じゃ?

 「モンゴロイドと黒人のハーフ」と「モンゴロイド」で、“全くちがう”と断言できるほど肉体構造は変わるんですか?そして、それが絶対的に競技の優位性を決めるものなんですか?

 かつては「実は黒人の次に短距離走に向いているのはモンゴロイドではないか」と言われていた時期があって(10秒00という記録を持っていたのは日本人でした)、現在では既に9秒台を出しているモンゴロイド(中国人)がいる現状――――「モンゴロイドと黒人のハーフ」と「モンゴロイド」の間にそれだけの差があるとは思えませんけど。

| やまなしレイ(管理人) | 2017/08/15 22:48 | URL | ≫ EDIT

超サイヤ人っていう「明らかに地球人とは違う」形態が存在しますからムリもない話な気もしますね
黒人とモンゴロイドなんて差とは明らかに違う明確な違いが存在しますし

| ああああ | 2017/08/16 07:40 | URL |

ドラゴンボールは毛ほどしか知らないのですが、差別って本当に無意識のうちにポロっと出てきますからね。
サイヤ人やナメック星人などをルーツに持つ地球人が当たり前になる世界で、ヤムチャのような人たちは固まって過ごしながら純血のホモ・サピエンスコミュニティを作りあげていくんじゃないでしょうかね…

善良な人でも、差別することがある。
理解や所属の外にあること対し、人間って驚くほど冷淡。

| まるー | 2017/08/17 12:07 | URL | ≫ EDIT

>ああああさん(2017/08/16 07:40)

 まさにヤムチャもそう思っての発言でしょうね。


>まるーさん
 この記事を書いている自分だって、無意識にそういう発言をしちゃっている時もあるかも知れない―――と戒めるためにも、ヤムチャみたいなキャラは大事なのかもって思います。

| やまなしレイ(管理人) | 2017/08/17 21:34 | URL | ≫ EDIT















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