やまなしなひび-Diary SIDE-

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何故、人は「無課金」アピールをしてしまうのか

 Twitterを眺めていたら、全然ちがう分野の人が同時多発的に3人この話題をしていたので……ちょっと自分の考えをまとめておこうかなと思いました。

 1人目は、サービス終了してしまう基本無料のソーシャルゲームに対して「終わってしまうなんて悲しい!私は無課金でずっと遊んでたのに!」と言っている人がいて、それを見て「オマエが課金しないから終わるんじゃねえのか」と思ったという人。
 2人目は、1年前に社会現象になって現在も大人気の基本無料な位置ゲーのコミュニティで「無課金でガンバって遊んでいる」と言っている人がいて、それを見て「そこはアピールするとこなのか」とツッコんでいた人。
 3人目は、私も一時期熱心に遊んでいた基本無料のソーシャルリズムゲームについて、結構有名なファンというか百合カップリングについて熱く語ることが人気の人が「一度も課金したことがない」「課金しない道を貫きたい」と言っているのを見て、「オマエそんなにそのゲームのこと大好きなのに課金しないのかよ!」と思った私。


 要は、「無課金アピールしている人」に対して「それって胸を張って言うことなの!?と驚く人」という事例が3件続いたんですね。


 誤解しないで欲しいのは「無課金で遊ぶことは悪いことだ」と言いたいワケではないんですよ。基本無料のゲームは、「無料」という撒き餌でたくさんの人を集めるビジネスモデルなんですから、「基本無料のゲームを無料で遊ぶなんてけしからん!」って言うのは試食コーナーで食べて買わないなんてけしからんって言うようなものだと思うんですよ。食べた結果、買わないという選択肢を取ることに何の問題もないでしょう。



 今日の記事の焦点は、「何故、無課金であることをわざわざアピールしてくるのか」というところです。
 基本無料のゲームはプレイヤー側に「課金する人」がいるからこそ成り立つビジネスです。プレイヤー側に「無課金な人」しかいなくなったら、それこそサービス終了するしかなくなります。

 「お金がないんで……大好きなゲームですけど、課金することが出来ないんです……ゲーム会社さんには申し訳ないんですけど、だからずっと無課金で遊んでいるんです……」という人だったら、別にそれ黙っておけばイイと思うんですね。でも、世の中にはそれがとても誇らしいことだと思って「私、課金しないで遊んでいるですよ!!」と高らかに言っている人がたくさんいるんですね。


 ゲームに「お金を払うこと」は恥ずかしいことなんかじゃない

 これは昨年1月に書いた記事だそうです。
 この記事を書いた時「そんな当たり前なことわざわざ書かれても……」みたいに言われたのですが、こんな記事を書いたのは、「課金するだなんて恥ずかしいことだ」と思っている人達がたくさんいたからで。そう言われてしまったのは、「ゲームにお金を払うことが当たり前な人」と「ゲームにお金を払うことが恥ずかしいことだと思っている人」の間には溝があって、互いにもう片方の人達のことを認識&理解できていないってことだと思うんですね。


 私は、実はちょっと「無課金アピールしている人」の気持ちも分からなくもないです。
 例えばこれが、「ゲーム」じゃなくて「他のこと」だったら私だって積極的にアピールしてるかなぁとも思うんですね。ということで、「無課金アピールしている人」側の気持ちを推測して書いていこうかなと思います。




1.節約は美徳、浪費は悪
 「ゲーム」からちょっと離れて考えてみてください。

 私達は、「節約」だとか「お得」だとかにすごく弱いですよね。
 例えば、スーパーのチラシを見て「今日は○○が安い!普段はこの倍の値段もするぞ」ということがあったら、安い時に買いたくなるでしょう。衣料品のバーゲンだとか、ドラッグストアのポイント○倍デーとか、キンドル本のセールとかに食いついて、私達はとにかく「1円でも安く済ませる」ことに情熱を注ぐじゃないですか。

 でも、安くなっているということは、どこかにシワ寄せが来ているとも言えて。
 高い時に買ってもらえた方が、お店としては利益になったりして、そうしてお店が儲かると仕入れに積極的になったり、設備投資をしたり、従業員を多く雇ったり、そこにまた雇用が生まれるから「お金を稼ぐ人」が増えて、その人がそのお金で商品を買うとお店としては利益になって、お店がまた仕入れを積極的にしたり――――こうやって経済が回っていくワケです。


 そんなことはみんな分かっています。
 それでも、「たくさんお金を使った方が経済が回るんだよ」と言われても、私達は「節約」だとか「お得」に弱くて「1円でも安く済ませる」ことに情熱を注いでしまうじゃないですか。

 自分の買ったものがその後にセールになったり、ポイントデーじゃない時に買い物をしちゃったりしたら、すごく損をした気分になるじゃないですか。“ムダ遣いをしてしまった”“なんてもったいないことをしてしまったんだ”と思うじゃないですか。本当は、その分お店のためになることをしているのに!



 ゲームで「無課金を貫く」って、これの究極だと思うんですよ。
 「1円でも安く済ませる」どころか「1円も払わない」究極の節約術です。むしろ、課金したい誘惑に勝って、無課金を守った私エライくらいのメンタルだと思うんですよ。だから、わざわざ「無課金でガンバっているんですよ!」とアピールしてしまうのです。


 ゲーム業界と節約術の話で言うと、「中古問題」というものもあります。
 ゲームを中古で買うと、そのお金は「ゲーム屋さん」にしか届かず「ゲーム会社さん」には届かないから、続編が作られなかったり「ゲーム会社さん」の経営が厳しくなったりすると言われていました。そのため、「ゲーム会社さん」も中古にゲームソフトを売られないように、やたらクリアに時間がかかったり、クリア後も遊べるように果てのないやりこみ要素を入れたりするゲームを作るようになっていったのですが。
 なので、10年くらい前は迂闊に「このゲーム、中古で買いました」なんて言おうものなら「オマエはゲーム業界の敵だ!」と炎上しかねなかったんですね。私なんて「決して中古にゲームを売ってはならないと決めたら、確実に面白いだろうと思える定番ゲームしか買えなくなった」と書いただけで大炎上しましたからね……

 「中古でゲームを売り買いする」というのも、節約術です。
 安くゲームを買う。遊び終わったゲームを売ってお金をもらう。

 それに対して「中古での売り買いはゲーム会社さんの利益にならないから、新品で買うことにしよう」というのは、“経済を回す”ために敢えて節約術は使わないようにしようという考え方です。


 「節約」か、「経済」か――――
 「安く済ませる中古で買う」か、「未来のために新品で買う」か――――
 「無課金を貫く」か、「課金していく」か―――


 そして、「節約している人」ってそれを誰かに言いたくなっちゃうんですよ。
 これはゲームじゃなくて「本」の話ですけど、作家さんや漫画家さんに「ブックオフで買いました!」とか「図書館で借りて読みました!」と言って凹ませる人が定期的に話題になりますが。あれって別に凹ませるために言っているワケじゃなくて、「貴方の本を読むために私はこんな節約術を工夫して読んだんですよ!褒めて褒めて!」ってことだと思うんですね。むしろ、「私苦労したんですからね!」くらいの気持ち。作家さんや漫画家さんからすると、「そんな苦労しなくてイイから数百円払って新品で買ってよ。」としか思えないのですが。

 かく言う私も、「中古でゲームを売り買いする」ことも「基本無料ゲームで無課金を貫く」こともしませんが、キンドル本やダウンロードソフトはセールで買うことが多くて、セールで買ったことは自慢したくなっちゃうところがありますからね。だから、ちょっと気持ちが分かるのです。本当はセール前に買えよって話なんですけどね。


 「無課金アピールをする人」の心理って、一つにはこういうことなのかなと思うのです。




2.「課金」をすると有利になるなら、それを使わない縛りプレイ
 んで、もう一つ。
 「ゲーマーの矜持」としての「無課金アピール」です。

 「ゲーマーならゲームにお金を払えよ」と言いたくなる人もいるかもですが、今日の話は「自分とはちがう価値観の人間が何を思っているのか」という話なので、自分の価値観がすべてではないと考えてみてください。


 これは基本無料のゲームに限ったことではありませんが、ゲームの途中にお金を払うタイプの課金は「ゲームを有利にする」ことが多いです。
 『パズドラ』タイプのゲームは、お金を払うことで「魔法石」的なアイテムをもらえて、これでプレミアムガチャが回せたり、メンバーの所持数を増やせたり、スタミナを回復したり、コンティニューが出来たり、このアイテム一つで色んなことが出来るようになるというものが多いです。
 んで、この「魔法石」的なアイテムは、無課金でも毎日コツコツと遊べばそこそこ集まるんですが、それでも足りない時に課金することでドカッと手に入るって仕組みなんですね。これが「期間限定プレミアムガチャ」と組み合わさって、このキャラを手に入れるためには今課金しなきゃ!と思わせるという。


 当然のことながら「課金勢」の方が「無課金勢」よりも有利です。
 でも、ゲーマーって必ずしも「有利」な方を選ばないじゃないですか。
 「イージーモード」「ノーマルモード」「ハードモード」という3つの難易度があります、どれを選びますか?って言われて、一番プレイヤーに有利なのは「イージーモード」ですよ。ゲームによっては、ボタン連打しているだけで誰にでもクリア出来ますみたいな難易度だったりします。でも、「イージーモード」なんか選んでられるかよおおおおお!と、敢えて「ノーマルモード」を選ぶのがゲーマーじゃないですか。

 これがまた、「1.」の項に書いた「節約術」と非常に相性がよろしい。
 敢えて「有利」じゃない方を選ぶ、その上「節約」にもなる、そういう苦労が楽しい、みたいな心理で「私は無課金を貫く!!」という美学が生まれると思うのです。


 昔この話をTwitterに書いた時、「ゲーマーだったら課金だろうが何だろうがありとあらゆる手を使って頂点を目指すんじゃないですか?」と言われたことがあります。確かにそう、真なるガチ勢はそうかも知れません。
 しかし、大人気ソーシャルゲームで「ランキング1位」みたいなものを目指すには、時間とお金と情熱が果てしなく必要です。幾らゲーマーだからと言って、みんながみんな激ムズ最高難易度の「ハードモード」に挑めるワケではありません。

 「ハードモード」のような修羅の道は進めない。
 「イージーモード」のような楽した道は進みたくない。

 「ノーマルモード」というのはその点、上手いバランスなんですね。
 「イージーモードは使わない」という自分にある程度の枷を付けて、そこそこの矜持を保ちつつ、そこそこの歯ごたえと難易度で、そこそこの達成感を得られる――――


 「無課金でガンバっているんですよ!」と無課金をアピールする人は、「課金すれば有利になる」のに敢えてそれをしないで苦労して遊んでいるほどこのゲームが好きなんですよと言っているんだと思います。課金もしないで遊んでいる私を褒めて!褒めて!なんですよ。


 価値観のちがう人は「ワケが分からない」と思われるかも知れませんが、ゲーマーの「縛りプレイ」なんて得てしてそういうものですよ。「なんでそんなことやろうとしたの?」と言いたくなることを、当人は「すごいことやってるんだよ!褒めて!褒めて!」って自慢してくるじゃないですか。

・「銃を使わないでナイフだけでクリアしたんだよ!褒めて!褒めて!」
→ 「はぁ」
・「敢えてレベルを上げないでレベル3でラスボス倒したよ褒めて!褒めて!」
→ 「はぁ」
・「Bダッシュしないでマリオをクリアしてみせるよ!褒めて!褒めて!」
→ 「はぁ」

 基本無料のゲームじゃなくても私も「課金した人が有利になるゲーム」は好きじゃないんで、縛りプレイとして「無課金を貫く人」の気持ちもよく分かるんですね。
 例えば、絶対にそういうことはしないと思いますが、『Splatoon2』に「課金した人だけが使える超強いブキ」みたいなのが出てきたとして、私はそのブキを使うかと言ったら使わないと思いますもの。私はあくまで大好きなプロモデラーMGで戦うんだ!!


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 「節約術」と「縛りプレイ」―――
 まぁ、言ってしまえば「節約術」も日々の「縛りプレイ」みたいなところがありますからね。自分に「○○は買わない」「安くなっている時だけ買ってイイ」と枷を付けるプレイですよ。


 そう考えると、この2つは非常に相性が良くて。
 「無課金アピール」というのは、この2つの欲求を満たし、とても自慢したくなるものなんだろうなと思うのです。こんなに苦労している私すごいでしょ!私、課金しないでここまでやったんだよ、すごいでしょ!



 じゃあ、「無課金アピールをする人」をどうすれば減らせるのか―――
 これは超簡単な話です。「基本無料」というビジネスモデルをやめればイイんですよ。

 「基本無料」という撒き餌で集まる人は、そりゃ「節約」志向の強い人達ですよ。だって「無料」だから集まってくる人達ですからね。最初に5000円払わないと遊べない買い切りのゲームとか、ゲーム専用機を買わないと遊べないゲーム機用のゲームとかなら、そもそも始める時点でお金が必要だから「無課金アピール」なんてしようもないのです。


 「基本無料」という「お得」感で集めた因果応報だと思うんですね。

 人間の価値観を逆転させて、「節約は悪だ!お金をたくさん使うことが美徳なんだ!」という世の中にすれば―――今度は「基本無料のゲーム」になんて誰も寄り付かなくなると思います。「基本無料のゲーム」と「無課金アピールするプレイヤー」は、表裏一体・一心同体・一蓮托生なんです。




 こんなことを書いている私も、「ニンテンドーeショップ ヒートアップセール!」が行われていて、セブンイレブンでニンテンドープリペイドカードを買うと最大1割のポイントがもらえるキャンペーンをしているそうなので、今からセブンイレブンに行ってこようと考えていますしね。「お得」って素敵!「節約」は美徳!

 なので、「無課金アピールをする人」のこともそんなに遠い人だとは思えないんです。
 自分もひょっとしたらそうなっていたかもなぁと思うのです。

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| ゲーム雑記 | 18:40 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

無課金でゲームをプレイすることの記事興味深かったです
私は基本的に無課金でスマホゲームをやっているんですが、無課金での縛りプレイとは別に
ゲーム自体は好きだがお金を出したいコンテンツがゲーム内にはない、というのが大きいですね
よくあるガチャシステムの、レアアイテムが出るか出ないかわからない課金のシステムはあまりにもギャンブル性が高くてせっかくお金を出しただけの対価が得られると思えないのでやる気が起きないのです…
お金を出したら追加シナリオが読める、新曲が遊べる、好きなキャラにこの服を着せられる、などの確実に手にできる良さなら喜んで買います

ゲーム上そういった買い切りのアイテムを与えるよりガチャを回させた方が費用対効果が高いので、買い切りアイテムはガチャよりも少ないのかもしれませんね

| ああああ | 2017/09/14 13:23 | URL |

>ああああさん

>ゲーム自体は好きだがお金を出したいコンテンツがゲーム内にはない

 なるほど、確かに。
 ちょっと前のアイテム課金と言えば「お金を出した人がそのまま有利になる」ものが多かったと思うのですが……それだとお金を出さない人にはどう足掻いても上を目指せない仕様だったので、ガチャのような形で「お金を出さない人も与えられたキャラで遊べばイイ」「欲しいキャラのためにはお金を出さなくてはならない」という形になっていったと思うんですね。

 逆に言うと、このガチャというビジネスモデルも「次」が発明されれば一気に廃れるかも知れませんね。


>お金を出したら追加シナリオが読める、新曲が遊べる、好きなキャラにこの服を着せられる、などの確実に手にできる良さなら喜んで買います

 実際、海外ではガチャは受けないみたいな話もありますね。
 『Miitomo』は「欲しい服を手に入れるためのミニゲームのチケット」が初期の課金要素だったんですけど、それだとガチャ以上に手に入るか分からんやんと僕は課金せず。その後に追加された課金要素であるポスター枠は、課金すれば確実にもらえたので真っ先に課金しました。

 「課金すれば確実にもらえる」安心感が今後はポイントになるのかも知れませんし、それを突き詰めると「買いきりのゲームが一番だな」となっちゃうのですが(笑)

| やまなしレイ(管理人) | 2017/09/15 00:53 | URL | ≫ EDIT

とても良い記事ですね!

無課金アピールにすこしイライラしてましたが、溜飲が下がった思いです

| あ | 2017/10/02 12:17 | URL |















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