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『タケシとヒロシ』紹介/ゲームが大好きな(大好きだった)人に送る珠玉の短編ゲーム

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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

【これさえ押さえておけば知ったかぶれる三つのポイント】
Apple Arcade出身ならではの「短くてもイイや」と割り切ったゲーム
ゲームが大好きな弟のために、お兄ちゃんがゲームになる!
ジャンルは逆タワーディフェンス? ゲームを作る人の苦労が分かるわ……


『タケシとヒロシ』
・発売:オインクゲームズ
公式サイト
 Apple Arcade版:2019年11月8日配信開始
 Nintendo Switch用ソフト:2020年8月26日発売
  ※ Nintendo Switch本体機能でのスクリーンショット撮影○、動画撮影○
・アドベンチャー+タワーディフェンス
・セーブ方法:チャプターごとにオートセーブ



 私が1周クリアにかかった時間は約02時間でした
 ※ネタバレ防止のため、読みたい人だけ反転させて読んでください

【苦手な人もいそうなNG項目の有無】
この記事に書いたNG項目があるかないかを、リスト化しています。ネタバレ防止のため、それぞれ気になるところを読みたい人だけ反転させて読んでください。
※ 記号は「◎」が一番「その要素がある」で、「○」「△」と続いて、「×」が「その要素はない」です。

・シリアス展開:△(病気の弟は出てくるけど明るい話)
・恥をかく&嘲笑シーン:×
・寝取られ:×
・極端な男性蔑視・女性蔑視:×
・動物が死ぬ:×
・人体欠損などのグロ描写:×
・人が食われるグロ描写:×
・グロ表現としての虫:×
・百合要素:×
・BL要素:×
・ラッキースケベ:×
・セックスシーン:×

↓1↓

◇ Apple Arcade出身ならではの「短くてもイイや」と割り切ったゲーム

 このゲームを開発したのはアナログゲームも作っている東京の会社:オインクゲームズです。デジタルゲームは主にiOS向けのスマホゲームを作っていて、いくつかはゲーム機用にも移植されていますね。


 そうした作品がAppleから受賞されたこともあったそうで、その縁なのかこのゲーム―――元々はAppleのサブスクリプションサービス「Apple Arcade」で独占配信されていたゲームなんですね。

 「Apple Arcade」にて新作ゲーム「タケシとヒロシ」本日リリース決定

 Apple Arcadeとは―――Appleが提供する「月額600円で指定のゲームが遊び放題になるサービス」です。GoogleのSTADIAとごっちゃになっている人もいるかもですが、あちらは買い切りのクラウドゲーム(日本では始まっていない)で、こちらは月額課金で遊び放題のダウンロードゲームと、方向性は正反対です。

 私は、ゲームはビジネスモデルに縛られているものだと思っています。アーケードゲームは連コインさせるために難しくされるし、ゲーム機用のゲームは中古に売られないように長くなるし、基本無料のスマホゲーだってずっと遊んでもらうために延々と終わらないゲームになるし。基本的には「難しくなる」か「長くなる」のがゲームの宿命だったんですね。

 「ダウンロード専売ゲーム」が出てきたことで、中古に売られることを怖がらないゲームが増えるかなと思いきや、あまりに短いゲームには「面白かったけどすぐにクリア出来たから返金してくれ」という声があがるなど、その宿命からは完全には逃れられませんでした。


 Apple Arcadeが始まった時に期待したのはここでした。
 月額課金で遊び放題のビジネスモデルならば、今までのビジネスモデルでは許されなかった新しいゲームがバシバシ出てくるのでは? と思ったんですね。

 例えばこのゲーム、一晩もあればクリア出来るボリュームしかありません。
 繰り返し遊べる要素もハイスコアを目指すことくらいで―――私は「短いゲーム」に不満を抱いたことがないのでこれくらいで大満足なんですが、900円払ってNintendo Switch版を買った人の中には「もう終わっちゃったの」と思ってしまう人もいるかもなぁと思います。

 でも、Apple Arcadeなら月額600円で遊べる100種類以上のゲームの中の一つなんですよ。
 一晩で終わることはマイナス要素ではなく、「じゃあ今日の夜はまた別のゲームを遊んでみようかな」と次の1本に進める―――『深世界』とか、『WHAT THE GOLF?』とか、Apple Arcadeで独占配信になっていたゲームがNintendo Switchなどで出ることが続いていて「Apple Arcadeって厳しいのかなー」と思っていたのですが。
 発想を裏返してみると、Apple Arcadeで遊び放題のゲームが他機種に移植されて名をあげると「Apple Arcadeならこれもこれもこれも600円で全部遊び放題なのかよ!」とお得感が出てきているんですよね。

 私はNintendo Switch版を買いましたが、環境のある人ならばApple Arcade版という選択肢も全然アリだと思います。


 また、こどもの頃は何十時間とゲームに夢中になれたけど、社会人になったらそんな時間がなくて最近はゲームを遊ばなくなっちゃったという人も多いと思います。先ほども書いたように、ゲームはそのビジネスモデル故に「難しい」か「長い」かになりがちですからね(その呪縛は基本無料のスマホゲーだって逃れられていない)
 でも、新しいビジネスモデルから生まれたこのゲームは一晩でサクッと終わるボリュームのゲームです。時間はさほどかかりませんし、社会人になって時間はないけどお金はあるって人なら、Apple Arcadeの月額600円はもちろん、Nintendo Switch版の買い切り900円も決して高くはないんじゃないかと思います。

↓2↓

◇ ゲームが大好きな弟のために、お兄ちゃんがゲームになる!
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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

 このゲームのストーリーは人形アニメで語られます。
 任天堂のIndie Worldのトピックスで撮影の様子が1枚だけ写真で載っていますが、関節が動く人形を使ってポーズと表情を変えながら1コマずつ撮影されたそうです。手描きアニメやCGアニメも大変だろうけど、人形アニメもこれはこれで作るのムチャクチャ大変そう!


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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

 主人公は、中学2年生のタケシと、小学2年生のヒロシの兄弟です。
 ゲームクリエイターになるのが夢のタケシは、いくつかの素材を作ってゲームっぽいものに仕上げていました。「ゲームっぽいもの」を「ゲーム」と言い張って弟に見せれば感動されるだろうと思ったら、弟のヒロシが遊んでみたいと言い出してしまいます。ゲームとしてはまだ完成していないのに……


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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

 そこでタケシが考えた手段が、「弟がプレイする様子を見ながら、適度にハラハラしつつ、でもちゃんとクリアできるようなバランスでモンスターを人力で送り込む」というものでした。ゲーム部分の詳しい説明は次の項で述べますが、「オートで突っ込んでくる弟の勇者」に対して「迎え撃つモンスターを選んで配置する」タワーディフェンスのようなゲームですね。
 ゲームを遊ぶ側とゲームを作る側、両方が笑顔にならなければならない―――この発想は、アナログゲームをたくさん作ってきた会社ならではじゃないかと思います。アナログゲームはプレイヤー全員がハラハラして笑顔になれるバランスを考えなくちゃいけませんからね。


 こうして「嘘で始まったゲーム」だけど、弟のヒロシにとっては病弱な自分に勇気を与えてくれるもので、兄のタケシにとっては「もの作りの楽しさ」と「思ったようにはいかないもどかしさ」とを同時に味わわせるもので―――ゲームプレイヤーとしての物語と、ゲームクリエイターとしての物語の両方が描かれるのがイイのです。

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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>



 そうそう、Apple Arcade版からNintendo Switch版に移植される際の追加要素で、更にApple Arcade版にも後からアプデで追加された要素に―――ライバルキャラ:ヨースケが作ったゲームを実際に遊ぶことが出来るというものがあります。

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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

 『500m ゾンビエスケープ!』――――
 これはこのメーカーがiOSやニンテンドー3DSで発売した『1000m ゾンビエスケープ!』の機能縮小版かなと思います。Aボタンをタイミングよく押していくことでキャラを歩かせて、なるべく長く進め!


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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

 私の最長記録は101mなので、別に500m歩けなくても話は進むし、500m行くとどうなるのか私は知りません。これを500m行ける人ってすごくない?


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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

 この『500m ゾンビエスケープ!』も含めて全てのチャプターがタイトル画面から選んで遊べるのだけど、このチャプター画面も可愛くて好き。ノートの上に、写真とかクリップとか載っていて、手描きの文字やイラストが散りばめられている―――それほど予算のないインディーゲームでも、こういうところをしっかりデザインしているとムチャクチャ印象良くなりますよね。


 ということで、キャラもストーリーもデザインも最高のゲームだったのですが―――
 唯一の不満点はエンディングです。

 そこまでの作り込みに比べて、「予算が尽きたの!?」と言いたくなるくらい簡素で、特にBGMが無音だったのは寂しかったです。バグか何かでBGMが再生されないだけか?と、もう一度エンディングを見たけどやっぱり無音でした。どうしてそんなことに。

↓3↓

◇ ジャンルは逆タワーディフェンス? ゲームを作る人の苦労が分かるわ……
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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

 ゲーム部分もしっかり出来ていて、ちゃんと面白かったです。
 公式サイトなんかでは「人形アニメとRPGの融合」みたいに書かれているのですが、「RPG」として楽しんでいるのは弟のヒロシの方で、プレイヤーの分身たるタケシにとってはどちらかというと「タワーディフェンス」に近いんじゃないかなぁと思います。

 向かってくる勇者に対して、モンスターを配置して迎え撃つ―――
 『勇者のくせになまいきだ』とか、『光と闇の姫君と世界征服の塔 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』みたいに、プレイヤーはモンスターを配置する側なんですね。


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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

 ただし、勇者をやっつけてはいけません。

 というか、勇者をやっつけるだけなら超簡単なゲームですからね。普通のタワーディフェンスにはある「コスト」みたいな概念がないので強力なモンスターをたくさん配置できてしまいます。

 でも、弟のヒロシは、まだ小学2年生です。
 ゲームオーバーになったら哀しんでしまいます。


 かと言って、手応えのないゲームだったらすぐに飽きてしまうのがこども。


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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

 なので、プレイヤーが目指すのは勇者の残りHPが少ない状態での、勇者側のギリギリの勝利です。例えば、スクショの場面だと残りHPは5です。

 ギリギリの展開になればなるほどヒロシのドキドキ度が上がり、勝利後にそれは「たのしさゲージ」に積みあがっていって、5ラウンドまで繰り返して「たのしさゲージ」が目標まで到達していればそのチャプターはクリアです。逆に5ラウンド終了時に「たのしさゲージ」が目標まで届いていないか、勇者のHPが0になってしまうとゲームオーバーです。
 Apple Arcade版の初期にはなかったそうなのですが、2ラウンドを超えると中間ポイントが出来るので、中間ポイントを活かしてギリギリを攻めるのが攻略のコツです。



 弟のヒロシが楽しめるギリギリの展開を目指すには、配置できるモンスターの強さと特性をしっかり把握しなければならないし、遊んでいるとゲームを作る側の視点になっていくんですね。私が今まで「難しすぎる! どうしてゲームを作る人はゲームをこんなイヤガラセみたいな難易度にするんだ!?」と文句を言ってきたゲームも、ヒロシがドキドキできるギリギリの展開を目指してそうしていたのかなぁ……とか考えたりして。

 いや、でも、あのゲームとかあのゲームとか、絶対に「プレイヤーが苦しんでいる様をほくそ笑む」ために難しくしていたぞ! おのれー! とか考えたりして(笑)。


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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

 全体的には「アクションゲームが苦手な人でも楽しめるゲーム」だと思うのですが、ゲームが進むと1ラウンドに1回だけ使える「絶対に回避が出来る」コマンドと、「絶対にクリティカルが出る」コマンドが出てきます。
 クリティカルの方はともかく、回避の方は敵の連続攻撃の中の「この一撃」を見極めてボタンを押さなくちゃいけないのでアクションゲームが苦手な人は苦戦するかも。例えばこの敵は「通常攻撃」と「特殊攻撃」の2パターンをランダムで行うってときに、「特殊攻撃」の時だけ回避したいことがあるんですね。「特殊攻撃」の方だと分かるテキストが出た瞬間に回避ボタンを押そうとして、間違えてクリティカルのボタンを押してゲームオーバーになってしまったことが何回あったことか……


 Apple Arcade版はタッチ操作のみでコントローラー操作に非対応だったらしいのですが、Nintendo Switch版はコントローラー操作はもちろん、タッチ操作だけでも遊べるようになっています。Nintendo Switch Liteで遊ぶ人もいるでしょうし、タッチ操作対応はありがたいですね。


◇ 結局、どういう人にオススメ?
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<画像はNintendo Switch版『タケシとヒロシ』より引用>

 数時間で終わる、短いけど面白いゲームを探している人にはもちろんオススメです!

 また、このゲームってストーリー部分もゲーム部分も、「ゲームってすごいんだ」「ゲームって面白いんだ」「ゲームを作るのってこんなに大変で、だからこそ楽しいんだ」とゲームの可能性を全肯定してくれています。今現在ゲームが大好きな人はもちろん、タケシくらいの年齢だった頃やヒロシくらいの年齢だった頃にゲームが大好きだった人にも、是非遊んでほしい1本です。



| ゲーム紹介 | 21:00 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

これは面白そう!
ニンテンドースイッチって、少ない金額だけどアイデア勝負な作品が多くて、でもニンテンドーeショップの仕様からすると注目されない不遇な作品も多い気がします。
この紹介記事で自分の好きそうな作品だと分かったので、買ってみようかな!
エンディングは…中身ですべて語ってるから、後書き程度のものです、みたいな感じなんですかね?(笑)
結論なし、余韻だけみたいな尻窄みな結末の映画・本もありますしね!
その辺も楽しみにしてみます。

| ああああ | 2020/08/30 06:51 | URL |

>ああああさん

 ダウンロードソフトの数が多いのは嬉しいことなんですけど、仰るとおり注目されない作品も多いですし、そもそもが「合う合わないが極端に分かれる」ゲームが多いのが難しいですよねー。

 世間でものすごく人気の作品が自分に合わないことも、全然評判の聞かない作品が自分にドンピシャなこともあって、自分に合う作品を探すのは至難ですし。

 その道しるべの一つになれればなって思います。

| やまなしレイ(管理人) | 2020/08/31 00:48 | URL | ≫ EDIT

作品の魅力が分かりやすいだけでなく、やまなしさんがこのゲームを楽しんだことが伝わってくる良いレビュー記事だと思いました!
遊んでみたくなったので買ってみます。

| ああああ | 2020/09/13 05:50 | URL |

このレビューを読んで買ってみたのですが、とても面白かったです!短い休みにサクッと遊べて満足感のあるゲームを探していたので、まさにビンゴでした!
いいレビューありがとうございました。

| 機序 | 2020/09/15 08:52 | URL |

>ああああさん

 そう言ってもらえて何よりです!
 「数時間でクリアできる」意外な恩恵は、レビューを書く側も熱が冷める前に記事が書けることだなーと思いました。


>機序さん
 このゲームがピタリとハマる人にしっかりと伝えることが出来たなら、こういう記事を書く冥利に尽きます。続けていて、良かった。

| やまなしレイ(管理人) | 2020/09/16 01:30 | URL | ≫ EDIT















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