やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

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白黒の世界に色を付けるアニメ化という意味

 今日は「PS3の『ブレイドストーム』は凄そうなので是非プレイしている画面を後ろから観てみたいんだけど、無双童貞の僕には「無双の凄ぇヤツ」くらいにしか思えないんだよなぁ」という話を書こうと思ったのですが、2行で終わってしまいました。コレ以上、『ブレイドストーム』の知識はありません。

 というワケで……ってことでもないのですが。
 いつも楽しく拝見させて頂いている『名探偵西園寺万五郎がアニメを斬る!』さんが興味深い記事を書かれていたのでご紹介。

 桂ヒナギクがピンク色の髪をしているのはなぜ?

 アニメキャラの髪色って変だよね系の話は、アニメファンやゲームファンには普遍的な話題ではあるのですが……着眼点・切り口・論理の広げ方がとても素晴らしいので、「ツンデレにツインテールが多い理由」と合わせて是非一読アレ。


 というワケで、今日も“他人のフンドシで相撲をとろう”という記事です。

 
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 ○ 漫画を読むには才能が必要?
 ちょっと話が飛んでしまいますが……
 先週の土曜日に浦沢直樹氏がラジオに出演した際に、『20世紀少年』の実写化というか漫画のメディアミックスについてこのようなことを語っていました(文章は意訳です)。

 「漫画は読み手によって間や演技や声を自由にイメージできるので、漫画を読むのが上手い人が読んだ漫画は、アニメや実写などの映像化された作品よりも面白くなるのは仕方がないことです」

 なるほど。
 僕は漫画原作のテレビアニメに対して頻繁に「原作の間を再現出来ていない」と評することが多かったのですが……それは、僕が漫画を読む際に“より感動的な”脳内演出を施して読んでいるからということなのか。
 もちろん“面白く漫画を読む”ことと“万人に受け入れられる演出をする”ことは別のことなので、僕に演出をやらせろとかそういうことではなくて。比較的、僕は漫画で感動する才能があるんだろうなーと思ったというだけの話。


 似たようなことは、数年前に小説原作のハリウッド映画が流行った時にも言われていました。「小説を読んでイメージした映像は、映画化された際の映像を遥かに凌駕する」と―――でも、それは小説を読む才能がある人の話なんですよね。才能というか、慣れというか、テクニックというか。

 漫画や小説だけでなく、ありとあらゆる娯楽は受け手によって物語が変わるものです。
 僕にとっての『メタルギア・ソリッド』のスネークは、敵の基地内にすら侵入できないヘボいヤツでしたし。僕にとっての『トワイライトプリンセス』のリンクは、やたら溶岩に飛び込んで「ウワー」と叫ぶヤツでした。

 “映画的”だと言われる昨今の和製RPGですら、クリアした人とクリアできなかった人では違う物語なのです。


 ここでヒナギクの髪色の話に戻します。
 アニメキャラの髪の色を脳内修正するというのは、恐らくはアニメを楽しむ才能の一つでもあるんでしょう。これも確か西園寺さんが以前に仰っていたことだと思うんですけど、「アニメを見慣れない頃はハルヒの眼の大きさにビビった」というのも似たような話かも知れませんね。

 ただ……『ハヤテのごとく』に関しては一つ疑問もあります。
 この作品は、漫画原作なんですよね。
 浦沢氏が仰る「漫画と映像作品の演出のズレ」と同様に、「漫画でトーン髪だったヒナギクがアニメだとピンク髪になっていた」ことに違和感を覚えた人も多かったんじゃないかというのが今日の話です。


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○ カリン様って何色の猫?
 原作漫画→アニメへのメディアミックスで、色の変化が気になった例と言えば―――古い話ですが、『ドラゴンボール』のカリン様が子どもながらに衝撃でした。

 当時僕は基本的にはアニメ派だったのですが、たまたまピッコロ大魔王戦直後の少年ジャンプを読む機会がありまして、巻頭カラーの『ドラゴンボール』に度肝を抜かれたのです。

 アニメでは白い猫だったカリン様が、漫画だと青い猫だ―――と。

 もちろん原作は漫画なので、鳥山先生が思い浮かべる“カリン様=青い猫”というのが正答なんでしょう。さっき急いで確認してみたところ、コミックス背表紙に描かれているカリン様はちゃんと青かったです。
 ただ…漫画は巻頭カラーやコミックスの表紙以外は白黒ですから、漫画内の白いカリン様を観れば“カリン様=白い猫”と思うのは自然なこと。鳥山先生はあまりスクリーントーンを使わないので、カリン様にトーンを貼ることもありませんでしたし。

 なので、巻頭カラーとコミックスの表紙以外……漫画もアニメも大半のシーンは“白い猫”だったカリン様は、“白い猫”というイメージが付いてしまったんでしょう。調べてみてないので記憶だけが頼りですが、ゲームだったりグッズだったりのカリン様は“白い猫”な気がします。


 『ドラゴンボール』の喩えは流石に古くて付いていけない人もいるでしょうから、もう一つ例を挙げます―――『幽遊白書』の話(笑)。
 アニメ版の蔵馬が赤い髪だったのに衝撃を受けた人も多いと聞きます。僕はアニメ慣れしていたので気にしてませんでしたけど、漫画では黒いベタ髪な蔵馬がアニメだと赤い髪というのは確かに違和感あるかもですね……ちなみに蔵馬の場合は、カリン様と違ってコミックスの表紙では黒系の髪の毛です。


 至極普通なことを言いますが、漫画とアニメは別のメディアです。
 色は付いていないし、動きもないし、声も出ない。別のメディアということは、“漫画用に最適化されたキャラクターデザイン”と“アニメ用に最適化されたキャラクターデザイン”もまた別なんですよね。 


 『ドラゴンボール』『幽遊白書』……と古い漫画の喩えが2つ続いてしまったので、もうちょっと新しい漫画の喩えを出そうと思います。次は『るろうに剣心』の話(笑)
 『るろうに剣心』の主人公、緋村剣心は作中で「赤い髪」「赤い着物」という特徴で語られていたと記憶しています(コミックス持っていないので記憶を頼りに書いていますが…)。当時の僕はそこに違和感があったんですよ。

 「髪も着物も赤くないじゃん」って。

 白黒の漫画なんだから当然ということでもなく、髪も着物も「赤」という言葉で表現されているのに、漫画内で髪は白(ベタもトーンもない状態)で着物は黒(ベタ)なんですもん。和月先生は、赤という色をどう表現するつもりなんだと思っていました。

 実際にコミックスの表紙とかを見てみると、一口に「赤」と言ってもこんな色からこんな色まであるから……ということで納得いったのですが。


 へっぽこながら漫画を書く立場になってみると……剣心のキャラデザインにも別な理由があったんだろうなと思うのです。
 一つには「主人公は目立たせろ」ということで、主要キャラの中で唯一“髪が白い”こと。赤い髪ならばトーン貼れよと思わなくもないですが、和月先生のようにキャラデザにトーンを使いたがらない漫画家さんも多いですしね。赤髪だからと言って、髪をベタで塗るワケにはいかなかったのでしょう。
 もう一つは「キャラのどこかにベタを入れておけ」ということ。そうしないと画面が白く見えて落ち着かないので、メインキャラにはベタを使えというのが漫画界のセオリーだったりします。他のキャラは髪がベタ(黒い)だけど、剣心は髪にベタを使わなかったので着物に使う必要があった……

 逆に言うと……『幽遊白書』のアニメ版蔵馬が赤髪だったのは、「色があるアニメで全員黒髪なのは地味に見えてしまう」という理由だったのかも知れませんね。


 そもそも、漫画家ってそこまで色を考えてデザインしていなかったりするんですよね。もちろん個人差はあるんでしょうけど。白黒のものを描いているんだから、そこに色の設定をイチイチ考えるだけ労力のムダというか……
 喩えば、「水色のスカートを履かせよう」と考えても、それがスクリーントーンの何番なのか自分でもよく分からなかったりするし(笑)

 これって何色?

 喩えば、この服って何色?
 描いている本人が分かっていないくらいですもの。


 『ハヤテのごとく!』の話に戻すと―――西園寺さんの記事を読んで一番驚いたのは、ヒナギクの髪の色は原作コミックス表紙の時点でピンク色だったということ。そう言えば、そうだった……ヒナギクが表紙に出てくる4巻の頃は、もちろんアニメ化なんて決まっていなかった頃。その時点でヒナギクはピンク髪だったのです。

 ということは、作者の畑先生は原作の漫画を描いている時点で「ヒナギクはピンク髪だ」と設定を決めていたということですよね。アニメ化でもされない限り、表紙以外ではピンク髪を描く機会などなかったというのに……(畑先生はサンデーの公式HPで毎週カラー絵とか描いてましたけど)

 これは畑先生がどちらかというとアニヲタ寄りな漫画家だからというか、キャラを作るイメージの段階でアニメチックな色付けがなされていたからなのかなぁと思ったり。また、『ハヤテのごとく』は漫画版の時点でアニメファンを中心とした支持を集めていましたし、その分ヒナギクがピンク髪のアニメ版に違和感覚えた人も少なかったというか……
 作者とファンとメディアミックスが見事にマッチした幸せな例なんでしょうね。うーん、羨ましい。


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 ちょっと……蛇足。
 上の方で「漫画家はカラーの設定を考える必要はない」みたいなことを書きましたけど、それって漫画がこれまで通り紙媒体で続いた場合の話なんですよね。
 喩えば、近い将来にWEBマガジンみたいな形での発表が主流になった場合―――スクリーントーンだとかツヤベタだとか、白黒の紙媒体で陰影を表すテクニックは廃れてしまい。全部の原稿をカラーで仕上げる必要が出てくるのかも知れません。

 そうした場合、これまでの漫画に使われた“白黒でのキャラクターデザインのノウハウ”ではなく、アニメやゲームのように“カラーでのキャラクターデザインのノウハウ”が重要になってくるのかも知れません。
 簡単に言ってしまえば、蔵馬は最初から赤い髪になるのだろうし、剣心が「赤い髪の男!」と呼ばれる通りに赤い髪になるのだろうし、カリン様を“白い猫”と思い込む人もいなくなるんでしょうね。

 何ていうか……それも寂しい話です。
 「現実ではありえないカラフルな髪のキャラデザ」も好きなんだけど、「現実にありえるレベルの髪色」の作品も好きな僕にとっては……白黒の媒体には今後も生き続けて欲しいなぁと思うのです。

| 漫画読み雑記 | 04:31 | comments:10 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ジャンプと赤い髪つながりでスラムダンクを思い出しました。
桜木の髪も湘北のユニフォームもあのトーンのおかげなのかカラーを見たからかどちらが先かは覚えてないですけども赤にしか見えなかったなあと。

蔵馬はアニメ慣れかはたまたバラのせいか赤い髪も違和感なかったですけど剣心の着物はいまだに黒(紺)が出てきてしまいますね。漫画の中では白と黒で設定は両方赤ってやっぱりかなり難しいですよ(笑)。

| ギグス | 2007/08/28 20:55 | URL |

>ギグスさん

 そうですね。
 僕も多分、桜木花道のトーン髪=赤い髪という認識があったせいで剣心の赤髪に違和感があったのだと思います。どちらが正しいということではなく、順番の問題で。

 あと……桜木の場合は作中でやたら「赤い髪だ」「赤い」「何だ、あの赤い髪は」とやたら言われていたので、あのトーンが赤い髪であると上手く刷り込めたのかもなぁと思ったり。藤真とか牧だってトーンの髪なんだけど、赤い髪には見えなかったし。


 剣心の場合、作中の描写もさることながら……コミックスの表紙(完全版ではなく初期のは)だと剣心の着物が赤かったり紺だったりするんですよね(笑)。僕はアニメ観てなかったんですけど、アニメだとどうだったんでしょう……紺の着物だと「あの赤い着物は!」みたいなセリフは出てこないと思うのだけど。

| やまなし | 2007/08/29 16:47 | URL | ≫ EDIT

空条承太郎って、カラーイラストでは髪・服が緑色の時が多かったけど、アニメやゲームでは青になってたな・・・

| k | 2007/08/29 21:05 | URL |

クレイモアのアニメは
主要キャラがほぼ金髪(黄色)なので見分けが付きにくいです。
設定上しょうがないことなんですが。

| ああああ | 2007/08/29 21:38 | URL |

ドラゴンボールで思い出すのはナッパ・ベジータのカラーリングですね。
連載漫画が巻頭カラーでサイヤ人の服を青・白基調で描いた途端
アニメ版の方もそれに準拠してカラーリングをあわせたという…
アニメ初登場時は全然違う色だったのに

| 111 | 2007/08/30 01:09 | URL | ≫ EDIT

>kさん
 た……たしかに、僕も承太郎を頭に思いうかべると青系の学ランをイメージするのですが、荒木先生のイラストを思い浮かべると緑のイメージに変わる気がします……どうしてだろう。僕はジョジョのアニメもゲームもほとんど経験ないのに。

>貴様に~さん
 白黒の漫画だとよくあることですが、アニメでもそういうことってあるんですね。漫画の設定をアニメでそのまんま描くと……ということでしょうか。かといって、原作の設定を変えて、「このキャラは青髪、このキャラはピンク髪」とするワケにもいかないでしょうし難しいですね(笑)

>111さん
 何と……その頃は毎週欠かさずアニメを観ていたはずなのに、その情報には気づきませんでした。最初は青ではなかったのか……
 当時「アニメが漫画に追いつくんじゃないか」と言われるほどストーリーが近づきすぎたからこそ起こった現象でしょうね。色とは関係ないですが、『ハンターハンター』のアニメで雑誌連載時の誤植をそのまんま受けてしまった(コミックスでは直っている、誤植だとストーリーの整合が取れない)という話を思い出しました。


 しかし……僕一人の記憶力で語るのではなく、こうして色んな人の話を聞くと「色んな事例があるんだなー」と思いますね。面白いです。

| やまなし | 2007/08/30 14:45 | URL | ≫ EDIT

アニメキャラの髪の色というと「ママレード・ボーイ」では、作者がそんな髪の色はありえないとか言ってたけど、アニメでは映える着色にしないとキャラが地味になってしまうからと制作サイドから説明されたとか、コミックス上で不満を漏らしていた記憶があります。

| f | 2007/08/30 23:02 | URL |

> f さん

 なるほど、面白い話ですねー。
 wikipediaで「ママレード・ボーイ」の項を調べてみましたが、作者のアニメへの不信感が強く出ていました(汗)。

 「スポンサーであるバンダイは登場人物にオリジナルの玩具を持たせるといった工夫でマーチャンダイジングを成功させた。」

 凄いな……どんなアニメになっていたのか観てみたい気もします。
 それでもアニメとして大成功を収めた作品なので(僕は観たことはないですが名前くらいは知っている)……髪の色やスポンサーなども含めてアニメ独自の表現に成功した分、原作者からは失望された例なのかも知れませんね。
 今の時代ならば、また違うアニメ化になったでしょうけど……

| やまなし | 2007/08/31 14:16 | URL | ≫ EDIT

連載漫画だとモノクロとフルカラー以外に2色カラーがあってさらにややこしい。
ドラゴンボールの亀仙流の道着がフルカラーだと山吹色で2色カラーだと赤かったりする。

| ああああ | 2015/08/16 12:04 | URL |

幽遊白書もママレードボーイと同じような考えで着色されてしまったのでしょうね。当時のアニメはみんな黒神に色がついてましたから。
黒髪キャラもアニメでは青や緑や茶色がかった髪にされていて、アニメでは黒色が使えないルールでもあるのかと友人間で噂になりました。
タルるートやGS美神などもそうでしたし、
セーラームーンの黒髪キャラも必ず色味のついた疑似黒髪でした。

今は魔法科高校の劣等生など、日本が舞台できちんとほぼ全員が黒髪になっているアニメもあるので
変な縛りなく原作通りにアニメにできる時代なのでしょうね

| ああああ | 2017/05/21 02:47 | URL |















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