やまなしなひび-Diary SIDE-

変わらない価値のあるもの

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ゲーム内のダウンロードコンテンツに想う

 Xbox360、PS3、Wii……現在でも家庭用ゲーム機のシェア争いは過酷なものを極め、その様子は時に「戦争」という言葉まで使われ、ファン同士は自分が買ったゲーム機が「負けハード」にならないように罵り合っています。こうしたことは、ゲーム機の歴史の中ではずっと続いてきたことでした。

 何故、ゲーム機にとってシェア争いが重要なのか?
 色んな理由が言えますが、最も根底にある問題が「ゲームソフトは売れるか売れないかの0or1のビジネスだから」ではないかと僕は考えています。
 「売れる/売れない」は「ヒットする/ヒットしない」という意味ではなく、「どんなにその商品を好きな人でもゲームソフトは1本しか買わない」し「半分だけ興味あるから半分買ってみようということが出来ない」という意味です。

 漫画だったら「1巻だけ買ってみよう」とか「雑誌で連載中のを読んでみよう」などの入り口から最終的に「全巻揃えよう」と繋がるし、映画の場合も速度と手軽さによって「映画館で観る」「DVDを買う」「DVDをレンタルする」「テレビで放送するのを待つ」などの選択肢があります。
 それらはユーザーにとっての入り口になりますし、作り手&売り手からすれば収入源なんですよね。



 ゲーム業界にはこうしたものがありませんでした。
 ソフトは「買う」か「買わない」かの二択………例外的に「中古などで安くなるのを待つ」とか「友達に借りる」などもあるのですけど、これらはメーカーの利益になりません。メーカーにとっての収入源は「ソフトを売ること」と、買ってくれたファンに「ファンアイテム(追加ディスクとかサントラCDとか)を売る」くらいしかなかったんですよね。

 あ……ハードメーカーは別ですね。
 任天堂の場合は任天堂ハードが売れると利益になるのはもちろん、任天堂ハード用のソフトが売れることでロイヤリティが発生したはず。理論上は、任天堂はもうDSのソフトを出さなくてもサードメーカーのソフトだけでガシガシ儲けられると言えるのです(そんなことやっていると、すぐにファンから見限られるでしょうが)。


 なので、サードメーカーは「なるべく分母が大きい方がイイだろう」と勝ちハードにソフトを集中させる傾向があって、ユーザー側にとっても持っているハードが勝ちハードになってくれた方がソフトが増えるので嬉しい……と。
 もちろん全ての事象には裏表がありますから、現在のDSのようにソフトがやたらめったら出てくるせいで1本1本の旨みがなくなることもありますし、シェアよりも客層の方を大事にして成功したソフトなどはセガのハードには多かったです。セガサターン歴代2位のソフトが『スパロボF』だったことを最近知って驚きました。



 しかし、2007年になってシェア争いの意味は大きく変わりました。
 今年を象徴する出来事……それは、Xbox360版『アイドルマスター』の大成功です。ゲーム業界にとっての2007年は、「『アイマス』が家庭用ゲーム機の構図を変えた年」と言っても過言ではないと思います。僕はやったことないけど。

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○ ダウンロードコンテンツはあり?なし?
 『アイドルマスター』は日本でしか発売されていません。
 日本でのXbox360のシェアは断トツの最下位で現在でも50万台前後だったはず。全てのXbox360ユーザーに売れても『アイマス』は50万本が限度ですし、もちろんそんなことは起こりえませんから、実際には5~10万本の間くらいだったはず。正確なデータは分かりませんが。

 スペックとか客層を無視すれば、国内2000万台売り上げているDSで出した場合の40分の1の市場ですよね。それでも『アイマス』はXbox360で発売され、コンテンツのダウンロード販売によって半年で1億円を売り上げたことが報じられました。
 それが良いことか悪いことかは置いといて……「ソフトを買う」か「ソフトを買わない」かの二択に、「ソフトを買った後にダウンロードコンテンツを買う」という仕組みを定着させ、最も成功して一市場にまで築き上げてしまったのが『アイマス』だったのだろうと思うのです。(もちろんダウンロード課金自体はもっと昔からありましたが、ここまでの市場規模ではなかったでしょう)

 『アイマス』の成功に乗っかったワケではないでしょうが、バンダイナムコのXbox360への注力は『トラスティベル』『塊魂』『エースコンバット』と続き、『スマッシュコート』や『ガンダム無双』などの“鞍替え”作品も増えてきました(ソレを言うと『トラスティベル』はPS3でも出るんですけどね)。


 『アイマス』のダウンロードコンテンツに対しては「あれはボッタクリだ!」という批判もあるでしょうし、2月に出る『Live for You!』の価格設定は強気だとは僕も思いますが……「ゲームは楽しんだものが勝ち」が信条の僕としては、買っている人が満足しているのならイイのでは?と考えています。
 買っている人達も何も考えずに買っているワケじゃないでしょうし、本当に必要ないものにはお金は払わないでしょうから、価格分の価値がないコンテンツは自然淘汰されていくと思いますしね。そこに対しての不満はありません。


 『アイマス』の成功は様々な条件が重なった上での例外的なものだと認識する必要はありますが、国内シェア最下位のゲーム機で売上げランキングの上位にもさほど顔を出さないソフトであってもビジネスになるということを証明したという意味で―――このソフトが果たした功績は無視できないと思うのです。




 ただ、ファンの熱狂的な空気というのは時として外部からは「入りがたい」要因にもなります。
 ここからは『アイマス』と関係ない話ね。1ヶ月くらい前に読んで印象的だった、『エースコンバット6』についての記事でした。

 うーん(『世界の果ての崖っぷちで』さん)

 これはやっぱり僕なんかの世代が古い人間なのかも知れなくて、PCでの無料ゲーム(+追加コンテンツが有料)とかでは普通に行われているからそうした層にとっては家庭用ゲーム機でも抵抗ないのかも知れないのですけど……
 やっぱりさー。発売日をワクテカして待って、お金貯めておいて、ようやく買って、ワーイ遊ぶぞとゲーム機に入れて、「更に○○円払うとコンテンツが追加されますよ」と発売日に言われるのは釈然としないんですよ。


 頭では分かるんですよ。ダウンロードコンテンツで稼ぐというのは(後でも述べるけど)メーカーにとってもユーザーにとっても悪いことではないし、それを売るにはパッケージソフトの発売日直後が一番の商機だとは分かるんですよ。
 でも、ワクテカして買ったパッケージソフトが発売日の時点で「あ……それ、全部のコンテンツが入ってませんからね。追加でお金払ってくださいね」と言われるのは、何つーかさ、青臭いこと言いますけどさ、娯楽として夢がないとは思わないかい?

 もうちょっと、ユーザーが喜んでお金を払えるような工夫をしてくれないかなーと思ってしまうのです。



 もちろん、僕がこう思う背景には“ゲームのダウンロードコンテンツを買ったことがない”というものがありますし、一度そうした経験をしてしまえば抵抗も薄れるんじゃないかとは思うんですが……
 僕のような人間が外から見た率直な気持ちを言ってしまうと、「やっぱりXbox360は取っつきにくそうだなー」と思えてしまうんですよ。みんなが楽しそうにしているのを横目で見ながら、あー俺はあの輪の中には入れそうにないなと思う感覚というか。


 でも、これを言い出すと……僕が楽しんでいる『DS文学全集』で、Wi-Fi通じて追加の本をダウンロードするシステムも同じようなものなんですよね。
 『DS文学全集』で本を追加するのにはお金はかかりませんが、別に任天堂がボランティアで提供しているワケではなくて、広告費などと同様にソフトの定価にキッチリ含まれていると考えられます。そう考えると、Wi-Fi環境のない人にとっては「オイオイ、未完成品を売り出しているのかよ」と不平等感が生まれてしまってもおかしくありません。

 実際、発売日には『蜘蛛の糸』『夢十夜』のような“最初から入っていておかしくない作品”がダウンロード配信されていて。僕なんかは「Wi-Fi環境がない人はこの作品が読めないんだな……」と考えてしまうのです。

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○ Wiiで「コンテンツをダウンロード販売」のある生活
 そう言えば……1年位前にPS3『グランツーリスモ』の新作が車1台いくら、コース1ついくらで売り出すことを発表して大騒ぎになったことがありました。結局のところ、物凄いブーイングの果てに無料体験版的なソフトに収まったのですけど。

 あの騒動で一番僕がカチンと来たのは、「今までの作品では手に入れるのに時間がかかった車も、(お金さえ払えば)すぐに入手できますよ」という公式サイトのコメントでした。何だろう、これまで時間をゲームに費やしてきた人間をバカにするような発言は、と。

 もちろんメーカーとしてもすぐに方向を改めたのだから、1年以上経っても叩いている僕も性格悪いと思うのですが……やっぱりダウンロードコンテンツは「オマケ」要素であって、それを使わなくても楽しめるということが大前提にして欲しいなぁと思います。



 無料でのダウンロード追加コンテンツはDSでも『DS文学全集』を始めとする多くの作品で行われていましたし、有料のダウンロードコンテンツはXbox360だけじゃなくPS3にもあるはず。孕ませゲーム『アガレスト戦記』も料金設定がいろいろ言われているみたいで…

 んで、来年の春にはWiiもWiiWareを開始するのですが、WiiWare開始と同時発売の『もじぴったんWii』は課金型ダウンロードコンテンツを予定しているとのことです。追加コンテンツのダウンロード販売はWii初になりそうですね。(ソフト自体のダウンロード販売はバーチャルコンソールでとっくに行われていますが)

 これだけ聞いた時は、「うわ……バンナム、Wiiでもやるのか」と若干退いたのですけど。
 よくよく読んでみると、追加課金をしなくても最初に収録されているステージ数は200以上らしいです。もちろん最初の価格と追加コンテンツの価格が発表されるまでは何とも言えませんが……DS版の420ステージに「途方もねー」と思った僕としては、基本は200ステージ収録で価格を抑え、追加は有料ダウンロードというのは悪くないんじゃないかと感じています。


 ちょっと古い話をしますと……
 92年にスーパーファミコンで発売された『ストリートファイターII』という格闘ゲームは一時代を築きまして、僕もそのソフトを遊ぶためにスーファミ本体を買ったほどハマったゲームなんですけど―――
 当時ゲームセンターで『ストIIダッシュ』『ストIIダッシュターボ』という新作が稼動していて、でもゲーセンでプレイしてカモられるのも怖かった僕は、家で無印『ストII』を黙々と遊んでいました。その時、「あぁ……この無印『ストII』で、『ダッシュ』や『ダッシュターボ』みたいに敵キャラの四天王が使えたり空中竜巻旋風脚が出来たりしないかなぁ」と思ったものです。

 もちろん、その後にスーファミでも『ストIIターボ』という新作が発売され、ゲーセンにもなかった高速モードを搭載して大ヒットになり、僕も無印『ストII』のことなどすっかり忘れて『ターボ』に夢中だったんですけど。


 実際、“同じようなゲームを2本買わせる”のはメーカーにとってもユーザーにとってもリスクがデカいんですよね。当時の『ストII』は超キラータイトルでしたから成功しましたけど、同じようなことを他のソフトが出来るワケではありません。
 「『ストII』あるから『ストIIターボ』いらなくね?」と思われたらメーカーとしては売れないソフトを市場に撒き散らせてしまうことになりますし、ユーザーからしても2本ソフトを買うのは痛い出費になってしまいます。

 もし、当時ダウンロードコンテンツなるものがあって、喩えば2000円出せば四天王をプレイキャラとして使えるようになるよと言われたら―――小学生当時の僕なら間違いなく買っていたでしょうね。それで、バルログは意外に使えねーなと思ったことでしょう(笑)。



 そう考えると……『もじぴったんWii』のような有料ダウンロードコンテンツの使い方は、メーカーとユーザー両方にとってありがたいものなんじゃないかと思うのです。ゲーム屋さんは、ダウンロード販売が主流になるのはイヤでしょうけどね。



 結局のところ使い方次第、印象次第ってことなのかなぁ……
 多分、僕らがゲームのパッケージソフトという“物体”に思い入れを持つギリギリの世代だからこそで。
 「電子ブックよりも紙の本が良いよね」と言っている人の割合が10年・20年後には逆転しているだろうってことと一緒で、こういう認識もいつか変わってしまうのかも知れませんね。音楽CDの価値なんか10年前とは全く違うものになっちゃったもんなぁ。


 うーむ。それでもやはり、発売日に買ったソフトが「不完全版」だと思わされるのは寂しいものがありますし。それを当然のことのようにメーカーが認識し始めたら、「何か……新作ソフトの発売日をワクワクしながら待つのって虚しいな」と離れていってしまうユーザーも多いと思います。

 そんな風に思うのは、やっぱり僕が古い人間だから?

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| ゲーム雑記 | 19:22 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

最初に制限つきの体験版を定価で販売し
追加要素入ってますという製品版を追加ディスクで出すような
コーエー商法と似てますね

| 通りすがり | 2007/11/21 07:55 | URL |

PS3のまいにちいっしょは本体無料、
メインコンテンツのトロステーションが無料配信で
アイテム課金なのですが
トロのコスプレはミニゲームが1こついてきて毎月2種類くらい発売
アイテム(食べ物、部屋飾り、ニャバター用アイテム)は
消費系が30円~100円、カスタマイズ用が100~500円くらいでした
(一個だけ妙に高い価格設定して送り手が反省してました)。

あと、トロステを見るとアイテムをもらえたり
ポイントが貯まってアイテムと交換できたりします。

買わなくても遊べて、買うとそれなりに楽しくて、
基本的に価格設定が駄菓子屋さん感覚なので月に数百円程度お布施してます。

「不完全版」とかいった議論とは全然別の事例ということで

| 通りすがり | 2007/11/21 08:46 | URL | ≫ EDIT

>通りすがりさん
 なるほど。『グランツーリスモ』のプロローグ版も同じようなものですかね。
 僕はPSユーザーだった時間が短いので『無双』も『グランツーリスモ』もほとんどやったことがないため、思いつきませんでした。非常に面白い視点ですね。

 結果だけで言えば『ストII』→『ストIIターボ』と同じようなものだと思うんですが、『ストII』の時代はアーケード作品を家庭用に移植させるのには限界があると思われていたので、『無双』のように「どうせ後から追加版出すんだろ?」という印象はありませんでした。
 この辺、ユーザーが学習してしまったということと、当時からカプコンは一つのブランドに頼らない豊富なソフトラインナップを持っていたからそうした印象を持たれなかったのかも知れませんね。

 『もじぴったんWii』は『無双』シリーズへのそうした批判から学んだ価格設定にして欲しいです。
 DS版が420ステージで3000円弱だったので、WiiWare版はスタートは200ステージで1500円+追加200ステージが1000円くらいだったら丁度イイかな。もちろんもっと安くても嬉しいですが。

>通りすがりさん
 トロステはアイテム課金だったのですか!
 実はトロステにはかなり興味があったのですけど、「無料サービスということはいつ終わっても仕方ないのかもなぁ」と思ってPS3への興味も失いつつあったので、アイテム課金でサービスが長く続きそうというのは僕の選択肢としてプラスになりそうです。

 PS3を買うかどうかはJリーグ版のウイイレがどこで出るかを見てからにする予定ですが、今回のトロステの話は僕としてはかなり重要な情報になりそうです。
 やっぱり「ユーザーが気持ちよくお金を払いたくなる」ソフトが理想ですよね。逆風が続いているSCE陣営ですけど、こういう話を聞くと「まだまだ捨てたもんじゃないな」と思います。

| やまなし(管理人) | 2007/11/21 20:42 | URL | ≫ EDIT















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