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やまなしなひび−Diary SIDE−
ロリ貧乳もいいが、貧乳お姉さんも捨てがたい
「縦書きの漫画を、横書きにする海外展開」の続き
 一昨日の記事「縦書きの漫画を、横書きにする海外展開」を書いたら、コメント欄にて「最近では海外展開した場合も左右反転しないケースが多いですよ」というツッコミをたくさん頂きました。

 な……なんだってー!!
 恥ずかしい……このブログは僕の生き恥を晒すブログなんで「やまなしはアホだ」と思ってもらうことは全然構わないのですが、あの記事を読んで勘違いをしてしまった人がいらしたら本当に申し訳ないです。
 謝罪をするとともに、指摘をして下さった大勢の方に感謝をしたいと思います。



 しかしまぁ、僕が「左右反転をさせない」ことを信じられないのもしょうがないというか……
 英語に限定した話として読んで欲しいのですが、英語を縦書きにすることは絶対にありえませんよね。いやまぁ、「絶対にない」かは知りませんけど、メジャーなことではありませんよね。

 となると……漫画のコマ自体は右上から左下に向かって読ませるのに、その中のセリフ部分だけは左上から右下に読ませるということですよね。それ、読むのが凄く大変じゃないですか?
 実際に絵があった方が分かりやすいと思うんで、2日前に載せたものに再登場してもらいましょう。


 『ちのしあ』7話1ページ目・読者の視線の動き
 これが日本で読めるフツーの漫画です。
 非常にナチュラルな視線誘導……と、僕が言うのもアレですが。



 『ちのしあ』7話1ページ・英語バージョン・読者の視線の動き
 これが“左右反転をした”英語バージョン。
 視線誘導が「上下」から「左右」に変わっていて演出が異なってしまうことや、デッサンの乱れがバレていることはありますが……これから見せるものに比べればまだマシというものです。



 では、“左右反転をさせず”にセリフのみを横書きにしたバージョンを見てみましょう。
 英語だと“僕が英語を読めないから”分かりにくいのかなと思ったので、今回は日本語の横書きにしてみました。擬音だけは直せなかったのですが勘弁して下さいな。
 ※ 右上のコマから左下のコマに向かって読んで下さい
 『ちのしあ』7話1ページ・横書きバージョン
 どのフキダシから読んで良いのか分かりませんね……
 描いた本人ですら、4コマ目は間違えると思いますよ。左上のコマから右下のコマに視線が流れてくる際に、ちょうどムトくんの「今日、入学式だからさー」のセリフの角度と合ってしまいますからね。(いやまぁ、元々このコマは「このフキダシ位置でイイのか」迷ったところではあるんですけどね)

 最近読んだ何かの漫画で、外国人のセリフは全て横書きになっているシーンがあったのですが(そしてその漫画が何かは覚えていないんですが)―――それは最初から“横書き”であることを考えた上での配置になっているのでしょうし、上のケースとはまた違うことだと思います。


 で、その“どれから読んで良いのか分からない”を克服して、完璧に右上から左下に読む技術を習得した人の視線はこういう流れになります。
 『ちのしあ』7話1ページ・横書きバージョン・読者の視線の動き
 3コマ目のカオスっぷりが凄ぇ(笑)。
 逆に最後のコマのように、フキダシが一つしかないコマはさほど違和感ないですね。日本のバトル漫画が海外で受けるのって、フキダシの中身よりも絵柄でドーンと見せることが出来るからかも知れませんね。逆に、会話劇を楽しむ作品はキツそう。

 『デスノート』が海外でも人気という話をどっかで聞いたことがあるんですが、アレは漫画ではなくアニメか映画の話だったのかな?あの漫画を左右アベコベ台詞で読むと、非常に疲れそう……



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 どっちにしろ、漫画家が考えた“演出”がどっかに行ってしまっているのは確か。
 セリフが横書きになっている時点で演出が台無しではあるんですが、左右の向きがあべこべになっていると更に台無しですね。
 大抵の漫画家は「少しでも読んでくれた人を楽しませよう」と試行錯誤していると思うんですけど、こういう形で演出が無視されてしまうのはショックじゃないんでしょうか(背に腹は替えられないことだとは言え)。


 漫画家が命を賭けている“演出”を無視してでも、左右反転をさせない理由は……まぁ“絵”を優先したということなんでしょうね。何度か書いているように、絵は左右反転されるとデッサンの崩れがバレてしまうことがあります。
 そりゃまぁ、プロの漫画家先生達なのだからデッサンが崩れることなんてそうそうないとは思うのですが、魅力を損なえる可能性があるのなら避けるべきだと。外国の漫画読者は(伝えることが出来ない)“演出”よりも、“絵”を観るのでしょうしね。



 それと後一つ……
 一昨日の記事のコメント欄にて、「左右を反転すると野球漫画の一塁と三塁が逆になる」という指摘がありました。目から鱗でした。バトル漫画で左右の手がどっちになろうが大した問題じゃないのかも知れませんが、スポーツ漫画に代表されるように左右の概念が大事な漫画は沢山あります。

・サッカー日本代表を描いた漫画の場合、中村俊輔が右利きで、残り全員左利きという事態に。
・柔道漫画は全て襟が右前になってしまいますし。
・料理漫画で膳の向きが逆だと、「常識力に欠ける」と『常識力テレビ』のCMで×をもらってしまう。

 碌な例が思いつきませんでした(笑)。
 ですが、左右を反転させることで世界が歪んでしまうことは確か。漫画家としてもそれは望んでいないだろうということで……“演出”を犠牲にしてでも、その他の全てを守ったということでしょう。



 ですが、こういう話を考えるたびに……アニメやゲームのような世界同時発信を目指した作品を、漫画で行うのは難しいのかなと思いますね。
 もしやるのだとしたら、「最初から横書きセリフ&左上から右下に読んでいく形態で描く」必要があると一昨日までは思っていたのですが……海外の漫画読者が右上から左下に読む形態に適合していっていると言うのだから、こちらもどうしていいのやら。


 いっそのこと、世界中の漫画スキーが日本語を覚えてくれれば理想なんですけどね。
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[記事URL]
この記事に対するコメント

結構有名な話ですが、「寄生獣」の英語版では、左右反転のために
「ミギー」が「ヒダリー(lefty)」になってるんですよね。
それどころか普通の登場人物の名前まで海外風に変えられたりしてました。
(「田村玲子」が「タマラ・ロックフォード」になってるとか何とか…。)
英訳版「寄生獣」が出たのはもう10年くらい前なんですが、
この10年でずいぶん漫画文化が世に浸透したんだなぁと、ちょっと感動。
世界中の漫画スキーが日本語を覚えてくれる日もそう遠く無いかもですね。

ところで、これは何も漫画に限ったことでは無いんですが、
日本語のタイトルも英訳するとだいぶ雰囲気が変わってしまいますね。(逆もまたしかりでしょうけど。)
上で挙げた「寄生獣」なんかも、英語版では「parasite」になってて味もそっけも無いです。
「ちのしあわせ家族」は英訳したらどうなるのか、ちょっと気になってしまいました(笑
【2008/05/29 22:52】 URL | ああああ #gIYQI5Sw [ 編集]

>ああああさん
 あぁ!確かにその話、聞いたことがあります!
 ミギーがヒダリーになっているのは可愛いと思うのですが、日本人の名前が変えられてしまうのは辛いですね。作者としても、一生懸命悩んで考えた結果その名前にしたのでしょうし。背景は日本のままなのに名前が外国風というのも謎ですし。
 これは漫画文化というよりは「海外の文化の取り入れ方」みたいな話で、グローバル化によって海外文化をなるべくそのまま取り入れる方向にシフトしていったということなのかも知れませんね……

 この辺りの「漫画の海外展開におけるローカライズの移り変わり」とかは、普通に論文にして発表しても面白そうですね(笑)

>「寄生獣」なんかも、英語版では「parasite」になってて
 ホントだ、なんだこりゃ(笑)。

 映画も昔は「日本語に直した独特のタイトル」になっていて、アレは味があって良かったんですが……最近のハリウッド映画なんかはそのまんまのタイトルでどれがどれだか分からないことがほとんどです。
 Xbox360の洋ゲーなんかもそのまんまの英語タイトルで区別つかないんで、「日本語に直して売ればイイのに」と僕なんかは常々思っていたんですが……

 僕らが『寄生獣』を『parasite』にされるとイヤなように、現地の人は「日本語になんか直さないでくれ!」と思うのかも知れませんね。


 逆に言うと……『NARUTO』みたいに意味も何もない主人公の名前のタイトルって、世界共通で『NARUTO』なんですよね。まさかそれを狙ってのことではないでしょうが、結果としては上手いなあと思いました。


>「ちのしあわせ家族」は英訳したらどうなるのか、ちょっと気になってしまいました(笑
 エキサイト翻訳さんに頼んだら『Happy family with blood』というタイトルにしてくれました(笑)。blood付くだけで、もうイメージが全然違う……
【2008/05/30 22:04】 URL | やまなし(管理人) #KBwqQFSI [ 編集]


ちょっと申し訳ないのですが、例に挙げてくださったページ、
自分の場合は縦書きのままでも3コマ目と4コマ目のフキダシを読む順番を間違えました。
もともと、画面やコマ全体を一気に受信しているので、視線は絵のあちこちにも飛びますし
ほとんど瞬時に「あ、文脈からするとこっちのフキダシが先か」と理解して
また視線が行きつ戻りつしている感じです。
書き文字でざわめきが表現されているような場合、絵の一部として面で読んでたりしませんか?
普通に読んでいても前のコマに戻って読み返すことも多いですし
気に入ったコマなんて舐めるように隅々までw
少女漫画など、読む順番が分からないという中高年男性は日本人でもいらっしゃるようです。

あと英単語などは、ネイティブの方はいちいちアルファベットを左から右へ視線でなぞったりせず
我々が漢字を読むように、単語ひとかたまりで意味と読みを認識するそうです。
長いセリフのフキダシは縦長になりますし、そうすると英訳は1単語か2単語で改行です。
意外に、視線はZ型にジグザグせず、太い↓型に移動しているかもしれません。
【2008/05/31 15:09】 URL | *** #- [ 編集]

>***さん
 うーん。そうですか、肝に銘じておきます。

 もちろんこの手の話は個人差があるので、何となくの「目安」でしかありませんね。
 浦沢先生が「漫画を読む才能」について語ったのを聴いてナルホドと思ったことがあるのですが……この辺の演出を上手く自分で調節して、(ひょっとしたら作者の想定以上に)“最高の間で漫画を読める”技術というものがあるそうです。メディアミックスされたものを見て「漫画の方が面白かった!」と思うのは、そういう人に多いとかうんたらかんだら。

 ……なんか、話がズレちゃったような気がする。


>我々が漢字を読むように、単語ひとかたまりで意味と読みを認識するそうです。
 この辺は突き詰めていくと、言語学とか認知学とかの領域なのかな。
 英単語の話は僕には分かりませんが、日本語の台詞でも「1行」の中身によって様々だったりしますね。

「田中
くん!」

 とまぁ、こんなカンジにフキダシ内で2行の場合でも「一単語」として認識されやすいものはジグザグしないとかなんとか。この辺は意識して出来るというよりは結果論になっちゃうんですけど、意識してやれば「ここは上手く“間”が合わないなー」というのも直せるのかも知れませんね。

 ただ……実際には「絵にかぶさるかどうか」の方が大切なので、“演出”とか“読みやすさ”を犠牲にすることの方が多いというのも現実だったり。“何か目を引く絵”がないと読んでもらいすらしませんから……あんまり考えすぎると鬱になりそうなんで、この辺で。
【2008/05/31 20:07】 URL | やまなし(管理人) #KBwqQFSI [ 編集]

海外に訳されたものの例
 なかなか興味深い記事なのでコメントさせていただきます。


 自分のブログで幾つか紹介してるのですが、アルファベット圏でも90年代中盤以降に発行されている日本産「MANGA」はそのままで出版される場合が多いようです。

ttp://d.hatena.ne.jp/soorce/archive?word=%2a%5b%b3%a4%b3%b0%cc%a1%b2%e8%5d



 これはイタリアで出版された「STEEL BALL RUN」の巻末に書かれていたものですが、こういう順番で読むものだよ、という解説がちゃんとついてました。
ttp://photozou.jp/photo/show/8814/2000168
ttp://photozou.jp/photo/show/8814/2000171
ttp://photozou.jp/photo/show/8814/2000175



 また、これは鋼の錬金術師の日本語版とフランス語版の比較ですが、もともとの状態でも縦書き・擬音・横書きが混在してるのがこんな感じで置き換えられています。
 ttp://photozou.jp/photo/show/8814/4636737
 ttp://photozou.jp/photo/show/8814/4636740


 ただ、フォントサイズと文字数の兼ね合いとかで、もとの迫力を伝え切れないようになってる場合も。
 ttp://photozou.jp/photo/show/8814/4636773
 ttp://photozou.jp/photo/show/8814/4636775
 こんな感じで、吹き出しにおさめるのはやはり形状と文字数的に苦労してそうですが。


 あと、視線誘導の話になると、日本語でも擬音では横に書かれてる(たとえばONE PIECEの「ド ン!」とか)んで、必ずしも文字を追って視線が動いてるとは思えないんですね。
 なのでそれはまた別の話になるんじゃないかと。(その全体が目に入った時点で認識は完了していて、いちいち読んでない?)


 あと、日本の漫画家が初めから逆開きで描いてる漫画はやまなしさんが例に挙げていたファミ通連載漫画の殆ど全て(現在なら「たかまれ!タカマル」とか「いい電子」)はたしかにそうですし、
 現在HXLで連載されている「火星のココロ」(http://comics.yahoo.co.jp/magazine/hxl/kaseinok01_0001.html)
なんかもともと逆ですね。

 まあ、海外漫画に関しては実物を見てみるのが一番早いと思いますよ。東京の丸善とかで結構売ってました。
 (ただ、かなり良いお値段になってましたが。1巻1500円くらいとか)

 すいません、URLが多すぎるとはじかれたんで一部h抜きです。
【2008/06/01 09:21】 URL | soorce #mQop/nM. [ 編集]

>soorceさん
 なるほど、コレは参考になりますね。
 『スティール・ボール・ラン』の見本ですと、僕が例に出したような「縦にならんだフキダシ」は相当グレーゾーンではあるんですが……元々、あれは“悪い例”だった気もしますしね(笑)。むしろ、これくらいシンプルなルールの中で描けという教訓なのかもと思いました。


>もともとの状態でも縦書き・擬音・横書きが混在してるのが
 こういうのを知ると、日本が如何に“漫画に向いた文化”の国だったのかと思いますね。
 和洋折衷ごちゃ混ぜなところとか、黒髪黄色人種が圧倒的に多いとことか。

 縦書きには縦書きの用途、横書きには横書きの用途があるので、片方しかない国だったら漫画の表現がここまで多様化しなかったかも知れませんね。


>日本語でも擬音では横に書かれてる
 擬音はケースバイケースかなぁ……
 「背景に溶け込まして迫力を増す」ケースや、「視線誘導を助ける」ケースや、「1コのフキダシと同じように扱う」ケースがあると思います。多分、描いている側の意識よりもずっと、読んでいる側はさほど目に留めていないんじゃないかと思う最近。

 あとはまぁ、2文字の擬音は1文字と同じニュアンスだったり(この辺表現が難しいですね……)、同じ音が繰り返されている場合は“かたまり”として捉えられるとか、ありそうです。ちょっと研究し始めるとキリがなさそうな……
【2008/06/01 20:44】 URL | やまなし(管理人) #KBwqQFSI [ 編集]


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