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「任天堂ハードは任天堂ソフトしか売れないから任天堂しか儲からない」←ん?

 久々に任天堂信者らしいエントリを書いてみます。




 「任天堂ハードは任天堂ソフトしか売れないから任天堂しか儲からない」
 日本のゲーム業界を語る際によく言われる言葉ですが、65%くらいは真実なのかも知れませんが100%の真実ではありませんよね。恐らく仰っている人達は「面倒臭いから」「書かなくても分かるだろうから」敢えて省略しているのでしょうが、読んでいる人の中にはご存じない人もいるでしょうし今日のエントリを書くことにしました。



 まず前提。
 多くの任天堂ソフトは、任天堂以外の会社と共同開発しているんですよ。

 パブリッシャーとデベロッパーの関係。
 もちろんソフトによってどの程度までパブリッシャーが関わるかは様々なんでしょうが、任天堂という会社の規模を考えればそれほど濃密には関われないソフトが多いと思います。インタビューを読むと「監修」くらいにしか任天堂が関わっていないソフトも多く、その分だけデベロッパーの取り分だって上がるはずで。

 「任天堂しか儲からない」という言葉を聞くと、「え?デベロッパーの存在は無視なの?」と言いたくなります。


 サードとしても有名なところで言うと、『マリオパーティ』はハドソンですし『眼力トレーニング』はバンダイナムコ。人気シリーズで言えば『カービィ』はHAL研で『ファイアーエムブレム』はインテリジェントシステムズ、『ポケモン』はゲームフリークです。『スマッシュブラザーズ』も権利はHAL研ですが、『スマブラX』はHAL研を退社した桜井さんのところに集まったチームでの開発でした。
 昨年末から異例のヒットをあげている『ガールズモード』は『家計ダイアリー』などを作ったシンソフィア開発ですし(企画もシンソフィニアから出てきた)、『脳トレ』『あたま塾』を除くDSのタチジェネソフトのほとんどは外部企業の開発となっています。

 2009年発売予定のWiiソフトを見ると、自社開発のソフトは『Wii Sports Resort』と『Punch-0ut!!』くらいしか発表されておらず、残りの全部は恐らく外部企業の開発ソフトです(NHKとの協業ソフトは自社開発かも…)。
 逆に言えば、自社開発のソフトはE3辺りでドカンと発表してこないと「任天堂は何も作っていないのか?」という話ではあるんですが……任天堂一社で業界を動かすことなど不可能なのも確かで、当然ながら任天堂は任天堂以外の企業と支え合うことでソフトを増やしているんですよね。

※ 2月4日訂正:コメント欄にて『Punch-0ut!!』はNext Level Gamesの開発だという指摘があり、調べてみたらその通りでした。訂正してお詫びします。


 言うまでもなく、これは任天堂に限った話ではありません。多くのパブリッシャーは自社開発のソフトだけでなく、デベロッパーと協力して作り上げたソフトを発売しています。ゲーム業界を語る上でデベロッパーを無視して論じることなんて豚肉を入れ忘れた豚汁のようなものです。




 確かに「だからこの状況が素晴らしい」ワケではありませんけれど(一強独裁時代になりそうなのは変わりないですし)、「任天堂しか儲からない」のと「任天堂と、任天堂と協業している企業しか儲からない」というのは全く別なことだと僕は思うのです。

 稀有なケースとは言え、『ドラゴンクエスト8』のデベロッパーだったレベルファイブが、その開発で得た資金を元に『レイトン教授』でパブリッシャーに参戦して大ヒットを飛ばすヒットメーカーになったこともありますし。
 任天堂ソフト好調の裏で、その好調を支えていて、その分の見返りも受けている企業もあるということは無視してはいけないと思うんですけどね。





 ここからが重要な話。
 こうした“外部企業との共同開発”はもちろん昔からあったことですけど、任天堂にとって重要になったのはNINTENDO64時代でしょう。
 あの時代のサードメーカーはこぞってプレステにソフトを投入していましたから、任天堂はサードメーカーに頼れず、かと言って自分達だけでは大量のソフトを用意することも出来ず―――他社との共同開発によってソフトラインナップを増やすしかありませんでした。

 先にも述べたハドソンの『マリオパーティ』、キャメロットの『マリオゴルフ』『マリオテニス』、HAL研(『スマブラ』『カービィ』)レア社(『ドンキー』『ゴールデンアイ』)などはもちろん。クエストの『オウガバトル64』や、チュンソフトの『シレン2』なども任天堂が発売していたワケですからね。今年続編が出るトレジャーの『罪と罰』もありました。


 そして、Wiiのソフト売上げランキングを見ていくと―――
 『Wii Sports』のようなタチジェネを除くと、大半が64時代に始まったシリーズソフトなんですよね。

 『マリオパーティ』『スマッシュブラザーズ』『どうぶつの森』は言うまでもなく、『マリオギャラクシー』や『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』は2D時代よりも3Dになった『マリオ64』『時のオカリナ』を元祖にしていますし、『ペーパーマリオ』も64の『マリオストーリー』が最初の作品です。

 考えてみれば当然な話で……2Dドット絵しか存在しなかったファミコンと、その進化系だったスーファミに比べて。プレステ・サターン・64時代というのは3D&ポリゴン(64の場合はアナログスティックも)によってゲームがリセットされた時代とも言えて、その延長線上にある現在において、多くのWiソフトの元祖は64にあるんですよね(ちなみにPS3のソフトも初代プレステから続いているシリーズが上位を占めています)。



 と、考えると。
 「Wiiのソフトは64の延長線上にある」のに「サードメーカーは64の時代にそっぽ向いていた」ワケで、「Wiiでサードメーカーのソフトが売れない」のって当然な話なんじゃないのかと思ったりもするのです。いやまぁ、済んだ話を掘り返しても仕方ないんですけどね……

 その話とはまた別の次元の話で、Wiiでは64、PS3では初代プレステ時代からの「10年戦士」なシリーズが上位を占めているのは大丈夫なのかという気がしますし。
 Wiiソフトの売上げ上位を任天堂ソフトが独占しているその中でも、実は自社開発のソフトが更に上位を占めている(しかもTOP4は全て情報開発本部の作品)ということも気になる点ではあるのですが……それはまた別の機会に考えようと思います。



 それほど熱心にゲームの情報を集めている人でなければデベロッパーのことになど注目しないのも当然だと思いますが、実際にゲームを触ってみると同じ任天堂ソフトであってもデベロッパーによって様々だということが分かりますし、デベロッパー無視ともとれる「任天堂しか儲からない」という言葉には疑問があるよなーと思ってこの記事を書きました。


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 蛇足。
 『どうぶつの森』の中には任天堂ソフト関連のアイテム(家具・服・帽子・アクセサリ)が多数登場しますが、あれは全て自社開発(自社に権利がある)ソフトのアイテムなんですよね。『どうぶつの森』の客層に合っていそうではあるものの、『カービィ』(権利はHAL研)とか『ポケモン』(権利はポケモン)のアイテムは登場させられないんですよね。登場させるためには、タイトル画面にクレジット出さなきゃいけませんし(笑)。

| ゲーム雑記 | 18:02 | comments:15 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ちょっと前まで思ってたこと
任天堂ハードで出るゲームは発売元が全部任天堂ならいいんじゃね?

今思ってること
任天堂はもっと身銭きってサードのゲームを宣伝してやるべきじゃね?

| t | 2009/01/28 09:02 | URL | ≫ EDIT

ソフトが売れれば開発が儲かっていると本気で思っているんでしょうか。
契約形態にももちろんよりますがソフト開発を外注などの自社以外で開発する場合、
基本的に契約金と開発費以外に開発会社に入るお金なんて一銭もありませんよ。
契約の一つとして売り上げの%利率を開発が受け取るなどしていた場合は別ですが。
開発が儲かっていないとはいいませんが、こんな契約できるのなんて極一部の大手以外は無理です。

| しがない企画屋 | 2009/01/28 13:47 | URL | ≫ EDIT

>tさん
>任天堂はもっと身銭きってサードのゲームを宣伝してやるべきじゃね?
 僕も基本的には同意見なんですけど(宣伝して“やる”というよりは宣伝“させてもらう”と思っています)、任天堂ソフトであっても『ディザスター』とか『ソーマブリンガー』のように「既存のキャラを使わない新機軸なゲームらしいゲーム」は宣伝してもさほど売れていませんし。

 任天堂がサードのソフトをどんなに宣伝しても「やらないよりはマシ」レベルの効果しか出ないのかなーと思います。任天堂ハードの客層とTVCMの相性は一部のソフトを除けばあまり良くないというか。もちろん『ファミリースキー』のようにTVCMとの相性が良さそうなソフトは別ですけど。


>しがない企画屋さん
 なるほど。
 「そんなこと記事に書いたか?」とは思いましたが、確かにソフトによって契約は様々でしょうね。デベロッパーによっては「安く仕上げる」ことに特化している会社もあるでしょうし、売上げという面だけで評価すべきではないでしょうね。

 ただ、そうは言ってもビジネスですから。
 パブリッシャーが「次も一緒に商品を作りたい」と思える商品を作れれば次に繋がりますし、“次”を契約してもらえることは、「ソフトが売れれば開発が儲かっている」と言い換えることも出来るとは思います。『ガールズモード』ヒットの裏には『家計ダイアリー』のヒットがあるんだろうよと言いたいのです。


 この記事で僕が疑問だと書いた「任天堂ハードは任天堂ソフトしか売れないから任天堂しか儲からない」という言葉が仮に真実だとしたら、デベロッパーは任天堂以外と仕事をすればイイだけですし、やっぱり「デベロッパーが無視されているよなー」という疑問は残ります。

 それとも日本のゲーム業界自体「デベロッパーは軽視されている」とか「デベロッパーに利益が回らない仕組みが出来ている」ということなのでしょうか?でしたら、詳しくお話を聞きたいですね。

| やまなし(管理人) | 2009/01/28 19:59 | URL | ≫ EDIT

いいこと思いついた
みんな任天堂の下請けになれば幸せになれるんだきっと

| ああああ | 2009/01/30 18:39 | URL | ≫ EDIT

>ああああさん

 僕はそこまでは思いませんけど(笑)。
 でもマジメな話、「好調な企業と組む」ことによって得られる資金やノウハウは無視できませんからね。デベロッパーにとってのメリットだけじゃなく、任天堂側にも「自社では作りきれない」ラインナップを揃えられるというメリットがあるワケですし。商品展開の一つの選択肢としては無視できないんじゃないかとは思います。

| やまなし(管理人) | 2009/01/30 19:30 | URL | ≫ EDIT

レベル5の話だと、自社レーベルのほうが同じ売り上げでも五倍くらい利益が出る、とか。
でも売れなくてもキチンと利益がでる、と言うメリットもありますね。

| nin | 2009/02/02 22:49 | URL |

ソフトが売れれば開発は儲かります。というよりお金が回るようになります。
資金集めということで考えれば「任天堂」と共同開発して、「ヒット作」を世に
出した開発元なら投資しても良いと思ってもらえるようにないでしょうか。
その信用を元に次の商売を繋げられれば、それこそレベルファイブのように
自分の会社が大きい利益の取れる商売をしていけるようになると思います。

こんなご時勢ですから、任天堂の「名前」を商売のネタに出来れば会社に
とっては大きなチャンスでしょうね

| ina | 2009/02/03 18:55 | URL |

>ninさん
 ソフトによってケースバイケースでしょうし、『レイトン教授』ほど効率の良いプロモーションが出来た例も珍しいのでしょうけど、それらを全部踏まえても「5倍」というのはインパクトのある数字ですね。

 逆に言うと、「確実に売れそうなソフトは自社レーベル」と「挑戦的なソフトは大手レーベルから出す」と使い分ければ良いということか??
 現実的には2つを使い分けている会社はそうそうないですけど、パブリッシャーとしての任天堂が「売れるソフトは自社開発」「挑戦的なソフトは外部開発」と使い分けていることの裏面な気もします。


>inaさん
 商業的にも評判的にも失敗した例を出すのもアレなんですけど、キャメロットが「みんなのゴルフ、マリオゴルフ64を開発したキャメロットが送る新しいゴルフゲーム!」と『WE LOVE GOLF』を出したみたいなことだってありましたもんね。出てきたソフトの評判はともかく。

 実状はどうだかは分からないんですけど、ハードメーカーなんかは特に「弾数」が重要なんだからデベロッパーとの関係を重視しているんじゃないかと思いますし、戦略上重要なデベロッパーにはより良い条件を出すもんじゃないかなぁと思いますよね。
 もちろん、「戦略上重要」というのは必ずしも「=売れるソフトを作る」ということではないんでしょうけどね。

| やまなし(管理人) | 2009/02/03 19:33 | URL | ≫ EDIT

売れているソフトについて

 映画なら作品が自分にとっておもしろいとなれば、その監督の新旧の作品まで興味が出ます。ゲームはそういう情報がわかりにくいとおもうんですが、どうでしょうか。
 「これは私の作品です」というクリエーターの情報が前面に出てればどんな条件(見た目や発売元や対応ハードそのたもろもろ)であれ、プレイしてみたいと自分は思います。
 誰が作ったかよくわからない状況でハズレを引きたくないという買う側の判断材料として選ばれるのが続編物・キャラクター物・任天堂ブランドということではないでしょうか。

 マンガも小説も音楽も作家で買っているので、ゲームもそうなれば良いのにと思います。

| トサカ | 2009/02/03 23:35 | URL | ≫ EDIT

エントリとは直接関係ないんですが、『Punch-Out!!』は自社開発ではなく、『マリオストライカーズ』シリーズのNext Level Games開発だったと思います。

| ga | 2009/02/04 16:52 | URL |

>トサカさん
 面白い御意見ですね。
 なるほど、確かに自分も「好きなゲームを作った人の作品」には興味が出てきます。

 ただ、映画に関しても「監督」で作品を選ぶ人はなかなかの映画好きだと思いますし、“主演が誰か”の方が興行成績に直結することから考えると、「目に見えるもの」の方が一般的には重視されるんじゃないかなーと思うところも。
 漫画の場合は絵柄、小説の場合は文体、音楽の場合は声(これはちょっと微妙かも)、ゲームの場合はキャラクターの方が「興味を持つか」の対象になるのではないか、と。

 というのも、「映画の監督」とか「ゲームのディレクター」とか、最も重要であるはずのポジションが一般の人には何をしている人かよく分かりませんからね。分業制で何十人体制で動くケースだと尚更。
 後はまぁ、古くは「引き抜き禁止」のためにゲームクリエイターは表に出ないという慣習あったそうですね。任天堂が「社長が訊く」で社員のインタビューを出来るのも、任天堂は辞める人(引き抜かれる人)が少ないというのがあるのかも知れませんね。



>gaさん
 そうですか!
 情報ありがとうございます!開発会社は自力で調べても分からず「自社開発かな?」と見切りで書いてしまったので、後ほど記事を訂正させていただきますね。

| やまなし(管理人) | 2009/02/04 19:44 | URL | ≫ EDIT

この類の契約の場合は「任天堂だけは大損こかない」と言う言い方が正しいですかねぇ・・・

| ねね | 2009/02/05 23:12 | URL |

>ねねさん

 ん?どういうことでしょう?
 解説をお願いします。

| やまなし(管理人) | 2009/02/06 20:05 | URL | ≫ EDIT

解説も何も、ごく普通に自社で開発要員を抱え込まないで済むので、「大作作るために社員増やしたけど、さっぱり売れなかった挙句に増えた社員がその後財務圧迫しました」とか言う人件費がらみのリスクを回避出来るというだけの意味で・・・。
基本、人件費が一番痛いですから。
で、開発会社のほうは任天堂のブランドを利用して儲けてる・・・、辺りから先はエントリ本文や他の方のコメントにあるので割愛ですが。

| ねね | 2009/02/07 16:52 | URL |

>ねねさん

 あぁ、なるほど。そういう意味でしたか。
 確かに任天堂は「商品の質を保ち続けるためには社員をやみくもに増やすワケにはいかない」と規模を拡大しない路線を取っていますもんね(だからこそネットワーク関連のように弱い部分があるのですが)。

 逆に言うと、任天堂ハードにとっては「外部の開発会社」とのパイプ役こそがキーマンになるということですよね。漫画界で言う漫画家と編集者みたいなものか。例えを出したら余計に分かりにくくなりました。

| やまなし(管理人) | 2009/02/07 23:23 | URL | ≫ EDIT















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