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「実はそのキャラ、死んでいなかったんですよー!」の果てに

※ この記事はアニメ『宇宙をかける少女』、及びアニメ版『舞-HiME』『舞-乙HiME』のネタバレを含みます。
※ コメント欄が“色んな作品の重大なネタバレが飛び交っている”状態になっています。閲覧にはご注意下さい。



 タイトルの時点で既にネタバレという気もする。

 7月になって既に2週間近くが経ちまして、話題はすっかり夏開始アニメに移っていますが……今日は1~6月に放送されていたアニメ『宇宙をかける少女』についての話題をしようと思います。
 このアニメは、自分が大好きだった『舞-HiME』『舞-乙HiME』の監督・プロデューサーによる作品ということで非常に楽しみにしていた作品でして。まぁ何だろう……ベンケイとつつじのキャラとか、光るものが全くなかったワケでもないですし。mixi日記の方にチラホラと感想を書いたりもしていたのですが……中盤辺りで一気に視聴テンションが落ちてしまう展開がありました。



 月(第三勢力)から発射された反物質爆弾が敵も味方も一般人もまとめて吹っ飛ばすことに気付いたイモちゃんが、たった一人で反物質爆弾に特攻をしかけてみんなを守って死んでしまう―――というような展開で、それは確かに「感動的に」描かれていたのですが。


 僕は真っ先にこう思ってしまったんですよ。

 「まー、どうせ死んでねえんだろうな」と。


 『舞-HiME』の時も、『舞-乙HiME』の時もそうだったのだもの。
 『舞-HiME』は最終回でまさかの「全員生き返り→メデタシメデタシ」をやっちゃったし(紫子と石上が生き返えれた理由が未だによく分かりません)。『舞-乙HiME』もエルスを除けばアオイちゃんもニナもセルゲイも普通に「実は生きてました!」でしたし、唯一死んでしまったエルスに関しても構成の吉野さんは「どうしても生き返らすことが出来なかった」と仰っていたほどで、漫画版やOVAで報われる形にしたくらいで。

 そのチームに「どうです?こんな人気キャラを死なせてしまうんですよ?ビックリじゃないですか?」と言われても、「え?だから、また“実は死んでませんよ”パターンでしょ?」としか思えないのです。狼が来たと叫び続けられた村人と一緒ですよ。

 なので、その「感動的」に描かれた特攻シーンも、その後に登場人物達が泣き崩れるシーンも、そこから立ち上がろうとするシーンも……どうしても「どうせ死んでないんだろうに……」と冷めた目で見てしまって楽しめなかったです。


 で、結局「死んでなかった」という(笑)。
 イモちゃんもつつじもネルヴァルも長老達も、ほとんどのキャラは「実は死んでませんでしたー」オチ。終盤、身体に異常が出てきたほのかも「病院に行くぞ」オチ。月の人達とハコちゃんについては、その後ストーリーに絡まず(死んだかどうかの説明もない)。


 うーん……もちろん結果論でしかないんですけどね。
 『舞-HiME』の時は、次々と登場人物が消滅していく展開にハラハラドキドキしたものでした。それは1回目だったから。
 『舞-乙HiME』の時は、アオイちゃんのように、「生きている」ことは視聴者に見せつつそれを知らないマシロに成長を促せる展開に説得力があったと思います。それは2回目だったから。「どうせ死んでないんだろう」を逆手に取った見事な手法でした。

 だから、この2作品に関しては楽しみましたよ(『舞-HiME』最終回の時は盛大にズッコケたけれど)。


 でも、この『宇宙かけ』。
 3回目……自分は『ゼノグラシア』観ていないんでひょっとしたら4回目かも知れないんですが。
 「実は死んでませんでしたー」オチをここまで繰り返されると、視聴者だってバカじゃないんだから慣れますよ。「ひょっとしたらまた今回も同じオチじゃないだろうか」って考えてしまいますよ。

 今回、実際にイモちゃんは「死んでなかった」ワケなんですけど、もし仮に「本当に死んでいた」場合も一緒なんですよ。僕は「どうせ死んでないんだろ?」と思いながら観るし、最終回の最後のシーンでようやく「あー本当に死んでいたんだ」と思っただけです。


 あまりに“死亡→復活”を繰り返したあまり、「ベジータのバカやろう!トランクスならドラゴンボールで生き返ったんだ」とまで命が軽くなってしまった『ドラゴンボール』のように。
 「実は死んでませんでしたー」オチを繰り返していくと、登場人物も、登場人物の命も、そこで描かれるストーリーも全て、軽くて薄っぺらいものになってしまうと思うのです。





 「実は死んでませんでしたー」のメリットは分からなくはないです。
 「うわ!死んじゃった!」で山場を1回作って、「実は死んでませんでしたー」でもう1回山場を作れるワケですからね。一粒で二度オイシイ。少年漫画なんかで重宝されるのも、「とにかく刺激の強いものを」という雑誌ならば仕方がないと思っています。


 でも、刺激の強いものには慣れてしまうのですよ。
 同じパターンには慣れてしまうのですよ。


 「慣れてしまった世代には卒業してもらう」という媒体ならば分かります。それも一つのコンテンツビジネスのあり方だと思いますから。でも、深夜アニメはそれでイイんですか?『舞-HiME』ファンには『宇宙かけ』で卒業して欲しかったんですか?




 とまぁ……自分の気持ちを率直に書き連ねたワケですが。
 自分がここまで大嫌いな理由を語った「実は死んでませんでしたー」オチが、自分が思った以上に世間では受け入れられているとは思っています。だから、この記事に賛同してくれる人はそんなにいないんだろうなと覚悟して書いていますし。だからこそ、自分以外が書かないのなら自分が書くべしと、精一杯隠さず率直な気持ちを書きました。

 「こういう意見もあるんだなー」くらいに受け取ってもらえれば幸いです。
 「キャラを殺せ」と言いたいワケじゃありません。「キャラを殺したくない」のなら、そういうストーリーにしてくれと言いたいのです。




 にしても。ここまで「キャラを殺さない」に徹しているチームの作品にも関わらず、あっさりと殺されてしまった『舞-乙HiME』のエルスってすげー待遇だったんだなぁと今更ながらに思います。


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| アニメ雑記 | 18:01 | comments:18 | trackbacks:1 | TOP↑

COMMENT

誰々は死んだかに思われたが、ラストに生きていたことが発覚→そもそもよく考えたら、「死んだ」と周りが勝手に思ってただけで、実際に死ぬところを誰かが見た訳でもなければ、はっきり死んだ証拠もなかった→言われてみれば「死んだ」というのは単なる憶測だったな…なるほど。

…という話は3段階で盛り上がれましたね。(死んだ→生きていた→よく考えたら…)

| 土星産の卵 | 2009/07/12 19:45 | URL | ≫ EDIT

「実は死んでませんでした」で唯一そりゃないよと思ったのが、るろうに剣心の薫。
薫(の人形)に剣が突きたてられていた絵を見た時
「すごい!ジャンプで悲劇をやるんだ!さすが和月先生!おr(ry」
と思ったのですが、実は精巧な人形でしたー本物は生きてますーだったのでほんとにがっかりしたのを覚えてます。

| ああああ | 2009/07/12 23:55 | URL |

この手の感覚は、男塾で麻痺してしまいました(笑

| 創造力有る名無しさん | 2009/07/13 07:29 | URL |

やっぱりジャンプ漫画の功罪なんでしょうかね?w
私の場合は、ダイの大冒険でアバン先生が生き返って(?)きた時の衝撃が凄かったです。
いや、その時は嬉しかったんですけどね~。
その後の他作品で、序盤で重要人物が死んでも「どうせ生きてるんでしょ?」と思うようになっちゃいました。

ジャンプ漫画で序盤死んで死んだままなのは、シティハンターの牧村(兄)くらいでしょうか?

| アララ | 2009/07/13 16:04 | URL |

はじめまして。
いつも更新楽しみにしています。

私の場合…。
「どうせ生きてるんでしょ」と思いつつ、登場キャラ達にとってその死んだ(と思われる)キャラの死は目の前の現実で、まさか生きてるだなんて思いもしない、そんな悲しみとか絶望とかで苦しむ姿に涙してしまいます。
キャラが死んだ、というよりも、それによって起きた周囲の変化に注目しているので、「やっぱり生きていたんだ!」のオチも周囲のキャラ達が喜ぶから私も嬉しい。
なので、死んだ→やっぱり生存、の流れは、私は好きですね。
「どうせ生きてるんでしょ」で冷めてしまう部分が無いわけでもないのですがw

| しろ | 2009/07/13 22:28 | URL | ≫ EDIT

コップに半分の水が入っていて「まだ半分ある」と思うか「もう半分しかない」と思うか
「実は死んでませんでしたー」オチで「生きててよかったー」と思うか「俺の悲しみを返せ」と思うか
結局は視聴者の心構えの問題のような気がしないでもないですね

でも、同じ制作スタッフが同じようなオチを繰り返すのは単なる怠慢としか思えないですね

| つーか | 2009/07/13 23:49 | URL |

舞-HiMEのラストについては逆に何故予想できなかったのかが理解できないですよ(それも多くの人達が)。

| すせ | 2009/07/14 01:18 | URL |

「死んだと思われていたキャラが実は生きていた」という展開は個人的にはOKなのですが、同じ製作スタッフが作った――言わば同じ系列の作品内で同じ様な展開を繰り返されると流石に飽きてしまいそうですね。
そういう展開を二度続け、三度目で「実は死んだと見せかけて、本当に死んでいた」みたいな展開にしていたのならかなり驚きそうなもんなのですが。
まぁ、人気キャラはそう簡単に殺せないという開発側の事情も解る気がするしなあ…難しいところです(苦笑)

| じぇふ茶 | 2009/07/14 01:37 | URL |

永井豪作品みたいにばっさばっさ死ぬのも良いのかもしれないが
好きなキャラが死んだら、そのキャラで読んでた読者はそこで心が停まる事になるんだよね
作品は最後まで見るけど心在らずになる

殺すなら最終回までとっておくのも一つかな
ギアスのシャーリーが良い例かも。

| FUKY | 2009/07/14 02:17 | URL | ≫ EDIT

賛同します。

死んだと思わせる事で盛り上げよう感動させよう劇的なシーンを作ろうという
安易な手法が大嫌いです。

| popon | 2009/07/15 09:43 | URL | ≫ EDIT

前にコメントで言及させていただいた『エルフェンリート』に私が抱いた印象と全く一緒ですね。一つのシークエンスで負傷などのミスリードとご都合主義的展開を延々繰り返しシーンを冗長にしていたのも、作品の「死ぬ死ぬ詐欺」へのストレスを助長していました。
もっとも作品の感想を見ると「重要キャラが死ぬ漫画」との紹介が為されていることも多いのでこういった作者の「誤魔化し」は成功していると言えるんでしょうけど。
現在連載中の『ノノノノ』を見る限り分不相応に難しい展開にしてしまう作者の癖は直っていないようです。

| レト | 2009/07/15 17:23 | URL | ≫ EDIT

概ね賛同します。
ただ、「どうせ死んでないんでしょ」作品がありふれてるお陰で、実際に生き返りがない作品の死の重さが増している点もありますね。
「え、まじで死んだの?」っていう逆の驚きがあるわけで、「どうせ死んでないんでしょ」がありふれてることもまあいいのかなと思ってます。

| VIPPERな名無しさん | 2009/07/15 18:11 | URL |

田中芳樹もアレだけど男塾もアレですねぇ

最近だとカカシかな……

| VIPPERな名無しさん | 2009/07/15 18:34 | URL |

あだちみつる先生を見習えよと思いました。

| ああああ | 2009/07/15 20:17 | URL |

例え陳腐でも「実は生きてました」のほうがうれしいです。
グレンラガンの兄貴のように死がはっきりとしているか山場として描かれているならまだ良いのですが、あっけなさ過ぎると気分が悪くなります。
(某ジオブリとか)

|   | 2009/07/15 21:08 | URL |

最近だとドルアーガの塔が、うまく死なせてたな
作品としては、アレだったけど

| ああああ | 2009/07/16 03:00 | URL |

自分も基本的に「実は生きてました」があんまり好きじゃないですね
死んだかどうかわからないように演出して、実は生きてた(そしてそれがしっかり機能する)ならばアリだと思うのですが、「人気があるキャラだから生き返らせた」パターンはもう…
なので構成の人の「どうしても生き返らすことが出来なかった」というコメントは残念でならないです

| ああああ | 2009/07/16 10:33 | URL |

自分もあまり好きではありません。
アニメだとクール数と死亡フラグの時点で予想が立ちます
ハガレン(水島)はこれには入らないだろうけど「最終話前に主人公死んでどうすんだよ!」と思いましたね
逆に西尾維新の化物語はその期待をしっかりと裏切ってくれました
舞-Himeは今度BS11で放送するらしいので、その時まで楽しみにしときますねw

| word | 2009/07/16 21:30 | URL | ≫ EDIT















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彼が「実は生きていた」ことについての幾つかの理由。

やまなしなひびさんの記事を読んで、ちょっと思ったこと。 「実はそのキャラ、死んでいなかったんですよー!」の果てに すいません、テーマである『宇宙をかける少女』については私はあまり知らないのですが、よくある展開としての「実は生きてました展開」について。

| 不倒城 | 2009/07/15 11:29 |

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