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コルド大王は“旧世代の象徴”だったのだと今更ながらに気付きました

※ この記事は『ドラゴンボール』全編のネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。

 ドラゴンボールにおけるコルド大王の存在意義について(情報元:痕跡症候群さん)

 興味深い話ですね。
 これまでに何度も『ドラゴンボール』の話題を書いてきた自分ですが、コルド大王については1秒たりとも考えたことがありませんでした。なので、この記事を読みながら自分で考えたことを今日は書こうかと思います。



 コルド大王とフリーザの地球襲来は、人造人間編のプロローグです。
 そして人造人間編で描かれたものは「父と子」の物語―――もっと詳しく言うと、「父親を越えようとする子」「そんな我が子に見せる父親の背中」という世代交代の物語でした。悟空と悟飯、ベジータとトランクスという二組の父子でコレを描いたんですよね。

 なので、「コルド大王とフリーザ」という父子を出したのもその伏線だったのかなーと。
 「父親を越えるでもなくノコノコと仲良く父子で地球にやってきたフリーザ」「子が殺されても“剣が凄いからだ”とか油断して瞬殺されたコルド大王」……後々の展開で、悟空や悟飯、ベジータやトランクスが取った行動とは対照的です。言ってしまえば作品としての“反面教師”の役割だったのかもと思いました。



 ……と、ここまでの時点では、まだ記事にして書くほどのことでもないかなと考えていたのですが。
 ちょっとよくよく考えてみれば、この後に登場する人造人間達もドクター・ゲロの子ども達という見方が出来るんですよね。もちろん人間ベースの人造人間には元々の親もいたんでしょうけど。

 ドクター・ゲロの手足となって動いていた19号は「父親を越える」ことを考えもせずに敗れた。
 ドクター・ゲロを殺し、「父親越え」を果たしたとも言える17号・18号だけど、ドクター・ゲロの怨念とも言えるセルによって吸収されてしまう。
 16号はよく分からん。


 そして、セル。
 ドクター・ゲロが断念し、後にドクター・ゲロのコンピューターが完成させる人造人間。悟空やピッコロやフリーザ達の細胞を元に作られ、人々の生体エネルギーと17号・18号を吸収することで完全体になるという最強の敵―――

 生まれた時には既に父親(ドクター・ゲロ)が死んでいて、ただひたすらにインプットされた目的「強くなれ」を目指すしかなかった孤高の敵―――



 
 ドクター・ゲロは「打倒・孫悟空」のために人造人間を作りました。そのドクター・ゲロの子ども達とも言える人造人間は悟空を苦しめ、最終的に完全体セルは悟空を越え、セルの自爆によって悟空は死んでしまうワケです。言ってしまえば、ドクター・ゲロの悲願は達成されたワケです。

 でも、その(ドクター・ゲロの子どもとも言える)セルを、孫悟空の子どもである孫悟飯が打倒するのですよ。
 このラストは「物語は“新世代”の者達のものになった」という意味があったのかと―――そう考えると、何故人造人間編の最初にコルド大王が登場したのかも分かるというものです。


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 『ドラゴンボール』のナメック星までの戦いは、「俺より強いヤツがどこかにいる」という物語でした。
 レッドリボン軍を壊滅させても、それ以上に強い天津飯が現われ、その天津飯すら歯が立たないピッコロが復活し、そのピッコロすら震え上がるサイヤ人が地球にやって来て、宇宙にはそのサイヤ人すら部下にしてしまうフリーザ一味がいる―――という流れで、物語は展開していきます。


 ですが、宇宙一強いフリーザを
 もっと強い超サイヤ人・孫悟空が倒してしまえば


 これ以上の敵は、宇宙中を探してもそうそう現れないということになってしまいます。
 いやまぁ、ナメック星の後も「実は宇宙にはこんなにも強いヤツがいたんですよ!」という展開がありえたかも知れませんが、そんな展開だったら読者は「またか……」と飽きてしまったことでしょう。


 未来からやって来たトランクス
 まだ完成していない人造人間達
 さらに未来からやって来たセル―――

 彼らは、「コルド大王&フリーザの地球襲来」の時点では存在していません。
 あの時点では間違いなく孫悟空が宇宙で一番強かったんです。少なくとも作品の描き方としてはそうだったんです。ダーブラなんか知らねえよ。
 だから、人造人間編に登場する敵&味方は「これから生まれてくれる」必要があったんですよ。


 どんなに強い戦士にもルーツがある。
 リアルタイムで読んでいた頃は僕は10歳前後だったのでちっともピンと来ませんでしたが、子は無から生まれてくるワケではありませんし、子は自然に育つワケではありません。人造人間編で悟飯は悟空を越えるのだけれど、悟飯を育てたのは悟空でありチチでありピッコロだったんですよね。


 一度は「宇宙で一番強い」位置に立った孫悟空だけれど、人造人間にしろセルにしろ孫悟飯にしろ、孫悟空より強い者が現れて新しい世代を築いていく―――
 まぁ、実際には悟飯への主人公交替は上手く行かずに魔人ブウ編で軌道修正されることになるんですが、鳥山先生は人造人間編を「世代交代」の物語として位置づけていて。コルド大王は、“旧世代の象徴”として登場させたのではないかと思いました。

 悟空・フリーザ・ベジータを同一世代と考えるなら。
 彼らの親世代“旧世代”のコルド大王を、彼らの子ども世代“新世代”のトランクスが打倒するというのは、人造人間編の大きなテーマを象徴していたんだと今更ながらに気付きました。


 そう考えると面白いのは、セルの元となった細胞―――
 悟空、ピッコロ、ベジータ、フリーザ、コルド大王。

 セルと同じ“新世代”である悟飯やトランクスの細胞は使われていないんですよ。
 「トランクスの細胞は不要だった」とわざわざ言わせているほどですもの。




 悟飯はセルを倒し、“新世代”の中でも宇宙で一番強い存在になりました。
 トランクスは完全体セルにこそ敗れるも、未来に戻って人造人間&セルの撃破に成功します。


 逆に“悟空たち”世代の物語はあの時点で一旦幕を閉じているんですよね。本来は。
 悟空は死に。
 ベジータは「もう俺は闘わん」と宣言し。
 クリリンは修行をやめて髪を伸ばし。
 天津飯は「もう会うことはないだろうな」と旅立ち。
 ピッコロは天界に留まることになる。


 未来は、次の世代―――悟飯やトランクス、後に登場する悟天やビーデルに託されるという構図になっていたんだと思います。(通常版コミックス36~40巻の表紙には悟空が描かれていないのも象徴的)
 ま、実際には……ベジータは黙々と修行をしてあっさり悟飯を追い抜いていたみたいだし、悟空は生き返っちゃうし、天津飯とは再会するし、最終的に魔人ブウを倒したのは悟空&ベジータ&ミスターサタンという“お父さん世代”だったんですけど(笑)。一応は、人造人間編のラストは「世代交代」を意識して描いていたんだと思いますよ。



 よく「鳥山明は行き当たりばったりで物語を描いている」みたいなことが言われますし、人造人間編も魔人ブウ編も軌道修正の跡がそこかしこに見られるんですけど……(アレは編集部の意見が反映された、みたいなことが言われていますが)
 この「コルド大王」の登場については、後々の「悟飯が悟空を越える」展開を見越してのものだったんじゃないかと思ったのです。いや、僕もこの記事を書きながら「あー、そうだったのか」と今更気付いたことなんですけどね(笑)。少なくとも何の意味もなかったとは思いません。

 『ドラゴンボール』の偉大さを再認識するとともに、それに気付かせてくれた最初の記事に感謝です。



 それはそうと……。
 セルとの死闘によって、完全に悟空を越えた悟飯なんですけど。
 悟天には「おとうさんが宇宙一だった」と言っているんですよね。さり気ない台詞だけど、悟飯にとっていつまでも父が偉大なんだと分かる台詞でジーンと来たのを覚えています。


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