やまなしなひび-Diary SIDE-

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「違法だから悪い」んじゃなくて「悪いから違法」なんですよ

 今週月曜の『伊集院光の深夜の馬鹿力』(@TBSラジオ)のエンディングにて、伊集院さんが共演した小学生の大半が違法コピーのゲームを遊んでいたことや、その小学生達が「これは違法なんだ」「これは泥棒なんだ」と分かった上で違法コピーを遊んでいたことに衝撃を受けたという話をされていました。


 そのことについて語る前に、まず書かなきゃならんこと。
 伊集院さんのこの部分のトークは動画共有サイトにアップされたようで、様々なゲームニュースサイトがそれを紹介していました。色んな人に聴いてもらいたい話だったという気持ちも分からなくはないんですけど。


 ラジオ番組を動画共有サイトに勝手にアップすることも違法コピーじゃんと思うワケですよ。しかも、よりによって「違法コピーを悪く思わない子どもが増えて困ったよね……」というトークを、悪くも思わず違法コピーしているワケじゃないですか。それって同罪じゃないの?


 もちろん「ゲームの違法コピー」と「ラジオの違法コピー」は意味合いが違いますよ。
 ラジオは聴けない地域もあるでしょうし、聴き逃した人は二度と聴けないワケですし……お店に行けば新品が売っているゲームとは、確かに違いますよ。
 でも、ラジオ番組だって制作して放送するのにはお金がかかるのですよ。そして、そのお金を出してくれているのはスポンサーで、そのスポンサーが撤退してしまえば番組は終わらざるを得ないんですよ。TBSの深夜ラジオはバツラジだってコサキンだって、そうやって終わってしまったのですよ。

 僕は違法コピーは観ないし聴かないし遊びませんから、どういう形でアップされているのかは確認していませんけど……多分、ラジオのCM部分はカットされているんでしょ?スポンサーとしては溜まったもんじゃないですよ。

 
 違法コピーのゲームを遊んでいるクズどもが、「だって、お金ないんだから仕方ないじゃん」とか「お金払いたくなるゲームを作れよ」とか「ダウンロードするだけなら罰せられないし」とか「別に俺一人が違法コピーを遊んでいたって大勢に影響はないじゃん」とか、理屈になっていない理屈で自己を正当化している(気になっている)のと変わらなくない?


 なので、『深夜の馬鹿力』にスポンサードしてくれている商品のリンクを貼っておきます。
 『伊集院光の深夜の馬鹿力』は毎週月曜深夜1時から放送中!放送地域以外では聴けませんが、ポッドキャストならば番組の一部を毎週聴くことが出来ますよ!


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● 「何故、○○してはいけないのか?」
 ここからが本題。
 自分はリアルタイムにこのトークを聴いていて、そのまま番組が終わってしまったので暫く考えていたのですが……何か、すげー分かる話だなぁと思ってしまったのですよ。言ってしまえば、「泥棒」とか「違法」とかのリアリティが小学生には感じられてないんだろうなという話。


 僕らの子どもの頃も、喩えば「ウソつきは泥棒の始まりだよ」と教えられてきたのですが……
 そこでイメージする「泥棒」って、ほっかむりに風呂敷かついでサザエさんの家にやってくるような「泥棒」のイメージなんですよ。んで、警察に捕まって牢屋に入れられるけど、暫く経ったらまたサザエさんの家に来る、と。

 実際に「泥棒」をすると、どれほどの社会的制裁を受けなければならないかのイメージを持てていない。正直なところ、親に養ってもらっている身でこれをイメージするのは難しいと思うので、親の方にこそちゃんと危機意識を持ってもらわないとと僕は以前から書いているのですが―――
 伊集院さんのこのトークでは、「でも全部の小学生がそういう(コピー機器の)知識があるワケじゃないし、親が与えているケースもあるんだろう……」と。我が子を進んで泥棒にする親がいるってことに、絶望せざるを得ないよねぇと嘆いておられたワケです。

(関連記事:マジコン問題でまず警告すべきは保護者ではないか




 ちょっと思い出したこと―――
 もう5~6年くらい前だからどこのサイトさんかも覚えていないのですが、とあるサイトさんが「子どもにどうして人を殺してはいけないのかと訊かれたらどう答える?」と言われて「法律で禁止されているから」と回答されているのを読んで絶句してしまったことがありました。

 確かにね。
 「色んな人がいるからこそ世の中は面白い」と思っている自分からすれば、「法律で禁止さえされていなければ余裕で人殺しますよ」という思想の人間を否定することは出来ませんし。そういう発想もあるんだなーと感心する部分もあるんですけど。

 子どもへの回答としては0点ですよね。
 だってその質問、「どうして法律で禁止されているのか?」を訊かれているんですもの。「何故シロクマは白いの?」「白いからよ」では回答にはなっていません。


 泥棒も
 殺人も
 違法ドラッグも
 詐欺も
 脱税も
 強姦も
 ゲームの違法コピーも
 ラジオ番組の違法コピーも
 アニメの違法コピーも


 「法律で禁止されているからやってはいけない」のではなくて、「やってはいけない理由があるから法律で禁止している」のですよ。その認識の違いが色んな問題を生んでいるじゃないかと思う昨今。
 「法律で禁止されているからやってはいけない」という考え方だと、1本ネジを外してしまって「バレなければやってもイイのでは」「罰せられなければやってもイイのでは」「みんながやっているのだからやってもイイのでは」と変換されてしまうケースを多々見かけます。


 現状の法律がどうなっているのかはよく分かりませんけど……違法コピーのアニメを観る人がドバッと増えてしまった2006年頃、違法コピーを批判した僕に対して、「違法コピーをアップロードするのは罰せられるけど、ダウンロードするのは罰せられない。だから構わないんですよ」と言ってきた人がいました。何ソレ。
 法律上はどうだか知りませんよ?その人が言っていることが正しいのかに僕は責任は持てません。


 問題はそこじゃない。
 罰せられなければ何をやってもいいのかよという話ですよ。


 「やっていいこと/悪いこと」の境界線が、「罰せられるか/罰せられないか」に引かれているのだったら恐怖ですよ。
 「法律で禁止されなければイイ」→「罰せられなければイイ」→「バレなけばイイ」と飛躍してしまう人が、100人中100人だとは言いませんけど、10000人中1人でもいたらこの社会はどうなってしまうのかと思います。



 バレなければ、罰せられないのだから、
 泥棒も
 殺人も
 違法ドラッグも
 詐欺も
 脱税も
 強姦も
 ゲームの違法コピーも
 ラジオ番組の違法コピーも
 アニメの違法コピーも

―――全て、「やってもいい」ことなの?


 だから、僕はそもそものスタート地点が違うだろと思うのですよ。
 「違法だからやってはいけない」ではなくて、「やってはいけない理由があるから法律で禁止している」と。その「やってはいけない理由」を考える力があれば「バレなければイイ」なんて発想は生まれないと思うのだけど、大人であってもそれを想像する力がないというのに恐怖を感じてしまったのです。


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 何故、泥棒をしてはいけないのか?
 一生懸命働いてもらった給料やその給料で買ったものを、働きもしない泥棒が自由に盗めてしまったら、「俺も働くのをやめて盗めばイイや」と誰も働かなくなります。
 その調子でみんながみんな働かなくなったら食物は作られないし輸入されないし販売もされないし、最終的にみんなが困ってしまう。だから、法律で禁止しているのです。



 何故、人を殺してはいけないのか?
 この国の国民というのは、全てこの国の“人材”ですし“活力”ですし“宝”です。
 なので、勝手に人を殺されてしまっては、国にとっては大損益なワケですよ。その人が生きていればもたらされた様々な利益を全て失ってしまうのですから、法律で禁止をしておかなければなりません。

 あとまぁ、「人を自由に殺してイイ社会」だったら、「殺されないよう自衛する」ことに労力の大半を費やさなくてはならないので非常に非効率というのも言えますね。詐欺が横行することで「誰も信じられない」世の中になってしまったみたいな話で。




 一応言っておきますけど、これは「何となく僕が思った理由」ですからね。
 法律上どうなっているかは知りませんし、個人それぞれの意見を聞けば宗教観や倫理観によって理由は異なると思います。それこそ、色んな人がいるからこそ世の中は面白いという話。

 重要なのは「殺人を許されている社会」と「殺人が許されない社会」のどちらが幸せかを想像する力だと思うのですよ。
 “殺人”の部分は自由に置き換えてもらって構いません。「二次ロリ絵の所持が許されている社会」と「二次ロリ絵の所持が許されていない社会」でも可。どちらが幸せかを考えた上で、法律は出来ているのですし、作っていくものなんだと思うのですよ。




 もうちょっと分かりやすい軽い喩えとして、「スポーツのルール」の話。
 「スポーツのルール」というのは、そのスポーツが面白くなるために存在するのです。

 よく「サッカーのオフサイドの意味が分からない」という話を聞くんですけど……
 もしサッカーからオフサイドのルールがなくなったら、身長の高いFWをゴール前に立たせて、そこに向かって長いパスを蹴り込むスポーツになります。身長とキック力が重要視され、体格だけがモノを言うスポーツになってしまうんですよ。現実にあるサッカーのようにスピードやテクニックは重視されなくなるでしょう。

 それだと面白くないよね、と「スポーツのルール」は作られているのです。
 だから「スポーツのルール」は偉い人から一方的に通達されるものではなく、自分達で作っていくものなんです。スキージャンプの例なんかで、よく「日本人に不利なルールばかり作られる」と日本では嘆かれますけど。ルールを作っていくという意識のある国では、それは当然のことなんですよ。



 何故、ゲームを勝手にコピーしてはいけないのか?
 ゲームだけじゃないですね。ラジオもそうだしアニメもそうだし漫画もそうですよ。
 商品を作って販売するのにはお金がかかります。そのお金はユーザーが払っているワケですよ。ラジオやテレビのようにCMで成り立っているメディアは、ユーザーにCMを見てもらうことで成り立っているワケですよ。

 勝手にコピーをしてタダで配ったりされようものなら。
 お金を払うユーザー(CMを見るユーザー)が損をして、「お金を払うのなんてバカらしいな」と払わなくなってしまって、誰もお金を払わなくなってしまう。だから僕は違法コピーを享受している人を見ると、「俺はちゃんと金を払っているのに!」と脳漿が飛び出るまで石斧でブン殴りたくなる衝動に駆られるのです。

 ついでだから書いておきますけど―――
 アニメの違法コピーを観ている人を僕が批判すると、「アニメのDVDが高いから悪いんですよ」みたいなことを言ってくるんスよ。お金がないならパンを盗んでもイイって話ですか?
 アニメの場合は作品にも依りますけど、喩えばレンタルビデオだったり、ネット経由で1話幾らで販売していたり、“DVDを買う”以外に観る方法があったりするワケで。それすっ飛ばして違法コピー観ている時点で全然説得力ねえよタコ!と思います。




 違法コピーのゲームを遊ぶ小学生は悪い。ムチャクチャ悪い。石斧で殴りたい。
 それを子どもに与えている保護者も悪い。ムチャクチャ悪い。石斧で殴りたい。

 でも、それはもうこの国では“一部の人”ではなくなっていることにこそ恐怖を覚えるのです。
 それこそ、冒頭の「悪びれもせずラジオ番組のコピーをアップロードしている」行為だって、僕はどうなんだろうと思いますよ。石斧で殴りたいとまでは思いませんけどさ。それでイイの?と不安になってしまうのですよ。

 加えて言うと。エンディング部分のあのトークって2時間の番組の流れの中でのトークであって、番組冒頭からの「ドラッグ」とか「ドーピング」とかの話からつながっていたことで、あのエンディング部分だけ切り取っても半分くらいしか意味伝わってないんじゃないかと思いますしね。



 「清く正しく生きる」ことがバカらしく思えてしまうような世の中で、
 これから先どうやって生きていけば良いんだろうと思いますよ。


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| ひび雑記 | 17:50 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

僕は“自分が不幸になるルールor破れば自分が幸せになるルールは守らなくてイイ”くらいに考えてますが,そんなんでも守らなくてよいと思えるルールってほとんどないです.
例えば僕がルールをはみ出して違法コピーのゲームで遊ぶことを考えたとき、
・ゲーム業界の不活性化に僅かだが寄与→面白いゲームが出づらくなって僕が不幸
・少なからず尊敬しているゲームの作り手の方々が不幸になる→僕も不幸を感じる
・作り手を軽んじる行為をしてしまった自分に自己嫌悪→やっぱり僕が不幸
と,数千円の節約ができたというささやかな幸せなんかどうでもよくなるぐらい不幸になる要因が多いんですよね.というか不幸になる人が多いからそこにルールができたわけですよね.僕は他人の不幸を積極的に楽しめるわけではない,というか他人が不幸なのを想像するだけで気分が沈むのでめったなことでルールを破ろうとは思いません.いや,まあ他人が幸せそうなのを想像しても自分と比較して落ち込むんですけども・・・まあみんな不幸よりはマシですよね.

“ゲーム業界とか心底どうでもいいし別にゲーム作るやつがどうなろうとしったこっちゃねーけどまあ違法コピーで遊ぶよ”という“自分の幸せ⊃他人の不幸”な人間は,違法コピーのゲーム以外でも“自分の幸せ⊃他人の不幸”という考えを発揮する可能性が高く,一生係わり合いになりたくないものです.
問題は価値観が確立していない子供に与えてる違法コピーできる環境を親が多いということですよね.成長して“自分は他人を不幸にしてきた”ということに関してどう思うか?たぶん,自己正当化して“自分の幸せ⊃他人の不幸”であることを開き直っちゃう人間が多いと思うんですよね.もちろん悔い改めて誠実に生きるという人もゼロではないとは思いますが.
社会のルールというのは他人の不幸を最小限にするために先人たちが長い時間かけて積み上げたものなので,よくよく考えれば相応の意味があるモノが大多数です.
そんな意味あるルールを目先の数千円のために破って人を不幸にすることを推奨・黙認している親は自分の子供が人間のクズになる可能性を高めていることに気づくべきですよね.

| kyu-zero | 2009/08/14 21:36 | URL |

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| | 2009/08/14 21:46 | |

やまなしさんは違法コピーで遊ぶことを「悪いこと」で石斧で殴りたいと思うんでしょうが
殴らないのは法律のせいでしょうが
他人からしたらやまなしさんの行動を「悪いこと」って思っても石斧で殴られないで
すむのは法律のおかげでしょう

別に法律が完璧なものと思ってるわけじゃないですが「悪いこと」の基準なんて
人によるんですから(やまなしさん言うところのいろんな人がいるですか)
法律さえ守ってればうだうだ言われたくないそれこそ石斧で殴られたくないってのは
正当でしょう

もちろん法律の穴をついてあくどいことすることを推奨するわけじゃないですが
規制できないのは仕方ないでしょう それこそ法律のほうをなんとかすべきだと思いますね

あと清く正しく生きることは別にバカらしくないですよ
ただ他人にまでそれを望むのは若干バカらしいかなと思います

| ああああ | 2009/08/15 14:24 | URL |

コメントに対するコメントで失礼します。

>ああああさん
エントリーの内容に照らし合わせていうなら「悪いと思ったことをすぐ石斧で殴りつけていい世界と、そうでない世界」を想像して、どちらが幸せな世界か想像してみよう。ってことなんでは。

『なぜ「法律だから守る」という結論に至るのか』というプロセスを考える必要があるんではっていうエントリーではないかと。

| あわれ | 2009/08/15 20:33 | URL | ≫ EDIT

「色んな人がいるからこそ世の中は面白い」のであれば
物事の善悪を判断するべきではないのでは?
「面白い世の中にするために色んな人を認めよう」ならば、
「面白い世の中」に著しく反する人は排除されるべきという考えになりますし、
そこに善悪の判断が絡んでくるような気もしますが。

| オモロー | 2009/08/16 00:23 | URL |

>多分、ラジオのCM部分はカットされているんでしょ?スポンサーとしては溜まったもんじゃないですよ。
それはどうかな。ラジオのスポンサーは本来のサービスエリアに対する広告活動に対して広告料を払っているわけで、放映時に既にそれは実行されている。もしCM部がカットされていないならばスポンサーとしては予期せぬ丸儲け。どっちかと言うと伊集院さんがどう思うかが問題じゃないかな。

| Anonymous | 2009/08/21 23:33 | URL | ≫ EDIT

おっしゃられる事はよく分かります。が、それは「保護者」に果たして通用するものかと。
恩恵を受けるユーザーであればゲーム業界の発展と安泰を望むのは当然ですが、
それを仕方なく買い与える人間までそうとは限りません。
子供がうるさいから与える。言うことを聞かせるために与える。自分にとっては何の価値もない。
そうしたものであるなら「金を払うなんて馬鹿らしい」という考えに至るのも易いでしょうし、
ゲーム業界が干上がっても「子供の要求が減った」「子供騙しで稼いでる奴らがいなくなった」と
冷淡に思うだけではないでしょうか。
自分個人の幸福に還元されるか、という基準でモラルを訴えると、それに繋がらないものは
どうでもいい、という人間には何の説得力も無くなってしまうと思うのですよ。

| 烏賊丸 | 2009/08/22 16:11 | URL | ≫ EDIT















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