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『青い花』は「女のコを好きになる女のコ」をあくまで“異質”と描く

※ この記事はアニメ版『青い花』9話までのネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。

 『青い花』が面白いです。
 バレーボール中継の延長で1週(8話)観逃したり、この記事を書いている段階ではまだ今週分(10話)は観ていなかったりするんですが……『青い花』が凄く面白いです。アニメ放映中は原作を読まないことにしているので、原作のネタバレはしないで下さいね!



 『青い花』は「女のコ同士の淡い恋愛を描く」作品で、可愛い女のコが沢山出てくるのですが、一番の萌えキャラは間違いなく奥平(兄)だよねっ!妹へのツンデレ溺愛っぷりが可愛すぎる。


【奥平(兄)の萌え行動】
・毎朝、妹を駅まで車で送りたがる(妹はイヤがっている)
・Wデートに出かけた妹が気になって尾行→あっさりバレて怒られる
・妹が友達と旅行に行く際に、自ら運転役を買って出る(妹の友達を狙っているワケでもない)


 妹の方はと言うと。アレだけ誰にでもニコニコ優しく接する人格者なのに、兄貴にだけはツンツン。
 でも、ごくごくごく稀にリビングで「今日、学校でこんなことがあったんだ~」と新婚さんのように報告していたりして、あーコレはこの兄貴でなくてもシスコンになるわと思ったりしたのでした。この兄妹はガチで萌える。



 話を本題に。
 以前にもチラッと書きましたが、一口に「百合アニメ」と言っても
 「女しかいないから百合」なのか、「男もいるけど百合」なのか――では全く別だと思うのです。

 前者を徹底していた例は『ストロベリー・パニック』とか。モブも含めて男キャラが一人も登場しないという極端な作品ですよね。
 「百合アニメ」というか「女のコ同士がイチャイチャしているアニメ」だけど、『けいおん!』だって『かなめも』だって前者です。こちらは一般人として男性が登場はするのだけど、メインキャラクターはあくまで全員女性という。『けいおん!』の場合は特に「男と恋愛をする前の少女達の物語」だから、男性がメインキャラにいると話が成り立たないんですよね。

 で、『青い花』は後者なワケです―――
 あーちゃんに兄貴がいるということは先ほど書きましたが、それ以外にも人間関係の中に男性キャラクターが入っているということで……
 井汲京子が好きな人は女性で「女のコが好きな女のコ」ではあるのだけど、その井汲京子を好きな男性も登場します。その結果、「普通、恋愛というのは男女でするものなんだ」「なのに井汲京子は女のコを好きになってしまったんだ」ということが際立つのです。


 基本っちゃー基本なんですけど……
 『青い花』のキャラ配置は、この“対比させて際立たせる”ことを非常に強く意識しているようなんですよね。

 先ほどの井汲京子の例で言えば……杉本先輩に群がるミーハーなファンを描くことによって、「私はあのコ達とは違って真剣なんだ」と際立たせるとか。
 「女のコ同士の恋愛を描く」作品でありながら、第1話の時点で「女と別れて男と結婚した女性」の姿が描かれたりとか。

 視聴者はメインキャラクターの立場に引っ張られて感情移入してしまうので、ついつい「女同士の恋愛も普通のことなのかな」と勘違いしてしまいがち。それを予防するためにも、“一般的な価値観”を描くことによってバランスを取っているのでしょう。



 一番分かりやすい例は―――
 ふみのクラスメイトである3人娘(安田美沙子・本厚木洋子・茂木美和)の役割ですよね。第1話の段階では何のために存在するキャラ達なのかイマイチ分からなかったのですが、この3人は間違いなく“一般人の価値観”を描くために存在しているのでしょう。

 ふみちゃんは初恋の相手が女のコで、前に付き合っている相手が女性で、今付き合っている(いた)相手が女性で……という筋金入りの同性愛者。視聴者からすると、ふみちゃん一人だけを観ていると「それは“当たり前”なことなんだ」と勘違いしてしまうかも知れません。

 でも、3人娘が“一般人の価値観”として存在しているために、対比されて同性愛が“異質なもの”“後ろめたいもの”として際立つのです。
 杉本先輩に群がるミーハー女子を「キャーだって」と笑ったり、京子と康の話を男女の恋愛として「憧れるねー」とハシャいだり、モギーに至っては奥平(兄)とフラグを立てたり。どこまでも“普通の女のコ”達なんですよね。


 残酷な話ですが……この3人が作品内にいるから、ふみちゃんの同性愛が“後ろめたい”ものになるのです。
 あーちゃんはカミングアウトしても受け入れてくれたけど(あーちゃんは他人を否定しないキャラなので)(兄貴を除けば)、この3人は同じようにはならないでしょうし。杉本家でのカミングアウトは、そのモデルケースだったのかもと思いました。



 そうそう。“キャラの対比”で言えば。
 第1話からチョイチョイ登場している初等部の女のコ二人組―――花澤香菜・MAKOという有名どころのキャストで「え?なんで?」と思ったんですけど、この初等部の二人も主人公達を“対比”させるために存在しているんですよね。
 恋に悩んだり苦しんだり後ろめたくなったりしなくて良かった時期、(ふみちゃんにとっての)初恋のあの頃を感じさせるキャラ。



 なんつーか……凄く残酷な作品だよなぁと感心します。
 9話のキャンプシーンは物凄く微笑ましく楽しく観ていたのだけど、ふと、この楽しい関係もちょっとしたことで壊れてしまうんだと思ってしまったというか。そういう危うさを持った人間関係なんだと思ってしまったというか。


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 別にどちらが正しいってワケじゃなくてね。
 喩えば『けいおん!』で紬が百合スキーをカミングアウトした後も、軽音部のみんなは変わらずに接していましたけど……アレは『けいおん!』の世界だから出来ることであって、『青い花』では同じようにはいかないだろうって話です。


 その残酷さを「楽しい」と思うか「辛い」と思うかは人それぞれでしょうが……個人的には『けいおん!』『かなめも』の反動で、こういう路線の作品を観たかったところなので、このタイミングで『青い花』に出会えたのは幸運だったと思っています。
 この人間関係にどう決着を付けるのか非常に楽しみにしているのですが、確か『青い花』ってまだ原作完結していないんですよね。『ハチクロ』みたいに区切りのイイところで一旦終了→原作進行に合わせて2期で完結ってパターンなんですかね。


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